2012年5月10日(木)
――次はちょっとギャグみたいな質問ですが、正田さんが聖遺物を持っているとしたら、どのような能力になるでしょう?
(笑)。聖遺物を持ってどうのこうのというのは、メルクリウスが考えた神様になるための補助輪機構なので、ガチで神格のやつらにはいらないんですよ。だから、たぶん僕はいらないです(笑)。
――すでに座だと。
自分の脳みそだけで届きます。一応、メルクリウスを作り出した人間ですからね。
――なるほど(笑)。ここからは『Dies irae』と関係ないのですが、正田さんがシナリオライターとなったきっかけ、経緯などについて教えていただけますでしょうか?
元々学校を卒業した後に、田舎で仕事をしていました。でも、将来的につまらないと感じていて。「将来、俺は何になるんだ?」って、自分のやりたいことはなんなのかと悩む時期ってあるじゃないですか? それを考えて、やりたかったのがゲーム作りだったんです。
それで上京して、ゲームの専門学校に入りました。最初は、絵も描けないし何もできない状況だったので、企画コースに入ったんです。専門学校では課題で企画書を作るのですが、同級生はシステマチックなものをたくさん考えていました。でも自分が作る企画書はシナリオありきなんですよ。
自分が考えたのは、RPGで、これはどういう話で、こうなってこうなります……みたいな企画書ばかり出していたら、講師に「君はシナリオを書きたいんでしょ?」と言われて、そうかもしれないと。
――上京する前は普通に働いていたんですよね? 子どものころ、小説を書いたりはしていなかったんですか?
なんにもしていないですね。ただ物語は好きだったので、本は読んでいたほうですね。シナリオを書き始めたのは、講師の人に言われてからです。それから「じゃあどうしようか」と考えました。
――初めて執筆された作品はどのような内容だったのでしょうか?
世界でその話を読んだ人間は、5人いるかいないかですよ(笑)。不良ものと伝奇ものが一体化したような作品でした。実は、その時の主人公が遊佐司狼なんです。
▲『Dies irae』の遊佐司狼 |
――名前も同じなんですか?
名前もそのままでした。舞台は渋谷で、主人公は雑誌のファッションモデル兼、不良集団のリーダーで、トラブルシューティングのようなことをやっていたんですが、オカルトチックな話も出てきて……という物語です。最初の作品なので、オリジナリティも何もなくて、結局『魔界都市<新宿>』の不良版がやりたかっただけだったんだと思います。
――その作品から『PARADISE LOST』や『Dies irae』の原型となった要素はありますか?
ケンカの煽り方や売り方、チンピラの描き方ですかね(笑)。
――その主人公の司狼から、ジューダスになって、そして『Dies irae』の司狼になったのでしょうか?
そうですね。最初からずっと司狼を書いていますね。
――では、今後も司狼が登場するのでしょうか?
どうでしょう? それはわからないですね。
――ゲーム制作を志して上京されたというお話でしたが、当時影響を受けたゲームはありますか?
親が厳しくて、ゲームを買ってもらえなかったんです。高校に入ってバイトをして、初めて自分のお金で買ったのが格闘ゲームでした。その後、友だちから借りた『MOTHER2 ~ギーグの逆襲~』で初めてRPGをプレイして、「すげー!」と。まだ覚えていますね。『MOTHER2』と、もう1つ『ロマンシング サガ』にはものすごく影響を受けています。
物語的な意味での影響だと、『疾風伝説 特攻の拓』や『カメレオン』、『湘南純愛組』、『ろくでなしBLUES』、『クローズ』などのヤンキーマンガですね。たぶん、今、アラサーの人間が中高生の時に一番流行ったのがヤンキーマンガだと思うので、それらの影響を受けましたね。
――だから、初めて書かれた作品が不良もの+伝奇ものだったんですね。ちなみに、最近プレイしてハマったゲームはありますか?
実は、最近はほとんどやってないんです。やり始めるとすべてを放り出してしまうので、積むなんてことはありえないんですよ。買ったらやる。やったら、“今日は一時間だけ”なんてできません。2~3日の休みをもらって一気にやりたいので、会社の人たちからすれば「あいつにゲームをわたしたらダメだ」みたいな状況になりますよね。
ただ、一番最近にやったのは『ニーア レプリカント』だったりします。これは同業者たちが、ネットで大絶賛していたからやったんですが。
――いかがでした?
実にえげつないですね~(笑)。話は変わりますけど、『ニーア レプリカント』の影響で『神咒神威神楽』を作っています。敵が何を言っているのかわからないけど、翻訳すると実は……というのは影響を受けた部分です。
――話は変わりますが、アイデアを出したり集中力を高めたりするためにやっていることはありますか?
最近はジョギングですね。寝転がって考える時もありますけど、その時ってものすごく不毛な時間を過ごしている気がするんです。だから体を動かしながら考えるのは、やってみるとわりといい感じですね。体を動かしていると、それなりに頭も動くんだなと。
――血の巡りがよくなるので、理にかなっていますよね。それではちょっと早いですが、コンシューマ版『神咒神威神楽』について、何か教えていただくことは可能でしょうか?
今、まさに作っている真っ最中で、何をするか決めたぐらいのレベルです。これから本気で始まるという感じなので、まだ何も言えない状態ですね。ただ、まったく関係ない新作の構想なら、話せますよ。
――ぜひ教えてください!
新作は……タイムトラベル系の要素があります。今までの神様シリーズにはまったくない要素で、新しい設定のもと、タイムトラベルのような……でもタイムトラベルなのコレ? と、タイムトラベルなのかどうなのかを探るような作品です。
――能力的なものはかかわってくるのでしょうか?
ガッツリあります。ただ、これまでの作品とはまったく系統が違う能力です。
――もちろんバトルも?
あります。ないとダメでしょう、僕は(笑)。
――タイムトラベルとバトルって、まったく結びつかないので楽しみですね。またまた話が変わりますが、『Dies irae』がアニメ化されたりは……?
ものすごくお金がかかりますからね(笑)。たぶん、いままでの倍以上は売れないと通らないでしょう。
――わかりました。コンシューマ版に期待ということで! それでは最後に、電撃オンラインの読者にメッセージをお願いいたします。
男の子も女の子も楽しんでください。元は美少女ゲームと呼ばれるもので、第一のユーザーさんは男の人なんですが、だからといって、作品を男祭りにすることは意義に反することではないと思っています。かわいい女の子をゲットすることと、ケンカに強くなることは男の夢なので(笑)。だから、カッコいい男とかわいい女の子をたくさん出すのは両立することです。男が多いからといって、別に女性向けなわけではありません。もちろん、それを好いてくれる女性が参入してくれるのは歓迎です。
▲初公開となる新規CG。背景から察するに、これはあの場面!? |
電撃オンラインで実施した『Dies irae ~Amantes amentes~』特集企画について、7月16日まで読者アンケートを実施しています。アンケートでは、コンシューマ版『神咒神威神楽』を特集してほしいかどうかなどを聞いていますので、もしよろしければご投稿いただけますと幸いです。
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