ネタバレあり感想:『キングダム』アニメ第5期最終回は黒羊宮の戦いが意外な決着を迎えるなか、王都にも大きな動きが…

タダツグ
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 ファン待望のTVアニメ『キングダム』第5シリーズがいよいよ最終回を迎えました。今回は、第12話“勝敗の夜ふけ”と第13話“蔡沢の矜持”の感想をまとめてお届けしていきます。

【注意】この記事ではアニメ『キングダム』の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

TVアニメ『キングダム』第5シリーズ 第12話“勝敗の夜ふけ”感想

 敵将・慶舎(けいしゃ)をその手で討つという大金星をあげた信。しかし、趙の軍勢は離眼の城主・紀彗(きすい)の巧みな指揮によって勢いを失うことなく戦い続けており、中央の丘をめぐる戦いはいまだ不透明なままでした。

 そんななか、黒羊一帯の集落を急襲してそこに住まう民を虐殺していく桓騎(かんき)たち。その目論見が、ついにこの第12話で明かされることになります……。

 内容について詳細は伏せますが、はっきり言って鬼畜・外道そのものでしたね。紀彗が心に負っているトラウマをエグるのが目的となっており、およそ“主人公側”が採用する作戦ではないと思ってしまいました。事実、信や羌瘣(きょうかい)は猛反発して、あわや同士討ち一歩手前までいったわけですし(苦笑)。

 頭のなかでは桓騎の策略であると知りつつ、それを無視できない紀彗。まんまと企みに乗ってしまい、結果、黒羊宮の戦いは秦軍の大勝利に終わります。河了貂(かりょうてん)いわく、桓騎の策によって死傷者は想定の半分ほどに収まったとのことで、まさに“圧勝”としか言えませんよね。紀彗には同情しかないし、後味は過去イチレベルで悪いですけど……。

 とはいえ、勝利に至るまでの過程はさておき、自軍が流す血の量を極端に減らしたという結果については、この先も戦いが続くことを考えると大きな殊勲。河了貂に「稀代の名軍師たちですら思いつかない」と言わしめた桓騎の策、色々な意味で恐ろしいかぎりです。

 個人的に、今回のエピソードを見て桓騎には“プロゲーマーかよ!”って印象を抱きました(汗)。戦局を読んだというよりは、完全に紀彗という人物そのものを熟知し、その思考を読み解いたうえで王手をかけ、無理やり舞台から引きずり下ろしたわけですから。これって奇策とかそういうのより、“人読み”と捉えたほうがしっくりくる気がします。桓騎はゲーマーとしてもめちゃくちゃ強そうだ……なんてことを考えてしまいました(苦笑)。

 さておき、今回は我らが信ですら桓騎の手のひらの上であったと言えますね。羌瘣から「見せつけられたな。大人の戦い方というやつを」と声をかけられた時の、悔しさをにじませる信の表情がとても印象的でした。ただ、桓騎や尾平とのやり取りを乗り越えたことで、飛信隊の結束が強固になったことは紛れもない事実。決意も新たに天下の大将軍を目指すことを宣言した信には、これからも期待しかありませんね!

TVアニメ『キングダム』第5シリーズ 第13話“蔡沢の矜持”感想

 12話で黒羊宮の戦いはひと段落。13話は第5シリーズのエピローグ的なものになるのかな……と思いきや、秦の王都・咸陽(かんよう)で、思いもよらない戦いが勃発することになりました。なんだこの急展開……。

 この戦いで中心となる人物は秦王・嬴政(えいせい)。つまりは武をもっての戦いではなく、知をもっての舌戦が繰り広げられる形となりました。これを仕掛けたのは秦の宰相である蔡沢(さいたく)……かつて呂不韋(りょふい)の元で手腕を振るい、嬴政を苦しめたあのおじいちゃんだったりします。個人的に、蔡沢の「ヒョッヒョッ」って笑い方が大好きなのですが、ここのところ物語に絡んできていなかったので、思わぬ形で再登場してきてビックリしました。

 そして、この蔡沢が嬴政に会わせるために連れてきた人物がヤバいんですよね。ヤバすぎる。1人は中華七国のひとつである“斉”の王である王建(おうけん)。そしてもう1人は、趙軍の宰相である李牧(りぼく)ですからね。あの李牧ですよ? 目下、秦にとって最大の強敵である李牧がいったい嬴政とどんな話をしに来たというのか!? そして王建の狙いとはいったい……。いや、そんな会談を誰にも相談することなく進めてしまった蔡沢こそが恐ろしい。

 正直、自分は蔡沢の謀反、あるいは嫌がらせなのかとさえ思ってしまったわけですが、会談の内容を見た今となっては、そんな浅はかな自分の考えが恥ずかしくて仕方がないです。蔡沢おじいちゃん……かっけええええええええ!

 まぁ、尺の都合もあってか、この13話で嬴政と会談したのは斉王・王建のみではありましたが。ここでの会話はマジでアツすぎた! 黒羊宮の戦い中は、当然ながら出番がほとんどなかった嬴政。最後の最後でしっかり存在感をアピールしてくるあたり、原作者である原泰久先生の構成力が光ります。

 会談序盤の重苦しさは見ているだけでプレッシャーでしたが、それを易々と跳ね除け、王建に中華統一後の思想を語った嬴政の姿を見たときは心の底から痺れました。まさに“千年に一人の王”ですわ。カッコよすぎ! 側近である昌文君(しょうぶんくん)なんて涙を流していましたけど、その気持ちはよくわかります。

 王建との会談を終え、次は李牧との会談へ進もうとする嬴政を呼び止めた蔡沢が口にした“ご武運を”の一言も素晴らしい。その後の顛末まで含めて、マジで僕まで泣いちゃいました。屈指の名シーンだと思うので未見の方はお楽しみに。

 そして前述のとおり、いよいよ李牧との会談に挑むことになる嬴政。どうなることかというところで、残念ながらこの第5シリーズは終幕を迎えるわけです。こんなん先が気になり過ぎるでしょッ! 第6シリーズはよッッ!! となってしまっています。いや、気が早いお話ということはわかっているんですけどね(苦笑)。もちろん、まだ第6シリーズが制作されることさえ発表されてはいませんが、実現を信じて待ち続けたいと思います。

 ということで、3カ月に渡ってアニメ『キングダム』の感想を書きしたためてきたこのコラムも、ひとまず今回でラストとなりました。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。また次のシリーズでもお会いできることをお祈りしつつ、今回はこのへんで!

©原泰久/集英社・キングダム製作委員会

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