ストーリーテラーと創造主の違い【グリムノーツ最終考察#1_3】

そみん
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 スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ Repage(リ・ページ)』の物語がいよいよ完結します。

 その物語をより楽しめるよう、ストーリーの流れをまとめつつ、物語の背景を読み解く考察記事をお届けします。

※本記事内には物語のネタバレを含む表現がありますので、ご注意ください。

ストーリーテラーと創造主の違いについて

 原初の語り手(アルケテラー)の存在理由は『リ・ページ』の物語の後半で明らかになったが、実は19想区(グリム童話の想区)の時点でのヤーコプの推測が、ほぼそのまま正解として提示されていた。

 「我々の知る世界…、ストーリーテラー、想区がない世界に、なんらかの異変が起きた。――いわゆる、ストーリーテラー降臨だ」

 この“なんらかの異変”こそ“意味消失現象”であり、人々に意味を持たせるため、アルケテラーという機械仕掛けのシステムが作られた。

 アルケテラーから派生したシステムであるストーリーテラーは、物語仕立てで人々に役割=“運命の書”を与えることで、人々は存在する意味を与えられ、消失を免れた。
(余談だが、意味を消失して存在を失った者たちの成れの果てが、想区と想区の間に満ちている“沈黙の霧”である)

 そんな流れを踏まえたうえで、ヤーコプの推測を見ると、その推測が正解だったことを理解しやすいはずだ。

 「…想区を支配するストーリーテラーは、意思を持った存在ではなく、ひとつの機構だ。ルールと言い換えても良い」

 「そして、ストーリーテラーは意思を持たない以上、運命をゼロから生み出すことができない」

 「だから、ストーリーテラーはすでに語られた運命――物語、伝承、史実を借用する。我々の創造したイマジンも元ネタに含まれるな」

 「そうして借用した物語をあるいは改変し、あるいはつなぎ合わせて生まれたのが想区だ」

 また、とあるインタビューでシナリオ担当の大泉氏は以下のように語っている。

・ストーリーテラー:シナリオの中でも語られているのですが、想区を作る人格のない一種のシステムみたいなもので、物語の人物に理不尽な運命を与えることに対して躊躇などはありません。

・創造主:グリム兄弟とかシャルル・ペローとか想区の元になった童話を書いている人物で、ヒーローの上位互換的な存在です。あくまでも1人の人間なのでそれぞれの感情や考えを持っているというところが、ストーリーテラーとの大きな違いだと思います。

 これにくわえて、石井プロデューサーによる「設定を最初作ったときに“創造主は作家であるのに対して、ストーリーテラーは同人作家である”という感じで作っていたと思います」という言葉をあわせて考えると、ストーリーテラーと創造主の違いを理解しやすいのではないだろうか。

 そして、21想区(万象の想区)でモリガンが語る「刻は来た」「不条理な語り部から、私“たち”の運命を取り戻す刻が」という言葉も、モリガンの裏にいるお月さま=プロメテウスの真意が込められており、のちに『リ・ページ』で語られたプロメテウスの目的そのものと言える。



アルケテラーを補助するデータ生命体の存在

 『リ・ページ』の14想区(イソップ童話の想区)では、古い世界が“意味消失現象”に襲われ、そこで人間の存在を意義を作るためにアルケテラーという機械のシステムを作り、“想区”という物語の世界と人々の運命(運命の書)を作ることで、人類消失の危機を乗り越えたことが明かされている。

 その事実を知った上でストーリーテラーについて考えると、それが杓子定規でシステマチックであることにも納得がいくはずだ。

 また、代役や入れ替わりなど、大きな部分の辻褄が合えば、細かい矛盾は気にしないというストーリーテラーの特徴も把握しやすくなるだろう。



 その一方で、アルケテラーが管理しきれない部分を補助するシステムであるイソップやラフカディオは明確な人格を持ち、データ生命体と呼ぶべきものとなっている。


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グリムノーツ Repage

  • メーカー: スクウェア・エニックス
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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  • メーカー: スクウェア・エニックス
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  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2016年1月21日
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