2016年5月2日(月)
エクスペリエンスは、同社の設立から10周年を記念するイベント“エクスペリエンス創設10周年イベント”を東京・秋葉原にて5月1日に開催した。
本記事ではイベントの内容を紹介するとともに、電撃オンラインにて掲載をしたエクスペリエンスの関連記事を振り返りながら、これまでの軌跡を紹介していく。
イベントの会場には事前応募で招待された数多くのファンが来場していた。壇上には、エクスペリエンスが運営している配信番組“くろにゅ~”のパーソナリティを務める声優の立花理香さんと高木友梨香さんが司会として登場し、イベントに華を添えた。
▲声優の立花理香さん(左)と声優の高木友梨香さん(右)。 |
▲代表取締役社長の千頭 元さん |
まずは、創設メンバーであり代表取締役社長である千頭さんより、エクスペリエンスの歩みについての解説が行われた。
エクスペリエンスが会社として創設されたのは2007年4月。それまで、“チームムラマサ”として『ウィザードリィ エクス』シリーズを制作していた千頭さんたちは、いろいろあって中心となったメンバーとともに独立。
2008年に発売されたPC用ソフト『Generation XTH -CODE HAZARD-』を皮切りに1年に1本ずつのスパンでタイトルを発売していく。そして2011年2月には初の家庭用ゲーム機向けのタイトルとしてXbox 360用ソフト『円卓の生徒 Students of Round』を発売。
その後、角川ゲームスとの協力体制の元、Xbox 360『迷宮クロスブラッド リローデッド』、PSP『円卓の生徒 Students of Round』を発売し、2013年1月には千頭さんが「会社としての分岐点となった」と語るPS Vita用ソフト『デモンゲイズ』が発売。この『デモンゲイズ』は海外版として『Global Edition』も制作され、全世界で30万本のヒットとなった。
『デモンゲイズ』で、これまでダンジョンRPGをあまり遊んだことのない人にもダンジョンRPGを楽しんでもらえた一方、従来からのコアなダンジョンRPGファンには物足りなさを感じるという声も上がっていた。それを受けて、「自分たちが考える、自分たちの作りたいダンジョンRPG」として制作されたのが『剣の街の異邦人』だった。
コアファンに向けて制作された『剣の街の異邦人』はXbox 360、PC、PS Vita、Xbox Oneの各機種で発売され、好評を博した。しかし、自分たちのゲームのファンを大事に考える同社は、この『剣の街の異邦人』を踏まえたアンケートを実施。ファンからの声をベースに、システムの追加や調整を加えた『新釈・剣の街の異邦人 ~黒の宮殿~』を、PS Vita向けに7月21日に発売する。
▲発表時のPVのBGMは久保田早紀さんの名曲『異邦人』のアレンジバージョン。アレンジは本作の楽曲を手掛ける神保直明さんによるもの。 |
▲10周年タイトル第1弾となる『新釈・剣の街の異邦人 ~黒の宮殿~』。 |
▲新ジョブのクロッカーと人形使い。この他にもう1ジョブが用意されている。 |
▲物語の最中で退場してしまうNPCたちのその後も描かれる。『円卓の生徒』に登場したエルサが出てくる場面も? |
この『新釈・剣の街の異邦人』では、「ユーザーさんたちが思うおもしろいダンジョンRPGはどこか」という方向性の元、全70カ所に調整と改良を入れているという。このうち10カ所は新ジョブおよび新システムとのこと。
本作には5000本限定の数量限定版として、ベニー松山さんが書き下ろすオリジナル小説が付属する。これは『剣の街の異邦人』をベースにしたアナザーストーリーになるという。なお、小説の第1話が公式サイトで公開されているので、興味のある人はチェックをしてほしい。
▲ベニー松山さん書き下ろしのアナザーストーリーが5000本限定で付属する。 |
▲ベニー松山さん。執筆を承諾する際に「流行りのものは書けませんよ?」と伝えていたという。 |
なお、PS Vitaの『剣の街の異邦人 ~黒の宮殿~』を購入した人には、ダウンロード版の今作が1,800円+税になるキャンペーンも実施される。
この10年間、ゲームを作り続けて突っ走ってきたエクスペリエンスだが、10年という節目にあたって、コーポレートロゴを新たに制作することになった。
丸みを帯びた“EXP”という略称から“EXPERIENCE”という正式名称に変更された他、英字の下にゲージが登場。このゲージは1目盛りが10年を意味しており、今後も長く続けていく意志の表れだという。
千頭さんはロゴについて、「本当は変えるべきではない」と前置きをした上で「会社の設立当時は、会社を作るということに手一杯で、ロゴに自分たちの気持ちを込めることができなかった」と語る。以前行ったインタビューにて、設立当時のエピソードとして開発部長の安宅さんが経理の勉強のために大学に通っていたことなどが語られていたが、その当時の状況は推して知るべしであろう。
『デモンゲイズ2』の最新情報やXbox One向け新作タイトル『黄泉ヲ咲ク華』がイベントにて発表された。『デモンゲイズ2』は、前作同様にクロサワテツさんをイラストレーターに起用し、キャッチーな世界観が描かれている。
▲2016年発売を予定しているPS Vita『デモンゲイズ2』。 |
『デモンゲイズ』シリーズの発売元である角川ゲームスからは、代表取締役社長を務める安田善巳さんが登場。安田さんは千頭さんについて「作りたいゲームを作って、社員にご飯を食べさせて、ユーザーを楽しませている」と語り、その姿勢について「志が高い」と評していた。
なお、『デモンゲイズ2』の続報については、2016年6月に開催予定の同社カンファレンス“角川ゲームス Media Briefing 2016 Summer”にて発売日などを含めた発表などが行われるとのこと。
▲角川ゲームス代表取締役社長の安田善巳さん。 |
イベントでは、拠点にあたる“ステラ座”のイラストと街中での戦闘背景などが公開。前作の拠点“竜姫亭”とは異なり、街中にある“ステラ座”。冒険で訪れる場所もバラエティに富んだものになっており、前作よりも大幅にスケールアップしているという。
▲『デモンゲイズ2』の拠点となる“ステラ座”。街中にある拠点だ。 |
▲戦闘は街中で行われることも。 |
その他、立花さんと高木さんの2人も本作に声優として登場することが明らかに。立花さんの演じるキャラは、フリフリ姿でツンデレっぽいキャラ。高木さんのキャラは、見た目は幼いけどビールが大好きなギャップのある女の子だという。どちらも語尾に注目とのこと。
Xbox One用の新作タイトルとして『黄泉ヲ裂ク華』が発表となった。本作は同社いわく“ダンジョンRPGじゃないものを作ろうプロジェクト”の第1弾タイトルとなり、これまでダンジョンRPGを作り続けてきたエクスペリエンスのさらなる展開を示唆する作品とも言える。同社が得意とするハック&スラッシュをメインとしたRPGではあるが、どういったスタイルのRPGなのかは今後の続報に期待したい。
本作は、『円卓の生徒』で主人公がラスボスを倒した3年後、東の地が舞台となる。ティザー動画が公開された他、和装をした2人の女性キャラクター、骸で埋め尽くされた街などのビジュアルなどが公開された。
▲さくら(左)と葵(右)のビジュアル。 |
本作がXbox One専用で発売されることについて千頭さんは、「マイクロソフトは、エクスペリエンスがサードパーティとなることを一番最初に認めてくれたメーカーであり、微力ながらXbox Oneの力になれれば」と語った。なお、PSプラットフォームにも本プロジェクトの第2弾として別のタイトルを予定中とのこと。
2014年4月より始まった配信番組“くろにゅ~”も3年目となった。6月の放送からは第1・3週の水曜日が新作タイトル特集回となり、MCは立花さんと高木さんの2人がそのまま担当する。第2・4週の水曜日は実況プレイ回となり、緑川優美さんと富沢恵莉さんの2人がMCを担当する。
公開生放送およびトークイベントが7月中旬から下旬の期間で、新潟と京都で開催されることも発表された。新潟での開催は高木さんの故郷ということが由来とのこと。なお、公開生放送はどちらか1回でのみ行われる。
また、エクスペリエンスのタイトルのみならず、他社タイトルを積極的に紹介しているくろにゅ~では、メーカーさんからの協力が不可欠。紹介したいタイトルなどを募集中とのことだ。
イベントではその他のコラボ企画として、KADOKAWAが発行しているTRPG『アリアンロッド RPG 2E』と『剣の街の異邦人』のコラボや、日本一ソフトウェアのPS Vita用ソフト『クラシックダンジョン 戦国』とのコラボなどが発表された。
『アリアンロッド RPG 2E』をベースとして作られるTRPG版『剣の街の異邦人』は、エクスペリエンス作品を初期から遊んでいるF.E.A.R.社の大畑さんがディレクターを務める。
▲『剣の街の異邦人 TRPG』について語るF.E.A.R.の鈴吹さん。 |
『クラシックダンジョン 戦国』とのコラボは、『剣の街の異邦人』およびくろにゅ~のドット絵が配信されるというもの。『剣の街の異邦人』の登場キャラクター“リウ”、“キョウ”、“アンナ”の3人と、くろにゅ~で生まれた“たぬぽん”、“りっこん”、“ぱくぱくプリニー”、“ドクタープリニー”の4キャラクターのドット絵でプレイできるようになる。
▲『剣の街の異邦人』のリウ、キョウ、アンナの3人が『クラシックダンジョン 戦国』に登場。 |
▲くろにゅ~から生まれた名キャラたちも登場。 |
▲『オペレーションバベル』でムーラを演じた中恵光城さんによるLINEスタンプも制作進行中。 |
イベントの最後に千頭さんは、「5年後や10年後、それ以外にもこういったイベントをやっていきたい」と語り、集まったファンからの拍手を浴びて、締めくくった。
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