2015年11月20日(金)
『蒼天のイシュガルド』で新たに追加された複数のフィールド。いずれも特徴豊かな場所ですが、メインストーリーを進めるうえで隅々まで見て回ってはいても、パッと気づかぬところに意外な驚きがあったりするものです。
というわけで、ダンジョンの掘り下げ企画に引き続き、今度は『蒼天のイシュガルド』で登場したフィールドにある名所や建物、そこで活動する人々の姿を通して、『FINAL FANTASY XIV』の世界観に迫ります。第1回は、イシュガルドを訪れた冒険者が最初に足を踏み入れるであろう“クルザス西部高地”をピックアップ!
※本記事にはネタバレ要素も含まれます。まだ『蒼天のイシュガルド』のメインストーリーを終えていない方はご注意ください
年中雪が降り、めったに太陽を拝めない印象が強いクルザス西部高地。すでに各所で語られていますが(『旧FF14』時の姿との相違からも察せられますが)、もともとこの地は温暖というわけではないにしろ、草木の茂る安定した気候の地域でした。
しかし第七霊災の影響を受けて極端な寒冷化がはじまり、生態系を含めて様相が一変。北アバラシア山脈から寒冷地に適した動物たちが南下しだし、人々の生活環境も激変し……現在に至っているわけです。人とドラゴン族との戦いの痕跡もいたるところで見られ、ドラゴン族の亡骸も各所に見受けられます。なかには一見不思議に思うような場所に骸を晒しているものもいるようですが、その理由は……。
まずはこの地の特徴的な場所をいくつか、おさらいしてみましょう。なお、エリアを象徴するダンジョン“ダスクヴィジル”に関しての詳細情報はこちらをご参照ください。
この地に暮らす人々が集う、西部高地の拠点。もともとは小さな山村でしたが、霊災を境に放棄され、一時は雪と氷に閉ざされていた様子。しかし近年、西部高地奪還のための第一拠点となったことで復興が進み、現在は堅牢と表現しても差し支えないほどの建造物が並ぶ“砦”となりました。ちなみにファルコンネストという名前は、山村時代に、ドラゴン族早期発見のために駐在していた鷹匠が白鷹を多数飼っていたのが由来とか。
建国の英雄にして初代蒼の竜騎士である、征竜将ハルドラスの石像。約50m(予測)に及ぶ巨大な姿で西部高地を見守っています。風雪に晒されつつもその威容は失われていませんが、天候の悪さもあって、像の表面は氷柱や霜で覆われているようです。なお、よく見ると右手の上にヒューラン族の女性の姿が見えます。周囲の人影も含めて、拠点から派遣されたメンテナンス人員ということなのでしょう。
下級貴族や平民による部隊・聖フィネア連隊が駐屯する場所。ドラゴン族を狩って武名を上げることを目指す者たちが、隊長のジャントゥローのもと日々活動しています。功を焦るあまり、ときには我が身を省みず危険に身をゆだねることも多い様子。なお、“聖フィネア”とは、ドラゴン族の襲撃を受けた砦を守り抜いたことで聖人に列せられた女騎士の名前だそうです。
氷に覆われた湖、ベーンプールに佇む大型船。廃棄されて久しいようで、船体には長く風雪に耐えたであろう痕跡が見て取れます。そもそも皇都イシュガルドに船着き場がないだけに、どういう用いられ方をしていたのか、なぜこの場所に廃棄されているのかも含めて、気になる点の多い場所といえます。付近一帯の湖を行き来して何かしらの物資を運んでいたものが、第七霊災で水場が凍りついて移動がままならなくなり放棄されたのだと察せられますが、はたして……。
西部高地のマップ北西、スレート連峰の近くにある温泉。厳寒の地の隠れ名湯といった風情とはいえ、さすがにここまで入浴に訪れる人間は(一部の冒険者を除いて)いない様子。代わりに、ときおり湯を求めてイエティたちが群がってくるようですが……彼らも入浴好きということなのでしょうか。昔からあるのか、霊災の影響で湧き出した温泉なのかも気になるところ。
マップ南西の小高い丘にある、イエティが数多く生息する土地。カルデラに似た構造をしており、盆地のなかにはスウィフトラン川が流れています。名前から察するに、流れの急な川なのかもしれません。土地の天井部分にはところどころに穴が開いており、その中にはドラゴン族の遺骸が鎖で吊るされていたりも。イエティたちの仕業なのか、それとも……?
アッシュプールにある、クルザス西高地で最も目立つランドマークがこの場所。かつてこの地で暴れていたドラゴン族を魔道士が数人がかりで眠らせて封じ、そこに灰が降り積もってできたのがこの島だとか。このドラゴンは死んだのか、未だ眠っているだけなのか……さすがに見る限りでは完全に石化していそうな雰囲気ですが……。それにしてもこのドラゴン、どこが頭なんでしょうか。
これらのほか、特徴的な建造物がポツンと建っているナインスヴェアーや、巨大なドラゴン族の白骨がたたずむザ・ウォッチャー、クリオネに似た魚介類・ハルオネが息づく美しい池などなど、興味深いポイントも多数あります。
第七霊災を境に急激な寒冷化が訪れ、この地に暮らす人々は2つの選択を迫られました。すなわち、土地を捨てて比較的暮らしやすい場所に避難するか、残るか。……ほとんどの人が都市部やファルコンネストに移動してしまったからか、ヘムロックやゴルガニュ牧場といった小さな集落は建物だけが残された寂しい景観となっていますが、オーカム波止場にいるエモントのように、慣れ親しんだ土地に残る選択をした人もいる様子。
そのほか、この地のドラゴン族を狩るべく編成された聖フィネア連隊の面々や、ダスクヴィジルに異端者が入りこまないように監視・警護するナディニーたち、そして誰もいなくなった空き家を根城とする異端者たちとそれを追う神殿騎士団などが、独自の思惑のもとで活動しているようです。
冒険者が旅するフィールドに散りばめられた、数多くの興味深い場所・人を深く掘り下げるべく、開発スタッフの方々に質問! 今回はクルザス西部高地について、アレコレお答えいただきました。
――このフィールドを作るにあたっての、コンセプトを教えてください
景観のコンセプトは、“氷の世界”です。旧FF14時代に存在した地域が、霊災による寒冷化を受けて、変貌を遂げたという点では“クルザス中央高地”と同じですが、中央高地が“雪の世界”だとしたら、西部高地はより寒さが厳しい“氷の世界”というイメージになっています。
また、“ドラゴン族との最前線”という点もポイントのひとつです。ご存知の通り“蒼天のイシュガルド”のストーリーラインでは、ドラゴン族との間に続く“竜詩戦争”が重要なテーマのひとつになっています。そこで、戦争を実感できる場所として、古戦場や前線基地に相当するものを用意しました。
――スタッフの皆さんの、お気に入りのスポットなどはございますか?
自分(世界設定担当:織田)のお気に入りスポットは、かつての産業の名残が感じられるゴルガニュ牧場ですが、せっかくですので“クルザス西部高地”を造った張本人に話を聞いてみましょう。ということで、BG担当、舘盛からのスポット紹介をどうぞ!
まずはメジャーどころの紹介から。
やはり新フィールド最初の玄関口でもありますし、旧FF14から遊んでくださっているプレイヤーの皆さんを驚かせる為に、大規模にイメージチェンジを施すためにかなり力を入れた拠点となっています。
その名の由来となっている“かつて隼を飼育していた名残でもある塔”の頂上からの広く開けた視界は、ぜひたくさんのプレイヤーさんに見ていただきたいです。(実は塔の上空には数羽の白隼が巡回して飛行しています)
FF14の世界にもし自分がいたとしたなら、ドラゴンを追ってチョコボ馬車で移動しながらキャンプをする。そんな生活に思いを馳せ、ロマンを感じることから生まれたコンセプトを元に作成した集落です。
第七霊災の影響で氷のエーテルの暴走により、エーテライトもかつての機能を失い朽ち果てた様を表しています。旧FF14のキャンプやエーテライトのデザインを踏襲することで、時間の流れを感じられるスポットとなっています。
マイナーなところでは……
穴場の釣り場、オーカム波止場の北、小さな洞窟のような空間になっていて、その水場にはゆらゆらとハルオネ(クリオネ)の群れが泳いでいます。
この塔の頂上にのぼって眺めるオーロラもお気に入りのスポットの一つです。
――ノーススター号について教えてください。もともとどういった用途で使われていたものなのでしょう?
クルザス川やスウィフトラン川を利用して、物資や人員をすばやく移送するための輸送船になります。
――ハルドラス像とグレイフィール滝のちょうど中間あたりに地下空間への入口と思われる場所がありますが、こちらはどこへ続いているのでしょうか?
ドラゴン族による襲撃があった場合に、周辺住民が避難するための避難場所です。中央高地における“アートボルグ砦群”と同じ役割がある場所になります。とはいえ、ほとんど住民がいない今では、巡回に出る騎兵たちしか利用する者はいませんが……。
――ナインスヴェアーは特徴的な造形をしていますが、何のために作られた場所なのでしょうか?
じつは神殿騎士団リーヴで語られていたりするのですが、“ナインスヴェアー”は“約100年前に教皇令によって建てられた十二の監視塔”のひとつになります。なお、ほかの監視塔はドラゴン族や霊災により破壊されてしまったため、現存しているのは9番目の塔である“ナインスヴェアー”のみとなります。
――アッシュプールなど、灰が降り積もってできた場所があるようですが、この“灰”はどこからきたのでしょう?(第七霊災時のもの? ……となると臥竜島のドラゴン族が眠らされたのはまさか近年?)
臥竜島に眠らされているドラゴン族が“アッシュドラゴン”という灰を操る存在だったためです。なお、この戦いがあったのは、数百年前となります。
――イエティの棲処付近にあいた穴の中に、鎖で吊られたドラゴン族の亡骸がありますが、これはヒトの手によるものでしょうか?
イシュガルドの軍勢が仕掛けた大がかりな罠により、仕留められたものになります。ヴィシャップ級の超大型ドラゴンに、正面から立ち向かうのは得策ではないため、このような戦法が採られたのではないでしょうか。
――イエティについて、もし可能でしたらぜひ詳しく教えてください。どの程度の知能があるのでしょうか? 温泉に群がっていたようですが……。(彼らの顔の元になったモデルなどはいるのでしょうか?)
知能的には、猿程度とお考え下さい。ニホンザルも温泉に群がりますし……。確かにあの顔はインパクトがありますよね。ということで、デザインを担当した塚本に、あのインパクトのある顔について質問してきました。どうやらFF9に登場する“イエティ”と“ワイアード”というモンスターの要素を参考にした結果のようです。
――ドラゴンピットの温泉は第七霊災の前からあったものでしょうか?
霊災前から存在していたという設定になります。
――青色が非常に美しい池がありますが、ほかの池との設定的な相違点はございますか?
温泉の成分が交じっているため、青く見えるのです。
――魚介類“ハルオネ”が戦神ハルオーネと似た語感の名前となっている特別な理由などがございましたらぜひ教えてください(クリオネ≠ハルオネと、“戦神”ハルオーネに抱くイメージが少し離れているように感じられたので質問してみました)
そもそも現実世界の“クリオネ”の名前は、ギリシア神話の女神“クレイオー”が語源となっていますので、これをエオルゼア風にアレンジした結果になります。戦神ハルオーネも美しい女神ですから、現地の人々によって、そのように命名されたのでしょう。
――この地に生息しているモンスターたちについて、多くは寒冷化に伴って北アバラシア山脈から南下してきたものである……と以前おうかがいしましたが、詳しく教えていただけるとありがたいです。
●ベヒーモス(第七霊災後から見られるようになった……とモブハンNPCが語っていましたが、ほかのモンスターと比べて特別な要素があったりするのでしょうか?)
第七霊災時に落着したダラガブの破片によって、長い冬眠状態から目覚めた古代獣という設定になります。余談ですが、これは“バハムート”と“ベヒーモス”が現実の神話上では、同一視される存在であることにひっかけたネタだったりします。
●ディープアイ(これは……どういった生物なのでしょうか?)
3.1にて追加されたトリプルトライアドのカードや、ミニオン“シャローアイ”のフレーバーテキストに秘密が……!
●ベーンプールなどに居つくプリンについて(そもそも“プリンがいる”ということはどういうことなのかを教えていただけるとありがたいです)
サブクエスト“凍結湖に眠る思い出”でも語られていますが、この地は霊災以前から“ベーンプール”と呼ばれていました。旧FF14時代を経験しているプレイヤーさんの中には、実際に凍っていなかったベーンプールの湖畔を歩かれた方もいるのではないでしょうか。
トリプルトライアドのフレーバーテキストで触れているように、プリンは、異界ヴォイドの汚泥で生まれたとされる下級の妖異です。物質界に現れる際には、動物の屍肉を依り代とすることがあるため、死体が放置された場所に現れる傾向があります。なかでも“ソルベ”や“ジェラート”と呼ばれる存在は、凍った屍肉を依り代とした存在……。多くの犠牲者を出したダスクヴィジルの周囲に多く出没する理由も、おわかりいただけることかと思います。
――聖フィネア連隊について、正規の騎士団に先駆けてこの地を訪れている彼らの詳細な人物像がございましたら、ぜひ教えていただけるとありがたいです。そもそも下級貴族や平民たちによって編成された部隊というのはほかにも多いのでしょうか?
聖フィネア連隊に関連したサブクエストで、彼らの生き様が語られていますので、ぜひ未プレイの方は遊んでみてください。
補足的な情報としてですが、彼らのような私設騎兵隊は、ほかにもいくつか存在している(あるいは、存在していた)設定になります。特定のドラゴン族を倒すために、一時的に結成されることもあれば、聖フィネア連隊のように資金と人員の限界まで戦い続ける部隊もあるイメージです。
――この地の異端者たちについて、普段の活動がどのようなものかなど語れることがございましたらぜひ教えてください(また、彼らのシンボルマークに込められた意味などがございましたらぜひ)
一言で異端者と言っても様々で、“氷の巫女”ことイゼルに率いられた一団のように“教皇を倒して、戦争を止める”という明確な政治的意思を持って戦っているグループもあれば、都市や農村で生きていけなくなった犯罪者や逃亡者が、盗賊まがいの行為をしている寄り合い所帯もあります。
なお、“氷の巫女”一派が、牧場地下に配置していた石像は、聖女シヴァと聖竜フレースヴェルグを象ったものになります。融和の象徴として、かつて人と竜との蜜月時代に造られたものの複製を、アジトに飾っていたという設定になっています。
――この地特有の味つけについて言及している料理人がいますが、特徴的な食文化などありましたら教えてください
サブクエスト“薄味なスープ”にて、皇都イシュガルドでは塩辛い濃い味が好まれ、西部高地では薄味が好まれるという話が、物語の要素のひとつとして登場していますね。 この“味の好み”の差は地域ごとの“好みの問題”である一方で、皇都では多種多様なスパイスが手に入れられるものの、西部高地のような僻地では、なかなか調味料の類いがそろえられない、という格差を表していたりもします。
――このほか、ゲーム中では語られていないけれど……といった要素がございましたらこの機会にぜひお聞かせください(ヘムロックやゴルガニュ牧場などがどういった土地だったか……などございましたらぜひ)
ゴルガニュ牧場の名前は、割とこだわって命名したものだったりします。サブクエスト“我が夫、ここに眠る”に加え、リムサ・ロミンサやアドネール占星台のNPCの台詞を統合すると、ひとつの真実が見えてくるのではないでしょうか。
興味のある方は、リムサ・ロミンサ三大海賊のひとつ“百鬼夜行”の頭領のフルネームを調べてみると、面白い事が解るかもしれませんよ。
百鬼夜行の首領といえばカルヴァラン。フルネームはたしか紅血聖女団の首領とのかかわりを描いたクエストで聖女団の首領が口走った……カルヴァラン・ド・ ……ぁっ。 いやぁ、サブクエストを数多くプレイしてはいても、まだまだ把握できていない情報は多いようです。深く調べていくことで新たに見えてくる、疑問として挙がってくる物事も多くありますので、冒険者の方々はぜひぜひ探究してみてもらえればと思います!
漫画家・無糖党さんと“電撃の旅団”の面々のプレイ模様をもとにした『FFXIV』漫画は、電撃PlayStationにて好評掲載中! 今回お届けするのは、11月12日に発売されたVol.602の掲載作品です!
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次回は11月27日に更新予定。お楽しみに!(更新日時は諸事情により前後する場合があります)
【『ファイナルファンタジーXIV』電撃の旅団冒険録 連載 】
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