邪馬台国の探索をひと足先に体験！ “普通の女性”ララ・クロフトが描かれる 『トゥームレイダー』プレイレポート＆開発インタビュー！

文：イトヤン

■日本の歴史は我々にとって、非常にミステリアスなものなんです

──日本人の僕らとしては、今回の舞台が邪馬台国というのに驚きました。なぜ日本を、しかも邪馬台国をテーマにしようと思ったのですか？

　『トゥームレイダー』のシリーズはエキゾチックな場所を探索するのが1つの特徴になっていて、これまでにも世界各国を旅してきました。その中で日本の歴史というのも、我々（外国人）にとっては非常にミステリアスでエキゾチックなものです。また景色に関しても、日本には山もあれば海もある、四季の変化があって雪も降ったりすると、他の国に比べて非常に変化に富んでいます。そこで今回は、日本近海に“ドラゴントライアングル”という海域があって、その中にある島を舞台とすることにしました。そうして日本の歴史について調べていった中で、邪馬台国や卑弥呼といった歴史が、特にミステリアスに感じられたので、それを題材として取り上げました。

──日本の研究者の間でも、邪馬台国がどこにあったのか、いまだに答えが出ていないので、その部分がフィクションの題材になっているのは非常に興味深く感じました。

　本作を作るにあたって、たくさんのリサーチを行っています。基本的には調べた事実にもとづいてはいますが、あくまでゲームなので、現実をぼかしてフィクションと融合している部分もあります。日本人の皆さんからしてみれば、不思議なところもあるとは思いますが、ゲームの中の世界、あくまでファンタジーの1つとして、そうした部分も楽しんでいただけると嬉しいです。

──でも、日本国内が舞台だと銃が使えないといった問題があるはずなんですが、歴史から切り離された孤島を舞台にすることで自由に銃を使えるようになっているあたりは、フィクションとしてうまいと思いました。

　この島にはララたち以外にも、いろいろな国の船が遭難していて、その船に積まれていた武器を使うことができるという設定なんです。ゲームがもっと先に進んでいくと、第二次世界大戦の時に兵士たちが持っていた武器を、ララたちが使うこともできますよ。

──ところで、ララ・クロフトと言えば世界的に有名なキャラクターですが、彼女をまったく新しい存在へと作り変えることに対してプレッシャーなどはありましたか？

　それはいい質問です！　その通り、本作は私のキャリアの中でも最大のチャレンジでした。私は今までの『トゥームレイダー』をすべて作り変えるために、クリスタル・ダイナミクスに呼ばれました。本作にはもう1人、ノア・ヒューズというディレクターがいるんですが、彼は私とは逆に、これまでの『トゥームレイダー』のよさを守るのが役割だったんです。だからノアとはしょっちゅう対立していました。もちろん、フレンドリーな対立ですけどね。

　1つの例として、こんなことがありました。ロンドンで本作を披露した時に、シリーズの大ファンだという1人のジャーナリストが、感情をむき出しにして「こんなのはララじゃない！」って言ってきたんです。でも、私は彼に「とにかくプレイしてみてください」と言いました。すると彼はプレイした後に「本当にありがとう。初代のララ、僕の大好きなララが、確かにここにいるよ」と言ってくれたんです。

　このゲームを特別なものにしたいという思いで、開発スタッフ全員が一丸となって頑張ってきました。みんな、自分の家族や生活を犠牲にして働き続けてきましたし、私自身もこのプロジェクトを始めてから、ずいぶんと太りました（笑）。でも、そのおかげでチームとして、ベストなゲームができたと思います。そこで先ほどの質問に戻りますが、答えはイエスです。プレッシャーはすごくありましたよ（笑）。

──本日は、どうもありがとうございました。

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関連サイト

• 『トゥームレイダー』公式サイト