【ゆゆゆ座談会】『結城友奈は勇者である』KADOKAWAスタッフが裏方の思い出を語る連載企画がスタート!

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 『結城友奈は勇者である』のKADOKAWAスタッフが、裏方の思い出を語る座談会企画がスタート。第1回は、スマートフォン/PC用RPG『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき(ゆゆゆい)』誕生の思い出を語り合いました。

 2014年、TVアニメ『結城友奈は勇者である』の放送とイラストノベル『鷲尾須美は勇者である』の連載から、読者さん、視聴者さんのおかげで、かれこれ7年間、歩みを続けてきた『勇者である』シリーズ。

 ついに今年の10月からTVアニメ3期にあたる『結城友奈は勇者である 大満開の章』の放送も決定し、さらに4月~6月にかけてショートアニメ『結城友奈は勇者である ちゅるっと!』も放送され、どんどん盛り上がりを見せている人気シリーズです。

 そのシリーズに深く関わってきたスタッフのうち、一部のKADOKAWAスタッフで集まって『大満開の章』放送へ向けて7年間の思い出を語り合いました。その模様を今回から連載形式でお送りします。

 第1回の今回は、6月8日で4周年をむかえたスマホアプリ『ゆゆゆい』の立ち上げ当時の事などを振り返ってみました。

スマホアプリ『ゆゆゆい』誕生の思い出

ソーシャルゲームはお店屋さんをやっている感じに近い

内山:丸尾さんが『結城友奈は勇者である』プロジェクトに関わりはじめたのっていつでしたっけ?

丸尾:TVアニメ第1期が終わってから少し後くらいですかね。1期の放送が終わった2014年12月頃には、うちの部署で、『勇者である』シリーズのスマートフォンゲームを作りたいね、という話は持ち上がってたんですけど、そこから原作チームの方々に「これで行きましょう!」と言っていただける企画まで持っていくまでに、約1年くらいの長い試行錯誤の準備期間が……。私はちょうどその辺りからの合流なんですよ。

内山:確かに、最初は他の方が担当されてましたね! なつかしい……!

丸尾:そうなんです。企画の初期段階では、今の『ゆゆゆい』とは違う内容のゲームの企画書があって、原作チームのみなさんにプレゼンしたと聞いていますが、あまりいい反応をいただけなかったそうで……。そこで『ゆゆゆい』に情熱を持って取り組んでくださるパートナーさんを探して、その方たちと練った企画書を再度持っていこう!……という話になったと聞いています。

内山:そのパートナーとして、オルトプラスさんを選んだんですか?

丸尾:うーん、実はそこまでにも紆余曲折あったんですよ。パートナーとなっていただくために、かなり数の会社さんとお話をしたと聞いています。私もその途中から参加して数社おじゃましました。

 その中で、社内の媒体から紹介してもらったscopesさんという開発会社さんに会いに行ったらすごく興味を持っていただきまして。scopesさんのほうから、オルトプラスさんと2社のタッグでやりたいです、というお話をいただきました。

 そのあと、三社で作った企画書を原作チームの方々へプレゼンした感じです。

内山:スマートフォンゲームの立ち上げ時って、そうやって企画や運営の方法を決めていくんですねー。

丸尾:ケースバイケースですが、『ゆゆゆい』の時はこうでした。当時scopesさんは立ち上がったばかりの小さな会社さんで、新しいことが得意な方たちでしたが、アプリ開発のすべてをやるには規模が十分ではありませんでした。

 ゲーム運用のためには企画や開発だけでなく、インフラも必要ですよね。また、初期リリースのための膨大なコンテンツ準備に加え、絶えず新しいコンテンツを投入するための制作や更新にも労力がかかるので。

 一方オルトプラスさんは、運用経験が豊富で、当時も複数のゲームを運用されてまして、体制も十分でした。企画や開発を両社で協調して進めつつ、初期リリースのためのコンテンツ制作や、課金システム、サーバ等のインフラ周りであったり、そういった部分を担当していただきました。

内山:へー! なるほど!開発会社同士が1つの作品で連携していくことってあるんですね。

丸尾:ですです。その後紆余曲折あって、scopesさんのメンバーもオルトプラスさんに集結したのですが、現在までもオルトプラスさんを軸に複数の会社さんが運用に関わっています。

 ソーシャルゲームって、初期リリースのための企画開発だけでなくて運用に入ってからの仕事もめちゃくちゃ多いんですよね。どんなスケジュールカレンダーで、いつ、どんなものを投入していくのか、毎月運用していくにも、それに合わせたイラストやシナリオ等のリソースの準備が必要になります。

 新しい機能などの追加開発や、絶えず新しいユーザーさんを呼び込んでいくマーケティングの仕事など、いろんな仕事があります。

 運用が始まってからの仕事って、リリースするまでの仕事とはまた少し違うんですよね。

内山:確かに全然違いますね! ちょっとずれてるかもしれないけど、右脳と左脳みたいな……。

丸尾:私、ソーシャルゲームって、ごはん屋さんをやっている感じに結構近いんじゃないかな、って思ってるんです。

内山:ごはん屋さん!!

丸尾:どんなインテリアで、どんなご飯を出すお店を、どの場所に、どれくらいの大きさで出そう、って最初に考えてお店を作る人と、そこで実際に毎日料理を作ってお客様をもてなす人って、同一人物じゃない場合がありますよね。

 お店の設立や経営とは別に、お客様がいらっしゃる以上は営業しなきゃいけないし、仕入れも必要ですし。それぞれ適材適所のマンパワーが必要なんですよ、それに近い感覚があると思っています。

 で、お店の開店準備した人が実際のスタッフとして店頭に立ち続ける場合もありますよね。『ゆゆゆい』も同じで、少数ですが、企画当初のメンバーが今でも運用を担い続けています。

内山:おおお……なるほどわかりやすい! 丸尾さんはその中でどんなことをする人になったんですか?

丸尾:今は『勇者である』シリーズの原作サイドと『ゆゆゆい』との連携のハブ役みたいなものですね。我々が発信したものを原作チームの方々に細かく監修していただいて、それに関するコミュニケーションを取ったりしてます。あと電撃G'sマガジンもそうですが、社内の媒体との連携を取ったりもですね。

 立ち上げ時は、どんな会社に仕事を依頼するか、といった部分にも関わっています。さっきのごはん屋さんの話でたとえるなら、お店をはじめる時に「お野菜はフレッシュなのがいいから、ここから仕入れよう!」みたいなのを決めたのが私です!

内山:渡辺さんはいつから『ゆゆゆい』に関われたんでしたっけ?

渡辺:僕はさらに後からの途中合流でして、2019年の年明けくらいからですね。なのでリリースからは約1年半は経過しています。

丸尾:観音寺市のハイスタッフホールで開催したイベント“讃州中学文化祭in観音寺市2”があったころだっけ。

渡辺:そうですね、そのイベントを見させていただいたのが『ゆゆゆい』初のお仕事になりました。新たにチームに入るにあたって、その前後にアニメを観たりやイラストノベルを読んで勉強しました。

内山:お!どうでした?

渡辺:実は、担当になるまで『勇者である』シリーズの作品をまったく見たことがなかったんです。かわいい女の子たちが楽しく学園生活を送る、癒し系ほんわか作品だろうな~、ってなんとなく思ってたんですよね。なので、シリーズ作品を見ていくうちに「えっ、うっそ……」みたいな(笑)。

内山:TVアニメ1期の放送前から1期前半あたりの視聴者さんの空気感!

渡辺:TVアニメも全部見ましたし、イラストノベルも全部読みましたけど、その中でも特に『乃木若葉は勇者である』が衝撃的でしたね。

内山:乃木若葉以外、生き残れませんでしたもんね、初代勇者たちは。

丸尾:『鷲尾須美は勇者である』の銀ちゃんも壮絶な最期を遂げたし、実は過酷な物語……。

渡辺:TVアニメの方も第1期では“満開”の代償の“散華”でどんどん体機能が失われていくじゃないですか。見ていてその“リアルなエグさ”が精神にきました。もっと抽象的なエグさが来るのかと思っていたんですけど、物理的に失われていくというのがすごくきつかったです。

内山:ずっとシリーズに関わっている側からすると、その反応を2021年の今聞けるとはすごく新鮮でいいですね!(笑)

 シリーズ最新作として『結城友奈は勇者である 勇者史外典第三章 烏丸久美子は巫女でない』というイラストノベルを、作家の朱白あおいさんが電撃G’sマガジンで連載している最中なんですが、アニメ1期放送から7年も経った今だと、連載開始前からすでに読者さんに「不穏な気配を感じる」……って警戒されてましたから。

丸尾:確かに! そういう感想久々に聞いたなあ。そんな私も合流が第1期後だったので、第1期はリアルタイムで見られていないんですけど。女の子が友だちの顔を拳で殴ってる! というのにビックリした覚えがあります(笑)。

内山:1期のラストのほうの、東郷さんの頬を友奈が殴るところですね! あのシーンは心にぐっときましたよね。

丸尾:決してかわいい女の子の癒し系ほんわか作品ではなかった……! むしろ熱い友情の物語!

『ゆゆゆい』はなぜタワーディフェンスになったのか?

内山:さてちょっとここでお話を少し戻して『ゆゆゆい』立ち上げの話に戻るんですがscopesさん、オルトプラスさんをパートナーとして企画を再考することになったということですが、なぜ今のタワーディフェンス型のゲームを採用されたんですか?

丸尾:これは開発チームからの提案でした。まず、ゲームの企画を考えるうえで“キャラクターのかわいさを楽しめるようなもの”、かつ“シナリオもたくさん書けるもの”というのが大前提としてありました。

 そのうえで、ゲームとしての遊びの部分をどうするかを考えていったところで、神樹にバーテックスが到達してはいけない、という設定がゲームに合っていたので、敵から神樹を守るタワーディフェンスにしたんです。

内山:たしかに言われてみれば原作の戦いもまさにタワーディフェンスのようなものでしたね! 特に『鷲尾須美は勇者である』での戦いは大橋の上でしたし。

丸尾:さらに、キャラクターたちが戦っている様子を見守って愛でたい、というコンセプトもあったので、それに沿うよう、セミオートなどの機能を搭載するに至りました。

内山:なるほど!

丸尾:こうして開発チームと決めていった企画を、プロデューサー陣みなさんが集まられていた際にお持ちしまして、そこでOKの返事をいただけたんです。ちなみにボツになった社内で出した初期案は、カードバトルみたいなものでした。

『ゆゆゆい』スタート初期のシナリオとイラストは誰がつくってるのか?

内山:シリーズすべての企画原案を担当されているタカヒロさんが、『ゆゆゆい』の舞台設定やメインシナリオを書かれてますけど、これはその時にすぐ依頼されたんですか?

丸尾:いや、まずはその通った企画書をベースにいつくらいの配信を目指せるのか、どれくらいの量のシナリオを書くのか、といった部分を私達の中で少し固めてから、タカヒロさんにシナリオのご相談や、Studio五組さんにイラストのご相談にうかがいました。

内山:Studio五組さんもイラスト描かれてるんですよね。

丸尾:そうなんですよ! 特に初期リリース分は結構な数のイラストを描いていただきました。そもそもゲームを作りましょう、といった初期段階からStudio五組さんにご協力いただきまして。イラストだけでなく、シナリオの方も情熱を持って面倒を見ていただいたんです。

 こんなことってあまりないんですよ。「ゲームはゲームのスタッフさんたちで自由にどうぞ」と放任されることも多いので本当にその熱意がありがたかったですし、すごくうれしかったですね。

内山:このシリーズはほんとに関係各社の各担当みんなこの作品大好きですからね。愛にあふれてる……!

丸尾:シナリオはタカヒロさんやイラストノベルを執筆されている朱白あおいさんも参加してくださったうえで、残りのシナリオを書く方も、プロデューサー陣や原作のみなさんがご紹介してくださった方々ばかりなんです。

 コンシューマーゲーム『結城友奈は勇者である 樹海の記憶』の評判がよかったこともあって、そちらから参加されている方もいらっしゃいます。

内山:関係者とつながってる方々ばかりってのは、世界観の共有とかの面でも心強いですね!

丸尾:運営が進む中で何人かは入れ替わっていますけど、新しく入った方も朱白先生からのご紹介ですね。

『結城友奈は勇者である ちゅるっと!』の脚本を担当された、はるかさんとは?

内山:ショートアニメ『結城友奈は勇者である ちゅるっと!』のシリーズ構成・脚本をされているはるかさんという方は、『ゆゆゆい』でもシナリオを書かれてますよね。

丸尾:そうです。『ゆゆゆい』でもメインライターさんとして多くのシナリオを執筆してくださっています。『ちゅるっと!』は登場メンバーも多いし、放送が決まった時に、まず「脚本誰が書く……?」ってなったんですよ(笑)。

内山:メンバーも多いし、それぞれの原作の物語だけでも複雑かつ深いですしね。作品を知らない人が一朝一夕で0から把握するのは無理だ……!

丸尾:『ゆゆゆい』のシナリオ量って、うちのライトノベルで換算するといったい何十巻構成になるんだっていうくらいのものすごい分量に現時点でなってるんです。その世界を元にしたアニメを作る、といわれて私たちもちょっと読み返そうかなとか、逆に、なにも知らない人にこれ読んでおいて、とか軽々しくいえるレベルの量じゃないんですよね(笑)。

内山:たしかに!

丸尾:そこで、初期から書いてくださっていて、世界観をよく理解されていたはるかさんに脚本をお願いしました。

内山:はるかさんは元々アニメの経験もある方なんですか?

丸尾:そうですね、シリーズ構成の経験もあると聞いています。30人近くいる勇者や巫女たちの書き分けはもちろん、いつも読み応えのあるシナリオをあげてくださいます。原稿も美しいんですよ。

『ゆゆゆい』のイラストはどんな風に生み出されているのか?

内山:さっきStudio五組さんが初期のイラストを描かれている、といわれていましたけど、今メインでイラストを描かれているのはどなたですか?

丸尾:現状はグラフィックの専門会社であるカラフルさんと神羅エージェンシーさんがメインで描いてくださっています。各イラストの内容に関して決めているのはオルトプラスさんで、毎回イラストごとにきちんとした発注書を作られています。例えば、ウェディングのイラストなら、ドレスのデザインをこうしてくださいとか、フリルが何段あるのかまで細かく決められてますね。

内山:段数まで! すごいこだわりようですね。

丸尾:そのイラストに置く小物の形や色、背景とかもきちんと決められています。

渡辺:これが実際のpdfですね。発注書の時点ですごい細かいところまで指定されてます。

内山:これすごいですね……発注の段階でほぼきちんと描かれてて、本当に細かい部分まで指定が入っていて、とてもていねい!

丸尾:発注書を作るのにすごい工数が割かれてるんですよ。1日何枚も描けないだろうっていう……。ただ、ここできちんと指定せずに描く方にお任せしてしまうと、例えば、この2つのイラストの教室は同じ場所なのになぜ細部が違うの? といった問題が出てくる可能性もあるわけで、手は抜けないんですよね。

内山:なるほど。

丸尾:それに画面にどんな色合いのものを乗せて、どういう風に華やかにするのか、イラストを出す側の想いもありますから。こういったお話はオルトプラスさんのグラフィッカーさんたちに直接聞けると、産みの苦しみとか、おもしろいエピソードもいっぱいあると思います!

『ゆゆゆい』のPCブラウザ版立ち上げの思い出

内山:スマートフォンアプリから少し遅れてPCブラウザ版もリリースされましたけど、あれはどういう流れでリリースしたんですかね?

丸尾:簡単に言うと、いろんな人に、柔軟な環境で遊んでいただけるようにしたい、というコンセプトからですね。

内山:スマホまだ持ってない人とかもいますもんね。

丸尾:アプリはまず、アニメ第2期の放送時期までにリリースを間に合わせるように進めていって、なんとか『鷲尾須美の章』の先行劇場上映の期間内、2017年6月にスタートできたんですけど、そのあと、第2期が始まる頃にはPCブラウザ版があるといいよね、ということで約4カ月後の2017年10月に配信が始まったんですよ。今ももちろん稼働してます。

内山:ちなみに、プラットフォームがDMMさんに決まった理由は?

丸尾:PCブラウザ版をリリースするにあたって、いろいろなプラットフォームに声をかけた際に、「力を入れてプロモーションしますよ!」といってくださったのがDMMさんだったんですよ。

内山:リリース当時、私が担当してる漫画家さんが、PC版はスマホと違って、作画作業しながらプレイできるからありがたいっていってましたよ。

丸尾:おお! うれしいです!

→第2回へ続く

電撃G’sマガジン最新号(6月30日発売 2021年8月号)の結城友奈記事では、声優さんのコメントやインタビュー記事がいっぱい!

 『結城友奈は勇者である ちゅるっと!』の記事では、全12話放送終了を記念して、出演声優さんに、演じていて印象深かった話についてアンケートを実施。8月号と9月号の2回にわたってお届け!

 『結城友奈は勇者である 花結いのきらめき』の記事では、4周年を記念してディレクターの二ッ森氏に直撃インタビュー! 今後のアップデート予定についていろいろ聞きました!

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©2021 Project 2H
©2017 Project 2H ©KADOKAWA CORPORATION 2017  Developed by AltPlus Inc. / scopes Inc.

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結城友奈は勇者である 花結いのきらめき

  • メーカー: KADOKAWA/オルトプラス/scopes
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2017年6月8日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

結城友奈は勇者である 花結いのきらめき

  • メーカー: KADOKAWA/オルトプラス/scopes
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2017年6月8日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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