絶句。炎上やいじめまで描く問題作『アイドルマネージャー』を遊んでみた…【電撃インディー#50】

カワチ
公開日時

 電撃オンラインが注目するインディーゲームを紹介する電撃インディー。今回はPLAYISMが発売、Glitch Pitchが開発する育成シミュレーション『Idol Manager(アイドルマネージャー)』のレビューをお届けします。本作は“現在”成人指定のタイトルとなっており、大人向けの表現があるのでご留意ください。

 なお、電撃オンラインは、尖っていてオリジナリティがあったり、作り手が作りたいゲームを形にしていたりと、インディースピリットを感じるゲームをインディーゲームと呼び、愛を持ってプッシュしていきます!

アイドル業界を生き残るには? 内側から描かれるストーリーが刺激的

 『アイドルマネージャー』はロシアのインディーゲームデベロッパーGlitch Pitchが開発したアイドル育成・事務所経営シミュレーションゲーム。

 自分はゲームライターをしており、よく「好きなことを仕事をしてうらやましい」とか「ゲームをしてお金をもらえるんだ」みたいなことを言われますが、そのたびに「間違ってはいないんだけど、そんなに単純なことでもないよ」とか「実際はゲームをしていない打ち合わせの時間とかも長いよ」と説明したりしています。

 『アイドルマネージャー』をプレイしていると、そんな自分のことを思い出します。中にいると当然だと思っていることも、外にいるとぜんぜん知らなかったりするんですよね。

 わざと中のドロドロした部分を見せないのがプロなのだとは思いますが、見られないなら見られないでどうなっているのか気になっちゃうのが人の性。

 自分たちはアイドルの普段キラキラした部分を見せてもらっていて、明日への活力をもらっているわけですが、その裏では彼女たちを支える事務所が存在しており、どのようにして埋もれないようにアイドルを売り出すのか、そして人件費や家賃の支払いをどのようにまかなっていくのか、日々、頭を悩ませているのだと思います。

 本作『アイドルマネージャー』のおもしろいところは、そんなアイドルプロダクションの経営を題材にしているところ。SNSの炎上やグループ内のいじめなど、決してキラキラしている部分だけではない、人間臭い愛憎劇も盛り込まれています。

 アイドル好きは目を背けてしまうような部分もありますが、だからこそ覗いてみたくなる劇薬のような刺激があります。

丁寧なチュートリアルがうれしい

 ストーリーはコンビニ店員だった主人公が若くしてマネージャーになった手腕を買われて不ニ本という人物からアイドル事業を任されるところからはじまります。

  • ▲プレイヤーの分身であるプロデューサーの見た目と氏名、アイドルグループのグループ名を決めましょう。

 不二本は、なかなかの曲者で、主人公に正しい価値観を伝えつつも、「こういう方法もある」と借金など正攻法じゃない方法を教えてきます……。

 その後はメインのゲームプレイになりますが、丁寧なチュートリアルがあるのでしばらくはその通りに進めていけばOK。

 プロデューサー用の部屋を作ったら、所属アイドルを集めるオーディションへ。レアなアイドルはステータスが高いなど、ソーシャルゲームのガチャのようなおもしろさがあります。

 オーディションは地区とブロックと全国という3つの規模から選ぶことができ、規模が大きいほど費用がかさむものの、レアアイドルが登場しやすいという仕組みになっています。



  • ▲アイドルは基本パラメーターのほかにそれぞれ特殊なスキルを持っています。中にはデメリットのあるスキルも。

 アイドルを雇用すると、収入が得られる“公演”、ファンを増やせる“宣伝”、消費したスタミナを回復できる“スパ”が選択可能になります。

 また、アイドルと個別に会って目標や悩みを聞くこともできます。会話をすることでプロデューサーとアイドルの“友好度”や“恋愛度”が上がっていき……?

 その後は事務所とレコーディングスタジオ、ダンスルームを作り、マネージャーと作曲家、ダンスの先生を雇用します。スタッフにもランクがあり、有能であるほど高給です。ここはしっかりしたマネジメントが重要。

 アイドルがケガをしたりメンタルが不調のときは医者がいれば早く治せますし、お金はすぐに足りなくなります。身の丈にあった地道な活動で少しずつファンを増やしましょう。

 ちなみに自分ははじめてのCDがうれしくて1000枚作りましたが、80枚ぐらいしか売れずに危うく事務所が傾きかけました……。

アイドルの運営方針が売れるカギになる!?

 本作ではアイドルの運営方針を決めることも可能。グループの方向性をキュートやスマート、ブランディングを正統派か個性派かバランス派かと選べるほか、SNSをどこまで使わせるのか、彼女たちの発信にどこまで携わるのかを決めることもできます。

 あまりルール無く自由にすると炎上が起きてしまうこともありますが、その個性や距離の近さが武器になって固定ファンにもつながるので難しいところ。

 自分は恋愛アリのSNSアリのなんでもありのアイドルで、炎上が起きたときも煽るような対応をしていたら大惨事になりました(笑)。運営方針は途中で変更できるので「こりゃ、ダメだ……」と思ったら変えてみるのも手ですね。

 恋愛のスキャンダルやメンバー同士のいじめ、ケガやメンタルの不調など次々に問題は発生。会社の資金はどんどん減っていきます。そんななか、巨額の契約金と引き換えにアイドルをデビューさせてほしいといった倫理観の試されるような誘惑が次々にやってきます。

 これが普通のゲームやアニメだったら、そんな誘いを断って正攻法で夢に向かって進んでいくところですが、『アイドルマネージャー』であれば、甘い誘いを受け入れることができちゃうところがおもしろいところ。

 さて、あなたはどうしようもない状況で理想と現実に挟まれたとき、どうしますか……?


カワチ:RPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。



※PLAYISM のロゴおよびシンボルマークは、Active Gaming Media Inc..の商標登録です。
© 2020-2021 Glitch Pitch. Licensed to and published by Active Gaming Media Inc.
© 2021 Active Gaming Media Inc.

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら