コロプラ新作『369(ミロク)』角田Pインタビュー。新ジャンルRPG誕生のきっかけや“読後感”のあるゲーム体験の仕掛けに迫る!

文:そらなみ

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 9月1日よりコロプラからサービスが開始されたアクティブシネマRPG『369(ミロク)』。


 今回は先行プレイを通じて感じたことをもとに、“アクティブシネマRPG”という新ジャンル立ち上げのきっかけやAIを活用した映像制作、ブラウザゲームとしての設計といった開発の裏側についてお話を伺いました。

 本作のプロデューサーである角田亮二氏(以下、敬称略)に、詳しくお聞きしていきます。

『アクティブシネマRPG 369(ミロク)』プレイはこちら
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“アクティブシネマRPG”という新ジャンル立ち上げのきっかけ


――先行プレイに際して最初に興味を惹かれたところが、“アクティブシネマRPG”というジャンル名でした。そもそもこのジャンルを立ち上げようと考えた経緯やきっかけを教えていただけますか。

角田
はい。2026年はAI動画の技術が大きく進化する年になると感じていました。

 私たちのスタジオでは、ミッションのひとつとして「新しい技術を使って、新しいゲーム体験をつくること」を掲げています。その中で、まずは「動画そのものをゲーム体験の中心に置いたタイトルをつくってみよう」というところから企画がスタートしました。

 実際に開発を進めながら、AI動画でできること、まだ難しいことを一つひとつ検証していき、最終的には実写表現によるドラマを中心に据えたゲーム体験へと収束していきました。

 その結果として生まれたのが、今回の「アクティブシネマRPG」という形です。

――ありがとうございます。昨今のAI技術の進化を肌身で感じつつ、その技術を活用した動画がゲーム体験として印象に残る作品づくりというところが本作のスタートであったと…。では、このジャンルを通してプレイヤーにどのようなゲーム体験を届けたいと考えられていましたか。


角田
実写表現を中心としたドラマゲームはこれまでもありましたが、比較的腰を据えて遊ぶコンソール向けのタイトルが中心で、モバイルやブラウザで気軽に楽しめる作品はまだあまり多くありません。

 一方で、ドラマを見ながらキャラクターの行動を選択したり、物語に介入したりする体験自体には、一定のニーズがあると考えていました。


 そこで、今回はスマートフォンでもPCでもワンクリックですぐに始められるような、もっと手軽なドラマゲーム体験をつくれないかと考えました。

 これまで制作コストの高さから成立させづらかったジャンルでもあるので、AIを活用することで新しい制作方法が成立するのか、そしてモバイルやブラウザという環境でもユーザーニーズが存在するのか、その両方を検証したいという狙いもありました。

ゲーム映像など、開発工程の多岐にわたってAIを活用


――本作は“AIを活用した映像表現”が大きな特徴のひとつとなっていますが、実際にゲームをプレイしながら「この映像のどこまでがAIでつくられているのだろう」と考えていました。AIは具体的にどのような工程・場面で活用されたのでしょうか。企画や映像の構成、素材制作、映像の加工・演出など、可能な範囲で教えていただけますか。

角田
前提として、弊社では生成AIの利用についてプロジェクトごとに一定の基準を設けながら運用しています。特に既存タイトルでは、他社様との協業やIPに関する取り決めなどもあるため、生成AIを使用していないケースも多くあります。

 その一方で、会社として今後のためにAI活用の知見を蓄積していく必要性もありました。そのため『369(ミロク)』については、企画段階から「可能な範囲でAIを積極的に活用し、その知見を蓄積する」という前提で立ち上げました。

 映像生成だけでなく、企画、シナリオ検討、素材制作、映像加工、演出、開発補助など、ほぼすべての工程において、何らかの形でAIがツールとして関わっています。

 ただし、“AIに制作を任せる”という考え方ではなく、あくまで最終的な判断や表現のコントロールは人が行うことを重要視しています。

――ここまでのお話を伺って、今後のゲーム開発で“AIがツールとしてどれだけ人の助けになれるのか”を検証する機会にもなったような印象を受けたのですが、AIを映像制作に取り入れたことで、これまでのゲーム開発では難しかった表現や制作方法の変化など、何か感じられたことはありますか。

角田
ここは今回、最も大きな変化を感じた部分です。これまでゲームをつくる際には、表現手法として大きく「2Dでつくる」「3Dでつくる」という選択肢がありましたが、そこに「動画そのものをゲームアセットの中心にする」という、第三の選択肢が現実的に加わったと感じています。

 これまでも動画を使ったゲーム自体はありましたが、映像制作には大きなコストや制作体制が必要でした。それが、AI動画の進化によってハードルが大きく下がりつつあります。

 今後のゲーム開発において、「この企画は2Dでつくるのか、3Dでつくるのか、それとも動画を中心につくるのか」という選択肢の変化は非常に大きいと思っています。

――逆に、この開発方針・体制だからこそ難しかった点はありましたか。

角田
実は今回のチームは、映像制作の専門家が集まってスタートしたわけではありません。

 私自身は過去に少し映像業界に関わった経験がありますが、チームメンバーの多くは、2Dデザイナーやモーションデザイナーなど、ゲーム開発を中心にキャリアを積んできたメンバーです。

 そのため、技術的な課題以上に大きかったのは「新しい領域を学びながらつくる」という意識をチーム全体で共有することでした。

 グループ会社の映像制作チームなど、専門的な知見を持つメンバーの力も借りながら、カメラ、編集、ライティング、演出など、映像制作そのもののノウハウを一から蓄積していきました。

 結果として、メンバーそれぞれが新しいスキルを身につけ、ゲーム開発者でありながら一定の品質の映像制作まで行えるチームへ成長できたことは、今回のプロジェクトにおける大きな成果のひとつだと感じています。

“ゲーム体験 × ユーザーの触れやすさ”を考慮したブラウザゲームとしての設計


――冒頭でも少しお話がありましたが、昨今のゲーム市場ではアプリ形式の作品も多い中、あえてブラウザゲームとして開発されたのには、何か理由や狙いがあったのでしょうか。

角田
開発当初は、私たち自身がつくり慣れているネイティブアプリとして開発を進めていました。ただ、今回のゲームは動画が体験の中心にあります。動画はストリーミング再生との相性が非常によく、必ずしもすべてのデータを端末にインストールしてもらう必要がありません。

 また、近年は新しいアプリをインストールしてもらうこと自体のハードルも上がっていると感じています。

 そこで途中から方針を変更し、「インストールせず、URLをタップしたらすぐに遊べる」というブラウザゲームの形へ切り替えました。ゲームそのものを新しくするだけではなく、“ユーザーにゲームへ触れてもらう導線自体も新しくできないか”という狙いがあります。

――そんなブラウザゲームとしての開発にあたって、たとえばゲームの映像表現や操作性、ロード時間など、特に意識されたことや工夫された点はありますか。

角田
ブラウザはネイティブアプリと比較すると、どうしても操作の「手触り」をつくるのが難しい部分があります。そのため、ボタンを押した際のレスポンスや画面遷移など、操作に対する反応については特に気を遣いました。

 また、今回私たちにとって本格的なブラウザゲームの開発は初めてだったので、ブラウザ特有の難しさも多くありました。

 たとえば、SNSからゲームを開いた場合、同じURLであってもSNSアプリ内ブラウザごとに挙動が異なることがあります。

 端末、OS、ブラウザ、SNSといったプレイ環境の組み合わせによってゲーム体験が変わるため、その組み合わせを一つひとつ検証していく点は、ネイティブアプリとは違う難しさでした。

現代のあり得そうな日常と少しの非日常を融合させたストーリー・世界観


――ゲームプレイの中で、現代的な日常と“マガトキ”や“モウジャ”などのファンタジー要素が入り混じる世界観に加え、次々と展開していくストーリーのテンポ感にも引き込まれました。シナリオや世界観をつくる上で、特にこだわられたポイントはありますか。

角田
今回は実写表現を使っているため、ファンタジー要素を強くしすぎると、映像として急に違和感が出てしまうことがあります。

 そのため、現代の日本に存在していても、ある程度受け入れられるリアリティラインは強く意識しました。「日常のすぐ隣に、少しだけ異常な世界が存在している」という距離感を保つことで、実写だからこそ感じられるリアリティと、ゲームらしい非日常性を両立させています。

――まさに!私自身、実際のゲームプレイでもそのこだわりは感じられました。また、ストーリーや世界観以外にも、主人公の草薙ウル、立丸シノなど個性的なキャラクターが登場しますが、キャラクターを描くうえで意識されたことや、プレイヤーに注目してほしいポイントなどがあれば教えていただけますか。

角田
キャラクターについては、それぞれのキャラクターが“物語を通じてどう変化し、成長していくか”をかなり意識して設計しています。特に主人公のウルについては、物語の序盤と終盤で見え方が変わるようにつくっていますので、ぜひそこに注目していただきたいです。

 また、シキガミについては、それぞれにキャラクター性を持たせています。単なるバトル用のユニットではなく、「このシキガミが好き」と思ってもらえるような存在にしたかったので、このあたりはキャラクターを大切にするコロプラらしさも出ている部分だと思います。

実写ドラマとは違った緊張感を生むテンポ重視のリアルタイムバトル


――本作のバトルについては、“シキガミ”のアクション時間と毎ターンの行動時間を見ながら、限られた時間内で自身の行動を選択していくリアルタイムバトルが魅力的でした。例えると“フラッシュ暗算のような瞬発性”と“手元のシキガミがランダムに入れ替わる運要素”の組み合わせが印象的だったのですが、このバトルシステムを設計する上で、どのようなゲーム体験を目指されたのでしょうか。

角田
今回のバトルでは、複雑なルールを覚えてじっくり考えるというよりも、「一瞬で状況を見て判断する気持ちよさ」を重視しました。シキガミごとにアクションに必要な時間が違うので、残り時間を見ながら「この組み合わせなら間に合う」「こちらを先に使った方がいい」と、瞬間的に判断していきます。

 一方で、常に理想的なシキガミが手元に来るわけではありません。そのため、プレイヤーの判断力だけでなく、毎回少し違った状況が生まれるランダム性も加えています。短い時間の中で、判断と偶然性が交互に起きることで、ドラマパートとはまた違った緊張感を出したいと考えました。

――その中でも特に意識された点はありますか。

角田
完全に運だけになると、自分でプレイしている感覚が弱くなりますし、反対に正解が決まりすぎていると、毎回同じプレイになってしまいます。そのため、「状況自体にはランダム性があるけれど、その状況をどう処理するかはプレイヤー次第」という状態を意識しています。

 手元に来たシキガミと残り時間を見ながら、その瞬間の最善手を考える。うまく処理できた時には、自分の判断で切り抜けた感覚が残るようにしています。また、長時間悩ませるのではなく、ある程度直感的に選べるテンポも重要視しています。

 『369(ミロク)』は映像と物語が中心のタイトルなので、バトルだけが重くなりすぎないように設計しています。

――では、最後にこれから本作をプレイされるユーザーに向けて、“ここに注目して遊んでほしい”というポイントや開発チームからのメッセージをお願いします。

角田
ぜひ、最後まで物語を見届けていただきたいです。特に3章の後半から、主人公であるウルの変化や成長を強く感じてもらえると思います。

 全4章を通して、プレイし終えた後に何かが少し残るような、読後感のある物語を目指して制作しましたので、ぜひ4章の最後まで遊んでいただけたら嬉しいです。

 『369(ミロク)』は決して大規模なタイトルではありませんが、新しい技術やゲーム体験を試しながら生まれた作品です。リリースして終わりではなく、ユーザーの皆さまの反応を見ながら、このタイトルや「アクティブシネマRPG」という遊び方自体を、じっくり育てていきたいと思っています。

『アクティブシネマRPG 369(ミロク)』プレイはこちら

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