ネタバレあり感想:舞台『ハンターハンター』第2弾にズギューン。念の習得や幻影旅団とのバトル、そして「オレでなきゃ見逃しちゃうね」に興奮しちゃうじゃないか…♥

カワチ
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 ハンター試験の物語が展開された第1弾に続き、ヨークシンシティでの幻影旅団との戦いを中心に描かれる『HUNTER×HUNTER』の舞台第2弾“『HUNTER×HUNTER』THE STAGE 2”。ここではそのゲネプロの様子をレポートしていきます。

原作のおもしろさはそのままに、舞台ならではの表現で魅せる

 『HUNTER×HUNTER』の舞台化第2弾となる今回はヨークシンシティ編。少年漫画的な要素が強かったハンター試験編に比べ、知略を駆使して相手の裏をかくような戦いが増えていき、『HUNTER×HUNTER』だからこその楽しさが増していくのが特徴。

 “念能力”および、その属性の設定が登場するのもこのエピソードからとなっており、とても読み応えのある内容になっていきます。また、ヨークシンシティ編はピュアな性格をしたゴンではなく、復讐を目的としているクラピカが中心の物語になっているので、ダークな雰囲気も魅力ですね。

 今回の舞台は念能力が最初に登場する天空闘技場の“裏ハンター試験”が回想という形で描かれるので、念がどのようなものであるか初見でも分かるように作られています。また、週刊少年ジャンプ2013年1号~2号に掲載された読み切り“クラピカ追憶編”の内容も含んでおり、よりクラピカの内面が深く描かれるようになっています。

 最初のシーンはクラピカによるクルタ族の惨殺の記憶。クラピカ役の小越勇輝さんだけでなく、アンサンブルのみなさんもクルタ族の姿で舞台に登場し、彼の心のなかにある孤独や葛藤、揺るがない復讐心を表現します。続くゴンがキルアとともに帰郷するシーンはのどかな表現となっており、緩急が楽しめます。

 その後は天空闘技場のシーンが回想として描かれますが、念を習得するシーンはバーチャル映像を使用し、漫画的表現を再現。迫力のあるものに仕上げていました。
(余談ですが、ウイングは寝ぐせめいた髪型や、ズボンからはみだしたシャツもしっかり再現。こういう部分をあげていくとキリがありませんが、まさに神は細部に宿るってヤツですね)

 また、ゴンとヒソカの対決も必見。高ぶる気持ちを抑えられないヒソカが歌いだしたときは驚きましたが、この演出がすごくいい。ズギューン!

 『HUNTER×HUNTER』は地の文やセリフが多いのが特徴ですが、舞台で役者がアクションをしながらこまかい説明をしゃべるのが難しいです。ただ、感情を込めた歌であれば、演出としてしっくりくる。役者陣の生の芝居がダイレクトに伝わる演劇だからこそ、この大胆な表現が成立するのだと感じました。

 また、ヒソカに関しては丘山晴己さんがアニメ版とも異なる独自の芝居で妖しく演じているが、そんな彼のシャワーシーンも存在。着替えも大変だっただろうに、こんなこまかいシーンまで再現されるのかとこだわりにニヤリとさせられました。

 舞台がヨークシンシティに移ると、ついに幻影旅団のメンバーやノストラードファミリーの面々も登場。ノストラードファミリーはリーダーであるダルツォルネや、悲しい最期が印象的なスクワラだけでなく、“縁の下の11人(イレブンブラックチルドレン)”を使う放出系能力者トチーノなどもバッチリと顔を見せます。

 トチーノがクラピカたち護衛団候補生を試すシーンでは、彼の能力をアンサンブルの方々による華麗なアクションで表現。バショウやヴェーゼのバトル、そしてトチーノが能力者であると見破るクラピカの動きなど、舞台上でさまざまなアクションが行われており、とても見応えのあるものに。今回の舞台は広い会場を生かした迫力の乱戦が多く、BDが発売された際にはキャラクターのこまかい動きをチェックしたくなりました。

 幻影旅団のオークション襲撃をきっかけに彼らが本格的に物語に絡んでくるように。幻影旅団でもっともパワーを持ち、小型ミサイルと同等の破壊力を持つ技を使うウボォーギンを、クラピカがさまざまな搦め手で渡り合うシーンは必見。ウボォーギンにも歌唱パートが存在し、このウボォーギンの歌に対して、クラピカがアンサーソングで答える展開は引き込まれます。

  • ▲ウヴォーギンの体毛の質感まで再現されていて驚き。戦車も一発でオシャカにしちまうスーパーバズーカ砲を受けて服が破れる演出も再現されていました!

ネットを中心に大人気のあのキャラクターも登場!

 ふたりの決着が付いたところで、舞台は第2幕へ。ゴンとキルアが鑑定士のゼパイルと出会うシーンやレオリオと再会するシーンはコミカルに描かれ、舞台ならではのオーバーなアクションが楽しめます。

 幻影旅団のメンバーが保管場所を変えられていた“緋の眼”の奪取と仲間であるウボォーギンの鎮魂、未来を占うことができるネオンの能力を奪い、会場を襲撃するシーンも大迫力。それぞれの団員が念能力を使って次々に護衛を虐殺していく壮絶な場面です。

 また、クロロがネオンの首筋に手刀を叩き込み、彼女が急に気を失ったフリをして潜入する場面では、そんなクロロの挙動を見逃さなかった、通称“団長の手刀を見逃さなかった人”も登場。

 モブキャラクターでありながら味があり、インターネットを中心に人気のあるキャラクターですが、そんな彼にも出番があります。すぐにやられてしまうからネタになりやすい彼ですが、場数を踏んでいるプロの実力者であるため、舞台版でもふざけた感じは出さずに狂気的で迫力のある芝居を展開します。

 もちろん、いちばんの見せ場であるクロロとゼノ&シルバのバトルも見どころあり。ゼノの龍頭戯画(ドラゴンヘッド)、牙突(ドラゴンランス)も舞台のバーチャル映像を使って再現されており、念能力者同士の戦いが華麗に表現されます。

 舞台の物語自体はヨークシンシティ編に沿ったものですが、クライマックスに関しては原作では少し先のパクシーンがあったり、これからはじまる“グリードアイランド編”を想起させるものがあったりと、希望を感じさせる作りになっています。ヨークシンシティ編は暗い場面も多いですが、観劇後はしっかり前向きな気持ちになれるように工夫されています。

 舞台でバーチャル映像を使って表現される念能力や、原作のイメージそのままで登場する幻影旅団のメンバーたちなど見どころたっぷり。4月14日の千秋楽はDMM TVでの配信も決定しているので、現地に行くのは難しいという人もぜひ配信でチェックしてみてくださいね!

『HUNTER×HUNTER』THE STAGE 2 公演概要◆

【期間・劇場】
東京公演:2024年3月16日(土)~3月31日(日)天王洲 銀河劇場
大阪公演:2024年4月6日(土)~4月14日(日)梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
【原作】冨樫義博(集英社「週刊少年ジャンプ」より)
【脚本・演出】山崎彬
【音楽】坂部剛

【キャスト】
ゴン:大友至恩
キルア:阿久津仁愛
クラピカ:小越勇輝
レオリオ:近藤頌利
ノブナガ:村田充
フェイタン:平松來馬
マチ:秋野祐香
フィンクス:田鶴翔吾
シャルナーク:織部典成
シズク:佐當友莉亜
パクノダ:鳳翔大
ウボォーギン:伊勢大貴
シルバ:北村圭吾
ゼノ:椎名鯛造
センリツ:岩田弘子
ネオン:櫻井佑音
ライト:和泉宗兵
ヒソカ:丘山晴己
クロロ:太田基裕
高岩芯泰 辻本将平 原池優 藤田浩太朗 古田伊吹
山崎里彩 岡村拓真 河野凌太 小池堆賀 島田隆誠
平井浩基 山上和輝 山﨑竜之介

<声の出演>イルミ:上田堪大

【主催】『HUNTER×HUNTER』THE STAGE 2製作委員会
【チケット料金】11,000円(全席指定/税込)
【一般発売日】2024年2月18日(日)AM10:00~

公式Instagram
公式YouTube

『HUNTER×HUNTER』とは

 1998年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)にて連載を開始した冨樫義博による漫画作品。

 父に会うため、父と同じハンターを目指すべく過酷な試練に立ち向かう主人公・ゴンと、その仲間となるキルア・クラピカ・レオリオの熱い想いや行動を唯一無二の世界観で描く。

 シリーズ累計発行部数は8400万部を超え(2022年10月現在)、1999年と2011年にアニメ化もされ、日本だけにとどまらず全世界に熱狂的なファンを擁する。

『HUNTER×HUNTER』THE STAGE 2 ストーリー

 〝9月1日、ヨークシンシティで!!──〟

 ハンター試験を終えたゴン、キルア、クラピカ、レオリオは、それぞれの地で念能力を習得し、世界最大のオークションが行われるヨークシンシティで再会を果たす。

 時を同じくして、クロロ率いる幻影旅団もまた、全ての競売品を奪うべくヨークシンに集結していた。

 通称〝クモ〟と呼ばれる幻影旅団は、かつてクラピカの同胞・クルタ族全員の命を奪った盗賊グループであった。

 鎖のように絡み合う運命。怒りと悲しみで緋色に染まるクラピカの瞳。制約と誓約。

 やがてクラピカは復讐を成し遂げるべく、幻影旅団に一人で立ち向かってゆく。

 果たしてゴンたちは、大切な仲間の心を安寧へと導くことができるのか──。

©P98-24・『HUNTER×HUNTER』THE STAGE 2製作委員会

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