すぐそこにあった危機!!【O村の漫画野郎#38】

奥村勝彦
公開日時
最終更新

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

すぐそこにあった危機!!

 あー。岩井も編集部に合流し、新体制発足!! さあいくぜえ!! って話になる所なんだが……同時期に、実際は色々あったのよ。


 まず、会社が突然、身売りした。俺みたいな人間でも、その頃、アスキーにアホみたいな金額の借金があるのを知っていたし、こないだ書いた分裂騒動もあったし、なぜか仕事してたら、ソフトバンクの孫さんが社長の西さんの案内で職場を見学しに来てたりした。

 なんか変な雰囲気だなあって思ってたら、案の定身売りしちまった。新しいオーナーは、CSKという会社である。俺は知らなかったけど、システムエンジニアリングの業界では結構有名な会社だったみたい。


 しかしながら、会社的には大変な事件なんだろーけど、俺みてえな人間にとっては、正直、どーしようもねえ話ではある。まあ、仕事ができる場所があればいいのだ。


 そんなことより、マジでヤバイ事態がやって来た!! 編集長になって来年度の予算を話し合う会議が、そのタイミングであったのだ。

 上司や関係部署の面々がずらりと並ぶ会議室で、各部署のその年の財政状況が報告されて、オメーんとこ大丈夫なんか? 来年はどんだけ稼げるんじゃい? って言われちゃうのである。

 俺のそん時の上司はファミ通の編集長も兼任してた浜村さんだ。んで、俺はご存知のように何にもわからないまま会議室へ向かった。あらかじめ例の謎の経理表を渡されていたのだが、もちろんなにが書いてあるのかさっぱりわからねえままである。

「うわあ……これはキツイなあ」
「はあ……」
「なあ、来年ビームやめへんか?」
「へ?」

 思いっきりバリトンの落ち着いた声で言われてしまった。でも、まだワシなんにもしてへんがな!! 一番最初の会議でやめろと言われても、困りますがな!!

 結局、俺があまりにも何も知らない&編集長になったばかりであったのが、さすがに不憫に思えたのであろう、もう1年だけ様子を見ようってことにはなったが、このまま何もしなきゃ、早い段階で編集部解散、俺はクビ確定である!!

 何とかしねえと!! イキナリ存亡の危機!! ……待て!! 次回!!

(次回は3月15日掲載予定です)



O村の漫画野郎 バックナンバー

イラスト/桜玉吉

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら