邪馬台国の探索をひと足先に体験！ “普通の女性”ララ・クロフトが描かれる 『トゥームレイダー』プレイレポート＆開発インタビュー！

文：イトヤン

プレイレポートに引き続いて、『トゥームレイダー』の開発スタジオであるクリスタル・ダイナミクスで本作のゲームディレクターを務める、ダニエル・ビッソン氏のインタビューをお届けしよう。同氏は、本作のアクションなどゲーム部分の制作を主に担当したとのことだが、アクション関連だけでなく、リニューアルされたララのキャラクター像など、本作の開発意図についても詳しく語ってくれた。

■弱い人間であるララの“感情”を描きたかったんです

──本作の最大のポイントは、ララ・クロフトの最初の冒険が描かれるという点ですが、このアイデアはどういうところから？

　今回の『トゥームレイダー』のテーマは“リブート（再生）”です。このゲームでは、みなさんのよく知っているララ・クロフトがどうやって誕生したのかという“オリジン（起源）”のストーリーを描いています。なぜこのテーマを選んだかというと、『トゥームレイダー』をもう一度復活させるためには、すでにでき上がっているララ・クロフトのイメージをいったんリセットして、一番最初の段階に立ち戻る必要があると思ったからです。今までの『トゥームレイダー』のよさは残しつつ、ララをもう一度リアルな人間として皆さんに感じてもらいたかったので、人間的に弱い部分も残していますし、プロポーションも本物の人間の女性により近づけています。

　我々としては、ララがただ探索に出かけるだけではなく、ララの“エモーショナル（感情的）”な部分を描きたかったんです。ゲームを最初から最後までプレイする間に、ララとプレイヤーが一緒になって、「ララ・クロフトとは何者なのか？」という自分自身の成長に気づいていく。そういうドラマが描かれています。ララ・クロフトというキャラクターは、今では女性版ジェームズ・ボンドのように、強い女性の代表として誰もが知っている存在になっていると思いますが、本作ではララをもう一度普通の女性に戻して、彼女の“感情”の部分に注目してほしかったんです。

──ゲームシステムとしては、パズルと探索が中心だったこれまでの作品から、サバイバル要素の強い内容に変化していますが？

　ゲームシステム面の“リブート”には、柱となる3つの要素があります。パズル、戦闘、そしてララのスムーズなアクションです。スムーズなアクションというのは、プレイヤーの入力に対してララがレスポンスよく動いたり、1つの動きから次の動きへ移る動作が滑らかであったりというのを、強く意識して制作しているという意味です。

　次にパズルの要素について説明しますと、従来の『トゥームレイダー』では“このボタンを押すと、これが落ちてきて”といった内容が多かったのですが、今回はプレイヤー自身が周囲の環境を観察して、いろんなことを試してみる中で、プレイヤー自身が自然と答えを導き出せるような、そんなパズルを目指して制作しています。

──戦闘は、これまでのシリーズから最も進化した要素だと思うのですが？

　これまでの『トゥームレイダー』では、戦闘の部分はあまりよい評価を得られていなかったというのは、開発スタッフも理解していました。そのため今回はゲームエンジンも敵のAIも、すべてイチから再構築しています。AIに関しては、例えばララが撃とうとすると敵が逃げ出したり、逆に敵同士で話し合って行動パターンを変えてきたりと、以前に比べてずっと複雑な行動が可能になっています。

　それから、先に挙げた3つの柱に加えてもう1つ、開発スタッフは“自由度の高さ”というのを常に意識していて、同じ場所へ行くにしてもいろんな道から辿り着く道があるということを、常に考えていました。戦闘に関しても、この“自由度の高さ”を意識していて、敵を倒す方法にもたくさんの選択肢があります。敵に気づかれないようステルスで倒すこともできますし、姿を見せて直接戦うこともできます。爆発物があればそれに引火させて倒すこともできますし、戦術的な選択肢の多さというのは、非常に重要な要素になっています。

──AIや戦闘ということで言えば、野生動物の動きが非常にリアルで驚きました。

　それはよかった。実は、シカの動きは私が担当しているんです（笑）。私の父はインディアンとアメリカ人のハーフで、子どものころから本物の狩りによく連れて行ってもらったので、狩りに関しては詳しいですよ。シカの脚を射るとその場に倒れたまま鳴いていたり、現実の動物と同じようなリアクションをします。ちょっとかわいそうですけどね（笑）。

→なぜ本作の舞台は“邪馬台国”なのか？（5ページ目）

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データ

関連サイト

• 『トゥームレイダー』公式サイト