いろんな仕事があるんだなあ~~♪【O村の漫画野郎#17】
- 文
- 奥村勝彦
- 公開日時
秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!
いろんな仕事があるんだなあ~~♪
あー。新雑誌創刊ではいろんな仕事が発生するが、新聞やら電波媒体にも広告を打たなきゃいけない。
なんせ新雑誌だからね、自社媒体だけじゃ足りねえわなあ。
んで、俺が担当したのは、ラジオCMと東スポのCMである。普通、こういう広告作業ってえのは代理店がやったりするんだが、なぜか壁村さんが代理店のクリエイターが描いた脚本を「なんだこんな、つまらねえモン書きやがって!!」って罵倒し、「これだったらコイツにやらした方がよっぽどマシだ!!」なんて、俺を見て言ったりしたから、ビビッて代理店は何も言ってこなくなっちゃった。
んで、俺に担当決定!! でもよー、俺、ラジオのCMの脚本なんざ、書いたことねえし、いろいろ制約だとか、何だかんだあんじゃねーの? 普通。知らんがなワシ。誰か教えてくれよー、なんて思いながら2週間に1回、無茶苦茶な脚本をヤケクソで書いてたなあ。
たとえば、BGM 「相撲甚句」が流れ、太ってて非常に聞き取りにくい相撲取り的な声で、「今度出るし、新漫画雑誌、グ、グランドチャンピオンっていうそうでゴンス」「そ、そりゃ、ど、どーいう意味なんすか? 兄さん」「よ、横綱…」「そ、そりゃあ、めでてえ!!」「ワッハッハア!!」BGM ハー、ドスコイ、ドスコイ!!
ま、こんな感じだった。まさに無茶苦茶である。こんなのが電波媒体に流れちゃったワケだから、何が何だかわからない。恐ろしくて収録なんかに行けねえーで、逃げ回ってたもんなあ。オンエアなんざ聞いたこともなかった。……もう、壁ちゃんのバカ。
まあ、この時の経験はのちに、ビームのTVCMを製作費2万円で作る時に大いに役立ったんだが、それは別の話だ。
んで、もうひとつの東スポ(東京スポーツ)CMは、俺は自ら志願した。なにせ“日付以外は全部嘘”の東スポである。相手にとって不足は無い。
2週間に1度、一生懸命シコシコと版下を作ったのよ。一体、俺は何を一生懸命だったのか? それは東スポのおどろおどろしいアホな見出しに対抗するような、アホな広告の見出しを毎回、考えていたのだった。
たとえばキスをテーマにした恋愛漫画が新連載になった時、ドデカくベタ白抜きの文字で“体液交換!!”とか打ったりして、一人で喜んでたりした。だけんども、いわゆる費用対効果っつーのがあったのかどうかは全くわからん。
まーそんなコトしつつ、新雑誌は発売されたのだった!! で………待て、次回!!
(次回は9月28日掲載予定です)
O村の漫画野郎 バックナンバー
イラスト/桜玉吉
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