2011年4月12日(火)
コーエーテクモゲームスから3月10日に発売されたPS3用ACT『真・三國無双6』。本作を手がけた鈴木亮浩プロデューサーにインタビューを行った。
『真・三國無双6』は、“一騎当千”をシリーズコンセプトに掲げた人気タクティカルアクションゲームの最新作。シリーズ10周年記念作品となる今作は、“シネマティック一騎当千”をコンセプトに掲げて、イベントシーンとゲームプレイがシームレスになっているのが特徴だ。これまでの魏・呉・蜀に加えて、新勢力の晋も登場し、プレイアブルキャラクターはシリーズ最多の60人以上となる。
インタビュー中では鈴木プロデューサーに、開発に至った経緯やキャラクターの設定、さらにコラボレーションの秘話などについてお聞きしている。その内容を2日連続で掲載するので、明日の記事とあわせてご覧いただきたい。
――まずは、鈴木プロデューサーがこれまでかかわってきたタイトルについて教えてください。
私はオメガフォースの立ち上げ時からのメンバーになります。最初はPSのFTG『三國無双』から始まり、いくつかのタイトルを開発した後、PS2の『真・三國無双』シリーズで3作ディレクターを担当しました。『真・三國無双3 Empires』からはプロデューサーをやっています。その後は、『ブレイドストーム 百年戦争』や『トリニティ ジルオール ゼロ』を手掛けてきました。
――ディレクターからプロデューサーになり、仕事の内容が変わったと思うのですがいかがでしたか?
確かに、ディレクターとプロデューサーでは、まったく仕事の内容が異なります。ゲーム全体を見ることもそうですが、プロモーションも見ることになりますから、制作する側からプロデュースする側に変わったという感じです。
――『真・三國無双6』は、いつごろから開発がスタートしたのでしょう?
前作『真・三國無双5』の開発が終わって少ししてからです。『真・三國無双』シリーズ10周年記念作品として作ろうと、プロジェクトが動き始めました。
――『真・三國無双5』はPS3/Xbox 360、その後PCやPSPで発売されていますが、今回PS3のみにした理由を教えてもらえますか?
うちのチームがPS3の開発が得意だからです。海外ではXbox 360版も出しているのですが、少し苦労しています。長年のノウハウ蓄積があるのはやはりPSハードだったので、国内ではPS3のみにしています。
――制作するにあたって掲げたテーマを教えていただけますか?
“シネマティック一騎当千”をテーマにしています。これまでにナンバリングタイトルを5本やってきたんですが、今までにないドラマティックな表現をして、皆さんにより三国志の世界を楽しんでもらおうということを念頭に作りました。
――三国志の世界をより知ってもらうために、勢力として“晋”を登場させたのでしょうか?
三国志である以上、魏・呉・蜀という三国は外せないんですが、シネマティック一騎当千というドラマティックな要素を打ち出したので、新鮮な気持ちでプレイしてほしかった。どうしたらそれを感じてもらえるのかを考えて、大きな変更点として新しい勢力を入れることを決めました。
――軍勢ごとに物語が描かれるのは、『真・三國無双3』以来ですが、このタイプにしたのはなぜでしょう?
『真・三國無双4』と『真・三國無双5』は、『真・三國無双3』と同じ描き方をしないために、キャラごとの無双モードにしました。しかし、そうするとステージ数を揃える必要があります。武将ごとに伝聞の数も違うので、揃えるために、こちらで創造したストーリーを多く入れるキャラもいる。その流れを何回も提供するよりは、三国志本来の魅力を丁寧に語っていこうと思ったのが経緯です。
――戦闘準備画面がないのは驚きました。最初からこの仕様にしようと考えていたのでしょうか?
最初にさまざまなことをシームレスで行うと決めた時に、「シームレスなので、ブリーフィング画面は作らない!」とプロジェクトチームに伝え、そういう設計で作ってもらいました。駐屯地で始まるようにしたのは、流れが途切れないようにするためと、メニューを強制的に出さないようにするためです。
――個人的に気になったのですが、クロニクルモードを含めて、ダジャレをいう兵が必ずいたように思えるのですが、あれはなぜですか?
いますよね(笑)。今回は、マイナーな武将も多く登場しているのですが、それらの武将について会話の中で説明していることがあります。ところが、人物の事柄ばかりだと堅苦しくなってしまうので、箸休め的なイメージでダジャレを入れています。開発者の中にダジャレが好きなスタッフがいて、ゲーム中に入れることで場をなごませようとしたのがきっかけです。
――武将のバックボーンについては、兵士から会話中にかなり教えてもらった印象を受けました。
会話の中では、後々の伏線も入っています。物語が厚みを増していく様子を、会話を重ねていくことでも感じられるようになっているかと。
――システムについてですが、前作の連舞システムから、以前のチャージ攻撃を採用した理由を教えてもらえますか?
『真・三國無双4』から『真・三國無双5』になった時は、アクションのシステムを変えようとして、連舞システムを作りました。今回も、新たなシステムを作ろうというところからスタートしました。トライアンドエラーを行い、チャージ攻撃とも連舞システムとも違うシステムを作ったのですが、操作感がよくなかったのでボツにしたんです。作り直しを行う中で、結果的にチャージ攻撃に近いシステムになりました。
――武器を2種類装備でき、自由に変えられるようにする。これまでとは大きく仕様が変わることに抵抗はありませんでしたか?
プロジェクトの最初から大きく変えていこうと思っていたので、抵抗はなかったですね。実際にどう変えていくのかで苦労はありましたが……先ほどのボツ案を含め、開発序盤は社内でもかなりきつい意見が出ました。
――なるほど。遊んでいて全体的にテンポ感が増したように感じたのですが、作っていく中で意識したところを教えてください。
先ほどからの話にも出てきていますが、さまざまな部分でシームレスにすることはこだわったので、なるべく流れを途切れさせないように意識しています。結果としてテンポ感はかなり増していますね。
――大型兵器を操作できるというギミックがありますけれども、どういう経緯で採用したのでしょう?
海外ではゲームを評価する上で、「アクションが単純」というワードが多用されます。これはアクション自体が単純ということではなく、ゲームとして同じことを繰り返しているだけということを指すのです。本作は海外向けに作ったわけではないのですが、『無双』シリーズもそういう指摘を受けていたので、ゲームの中に違う遊びを入れようと考え入れました。どうせならたくさん入れようということで、投石器があったり、虎戦車に乗れたり、たくさんの種類を用意しています。
――投石器でもバリエーションがありましたね。
これまでも兵器は何種類も出てきていたんです。開発当初は「同じデザインでいいのでは?」という意見もあったのですが、同じではつまらないのでデザインから変えました。ギミック風なデザインにしたので、意外と手間をかけています。
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