『九魂の久遠』をインティ・クリエイツ好きがレビュー。ネコがカワイイ…けど序盤から骨太な2D横スクロールアクション

sexy隊長
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 インティ・クリエイツが贈る、5月30日に発売予定の『九魂の久遠 (くこんのクオン)』。本作は、冥界で目覚めたネコ“クオン”が冥界を旅する2D横スクロールアクションゲームです。

 可愛いネコちゃんである“クオン”が冥界を踏破し、現世で待つ飼い主の元に帰る、というものが主な目的となる本作。序盤のステージを先行でプレイできたので、本作の魅力や、プレイして気になったことなどを紹介したいと思います!

※本記事はインティ・クリエイツの提供でお送りします。

『九魂の久遠』の不思議×和風ちっくな世界観がクセになる

 本作は、『ブラスターマスター ゼロ』シリーズを手掛けた西沢智ディレクターが手がける新規タイトルです。ネコ=かわいいだけじゃない! カッコいいネコの姿を、幻想的な“きりえ”タッチのグラフィックで艶やかに描いています。一度見たら忘れられない、独創的で素敵な雰囲気がそこにはあります。

 近年、2D横スクロールアクション=8bitドット風デザイン、というイメージが根付いている印象がありますが、本作は一線を画した個性的な作品に仕上がっているのではないでしょうか。

 ということで、さっそく遊んでいきましょう。冥界で目覚め、現世へ繋がる冥界の門を開く方法を探して、広大な冥界を探索する旅に出るネコちゃんこと“クオン”……その旅路には、冥界の特異な環境や、そこに棲む妖魔、そしてクオンと同じ境遇の妖魔獣人たちが立ちはだかります。

 クオンはただのネコであるため、敵の攻撃を受けると一撃で命を落としてしまいます……。しかし、死んでしまった際に動物の魂を取り込み、特殊能力である“アニマリヴァイヴ”を用いて甦ることが可能です。

 これにより、何度も力を得て復活し、どんどん強くなっていくのがクオンの特徴です。ただし、「ネコには9つの命がある」ということわざ通り、クオンが復活できるのは9回までという制約が存在します。それ以上になると魂が尽きてしまいゲームオーバーになるため、魂が尽きる前に様々な動物のスキルを駆使し、果敢に妖魔などに立ち向かっていくことに。絶妙なバランスです。

 公式サイトには、クオンと共に旅路を歩むプレイヤーの選択次第で、物語は様々な結末を迎えます。クオンが紡ぐ、死と輪廻の幻想綺譚の結末を、ぜひあなたの“魂”に刻みこんで下さい。との記述があるので、マルチエンディングがあるのでしょうか? インティ・クリエイツならではの重厚な物語が堪能できそうです!(と期待する筆者)

チュートリアルステージから始まる親切設計

 そんな本作は、クオンが死んでしまったところから物語が始まります。クオンに何が起きたかはこの時点で語られず、現世の飼い主のもとへ戻るため、冥界の門を目指すという目的だけ語られます。最初に「ネコは死んだ。」という一文から急に始まるので、筆者は心臓がキュっとしました。ネコ……みんな長生きしてほしい……。

 特にタイトルなどは表示されず(ちなみに、ゲーム起動時にも表示がされていません。)、冥界で目覚めたところからからクオンの旅は始まります。ここでは基本操作やアニマリヴァイヴのシステム、ボスの倒し方などのチュートリアルが行われるので、本作で重要なアクションが一通り覚えられます。

 チュートリアルステージと呼べるこのエリアでは、最後に待ち受けているボス“ダイオウナニカ”を撃破すると物語は進みます。大王何か……? 敵の名前も少し注目したくなりますね。

 ということで、アクションゲームに慣れていない方は、ここでしっかり基本アクションを覚えてから進むことをオススメします! 上述した通り、クオンは敵の攻撃を一撃でも受けると死んでしまいますし、復活できるとはいえ9回までという制約があるので、ひとつひとつのアクションが大事になってきます。

基本的なアクションを少しだけ紹介!

●シャドウスルー

 クオンのアクションはジャンプ壁登り、狭い隠し通路に入るための腰を低くして歩く、といった基本的なネコと同じ行動しかできず、攻撃といったアクションは用意されていません。それゆえの可愛さというものはもちろんあります。

 行く手を阻む敵が出てきたらどうするのか? そこで、あらゆる物体をすり抜けていくダッシュ行動シャドウスルーの出番です。敵の攻撃や敵そのものを避けて逃げていくことができます。

 スタミナゲージが存在するので多用はできませんが、連続で敵や繰り出される攻撃を避ける場面が多々出てくるので、ゲージ管理も大事になってくるアクションです。 窮地に追い込まれても打開できるアクションなので、早めに慣れておきたいところ。


 この行動、ネコを飼ったことがある方なら分かるかもしれないのですが、あの当たり判定が消失したかのようにすり抜けていくネコちゃんの姿……ほんと不思議ですよね?(笑)。

●フェイタルスタンプ

 中ボスやボスといった強力な妖魔の攻撃をシャドウスルーで回避すると、敵の妖力を少し取り込むことができます。その妖力が最大まで溜まると、フェイタルスタンプという穿点の一撃を叩き込み、撃退することが可能です。
攻撃方法を持たないクオンの唯一の攻撃手段とも言えます。


 このアクション、最初はネコの爪で攻撃なのかな? と思っていたのですが、フェイタルスタンプという名前、撃退時のグラフィックで気づきました……これ肉球のネコパンチだ! かわいい。でもしっかり倒します。

冥界の門から始まる物語。……あれ?

 チュートリアルステージのボスを倒すと、クオンと飼い主の思い出が回想され、冥界の門へと飛ばされます。

 冥界の門を目指す探検かと思っていたので「えっ! もう着いちゃった!」と驚いてしましたが、現世へ戻るにはこの門の封印を解除すること、それには要石(かなめいし)が4つ必要だということが明示されます。で、ですよね……簡単には通してくれませんよね。

 チュートリアルステージでアクションとシステムを学び、冥界の門で本作の目的を学ぶと……ついにここで本作のタイトルが表示されます!

 このタイミングで出てくるタイトルがめちゃくちゃ良いので、ぜひ体感してもらいたいです。改めて思いますが、九魂の久遠、というタイトルも響き含めて素敵です。クリアしたら見方が変わるのでしょうか……。

 タイトル表示後のタイミングで、本作のゲームモードが選択できます。ゲームモードは、

・永魂モード
・反魂モード
・九魂モード

 の3種類。基本的にはノーマルにあたる反魂モードでのプレイを推奨します。

 本記事では、先行プレイにもかかわらず調子に乗って九魂モードで始めてしまったせいで、泣きながらプレイすることになりました(笑)。ただ自身がクオンだと思い込んでプレイするなら九魂モードがオススメです!

冥界が本格的に牙をむく。容赦ない!

 冥界の門から境界の冥道へ移動すると、第一章“五魂の獣人(バケモノ)”が始まります。

 第一章の目的は境界の冥道を探索し、要石があるとされる4つの冥界を見つけだすことですが、チュートリアルステージではなかった敵の猛攻&ステージギミックがクオンをガンガン襲ってきます。

 特に読み難い動きや攻撃をしてくる敵が多く、チュートリアルステージしっかりとアクションを学んでいないとここで大苦戦を強いられると思うので、頑張って切り抜けたい……! 何より可愛いネコちゃんを傷つけたくない!

アクション性が問われる樹海地帯・濁流樹海

 濁流樹海は、冥界の大河の下流に位置するその名の通りの樹海地帯です。

 冥界における樹海は木々が生い茂った場所だけではなく、上流から流れる妖力豊富な大河の影響で、急激に成長し続ける濁流樹が荒れ狂う、濁流地帯になっています。落ちたら戻って来られなさそう……。

 激流のせいでまともに進むのがかなり難しいステージになっており、激流に逆らう方法を見つけ出すか、まったく別のルートを見つけ出して進むか……といった、探索力とアクション性が問われるステージになります。

 どのステージも最後には個性豊かなボスが待ち構えており、様々な会話劇が展開されます。

 ボスの会話は色々と興味深いですし、気になる内容ばかりです。あれ?ボスたちもクオンと同じく現世へと戻りたいのか? そもそも君たちはいったい何者なんだ!? といった謎も増えていくので、ストーリー考察が好きな方はワクワクすると思います。

 濁流樹海のボスはファンキーなサメさん“ガルベストン”です。

隠し通路をいかに見つけられるか・巨岩平原

 巨岩平原は、上空から落下してくる巨岩が積み重なった、平原とは名ばかりの起伏の激しい岩場のステージです。岩場から岩場へと飛び移るギミックが多く出てくる、ちょっと複雑な平原となっています。


 このステージ、敵がいやらしく配置されていて(笑)、歩きにくい足場が多く登場するのが特徴でしょうか。

 ここで注目して欲しいのが、隠し通路の存在です。敵が多すぎて絶対に進めない! 無理だ! という場所でも実は隠し通路が存在しており、敵やギミックを全スルーで突破できる場所がある面白いステージでした。ぜひ探してみてください。

 巨岩平原のボスは真っ赤なお目々で可愛らしいウサギさん“アリス”。

アニマリヴァイヴは危険かもしれない!?

 死んだ際に動物の魂を取り込む特殊能力、アニマリヴァイヴ。このシステム、以前TGSの試遊台でプレイした時は、1回目の死亡時は◯◯の動物の能力、2回目の死亡時には◯◯の動物の能力……といった感じである程度決まっているものだと思っていたのですが、クオンの死因がスキルに直結しやすくなっているようです。

公式サイトでも紹介されています

 どの敵の攻撃で、どのステージギミックでやられてしまったのか? それによって習得できるスキルがある程度定まってくる印象なので、欲しいスキルは結構狙って入手できました。……できましたが……9回以上使用すると魂が尽きてしまい、ゲームオーバーになってしまうということは先述した通りです。油断禁物。

 そしてアニマリヴァイヴを繰り返すと、クオンはヒトの魂を取り込んで攻撃力とHPが増え、戦闘的な業魔形態(ヒト型)へと変身を遂げます。

 見た目と体格がガラッと変化し、ネコちゃんの時の特徴であったシャドウスルーや隠し通路の利用はできなくなりますが、この業魔形態クオンがとにかく強い! 一気に別ゲーになってしまうぐらい簡単にサクサクと進んでいけます。

 この業魔形態クオンで進んで行けばやりやすそう! と最初は思ったのですが、アニマリヴァイヴを繰り返せば繰り返すほど、クオンの様子がおかしい……。飼い主の顔や存在、現世への思い、なぜ現世に戻ろうとしているのかといった記憶がどんどん失われていっている様子。

 どう考えてもこのままじゃヤバそうな感じがプンプンに漂っています。大丈夫? バッドエンド行きにならないよね?

 もしかするとアニマリヴァイヴをなるべく使わないでクリアした方が良いのか!? でも、そうなるとゲームの難易度が一気に跳ね上がってしまうのが難点……。悩ましい!

 ちなみにボス前の会話劇も、ネコ型とヒト型で用意されているようです。チェックしてみてください!

 ということで、本作の先行プレイをしましたが「続きの話が気になる!」という部分が既に自分の中で燻っております。もちろんアクション部分も面白いのですが、何よりもストーリーが気になりますね。しかも、飼い主ツクモとの思い出やボス戦の会話劇がフルボイスで語られているのもすごくよかったです。

 ただ、インティ・クリエイツ好きとしてはすごく、すごく嫌な予感がします(※褒め言葉です)。本作の正規エンディングを観るには、もしかしたらクオンの死亡回数が関わってくるのはないか? という予想がほんのりと……。そちらに関してはまだ分かりませんが、5月30日の発売に向けて今から楽しみです!

 また、現在開催中のSteam Nextフェスでは体験版が配信されています。ぜひ遊んでみてください。

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