2013年5月27日（月）

3DS『デジモンワールドリ：デジタイズデコード』レビュー。PSP版クリア済みのファンが追加要素を本気で評価【春のレビュー祭り】

【第1部：『デジモン』を知らないRPG好きでも楽しめるのか？】

■一言で示せば“安心”！　物語や世界観は日曜朝アニメ系に匹敵するほど丁寧

　RPG好きにとって、何より気になるのは物語や世界観ですよね。その点、『デジモンワールドリ：デジタイズデコード』は、基本的に『デジモン』ファンに向けて作られているため、『デジモン』を知らない人にとっては、どうしても100％すべては楽しめないものになっていると思います。

　む、なんだか誤解を招きそうなので補足します。『デジモンワールドリ：デジタイズデコード』自体は、『デジモン』をまったく知らない人が遊んでも、すぐ世界観になじめるように丁寧な形で作られています。なんと言いますか、日曜の朝にやっているテレビ番組のように、いい意味で王道で、ちゃんと順を追って丁寧に世界観や物語が描かれている感じです。

　逆に、古くからの『デジモン』ファンにとっては「そんなこと、わかってるよ！」と思うくらい親切な形で、デジモンが暮らす“デジタルワールド”という本作特有の世界観を解説してくれます。

【プロローグ】

　研究施設に鳴り響くアラーム、それは物質をデーター化して転送する“デジタイズ”技術の実験中に起こった事故だった。混乱する研究所員たちは必死に事態を収拾しようとするが、努力むなしく状況は悪化していく。そして、眩（まばゆ）い閃光とともに突如として異空間への扉が現れるのであった!?

　それから数か月後…

　現実世界に暮らす少年は、いつものように友人たちとゲーム『デジタルモンスター』を遊んでいた。その時少年のもとに一通の謎のメールが届く。そのメールに添付された暗号を解いた時、不思議な光に包まれ、少年はコンピュータネットワーク上に存在するという異世界“デジタルワールド”へと迷い込んでしまっていた…。

　ただ、『デジモン』ファンが遊んだ場合、「やっぱりテントモンは関西弁じゃないとね」とか「ウォーグレイモンとメタルガルルモンをジョグレス進化させると……ニヤリ」といった、15年もの歴史を持つシリーズならではのお約束が楽しめる仕掛けになっているわけでして。そういう意味では絶対に、『デジモン』を知らない人よりもファンの人が遊んだほうが楽しめるゲームであることはたしかです。

　なんて考えたところ、ちょっと訂正します。『デジモン』を知らない人でも100％楽しめますが、関連作品を知っているファンの人なら150％楽しめる物語や世界観になっています。


▲物語の舞台は、デジモンが暮らす異世界。基本的にはシリーズを知っているほうが楽しめますが、知らなくてもゲームプレイに支障はありません。

■欲を言えば、人間とデジモンの絆をもっとクローズアップしてほしかった！

　物語の舞台はデジモンが暮らす異世界デジタルワールドとなるため、基本的に人間の登場キャラクターは限られています。そのほとんどが、主人公のネットゲーム仲間となる同世代の少年少女です。

　はたして彼らは、どのように物語にかかわってくるのか？　ネタバレになるので詳しくは書きませんが、その目的は皆ほとんど一緒で“現実世界に帰ること”。ただし、その手法や考え方は人それぞれということで、主人公との衝突や競争なんかもあるわけです。このあたりの展開は、ベタと言えばベタですが、しっかりと熱いエピソードは熱く演出されていますし、意表を突く思わぬ展開もちらほらとあります。


▲現実世界に帰るために冒険する少年少女たち。ギャグ系ではありませんが、暗いノリではなく、主人公たちとデジモンの交流などが描かれます。

　ストーリーの属性的にはバトル寄りではありますが、主軸となる“少年少女の成長ドラマ”もしっかりと描かれていて、続きが気になってエンディングを見たくなるストーリーとして平均点以上の高いクオリティになっています。

　あえて欲を言えば、アニメの『デジモン』シリーズのように、人間とデジモンの絆や二人三脚の部分をもっとクローズアップしてほしかったです。仲間たちについては、成長期から完全体への進化にからめた熱いエピソードがあるとはいえ、主人公とパートナーにもそんな展開が欲しかったなあ、なんて贅沢ですかね？　ただ、そのあたりは3DS版の新エピソードである程度カバーされている気がするので、わりと満足しています。とあるデジモンの成長ドラマは、なかなか熱かったです！

【主人公（CV：白石涼子）】


▲ロードバイクが趣味の中学生。友人たちとゲームをしていたところ、突然、異世界デジタルワールドへと飛ばされてしまった。		▲アグモン［成長期］。初期パートナーデジモン。無邪気で人なつっこい、主人公の相棒。		▲ウォーグレイモン［究極体］。超金属“クロンデジゾイド”の鎧をまとった最強の竜戦士。

【ニコライ・ペトロフ（CV：日野聡）】


▲愛称は“ニコ”。主人公の親友であり、ライバル。頼りがいがある一本気な性格だが、たまに周りが見えなくなり、暴走することも。		▲ガオモン［成長期］。初期パートナーデジモン。性格は、無口でストイック。		▲ミラージュガオガモン［究極体］。獣騎士型デジモン。ケタ違いの速度で移動するため、敵はまるで蜃気楼のような現象を目にする。

【鈴童アキホ（CV：佐藤聡美）】


▲元気で好奇心旺盛。楽しいことが大好きな女の子。面倒見がよく、困っているデジモンを助けて回っている。		▲ピヨモン［成長期］。初期パートナーデジモン。心優しいデジモン。アキホと一緒に、困っているデジモンを助け回っている。		▲ガルダモン［完全体］。大空を自在に舞える翼と、巨大なカギ爪を持つ鳥人型デジモン。正義と秩序を重んじる、大地と風の守護神でもある。

【久我ユウヤ（CV：甲斐田ゆき）】


▲『デジタルモンスター』のランキングで常に上位をキープしていた少年。常に物腰が柔らかく、にこやかな表情をしている。		▲ブラックウォーグレイモンX抗体［究極体］。初期パートナーデジモン。温和なユウヤの内面に隠された凶暴性が実体化したような姿をしている。

【御神楽ミレイ（CV：沢城みゆき）】


▲聖と闇、相反する属性のデジモンを従える謎の少女。常に冷静で冷たい印象だが、その裏には決意の強さが感じられる。		▲エンジェウーモン［完全体］。初期パートナーデジモン。清廉潔白な天使型デジモン。		▲レディデビモン［完全体］。初期パートナーデジモン。高純度の闇でできた悪の化身。

【四ノ宮リナ（CV：戸松遥）】


▲“策謀の魔王編”で登場する3DS版の新キャラクター。現実世界で異変に気付き、事件に巻き込まれていく。		▲ブイモン［成長期］。初期パートナーデジモン。額のV字が特徴の小竜型デジモン。やんちゃでいたずら好きだが、正義感も強い。		▲アルフォースブイドラモン［究極体］。古代デジタルワールドから伝わる、ある“予言”の中だけに登場する伝説上の聖騎士デジモン。