News

2017年1月24日(火)

『陰陽師』レビュー。死や人の業を感じさせる重い物語でありながら、小白の明るさが救いに

文:そみん

 NetEase Gamesが2017年上旬配信予定のスマートフォン用RPG『陰陽師』のレビューをお届けします。

『陰陽師』

●動画:【陰陽師】いざ、美と妖の平安世界へ。

 『陰陽師』は“妖”が蠢く美しき平安時代を舞台とした美と妖の本格幻想RPG。プレイヤーは、陰陽師“安倍晴明”となり、さまざまな式神とともに魑魅魍魎(ちみもうりょう)と戦い、美しく妖しい平安時代で繰り広げられる謎を解き明かしていくことになります。

『陰陽師』

 とにかく豪華すぎる声優陣や美麗なキャラクタービジュアルで話題になっている『陰陽師』の物語やRPGとしての出来はどうなのか? 今回は主に物語やキャラクターに関する感想をお届けします。

『陰陽師』

“死”や“人の業”を感じさせる、儚くも美しく、そして“重い”物語

 本作の主人公は記憶喪失となった安倍晴明。ゲーム開始時からすでに記憶は失われており、同じく記憶を失った謎の少女・神楽(かぐら)と行動を共にしている状況です。

『陰陽師』

 物語は基本的に、安倍晴明のもとを訪れた来客からの依頼を受ける形で進みますが、その来客は晴明の力を借りたい者から晴明の命を狙う者までさまざま。

 いつも優雅で冷静な立ち居振る舞いを行う安倍晴明だけに、物語は全般的にシリアスな展開が中心です。

 例えば、冥界の案内人とともに出会うのは“寿命が延びすぎて死なない老婦人”。その原因は、老婦人を母と慕う妖(あやかし)が、善意で寿命を延ばしていたからなのですが、その優しい気持ちが悲劇につながることに……。

『陰陽師』

 人魚の肉を食べて不老不死となってしまった八百比丘尼(やおびくに)は、安倍晴明を自分を殺してくれる“運命の人”として慕います。

『陰陽師』

 多くの物語が“死”、そして“人の業”を感じさせる重い話となっており、ぐいぐいと先を読みたくなる展開となっているとこは高評価しています。

 くわえて、原則的に一話完結型となっているところもポイント。毎回、起承転結がある物語をしっかりと読了した気分になり、次回の話に思いをはせるという流れは、毎週放送されるTVアニメに似ているかもしれませんね。

かわいい小白(こはく)がアクセント。シリアスな中にもコミカルあり!

 そんな、ある意味で重い『陰陽師』の物語をうまいバランスに保ってくれるのが、かわいくて明るい式神の小白(こはく)の存在です!

『陰陽師』

 子犬かと思いきや、実は白狐の式神である小白ちゃんが出てくると、重いシーンでもちょっとクスリとしてしまいます。声優の大谷育江さんのわんぱくな感じの演技とあいまって、すごくいいバランスになっていると感じます。

『陰陽師』
▲いつも元気に「晴明さま!」と慕ってくる小白。犬じゃないけど、わんこっぽいです(笑)。
『陰陽師』
▲ゲームシステムのガイド役としても活躍!

 それからもう1人、最初の話のカギを握る犬神さん(声優:関俊彦)もまた、素晴らしいキャラクターです。ケモノキャラってずるい!(笑)

『陰陽師』

 犬神は、自分の親友であるスズメが小白に食べられてしまったと思い込み、安倍晴明の命を狙って乗り込んできます。

 かつては人を襲う凶犬だった犬神。何も信じず、ただ暴れていた彼に“信頼”を教えてくれたものこそ、スズメでした。そんなスズメを失った犬神の悔しさと怒りと絶望は、物語を通じて強く伝わってきます。

『陰陽師』
『陰陽師』
『陰陽師』

 このように話の流れはものすごく重いのですが、思い込みが激しい犬神の性格がコミカルに描かれているため、気持ちが沈み過ぎずに物語を楽しめるところは、うまいバランスになっていますね。

“伝記”で深く知ることができる式神たちの物語が泣ける!

 物語本編のドラマ性の高さも好きなのですが、個人的には式神たちのステーテス画面で読める“伝記”がイチオシです。

『陰陽師』

 “伝記”はその式神のプロフィール兼サブストーリーのようなもので、その式神がいかにして妖になったのか、過去の因縁や人間との複雑な関係などが紐解かれていきます。ちなみに、安倍晴明や神楽といった陰陽師たちにも用意されています。

『陰陽師』
『陰陽師』

 桜の精(声優:能登麻美子)の伝記では、妖ながらも人と結婚の約束をしてしまった彼女の悲恋が描かれます。愛する人を亡くした悲しみや苦痛で正気を失い、桜の森を枯らせてしまった彼女の物語の結末は……。

『陰陽師』

 かつては幸せな家庭と両親を持っていた吸血姫(声優:ゆかな)は、昔の幸せを思い出すたび苦痛にもがき、自己嫌悪に苦しむことに。

『陰陽師』

 人の心をも凍らせる雪女(声優:諏訪彩花)は、いつも心を閉ざしており、孤独で無表情。そんな彼女が、とある人間と出会ったことで、物語が動いていくのですが……。

『陰陽師』

 物語本編でもたびたび姿を見せる冥界の使者である黒無常と白無常の兄弟も、その過去はなかなか壮絶。ともに両親から迫害を受け、その命を奪ったという過去を持ちます。お、重い……。

『陰陽師』
『陰陽師』

 もちろん、シリアスなもの一辺倒ではなく、コミカルな伝記も用意されています。パーティメンバーとして使い、その式神への思い入れが強くなった際には、ぜひ伝記もあわせてチェックして、その式神の内面も知ってみてはいかがでしょうか?

 そのすべてを読むためには、ちゃんと式神を覚醒させたり、バトルなどで使ったりしないといけないので大変ですが、物語の結末が気になって、ついついたくさんの式神を育てたくなっちゃいます!

『陰陽師』

 ……と言いつつ、なかなか条件がシビアなので、自分はまだ結末まで読み切った式神はいない状況です。時間をかけて頑張ろう……。

 最後に余談ですが、バトル中に使えるスキルの解説文も、小ネタがちりばめられていることが多いです。

『陰陽師』
『陰陽師』

 式神の心理描写とあわせておもしろおかしい文章になっていたり、そのスキルの背景となる設定情報が読み解けたりと、単なる効果解説文とは違う趣があるので、伝記と併せてこちらもお見逃しなく!

【『陰陽師』注目記事】

(C)NetEase,Inc.

データ

▼『陰陽師』
■メーカー:NetEase Games
■対応端末:iOS/Android
■ジャンル:RPG
■発売日:2017年上旬
■価格:基本無料/アイテム課金

関連サイト