『モンハンライズ』『ストーリーズ2』開発者インタビュー。妖怪をモチーフにしたモンスターデザインを語る

kbj
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 カプコンから2021年3月26日に発売されるSwitch用ソフト『モンスターハンターライズ』と、2021年夏に発売予定のSwitch用ソフト『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』。両タイトルを手がける開発者へのインタビューを掲載する。


 お話を伺ったのは、『モンスターハンター』シリーズの辻本良三プロデューサーと『モンスターハンターライズ』の一瀬泰範ディレクター。タイトルのコンセプトや特徴、システムなどについて質問した。

 なお、インタビュー中は敬称略。

  • ▲インタビューはオンライン上で行われた。

『モンスターハンターライズ』

携帯機で遊べる『モンスターハンター』新作の開発

――『モンスターハンター:ワールド』で大きな変化を見せた『モンハン』シリーズですが、『モンスターハンターライズ』でも新しい要素や変化が見られました。まずは本作の制作コンセプトをお聞かせください。

辻本:ユーザーから「携帯機でも『モンスターハンター』を遊びたい」という声をいただいていたので、そこを意識しているタイトルです。“いつでも、どこでも、誰とでも”という携帯機ならではのことを、コンセプトとしても入れているタイトルです。

 プロモーション映像や実機プレイを見ていただくことで感じていただけると思うのですが、軽快なアクションが本作の売り。かなり高い場所まで登っていけることもあり、かつユーザーの皆さんに盛り上がってほしいという思いを込めてタイトル名に“ライズ”とつけさせていただきました。

――ということは、ハードありきでの開発だったわけですね。

一瀬:そうなりますね。何を作ってもいいというのではなく、辻本から与えられた“携帯機として新しいタイトルを作ること”を軸にしています。

 僕が以前に携わったのは、『モンスターハンタークロス』……『モンスターハンターダブルクロス』も少し手伝っているのですが、以前にやりたかったこと、やれなかったことを踏まえつつ開発していこうと考えました。それがSwitchの特徴とマッチしたというのも、正直なところはあります。

 当時『モンスターハンター』としてのゲーム性はだいぶ固まってきたため、クエスト中のサイクルやゲーム全体のサイクルなどに、何かしら手を加えることを目指して開発しています。

 ここについては、まだ発表できないものが多くて申し訳ありませんが、続報をお待ちください。

――開発はいつごろから始まっているのですか?

辻本:今回ですが、僕らのチームとして初めて弊社独自の開発エンジン“RE ENGINE”を使っています。そのため、タイトルの構想やエンジンの検証については『クロス』が終わったころぐらいから始めています。

一瀬:『ダブルクロス』を手伝いつつ、裏で企画を進めていました。『ダブルクロス』や『ワールド』も同時進行のような感じでしたので、それらとは別のタイトルを目指していくことをイメージしていました。

――開発中には『ダブルクロス』や『ワールド』が組み上がっていったと思うのですが、そちらから取り入れたことや意識したことはありますか?

一瀬:ほぼ並走しつつの開発でした。こちらを作っている時、『ダブルクロス』や『ワールド』も要素を固めている段階だったため、全貌が見えない時期が長かったです。

 そのため、当初は自分たちがしたいことを目指して作っていました。途中で『ダブルクロス』や『ワールド』の遊びが完成したものから、携帯機で作るにあたって適した要素はこちらでも取り入れています。

自由度が高く、ハンターのアクションの幅を広げる“翔蟲(かけりむし)”

――“翔蟲”による新アクションが特徴。御社の往年の名作『トップシークレット』を連想したのですが、何か既存の作品で参考にしたものなどはありますか? また、制作コンセプトなども併せてお願いします。

辻本:だいぶ前のタイトルですね!

(一同笑)

一瀬:特に『トップシークレット』を意識したのではなく、『モンスターハンター』のアクションのメイン部分と紐づけて遊べるようなアクションを入れようとしたのが始まりです。

 もともとになるのですが、クエスト内のサイクルについて、大きく変化をつけたいというのがありました。モンスターと対峙する時、フィールドを絡めた要素ではなく、プレイヤーとモンスターのやり取りを強くしたかった。そこで、立体的に動けるような“翔蟲”を考えたのが始まりとなります。

 “翔蟲”についてはジャンプするだけでなく、遊びの幅を検証、調整して取り入れています。“翔蟲”を絡めて攻略するモンスターは入っています。そのうえで、今まで通りの立ち回りでもやりとりできるモンスターもいます。

――かなり自由に動けそうだと感じました。一方で自由に動けすぎると、アクションのバランスをとるのが難しそうだと感じるのですが……。

一瀬:“翔蟲”の要素が入ると、新たに対空の要素が入ってしまいます。そういった意味でモンスターの調整にはいろいろと開発内でも時間を使ったものもあります。

――アオアシラなど既存のモンスターも登場します。ハンターのアクションにあわせて、向こうも変わってくるのでしょうか?

一瀬:別にアオアシラが昇龍拳を打つわけではないです(笑)。

――例えば翔蟲を使えなくするなど、翔蟲に対してアクションを行ってくるモンスターはいますか?

一瀬:それはいませんね。翔蟲はあくまでプレイヤーが使う道具のようなイメージで、モンスターが翔蟲に対して何かするわけではありません。

 アクションの選択肢が増えているので、それらをうまく使えばモンスターの攻略の幅が広がるように思っていただければと思います。

――翔蟲では上下の移動がかなりできるようになっています。フィールドを作る際にどのようなことを意識して作られていますか?

一瀬:前提としては、“翔蟲で移動すること”自体が楽しくなってほしいというのが、コンセプトのベースにあります。

 そのため、翔蟲のアクションとあわせると、より楽しくなる地形を考えながらデザインしています。

――かなり高く、遠くまでも行けそうだと感じました。

一瀬:フィールド内には、水が流れているところなど、張り付けないところも存在しますが、基本的に見えるところは行けるようにしています。隅から隅まで探索する楽しさを感じてもらえると思います。

不思議なことはモンスターが行っていた!?

――映像を見て、本作のモンスターには妖怪のような要素が入っていると感じました。世界観がこれまでと異なる印象ですが、この方向性にした理由をお聞かせください。

一瀬:『モンスターハンターポータブル 3rd』から10年が経過して、いくつものタイトルを経ています。かなり期間が経っているので、「テーマとして和を持ってきても時期的にはいいだろう」と思い、世界観に和風を取り入れようと考えました。

 和をテーマにするに際して、モンスターにも“わかりやすいキャラ付け”をしたいと思ったわけです。そこで新規モンスターだけでなく、過去モンスターを含めて登場するモンスターすべてに何かしらの妖怪モチーフを加えています。

辻本:あくまでコンセプトで、テイストとして和を取り入れている形です。装備がすべて和風になるわけではありません。

一瀬:別に幽霊や化物を作りたいわけではありません。妖怪は動物を見間違えていたり、自然現象を勘違いしたりして生まれたものが多いです。

 『モンスターハンター』の世界で不思議な現象が起きた時は、実はモンスターが行っていたわけです。それが人によって伝えられてきたみたいなイメージではあります。

――同じく和風の世界観であった『ポータブル 3rd』も一瀬さんがディレクターでした。和風の世界観にこだわりがあるのでしょうか?


一瀬:モチーフとしては好きですね。『モンハン』の中での和風、アジアンテイストをどう落とすのかを、それぞれのチームの担当と話しながら、作っています。

 その結果、『ポータブル 3rd』とも違う見せ方ができたかと思います。『ポータブル 3rd』が好きな人に懐かしさを感じてもらえる部分は、新しいものに落としこめたと思っています。

――メインモンスターの“マガイマガド”を始め、4種の新モンスターが公開されました。それぞれの特徴やポイントをお聞かせください。


一瀬:マガイマガドはプロモーション映像では、鬼火のようなものをつけています。亡霊武者のようなイメージで、デザインを起こしていきました。

――アケノシルムは唐傘(からかさ)をかぶっているのでしょうか?

一瀬:タイトル立ち上げ時はデザイナーもいなかったため、メインプランナーと動物と妖怪の組み合わせを書き出していきました。その中の一体がこのモンスターです。

 鶴などと唐傘オバケを組み合わせて、おもしろいものをできないかというところがスタート地点です。頭のトサカの形状を変化させてキャラを作ろうというのがコンセプトです。

――ちょっとトリッキーな動きをしてきそうですね。

一瀬:かなりおもしろい動きはするかと思います。頭のトサカの形状を見極めたり、対策を考えたりする遊びになると思います。

――オサイズチは鎌鼬竜(れんゆうりゅう)という呼び名が付いていますね。

一瀬:三位一体で行動する鎌鼬(かまいたち)がモチーフになっています。群れで行動する中型モンスターはこれまでにもいたのですが、もう少し連携を強くして個性を出せないかと考えました。

 鎌鼬の逸話で連携するものがあるので、そういったものをヒントに作ったりしています。

 つねに3匹で行動するため、連れ添っている小型のイズチから討伐するのか、ボスのオサイズチから抑えるのかがポイントになってくるかと。

――最後は、口の部分がカモノハシのようなヨツミワドウです。こちらの呼び名は河童蛙(かっぱかわず)と読むのですか?


 河童蛙(かっぱがえる)になります。メインのモチーフは蛙になりますが、いろいろな要素が入っています。このモンスターに限らず、アケノシルムやオサイズチもいろいろな生き物の特徴を複合して入れています。

 このヨツミワドウは体型の変化がコンセプト。細い姿と大きな姿で遊びの変化を出すことを考えて作っています。モチーフが河童ということで、相撲のようなアクションを生き物としてどのように見せるかを考えて、技を構成しました。

――本作のボリュームはどれくらいになるのでしょうか?

辻本:インタビューでよく聞かれる質問になるのですか、いつも具体的な数字の公開は控えています。ただ僕らの中には、『モンハン』としての遊びごたえやボリューム感のイメージがあります。

 そこと大きく外れるようなボリュームにはならないと考えていてください。

一瀬:そのため登場するモンスターがあと2、3体ということはないです(笑)。安心してください。

――新オトモ“オトモガルク”についてお聞きします。モンスターと立ち回る時にどんなアクションがあるのでしょうか?


一瀬:ガルクはプレイヤーの攻撃に連動して一緒に攻撃してくれます。プレイヤーが攻撃しなくてもガルク自体でも攻撃を行いますが、あわせるのがポイント。

 オトモアイルーと比べて、より積極的にするわけです。プレイヤーが積極的に攻めれば攻めるほど、攻撃してくれて気持ちよくなります。

――コミュニケーションをとれるなど、愛着を持てるような作りになっていると感じました。

一瀬:ガルクとアイルー、お好きなほうを選んでください。「犬のようなオトモを連れていきたい」という声は前から来ていました。2種ともにかわいがっていただければうれしいですね。

――『ライズ』を楽しみにしている読者へ、メッセージをお願いします。

一瀬:まだ発表したばかりで、お見せできるところが少なくて申し訳ありません。ただ、発表していない要素や、見せている部分でも変えているところは多々あります。今後の情報にご期待いただければと思います。

『モンスターハンターストーリーズ2 ~破滅の翼~』はより広い層に楽しんでもらいたい!

――こちらはどういうタイトルになっていますか?

辻本:モンスターと絆を結び、共存する“モンスターライダー”として『モンスターハンター』の世界を冒険するRPG『モンスターハンター ストーリーズ』の新作になります。

――前作『モンスターハンター ストーリーズ』との物語的なつながりはあるのでしょうか?

辻本:詳しいことはまだ言えないのですが……タイトルに『2』とついています。ただ、「『1』をやっていないとわからない」ということはしたくありませんでした。

 『2』だけを遊んでいただいてもシナリオを理解してもらえたり、ゲームを楽しんでもらえたりするような作りになっています。

――全体的なビジュアルから、より大人びた印象を受けるのですが、低年齢層だけでなく、大人にもアピールしたいと考えられているのでしょうか?

辻本:本作は、より幅広い層に遊んでもらいたいと考えています。グラフィックについてはいろいろな検証を行い、落とし所としてどこがいいのかを考慮しました。

 今のグラフィックが、広い層の人に受けそうだという感触はありますね。

――前作のゲームシステムは、ライダーとオトモンがともに戦うものでした。そのうえで成長させていくゲームになっていましたが、本作のシステムは?

辻本:『ストーリーズ』はRPGというジャンルと、ライダーという設定が軸になっています。

 『モンハン』はキャラとしてモンスターが人気。ライダーという設定で、モンスターとともに冒険をするのは引き続きのテーマです。アクションの『モンスターハンター』シリーズとは違い、モンスターをより近くに感じながら進行してほしいのです。

 当然、モンスターと絆を深めながら遊んでもらうのは楽しみの1つ。前作で好評だったシステムを踏まえつつ、『2』としてどうしていくのかを意識しながら開発しています。

――前作はじゃんけんのような3すくみのシステムが特徴的でしたが、こちらを踏襲したものになるのでしょうか?


辻本:バトルについても続報をお待ちください。対戦などの要素は期待しておいてもらえるとうれしいです。

――前作では注目キャラとしてナビルーがいました。本作では彼に相当するような、案内人のキャラクターはいるのでしょうか?

辻本:内緒です(笑)。今後の続報をお待ちください。

――『モンスターハンターライズ』との連動要素があるとのことですが、どのような方向性になるのでしょうか。

辻本:『ストーリーズ2』だけでなく、『ライズ』でも連動要素を考えています。イメージとしては、どちらかを遊んでいるともう一方にちょっといいことがある感じになります。

――両作品の発売を心待ちにしているユーザーにメッセージをお願いします。

辻本:両タイトルとも、どちらも反響をいただいています。発表したてのため、そこまで情報を出せていないのですが、これから随時発信していきます。

 昨今、このような状況のため、インターネットを介して皆さまに伝えていくことが増えていくと思います。どこでどのようにして出すのかを報告しつつ情報をお届けするので、今まで以上にSNSなどをチェックしていただければ助かります。よろしくお願いいたします。

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