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2012年5月10日(木)

PSP版では条理をねじ曲げる勢いでキャラを幸せに――『Dies irae』シナリオライターの正田祟さんにインタビュー

文:ごえモン

『Dies irae ~Amantes amentes~』

 lightから、6月28日に発売されるPSP用ソフト『Dies irae ~Amantes amentes~(ディエス・イレ ~アマンテース アーメンテース~)』。電撃オンラインで展開している特集企画の一環として、シナリオを担当した正田祟さんにインタビューを行った。

 本作は、美少女ゲームブランド・lightから2009年12月に発売された『Dies irae ~Acta est Fabula~(~アクタ・エスト・ファーブラ~)』のPSP移植作。現代日本を舞台に、主人公・藤井蓮と第三帝国の闇が生んだ超人たち“聖槍十三騎士団”の激しい戦いが描かれる学園伝奇バトルオペラアドベンチャーだ。PSP版では、これまで発表されたサイドストーリーすべてに大幅な加筆を行い、新たに収録。さらに、PC版で描かれなかったエンディングも追加され、物語はさらなる“未知”に到達するという。

 インタビューでは、コンシューマ移植に至る経緯や追加要素、『Dies irae』のコンセプトなどについて伺った。その他、正田さんがシナリオライターとなった経緯や次回作の構想などについても聞いている。なお、最後のページでは初公開となる新規CGを掲載しているので、ぜひチェックしてほしい。

■追加部分のプレイ時間は全部で10時間ほど。普通のゲーム1周分のボリュームに

――それでは、まずコンシューマ移植へ至った経緯について教えていただけますか?

 以前から移植の話はあったのですが、記憶しているだけでも2回「嫌だ」と断っているんです。lightスタッフの声だけなら絶対に断っていたのですが、断るごとに制作にかかわったいろいろな方から移植に対するアツい要望があったんです。そこまで熱意があるならと、僕が落とされた感じですね。

 自分は元々、18禁ゲームをやるなら「18禁だ!」という前提でシナリオを書くので、移植することなんてまったく考えていません。移植すると、作品がおかしくなるんじゃないかとずっと考えていましたから。でも作品は自分だけのものではないですし、周りの要望も高まってきましたから、だんだんと理想的な移植ができるのかもしれない、と思うようになりました。

――今回、18禁からコンシューマに移植する際に、実際に削った部分はどのくらいありました?

 思ったほどではなかったです。それなりには手こずりましたけど、たぶんユーザーさんたちが思っているより大事ではないですね。

――CEROはDですが、例えばベイやシュライバーの過去が曖昧になったりはしていないでしょうか?

 設定が変わっている、なんてことはありえないです。かなりの暴言が乱舞するゲームなので、差別発言などズバリな表現は抑えています。でも設定は変わっていないし、そういうことはちゃんと書いています。そのレベルを変えられるんだったら、移植は意地でもしていないですね。原作に近いレベルで移植されている、と考えていただいて結構です。

――それを聞いて安心しました。それでは、PSP版のサブタイトルに“Amantes amentes”とありますが、これにはどのような意味が含まれているのでしょう?

 これは、ようするに“愛は狂気だ”という意味なんです。『Dies irae』では、“思いの力が強さになる”ところがありますが、単純に思っているだけでは足りなくて、“頭がおかしいレベルまで祈らなければダメだよ”と意味する言葉ですね。

 まだ言えないですが、“Amantes amentes”に続く言葉があります。“愛は狂気だ”だけではいい言葉に聞こえないですからね。だから“愛は狂気だ、だけど○○”と続きますが、それは本編で確かめてみてください。

――本編追加分のボリュームはどのくらいあるのでしょうか?

 結構ありますよ。全部まとめると700KBくらいですかね。まともに読んでいると、10時間くらいにはなると思います。普通のゲームであれば、まるごと1周できるくらいですね。

――元々あるルートについても、追加されている部分はありますか?

 若干の修正が入っている箇所もあります。

――新規シナリオですが、“マリィENDアフター”と“玲愛ENDアフター”のみですか?

 いえ、他にもあって、主にバトルが増えています。バトルを増やさないと話にならないですからね(笑)。

『Dies irae ~Amantes amentes~』 『Dies irae ~Amantes amentes~』
▲マリィ▲玲愛

――では“マリィENDアフター”と“玲愛ENDアフター”の見どころについて教えていただけますか?

 見どころは、限界までキャラクターを幸せにしてみようと挑戦したところです。この『Dies irae』は、あまり幸せになれない物語だったので、条理をねじ曲げる勢いで“どうやったら幸せになれるのだろう?”と試してみました。まあ、どうでしょうね(笑)。嘘くさくならないレベルで試してみた、正田的に“ここまでならアリだろう”というハッピーエンドを目指してみたので、試しに見てみてください。

――“マリィENDアフター”で、美少女化されたシュピーネさんは登場するのでしょうか?

 また細かいネタを知っていますね(笑)。でも、それはないです! そんな戯言を気にしちゃダメですよ。

『Dies irae ~Amantes amentes~』
▲シュピーネ

――ではシュピーネさんファンは残念でした、ということで。

 ただ、シュピーネ自体は出ますよ。美少女ではないというだけで、実にいい役として出ます。

――『神咒神威神楽』よりもいい役ですか?

 もうちょっといい役ですね。

――シュピーネさん以外にも、“マリィENDアフター”と聞いて気になった点があります。“マリィEND”のその後って、『神咒神威神楽』に続くお話ですよね? アフターということは……?

 はい。ちょっと匂わせてはいます。

――では、“あのキャラ”とのバトルはガッツリ描かれないんですね。

 そういうのはないです。それをやると、もう別の話になってしまいますから。『神咒神威神楽』を知っていると、“コレってアレを意味する設定なのかな?”とチラチラと気になるレベルでしょうか。

――今後、“マリィEND”から『神咒神威神楽』に続く話を書く予定はありますか?

 ないですね。それをユーザーさんは見たいのか? と思っています。実際、大筋はすでに語っているので、それをまた細部まで書いてもどうなんだろうと。蹂躙(じゅうりん)劇ですしね。だから流れとしておもしろくないんですよ。

→結末よりも過程が未知?(2ページ目)

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データ

▼『Dies irae ~Amantes amentes~(ディエス・イレ ~アマンテース アーメンテース~)』
■メーカー:light
■対応機種:PC
■ジャンル:AVG
■発売日:未定
■希望小売価格:未定

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