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2012年10月1日(月)

『バイオハザード6』開発スタッフのリレーインタビュー開始! 平林さんと佐々木さんは新主人公・ジェイクにまつわる秘密を明かす

文:電撃オンライン

■ジェイクは最初、ウェスカーの血をひいていなかった!?

『バイオハザード6』

――新キャラとして、ジェイクがいますが、なぜウェスカーの息子である彼を登場させたのでしょうか?

平林:あまり話すとネタばれに抵触するのですが(笑)、実は彼は最初、ウェスカーの血を引いていませんでした。ストーリーを作っていく中で、ある重要な謎を持った存在を物語に盛り込みたいとのアイデアがありました。そのアイデアを詰めていった結果“ウェスカーの息子”としてのジェイクが生まれたんです。

 『バイオハザード』の世界で、非常に有名な悪役・ウェスカーですが、彼はウイルスを体に入れても自我が保てていた、稀(まれ)なキャラクターでした。そこが本作の謎めいた部分との間にある種の繋がるキーを感じたんです。 

『バイオハザード6』

佐々木:ジェイクの生い立ちと物語を作っている時に、反対の性格の若い2人で物語を作りたいというアイデアが出ました。シェリーを選んだのは、『2』の時に彼女も“Gウイルス”を植え付けられてしまい、そのウイルスのせいで人生が狂ってしまったというジェイクに似た境遇を持ちながら、母性あふれる優しい女性だったから。性格は真反対だけど、どこか芯のところではつながりのある関係性を作れるんじゃないかということを思いついた時に、「クレアでもジルでもなくて、シェリーしかいない!」という結論になりました。

――7人の主人公が並んでいるのを見ると、2人だけ若いと思うのですが、ここも意識したのでしょうか?

佐々木:レオンとクリスを並べて出してみると、彼らはおっさん2人なんです。さすがに30代後半のキャラだけが主人公というのはどうなんだろう?と考えました。僕たちは、次世代の『バイオハザード』のヒーローを作ってみたかったので、そこは、今の時代にあう若々しいキャラを入れました。

平林:ちなみに、シェリーよりもヘレナの方が若いという事実があるんですよ(笑)。

――え? 本当ですか?

佐々木:シェリーは不死のウイルスである“Gウイルスを植え付けられているために、老化しにくいという設定。26歳ですが、高校生のような顔をしています。

平林:ヘレナは20代前半、ピアーズも20代中ごろなので、年齢的にも入り乱れた感じになっていると思います。

『バイオハザード6』

――本作で、パートナーキャラを登場させることになったのは?

佐々木:プレイアブルの7人全員が主人公なので、パートナーというのは一緒に行動している相手の呼び方で、あくまでわき役ではないということを強調しておきたいです。ピアーズを使っている時は、クリスがパートナーという位置づけ。レオン、クリス、ジェイク、エイダの群像劇ではなく、7人の群像劇です。ヘレナは、レオンと一緒に行動する、合衆国のエージェント。今回は大統領の警護をしていたのですが、その場所でバイオテロが起きてしまった。レオンとは衝撃の出会いから始まります。

平林:ヘレナに関しては、エイダとは違うのですが、謎めいたキャラになります。「事件の加担者が主人公として描かれたら魅力的」というと考えから生まれました。世界規模で起きているバイオテロの1つを担っているため、「なぜなの?」というのがレオンストーリーの中核になっています。『バイオハザード』は何かに巻き込まれていくところがあるのですが、今回のレオンはヘレナという切り口から事件に巻き込まれていきながら、真相に迫っていくのです。

――レオンは今回も女難なんですね。

平林:アハハハ、そうですね。前半のヘレナはレオンを巻き込みながら導いていき、中盤からは一緒に真実を探すという存在です。

――ピアーズについてお願いします。

『バイオハザード6』

平林:クリスは、これまでのキャラだとジルやシェバというキャラと行動していましたが、今回は組織の長としてどういう立ち位置なのかを切り口に描いています。僕らが仕事をしながら後輩を育てているように、組織には次のクリスを担う存在は、やっぱりいると思んです。

 『バイオハザード』の世界をリアルにしていきたいという考えから、「クリスの後継者はどんな人なのか?」というところから彼の人格が形成されていきました。クリスに近いけど、そこまで堅物でもない。よくいえば今風な感じで、対バイオテロ部隊の中でも新風を巻き起こせるような人材として、描きたかったんです。アタッカーで前に出ていくクリスとは対極で、スナイピングを得意としたキャラ。彼とクリスの信頼関係は厚いところから始まるのですが、あることがきっかけでゼロになって、そこからいろいろあって信頼を構築していく。右腕であり、信頼できるパートナーが彼です。

――先ほども、少し話題になったシェリーは?

『バイオハザード6』

平林:シェリーは、『2』の時は小さい女の子だったんですが、今や大人になり、レオンと同じく統領直轄エージェント組織・DSO(Division of Security Operations)の新米エージェントとして働いています。特命を帯びて、物語にかかわってくることになります。

――エイダは、唯一パートナーがいない状態で行動するのですね?

平林:エイダに関しては、なぜパートナーがいないのかというと、彼女にパートナーがいるイメージが持ちにくかったからです。彼女の個性づけとして、ミステリアスという他にもスパイという冠がつきます。スパイが複数人で動くこともありますが、エイダは単独行動というイメージがあったので、1人にしました。

佐々木:ゲーム的に、シナリオごとにいろいろなホラーを描きたいというのがありました。いろんな恐怖を考えていく中で、昔ながらの1人ぼっちで進めていくシングルのホラーがないということで、そこにはまったのがエイダでした。

『バイオハザード6』

――公開されているシーンでは、レオンをヘレナ、3人で行動しているものもありましたが?

平林:あれは特定の場所で“クロスオーバー”が起きていたからです。“クロスオーバー”というシナリオが交差する瞬間はゲームも交差します。その場合3人で動くこともあります。基本的に各ストーリーは2人、エイダは1人で進みます。ところどころで互いの物語が干渉して、複数人数で進むことになります。

――それまでずっと2人だったのに、最後だけは1人で進まないといけないんですね。

佐々木:エイダ編は1人ということもあって、歯ごたえはありますね(笑)。

『バイオハザード6』

平林:3つのストーリーをクリアした後にプレイできる物語なので、ヒントのない謎もあります。それらは、初見だとかなり解きごたえがある謎解きになっていると思います。シングルプレイや数々の謎解きが用意されたエイダ編は、『バイオハザード』らしい印象的なストーリーです。

■これまでにない絵を作れる国――それが中国

『バイオハザード6』

――物語の舞台として中国が描かれます。個人的に中国でバイオハザードが起こるのを想像できなかったのですが、この場所を選んだ理由を教えていただけますか?

佐々木:アジアは舞台として出てきていなかったので、見ていない場所を見てみたかったというのがまず1つあります。もう1つは、1枚の写真でインパクトを与えられる場所を探していたところ、中国の独特の色合いが浮かびました。アメリカや欧州の街角をとって、それはどこでどういうところというのはわかりにくい。

 でも、中国の入り乱れた雑多感や文化は、あのビジュアルからすぐにわかって特別でおもしろいと感じました。それで選びました。

――ただ、雑多感を出すためにはテクスチャーの数も増えますし、光源もとにかく多くなる。この街を形成するのは言う程簡単ではなかったと思うのですが、いかがですか?

佐々木:そこは、かなりスタッフに頑張ってもらいました。置いてあるビンの形まで、「この部屋における形かどうか」選びつつ、やっています。アメリカと中国のコップは異なります。ライトや炎の感じとかも変えています。そこは似たような場所をかなりつめて取材しました。

――見た目以上に、リアルな街並みになっているということですね?

『バイオハザード6』

佐々木:サイズ感や質感もうまく再現しています。あと看板も適当に作っているのではなく、現地にありそうな商売や職業を見つけてきて、そこに向こうで付けそうな名前を探していて作っています。

平林:カプコンのアジアのチームと毎回やり取りをして、この名前のデザインだったら、この看板でおかしくないかというのを詰めています。例えば、パン屋なのに、上に魚のマークがあったらおかしい。これは極端ですが、現地になじんだ看板デザインにしています。

――さまざまな店の看板がある中に、クリーチャーが登場するわけですね?

佐々木:言ってしまうと、クリーチャーはフィクション。そこを現実っぽくするためには、その他の生活感をリアルに描く必要があるのでこだわっています。

――プレイしていて、言語からも生活感を感じました。

『バイオハザード6』

佐々木:聞こえてくる言語も、現地のものを用意しています。中国では中国語、欧州では現地の言葉をつかっていて、それぞれの敵がそれぞれの言葉をしゃべっているところにも、ぜひ注目してほしいですね。

――いつも以上に手間をかけているような印象ですね。

平林:細部にまでこだわっています。非常にモチベーションも高く順調なチームだったんですが、作るもののボリュームは歴代シリーズでも最大で、非常に大変なタイトルだったと思います。

アクションの幅が広がりより魅力的なバトルに!

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