2011年12月14日(水)
いよいよ発売される『ファイナルファンタジーXIII-2』。またゲーム本編に先駆け、本日12月14日に発売される豪華4枚組の『ファイナルファンタジー(以下FF) XIII-2 オリジナル・サウンドトラック』もファンには見逃せないアイテムだろう。
本作では物語を盛り上げるサウンドに、3人のコンポーザーが参加。前作『FFXIII』から引き続き担当する浜渦正志氏。『FFXI』で今もなお楽曲を担当する水田直志氏。前作にも参加し、個性的なサウンドが光る鈴木光人氏。
多彩な才能を持つ3人のコンポーザーが、それぞれの個性をぶつけ合い誕生した『FFXIII-2』のサウンドとは、どのようなものになったのだろうか? 制作秘話のほか、3人が本作にかける想い、そしてサントラ購入者は必聴の3人がチョイスしたオススメ楽曲など、注目のロングインタビューから、『FFXIII-2』の楽曲の魅力をひも解く!
■『女神の騎士』では希望を持てるようなメロディやコード進行を意識しました(浜渦)
▲浜渦正志氏。代表作は『FFX』『FFXIII』など。 |
――3人で1つのタイトルを作られることはなかなかないかと思いますが、最初にお話があったのはいつごろですか?
浜渦正志氏(以下、敬称略):最初に話を聞いたのは2010年の9月か10月くらいです。年明けくらいから動き出すということで、1月のカンファレンス用のものだけを12月に書いたのがスタートでした。でもそこから間を置いてE3の曲を作って、また間を置いて作ってという進み具合で。実際には3~4カ月くらいの作業でしたね。
――前作に比べて短い期間の制作なのですね。
浜渦:自分が担当する曲数も前作と比べて3分の1とか4分の1ぐらいですから、期間自体はあまり変わらないですね。
――水田さんもお話があったのは同じくらい時期ですか?
水田直志氏(以下、敬称略):2010年の11月ごろと記憶していますけど、年明けに機材が来てセットアップしていたので、実際作り始めたのは2月くらいだったかと思います。自分はこの規模の大作なら、もう少しじっくり作るのかとイメージしていたんですけど、曲のアップは9月くらいだったので実質半年ちょっとと意外と早かったですね。
鈴木光人氏(以下、敬称略):自分もプロジェクトに入ったのは水田とほぼ同じ時期で、ちょうど1年前。入るときにきっかけになった曲があったんですが、それを出したまま3月くらいまではしばらく何もなかったですね。ちょうど兼任のタイトルがあって、こちらに集中できないというのもあったんですけど。だから『FFXIII-2』の作業を始めたのは、2011年の5月くらいからです。
――コンポーザーが3人ということで、最初に思ったことなどはありましたか?
浜渦:以前『FFX』で3人でやっていたときのような感じかなと。当時は植松さんがメインで、残りを2人で自由に割り振っていたんですけど、今回自分の担当はムービーシーン中心でオーケストラ曲だったので、「息抜きに違うタイプの曲を」というわけにいかず、これは大変だろうなと思いましたね。実際、オーケストラものの作業は約2カ月くらいで、ちょっと辛かったです……。
水田:結果的には3人がコラボしたというより、自分の得意分野を持ち寄ったという感じですね。当初は一緒にやるようなことを想像したんですが、浜渦さんならオーケストラ、鈴木ならエレクトロニックなテクノ寄りの曲、という柱を立てて各々取り組んだという感覚でした。最終的にはバラエティに富んだおもしろいものになりましたが、3人での共同楽曲というのもちょっとやってみたかったですね。
鈴木:誰がどういうものが得意かは大体わかりますので、方向性がかぶることはいっさいないなとは思いました。浜渦さんは前作の流れのあるところをかなり担当されてるので、そこが重いシーンになったんでしょうね。逆にそのほかの新しい部分を水田と僕が担当した感じで、メリハリがついてバランスはよかったのではないでしょうか。
――曲の担当は3人個別に「この曲をお願いします」と割り振られたのでしょうか?
浜渦:ディレクターの鳥山さんから「浜渦さんはココ」って、曲のリストをいただきました。
鈴木:僕と水田に関しては、けっこうザックリとしてたんですよ。
水田:そうですね。リストにだいたいどんな感じという説明が書いてあって、「これは前作の流れをくんでいるし、オーケストラが合いそうだから浜渦さんに」というのをチェックして、それ以外を2人で相談して決めたという感じです。
――鳥山さんから「こうしてほしい」という具体的な要望はありましたか?
浜渦:前回もそうでしたが、また新しい雰囲気を出したいと言っていましたね。あと震災の直後だったこともあり、元気づけるようなメッセージを入れてほしいという要望もありました。それで作ったE3のPV用の『女神の騎士』というバトル曲は、希望を持てるようなメロディやコード進行を意識して作っています。あとは細かい指示もなく、前回の流れでやりましたね。
水田:浜渦さんもおっしゃったとおり、とにかく耳に新しい斬新な、今までのイメージと全然違う曲にしたいと当初から言われていて、そういう部分の担当になったのが自分と鈴木だと思うんです。曲自体のチェックももちろんありましたが、コンテンポラリーなものに聴こえるかどうかとか、“普通に考えたらこうなる”というものとは違うものになっているかということを求められていた気がしていました。
鈴木:自分はわりとシンプルで、「ユーザーさんを引き離すぐらいの気持ちでいいですよ」というキーワードと、「尖ったものでよろしく」ってそれだけだったんですよ。よくユーザーさんから「曲がとがってる」と感想をいただきますが、自分で尖ったものを作ってる自覚がないから、いろいろ試行錯誤してました。だから制約があってないような感じで、ある意味自由ではありました。
→『チョコボの不思議なダンジョン』の1曲が入っている!?(2ページ目へ)
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