2014年1月22日(水)
東京都内の某スタジオにてゲームミュージックバンド“ほぼS.S.T.BAND”こと“blind spot”の皆さんにインタビューを行った。本記事では、メンバーが影響を受けたミュージシャンの話題や、音楽の道を志したきっかけなど、さまざまな話題をお届けする。
▲並木晃一さん(ギター) | ▲松前公高さん(キーボード) | ▲熊丸久徳さん(ドラム) |
▲斉藤昌人さん(ベース) | ▲森藤晶司さん(キーボード) |
――まず最初に、S.S.T.BANDをblind spotとして再結成された経緯を教えていただけますでしょうか。
並木:バンドを再結成したのは、僕が2011年の東北大震災の被害を目の当たりにして、何もする気が起きなくなったのが、そもそもの始まりです。僕は自宅で仕事をすることが多いんですが、それは誰かに強制されない状況なので、落ち込んで仕事が手につかない状況を打破するためにも、自分で自分を強制したいと思ったんです。新しくバンドをやることも考えたんですが、どうにもモチベーションが足りなくて、もう少し誰かに後押ししてもらえるものはないかなと考えた時に、S.S.T.BANDのことを思い出しまして。ダメ元でメンバーに声をかけてみたら、「いいじゃん、やろうよ」ということになって再結成が決まりました。
――再結成にあたってバンド名が変わっていますが、blind spotという名前はどこから取られたんでしょうか?
並木:これはS.S.T.BANDのメンバーだった光吉が、「S.S.T.BAND時代にオリジナルの楽曲を収録して出したアルバム『blind spot』の中から、新しいバンド名をつけたらどうだろう?」と提案したのがきっかけです。
――当時を知っているファンからすると、うれしいサプライズですね。ところで、blind spotというバンド名の他に、“ほぼS.S.T.BAND”という名称をよく見かけるのですが……。
並木:それはセガの奥成さんがTwitterでつぶやいた呼び名です(笑)。
松前:僕らのライブに来てくれるようなお客さんにとっては、blind spotよりも、ほぼS.S.T.BANDの方が通りがいいんでしょうね。今はキーボードの森藤をはじめ、結成時にはいなかったメンバーが入ってきているので、まさしく“ほぼ”S.S.T.BANDという名前がピッタリな状態です(笑)。
――確かにそうですね(笑)。夏のライブはすごい盛り上がりでしたが、ステージに上がった感想やお客さんの反応はいかがだったでしょうか。
並木:渋谷公会堂でやったライブですね。1993年にS.S.T.BANDが解散してから、まさかホールでライブをできるとは思っていなかったので、感動しました。お客さんも盛り上がってくれて、とても楽しいステージでしたね。
森藤:僕らのライブに来てくれるお客さんは“盛り上がる”というより“浸る”という感じの人が多いですね。僕らの演奏を聞いて半泣きになったりとか……。ファンからすると、当時遊んだゲームで聴いた音楽そのままって感じで、懐かしいんじゃないでしょうか。
熊丸:渋谷のライブは予定していなかったミュージシャンが飛び入り参加してきて、ツインドラムでセッションしたりしたのがすごい楽しかった。それと2日目の25曲メドレーはすごい緊張したけど、演奏が終わった後はやりきった感じがあってよかったね。
――25曲のメドレーと聞くだけですごさが伝わってきますね。曲の演奏順はもちろん、楽譜を覚えるのも大変かと思いますが……。
松前:ゲームのBGMって短いループ物が多いじゃないですか。これはS.S.T.BANDのころもやっていたんですけど、「短い曲をライブで演奏できるように、メドレーにして長く聴かせられればいいんじゃない?」と考えています。渋谷のライブでは、S.S.T.BANDから数えて結成25周年ということで、25曲メドレーをやりました。
――なるほど。ところで1曲あたりの演奏時間はどれくらいだったのでしょうか?
並木:25曲トータルで15分以上ありましたから、結構長かったです。単純計算しても1曲あたり40秒前後、長いのだと1分くらいですかね。
森藤:まちまちでしたけど、1コーラスくらいまで演奏した曲もあったと思います。
――今年7月にキングレコードさんから出された最新アルバムですが、収録曲のタイトルに『セガラリー』を選ばれたのはなぜでしょうか。
並木:blind spotとして再出発するにあたって、僕たちのことを応援してくれるセガの社員さんもいまして、特にバックアップしてくれているのがセガモバイルにいる伊藤さんという方なんです。伊藤さんに「どの曲をファンに聴かせたい?」という相談をして、決まったのが『セガラリー』になります。
――『セガラリー』以外に候補に挙がったタイトルはあるのでしょうか?
並木:アーケードで稼働していた『カルテット』というゲームですね。
森藤:そういえば『カルテット』のアレンジバージョンは出していなかったですよね?
並木:『初音ミク』のアレンジとかは出ていたけど、S.S.T.BANDではやったことがないね。
――つまり、今後アルバムを出されるとしたら『カルテット』のアレンジアルバムを出す可能性が大きいということでしょうか。
並木:まだなんとも言えないですね(笑)。伊藤さんとは「S.S.T.BANDを解散していなかったらどういうアルバムを出していたか」ということも話しているので、今後はblind spotのオリジナル楽曲のアルバムだったり、解散以降にセガから出たゲームのアレンジをやっていく可能性もあります。
森藤:かつてのS.S.T.BANDのファンとしては、やっぱり『セガラリー』とか『パワードリフト』や『アウトラン』とかのレースゲームを連想させるバンドだと思っているので、できればそのイメージを大事にしていきたいですね。
並木:『アフターバーナー』などの初期作品のリメイクもスタジオではやっていないので、やってみたいです。
――ファンの方から「この作品のアレンジをしてほしい!」というメッセージをいただいたりはしないのでしょうか。
並木:そういうご意見も結構来ます。ただ、あまりにも作品の幅が広くてついていくのが大変ですね(笑)。
▲「ファンの方からリクエストされた曲の大半を知らないので、調べるだけでも結構大変です」と語る並木さん。 |
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