『FGO 冠位時間神殿ソロモン』と言えば魔神柱との戦い! 川澄綾子さんが思い出した“あの時の一体感”

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 7月30日より全国の劇場にて特別上映されるアニメ『Fate/Grand Order ‐終局特異点 冠位時間神殿ソロモン‐(以下、ソロモン)』。今回は、『Fate』シリーズではセイバー役ほかを、本作ではフォウ役を演じる川澄綾子さんにインタビューを実施しました。

 フォウとして藤丸とマシュの活躍を間近で見てきた川澄さんは、アニメ化された『ソロモン』を観てどのような感想を抱いたのでしょうか?

 また『Fate/Grand Order(以下、FGO)』のプレイヤーの1人でもある川澄さんならではのお話もお聞きできたので、ゲームをプレイしている方は共感できるポイントがあるはずです!

思い出は年末の魔神柱討伐

――『ソロモン』の収録を終えた感想はいかがですか?

川澄さん:『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-(以下、バビロニア)』の放送後に『ソロモン』のアニメ化が発表されましたが、そこから時間を掛けた分、本当に素晴らしい作品になったと思います。これで一段落……という感じもありますが、逆にここからまた始まるという気分でもありますね。

――初めてストーリーを読んだ当時の感想は覚えていますか?

川澄さん:ソロモン、そしてロマニのクライマックスの展開は素直に驚きました。あとは、フォウ君があのような形で物語の中心に関わってくるとは想像もしていませんでした。もちろん、ただのマスコットだとは思っていませんでしたが、その正体や関わり方などは、プレイしながら「そうだったの?」と本当に驚きました。

――アニメーションで『ソロモン』のストーリーを見ていかがでしたか?

川澄さん:自分がゲームをしていたときの内容と大きな部分は同じですが、ゲームをプレイしてる時には一つ一つ区切られる物語が、ひとつの映像作品として大きな流れの中で見られるというのは、やはり贅沢なことですし、感動も大きくなるなと思いました。

――『FGO』は怒涛の映像化ラッシュでしたが、第1部の節目である『ソロモン』の上映を迎えていかがでしょう?

川澄さん:『Fate』全体で見ると『FGO』の前には『Heaven's Feel』があったので、自分にとっては同じ『Fate』という一括りの一部である印象です。そう考えると『FGO』の第1部のアニメプロジェクトが節目を迎えたとはいえ、それ以前からずっと『Fate』シリーズのアニメ作品が続いていたので、ここ数年は私にとっても『Fate』に関わり続けた長い月日のうちの濃密な一部というように感じています。

――当時行われた魔神柱と戦うイベントの思い出はありますか?

川澄さん:イベントがリアルな時間軸とリンクしているのがとても印象的でした。みんなで2017年を迎えるために魔神柱と戦うという、1つのゲームを通して全てのユーザーと一体感を感じられたあの年末の盛り上がりは強く覚えています。

 私はちょうどその頃に『Fate/Grand Order -First Order-』の収録だったので、島﨑信長君や『FGO』のスタッフの方々と一緒で、本番が終わると「あっ、バルバトスが倒されている!」など、魔人柱の討伐状況の話をしていましたね。

――映像で描かれた魔神柱との戦いを見ていかがでしたか?

川澄さん:魔神柱72柱を相手にしているという感覚は、アニメーションで観て初めて実感できた様に思います。ゲームをプレイしているときは1柱ずつなのであまり意識していませんでしたが、それが立体的な空間で蔓延っている禍々しい描写は、アニメーションならではの見せ方だと思います。

 その巨大な敵に、英霊とはいえあくまで人の姿をした小さな存在に見えるサーヴァントが立ち向かっていく演出は映像化したからこそ見られる感動で、しかも、それが映画館の大きなスクリーンと立体的な音響で見られることは、とても贅沢なことだと思いました。

――音楽や効果音、演出が相まって、この上ないクライマックス感がありました。

川澄さん:ゲームの曲のアレンジ版や『色彩』のアレンジ版があり、まさにクライマックスに相応しい盛り上がりを、絵と音楽、効果音と役者陣のお芝居で感じました。全ての要素が集まって、ひとつの物語を作り上げているという感覚は、なかなかゲームでは味わえないものだったので、アニメーションの力を感じられた部分です。

――ゲームではアクションシーン=バトルですが、そこがアニメーションになるのはすごいことだと思います。

川澄さん:『ソロモン』に至るまでに、さまざまな特異点で旅をしてきたことが改めて感じられるシーンでした。藤丸がもうダメか……と思ったところでサーヴァントたちが駆けつけるところは、自分がゲームをしていたときよりも「みんなが助けに来てくれた!」という気持ちが強くなりました。

 サーヴァントがたくさん出てくるシーンもとても豪華で素敵なのですが、『ソロモン』は初めて藤丸という人間が立ち向かう話なのだなと、アニメを見て改めて思いました。今まではサーヴァントたちが前面に立っての戦いでしたが、ここは藤丸が自分の力で世界のために戦うわけですから。ゲームをプレイしていたマスターのみなさんは、あのシーンを観たらきっと嬉しい気持ちになると思います。

――川澄さんが思う本作の見どころのシーンをお聞かせください。

川澄さん:マシュが力を出し切った後に、藤丸が初めて1人で敵に立ち向かうシーンです。普段は、マシュの武器が盾ということもあって、後ろのマスターを守って……という描写が多い中で、マシュの後ろではなく、生身で正面から絶対に敵わない相手に立ち向かっていく展開の熱さですよね。しかも、魔術や英霊を操るわけでもないですから。自分の想いの強さだけで倒すべき敵に向かっていく。本当に良いシーンでした。

 あとは、藤丸が最後にゲーティアに立ち向かうシーンの詠唱がとても熱く格好いいシーンになっています。私は覚えていなかったのですが、それがカルデア詠唱だ、ということを信長君が教えてくれました。そのシーンを演じられてとても嬉しい、と言っていたのが印象に残っています。信長君の魂を込めた詠唱を是非注目して頂きたいです。

フォウを演じてきた上でのエピソード

――初めてフォウ君を演じたときのエピソードなどあればお聞かせください。

川澄さん:初めて演じたのは“特異点F”のドラマCDを収録したときでした。私はセイバーオルタとフォウくんを演じました。ゲームをプレイしていたのでフォウ君の存在は知っていたのですが、まさか自分が演じることになるとは……という感想でした。

 さらに、そんなフォウ君がここまで重要なキャラクターになるとはその時に思いもしませんでした。当時「『Fate』初のマスコットキャラクターだ!」なんて反応も頂いたのが印象に残っています。

――『バビロニア』の放送時には、ついにマーリンとフォウ君の絡みが見られて多くのファンが喜んでいましたね。

川澄さん:そうですね。ひと言しゃべるだけで、あそこまでみなさんが盛り上がるとは思いもしませんでした! マーリンとの掛け合いの「マーリンシスベシフォーウ!」は、本当に驚くくらいファンのみなさんが期待しているシーンということで、私も実際にアニメでどうなるのか気になるところでした。演技としては、獣語と日本語の中間のような声にできたらいいなと思っていたのですが、本当に可愛らしいシーンにしていただけて、とても嬉しく思います。

――声優としてフォウ君のような言葉をしゃべらないキャラクターを演じられた感想はいかがでしたか?

川澄さん:マスコット的なキャラクターを演じた経験は過去にもありましたが、「フォウ」しか言わないという制約がある中で、どうお芝居をするのかは悩んだところです。アニメーションになって、フォウくんの動きが実在の動物の様に描かれる描写が多かったので、ポップなキャラクターというよりも、リアルな小動物らしいお芝居を意識しました。

――クライマックスのシーンでは、フォウ君がこれまでとは少し違う存在になるわけですが、本作でその演じ分けは意識されましたか?

川澄さん:フォウ君の知的な存在が抜けた後と、それまでとの違いは意識しました。ただ、その後のシーンがそこまで多くはないので、わずかなシーンでその違いがみなさんに伝われば嬉しいのですが……。

――ゲームの『ソロモン』ではフォウ君がマシュと言葉を交わすシーンが印象的でした。

川澄さん:実は、2周年のときの“Fate/Grand Order Fes”では、奈須きのこさんにもディレクションいただいた上で、会場限定で『ソロモン』のラストシーンを朗読しています。なので、正確には『ソロモン』でのフォウ君を演じるのはこれが初めてというわけではないのですよね。

――それは知りませんでした……。

川澄さん:会場にいらっしゃった方以外は、本当に知らないことですから。当時も「なんて贅沢な企画なんだ……!」と思いました。企画した理由を伺ったところ、記録には残らないけども、記憶に残るようなイベントをしたいとのことでした。『FGO』では特異点を修復したらその存在は消えてしまい記録に残りませんが、藤丸たちの記憶には残っている。それを来場者の方に体験してもらえるような企画として、朗読劇が行われたということでした。

――藤丸とマシュを演じた島﨑信長さん、高橋李依さんのお芝居をご覧になっていかがでしたか?

川澄さん: 2人ともとても熱を込めて演技しているのを感じました。『Fate/Grand Order -神聖円卓領域キャメロット-』そして『Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-』も収録した上で、2人がこうして『ソロモン』を迎えられたというのも大きいことなのかもしれません。

――川澄さんも『Fate/stay night』でセイバーを演じている身として、何か感じるものはありましたか?

川澄さん:同じ『Fate 』シリーズに、新たに仲間になった2人をずっと応援してきました。『Fate』シリーズがここまで長く続き、応援して下さるファンの方の数も年々多くなっていく中で、『FGO』という新たなコンテンツのマスターとメインヒロインを演じるということは、2人にとって大変な道のりであったのではないかと思います。その中で、今回フォウくん役としてずっと2人を傍で見られたのは、私にとって新たな視点で『Fate 』シリーズに関われる貴重な体験でした。

 信長くんは『Fate』シリーズの大ファンなので、セリフひとつひとつにとても多くの想いを乗せていることが伝わってきましたし、高橋李依ちゃんも迷いながら旅をしてきたマシュが1つの答えを出すその強さを、力いっぱい演じていました。実際に本編をご覧いただければ、その熱を感じていただけるのではないかなと思います。

――収録を終えて、お2人とお話はされましたか?

川澄さん:私は2人と一緒の収録だったので、終えた後には「終章終わったね」という話はしましたが、寂しいなどしんみりした会話はありませんでした。『FGO』はまだこれからも続いていきますし、一つの通過点という感じでそれぞれ先を見ているという感じがしました。

――完成した本編を観てご自身のお芝居を振り返りなどはされましたか?

川澄さん:自分のフォウ君のお芝居に関しては実はあまりなくて、それは今までの『Fate』シリーズと明確に違う点でした。フォウくんはあくまで藤丸とマシュに寄り添い、その行動を見つめている存在なので。『FGO』のアニメでは他の方のお芝居や物語そのものを見ている、という感じでした。それが『Fate/stay night 』に関わっている時との大きな違いですね。

川澄さんが選ぶ、アニメで見たいストーリーは?

――現在『FGO』に実装されている章で、個人的に映像化したらおもしろそうと思うストーリーを挙げるならばどこでしょうか?

川澄さん:まさに追加されたばかりの第2部の6章“妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ”です。もちろん、すべての章を映像化してもらいたい気持ちですが、中でも第2部6章は世界が今までと違う印象があります。妖精の国という舞台や、新しい街に行く度に新たな物語がスタートする。その展開や未知なものとの出会いが今までの旅にはないワクワク感を与えてくれます。それぞれの種族や、文化や産業の違いなどアニメーションになったらとても見応えのあるものになるのではないかと思います。

――川澄さんの最近の『FGO』のプレイ状況についてお聞きしたいです。

川澄さん:今は、第2部6章の後編を少しずつ進めているところです。一つ一つのバトルに、おそらく人の倍以上時間がかかってしまうので、本当にマイペースで、といった感じです。今はアルトリア・キャスターとマーリンを頼りに、ひたすらお花を咲かせながらのんびり楽しんでいます。ガチャについては、自分のキャラクターや円卓の騎士たちは比較的すぐに仲間になってくれますが、それでもなかなか難しいこともありますね(笑)。

――本当に欲しいサーヴァントはしっかり手に入れている……という感じなんですね。

川澄さん:そうですね。なので、私のサーヴァントは結構偏りがありますね。これは本当にご縁なので、いつか仲間になってくれる日を待ちたいと思います。今現在は、パーシヴァルさんをお待ちしているところです。

――本編を観れば、第1部をプレイしていた当時を思い出して、そのときに使っていたサーヴァントを懐かしむ人も居そうですね。

川澄さん:改めて『ソロモン』を見ても、6周年を迎えたこともあり、第1部と第2部が実装されてからの時間の流れを感じますよね。どのサーヴァントもどこでどんな活躍をしたのか覚えていますが、その姿を改めて見るたびに「長く作品が続いているんだな」と実感します。ひとつのソーシャルゲームの歴史としては、やはり6年という月日は長いですね。

――最後にファンのみなさんへのメッセージをお願いします。

川澄さん:『FGO』のゲームをプレイされている方は、今までの全ての特異点を思い出し、一緒に旅をしたサーヴァントをより頼もしく、より好きになるような、そんな作品になっていると思います。長い旅を続け、自分たちの手で未来を取り戻したあの感動を、あの一体感を、この作品でもう一度体験できる。『FGO』をプレイする全てのマスターに、そんな感覚を映画館で味わって頂けたら嬉しいです。

 特異点を修復してしまえば、その事実と記録はなくなってしまう。でも、その記憶は残っていて、例え終わってしまったとしても、すべての出会いと別れには意味がある。愛があり、生きたいと思う心が人を前に進めるという、そんな感動を私は受け取ることができました。第1部の締めくくりに相応しい作品になっているので、ぜひご覧いただければと思います。

あらすじ

 七つの特異点での戦いを遂行し、ついに聖杯探索(グランドオーダー)の最終地点――終局特異点、冠位時間神殿ソロモンへと到達した人理継続保障機関・カルデア。

 全ての元凶である魔術王ソロモンを倒し、未来を取り戻す。そのときを間近に控えた一行は、それぞれの時間を過ごしていた。

 ロマニ・アーキマンは自分がこれから行うであろう選択に、マシュは限りのある命に、思いを馳せる。そして最後の作戦を控えた藤丸は、新たな礼装に身を包もうとしていた。

 これまでに得た多くの出会い、そして多くの未来を賭け、藤丸とマシュはついに最後の作戦へと赴く……。

STAFF

原作:奈須きのこ/TYPE-MOON
リードキャラクターデザイナー:武内崇
監督:赤井俊文
脚本原作:奈須きのこ
キャラクターデザイン:高瀬智章
サブキャラクターデザイン:岩崎将大・滝山真哲・川上大志
総作画監督:浜友里恵
クリーチャーデザイン:浅賀和行
プロップデザイン:道下康太・竹内志保
コンセプトアート:幸田和磨
テクニカルディレクター:宮原洋平
美術監督:薄井久代・平柳悟・臼井みなみ・合六弘(マカリア)
美術設定:塩澤良憲・竹内志保
色彩設計:中島和子
撮影監督:松井信哉・佐久間悠也
3DCG:株式会社白組
3Dディレクター:吉田裕行
編集:三嶋章紀
音楽:芳賀敬太・川﨑龍
音響監督:岩浪美和
制作:CloverWorks
配給:アニプレックス

CAST

藤丸立香:島﨑信長
マシュ・キリエライト:高橋李依
フォウ:川澄綾子
ロマニ・アーキマン:鈴村健一
レオナルド・ダ・ヴィンチ:坂本真綾
ソロモン:杉田智和

©TYPE-MOON / FGO7 ANIME PROJECT

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Fate/Grand Order(フェイト/グランドオーダー)

  • メーカー: TYPE-MOON
  • 対応端末: iOS
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2015年8月12日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

Fate/Grand Order(フェイト/グランドオーダー)

  • メーカー: TYPE-MOON
  • 対応端末: Android
  • ジャンル: RPG
  • 配信日: 2015年7月30日
  • 価格: 基本無料/アイテム課金

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