2013年6月26日(水)
Deep:これまでのシリーズと比べて、アトリエ内にいる時間がちょっと減りましたよね。調合している時間よりも、世界を冒険している時間が増えています。
とっきー:前作『アーシャのアトリエ』の舞台は、黄昏の世界の中でもそこまで黄昏の影響がないっぽいことを岡村さん(『アーランド』、『黄昏』シリーズのディレクター、岡村佳人氏のこと)が語っていましたけど、みんな実際に見てみてどうだった?
Deep:やっぱり、前作よりも荒廃が目立ちますね。枯木とかが多くて、全体的に暗い。
編集O:移動中のフィールドマップも、今までとは演出が変わっていますね。イベントでも、“水が激減した”みたいな黄昏を感じさせるシーンが多めでした。
とっきー:世界観が強く出るロジー編(主人公にロジーを選ぶと“ロジー編”、エスカを選ぶと“エスカ編”になる)では、冒険を通じてシナリオの濃い部分とかを体感できるようになるのかな。エスカ編では、これまでの『アトリエ』っぽさをそのまま楽しめるといった感じだけど。
ライターM:エスカ編のイベントは、これまでのシリーズと同様に純粋な明るさがありますね。普通に従来の『アトリエ』シリーズの新作をプレイしている感じで。ただ、やっぱりロジー編をプレイしているDeepと話をすると、微妙に印象が咬み合わない部分とかが出てきたり。彼から「実際のロジーはちょっとネガティブなところがあるんですよ」って聞いて。エスカ編を遊んでいると、その辺が見えないというか、見せてないんだなっていうのがわかりました。
編集O:イベントの節々でロジーの心の声を聞くことができるんですけど、ちょっと後ろ向きな発言が多めなんですよね。
ライターM:ロジー編には彼の過去に関する話があって、ここには触れられたくないんだっていう場面があるそうなんですが、エスカ編だと「あれー?」だけで終わっちゃうんです。
とっきー:そのへんは、ロジーがうまく外と内を分けているというか。そこを見せる、見せないを演じ分けている石川さん(ロジー役の声優・石川界人さんのこと)の技量もあってのことだと思いますけど。
ライターM:エスカ編の場合、ロジーは好青年という言葉が、そのまま当てはまりますね。過去に何かあったんだろうなーというのはどことなく感じられるんですけど、それを決して表に出すことはないんですよ。好青年という印象のまま、ずーっとプレイが進んでいて、「ロジーはトコトン好青年キャラなんだ」と思っていましたから。あとからDeepにその話を聞いて、ビックリですよ。
とっきー:ゲーム開始直後のイベントシーンでも、かなり違うものね。2人の初顔合わせのシーンで、ロジー編ではアトリエのドアを開ける直前に「やっぱり初対面の印象は大事だからちゃんとしないとな」と言って身だしなみをすごく気にするんだけど、エスカ編ではビシッとかっこよくキメたロジーが入ってくるだけなんだよね。このイベントシーンを見て、キャラの視点が違うだけでこんなに変わるんだって思ったよ。
編集O:同じシーンでも切り口が全然違いますもんね。部分的に見れば小さな違いなんですけど、その積み重ねでできあがるキャライメージの差はものすごく大きいです。
とっきー:本来だったらキャラの1つの面しか見えない部分を、主人公選択制を利用して、これまで以上にキャラクターの深みを出しているよね。キャラクターごとに、エスカには言わないけどロジーには言うというセリフがあったりというのを考えると、2度おいしいどころじゃなく、3度、4度おいしいという感じになってるのかな。
Deep:ネットでファンの反応を見ていると、「もしかしたら、ちょっとした違いだけで終わるんじゃないか」という心配の声もありましたが、そんなものは吹き飛ばしてくれますよ。
とっきー:村川さん(エスカ役の声優・村川梨衣さんのこと)と石川さんのアフレコ取材をした時に台本を見せてもらったんですけど、上・中・下の3冊で、1冊の厚さが電話帳ぐらいあるんですよ。それで中を見せてもらうと、1つのイベントに対してエスカ編とロジー編がそれぞれ別になっていて。完全に2本分の収録で、そりゃボリュームは2倍、労力は何倍だって話です。
ライターM:もちろん、主人公ごとに専用のイベントも用意されていますよ。例えば、皆さんがPVを見た時から気になっていたであろう、エスカのお尻に付いているしっぽに関するエピソードが用意されているんですけど、ロジー編をプレイしているDeepや編集Oさんに話したら「えっ、知らない!」って言われて驚きました。あれについてけっこう突っ込んだ内容になっていて、かなりおもしろかったんですけど……見られないなんて残念だなー(笑)。
Deep:てっきり、周りもの人も“そういうものだ”って認識で、完全にスルーしているものだと思ってたんですけどね(笑)。くぅぅ……そのイベント、すごく見たいよ!! いいもん、ガッツリ作りこんだ装備とかを引き継いだ2周目で、サクッと見るし。
とっきー:いつも周回プレイが前提のシリーズではあるけれど、今回はやり込むだけでなく、シナリオを見たいとかキャラクターを知りたいという意味でも、2周、3周プレイしたくなる作りになってるよね。2周目以降のプレイが新鮮に遊べるわけだから、そういう意味では僕らが待ち望んだ作品ってことになりますね(笑)。
編集O:私なんか、2周目はトロフィー埋めの作業に入ってしまうタイプなので、トロフィーも埋めつつシナリオを追いかけられるというのは、これまでになかったアプローチになるのかな。
とっきー:さっき、ストーリーに引き込まれるという話があったけど、ゲームの導線的に物語を進めていくうえでの混乱するところとかはなかった?
編集O:ないですね。基本的に言われた通りに進めていくとイベントが発生する場所に“!”マークが表示されるので、それを追いかけていけば、大きなもう1つのストーリーラインも追っていけますから。課題も、4カ月の間に大課題を達成すれば次に進めますし。その周りにある小課題は、やってもやらなくてもいいですよと。
ライターM:小課題というのは、これまでにあった納品とかにあたるものですよね。基本的にやらなくても問題ないんですが、まぁこれまで『アトリエ』をプレイしてきた人たちなら自然と埋めちゃうよねっていう(笑)。
Deep:そこを埋められた時のおもしろさとか、達成感というのもスゴイんですよ。達成した時に、マス目がスパパパパーンっと埋まるのが気持ちいいんです。
ライターM:プレイスタイルは人それぞれだと思うんですが、無理をせず真面目に課題をこなしていくと、締め切りまで残り1カ月ぐらいには、すべての課題が達成できる感じでしょうかね。この空いた自由時間に、アトリエにこもって未調合のアイテムを作るなどしていくと、次の課題の時期になるといった流れですよね。
編集O:いい具合にゆるいというか、ほどよい難易度ですよね。短い期間での目標があるおかげで、作業になりがちだったプレイにメリハリができたのもいい。前作は、具体的な行動の指針がなかったので、『アトリエ』シリーズをやったことがないと、いつまでに何をすればいいのかがわかりにくかった。『黄昏』という新たなシリーズの始まりで、新規ユーザーが入ってくるタイミングなのにね。今作では、その点もちゃんとフォローされています。
とっきー:前作はストーリーを進めようとしても、次から次へといろんなイベントが起こって、いつの間にか本筋からズレちゃってることがあったものね。それが本作では、細かな課題がプレイヤーを本筋に引き戻してくれる役割を果たしている。
Deep:いくら寄り道しても、戻るポイントがすぐにわかりますしね。SELECTボタンで見られる課題表示には、「次は○○をしましょう」といったような親切すぎる進行メモもありますし。
とっきー:忙しくて、しばらくプレイできなかった時にも便利な機能だよね。前回のプレイから1~2カ月ぐらい経っていて、どこまで進めたのかをすっかり忘れていても、また遊ぼうっていう意欲をわかせてくれる。おそらく追加DLCとか出ると思うから、それをきっかけにプレイを再開しようって場合にもありがたいよね。
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