肝が冷える落下体験と、言葉を超えた忌み子との切ない旅。『崩落の国』開発陣がこだわるアートとアクションの秘密

文:ことめぐ

公開:

更新:

 Cygamesが2026年に立ち上げた新ゲームブランド「CygamesEdge」。スローガンは「Stay on the edge.(尖り続けろ。)」。

 

 その「CygamesEdge」第1弾タイトルとして発表されたのが『崩落の国』です。(2026年11月5日発売/体験版が配信中)

 「CygamesEdge」ブランド、『崩落の国』プロデューサーを兼任する濱田修一郎氏に、ブランドの設立経緯からゲームデザインの細部までお聞きしました。そのインタビューPart2をお届けします。

息を呑むほどの高度感と切なさ。記憶に焼き付く“絵画のような”情景を求めて

――開発体制についても教えてください。内部開発と外部開発の連携はどういった形になっているのでしょうか。

濱田
企画の原案やレベルデザインについては、原案者が実際にレベルデザイナーとして参加して、全て作っているという形です。社内では私も企画に入っていますし、アートのサポートが社内の主な役割で、プログラムやディレクション、アートの実装などは開発会社さんに担っていただいています。

――独特のビジュアルスタイルも本作の大きな特徴ですが、アートの方向性はどのように固まっていったのでしょうか。

濱田
元々コンセプトアートとキャラクターデザインを、『ゴジラ-1.0』などさまざまな映像作品を手がけている白組さんの花房真さんというアートディレクターの方にお願いしていました。色合いや質感を詰めてもらい提案していただいて、それを元に開発会社のアートディレクターが「実際に3DCGに落とし込むならこんな感じでどうでしょう?」とやり取りしながら詰めていった形です。

 規模としてはインディーと呼ばれるような小さなものではないですが、それでも弊社の他プロジェクトと比べるとかなり小さな予算と短い期間でやっているので、普通に作るとなかなか難しい。CGやルックのクオリティは予算と期間の効果が一番出やすい部分なので、どこに落ち着けるのかは最初の段階でかなりディスカッションしました。

 ベースはフォトリアル調の頭身なんですが、背景にもキャラにも少し絵画フィルターのような塗りのフィルターがかかっていて、ちょっと絵っぽく見えるようにしています。


 ただ、フィルターを強くしすぎたり、一般的なポストエフェクトできれいに見えるとされる被写界深度を浅めにしたりすると、高さ感が出なくなってしまうんです。ですので、被写界深度は深めにしていて、カットシーン以外ではほとんど遠景のぼかしをかけていない状態にしています。

 そういったバランスも含めて、いわゆる雰囲気ゲーのジャンルのルックとしては、それなりに個性のあるものになっているのではないかと自負しています。

足がすくむほどの「生きた恐怖」と、言葉を持たない忌み子と紡ぐ不器用な絆

――本作で最も”尖っている”部分を教えてください。

濱田
やはり降りていくというアクションにフォーカスしているので、その部分での尖りを最大化したという意識があります。そのために、あえてキャラクターの挙動を生身っぽくしているんです。

 今の一般的なアクションゲームは小回りが利いてキュッキュッキュッと動く挙動になっていることが多く、最初はそのノリでやっていたんですが、どうも全然怖くなくて。

 細い足場に行っても普通にキュッと乗れてしまうから、だんだん全然物足りなくなってきて。これは大丈夫なのか? と、α版ぐらいの段階で思いまして、ちょっと作り直そうという話になりました。

 いろいろと試行錯誤した結果、ちょっと滑ったり、体が振れたりする、動きの慣性が強めの生身っぽい挙動にすることで、同じ場所を降りていても「肝が冷える」感覚が生まれるようになったと思います。社内では“チンさぶ感”と呼んでいたのですが(笑)、それが上手く落とし込めたのではと思っています。

――ストーリーのみどころやキャラクター2人の関係性について教えてください。

濱田
ストーリーも原案者が元々温めていたものをベースに、このゲームにフィットするように調整したものになっています。基本的には言葉はほとんどなく字幕は出ますが独自の言語で描かれていて、特殊な言語で展開しています。

 主人公はいろいろあって愛娘を失った男となりました。ある出来事から忌み子(いみご)に出会いまして、その見た目の中に亡き娘の面影を見てしまって感情移入してしまう。そこから一緒に下層に向けて旅が始まるというのが物語の核になっています。

▲白髪の透明感がある“忌み子”。

――トーンとしては明るい結末なのでしょうか?

濱田
シビアというよりはちょっと切ない感じの終わりにはなるかもしれないですね。もちろん、途中で打ち解けていくところがあるからこそ、最後の切なさに繋がるといいなとは思っています。

 実は開発が中盤くらいまで進んでから、忌み子の存在感が少し弱いよねという話題が出たんです。ギミックとしては色々あるんですが、単なるガジェットとして背負ってるだけになっていないか、インタラクションがあまりないよね、という意見が出まして。それで、後からセリフを入れたり、インタラクションする場所を増やしたりしました。

 忌み子は忌み子だけの言葉を話し、主人公と言葉は通じていないので、言葉を超えたコミュニケーションではあるのですが、そういったところを補強していきました。忌み子と主人公がハイタッチするようなシーンも後から入れたもので、プレイした人が「あの辺がよかった」と言ってくれたので、ホッとしました。

――体験版は難易度が高いようですが、本編の難易度はいかがでしょうか。

濱田
本編のメインストーリーの難易度としては、普段ゲームをプレイされている方であれば、そこまで難しいと感じる箇所は少ないんじゃないかと思います。アクションがあまり得意でない方でも、5時間くらいあればクリアできる難易度感にはなっていると思います。

 原案者的に『崩落の国』はアクションではなくてアクションアドベンチャーだ、という思いが強いんです。アドベンチャーはこういう難易度であるべきだ、というレベルデザイナーとしての強い思いがあって、それを尊重した形になっています。ちょっとしたルートの探索といった遊びも含めて、ユーザーが飽きずにプレイできる構成にはなっていると思います。


 僕の中ではストーリーモードのアクションが少し地味だなと思ってしまっていまして。世に出ているものと比べて、ユーザーさんが感動するものに仕上がっているのか? という迷いがあったのは事実です。開発チームはずっと遊んでいると上手くなってきて、「これ、なんかタイムアタックするの面白くね?」みたいな感じになっていたんですね。

 いちばん上手い人だと1時間15分くらいでクリアできてしまって。なので、クリア後のタイムアタックモードを用意して、降りていくアクションをレース的に楽しめる高難易度のものがあった方がいいんじゃないかということで実装しました。ですので、体験版の難易度は本編をクリアした人を前提にしているので、最初から遊ぶ方にとっては少し難しく感じるかもしれません。

 ただ、最近のインディー市場で出回っているゲームのトレンドとしてもちょうどいい難易度感になっているのかなとは思っています。

※インタビューPart3は近日公開予定です。

『崩落の国』とは

 地上が穢され、人々が世界樹の枝に国を築いた世界。崩落が始まるなか、ひとりの兵士は「忌み子」と出会い、地表を目指して降りていく。風を読み、花を咲かせて着地点を作る「フラワーダイブ」で道を切り開く、ドラマチック崩落アクションアドベンチャー。


■発売日
2026年11月5日

■価格
1,100円(税込)

■ジャンル
ドラマチック崩落アクションアドベンチャー

■対応プラットフォーム:
PC(Steam)、PlayStation5、Nintendo Switch 2

■対応言語
日本語、英語、中国語(繁体字)、中国語(簡体字)、韓国語

■プレイ人数
1人

■レーティング
IARC 12+

■発売
株式会社Cygames

■開発
CygamesEdge/株式会社ゼレオ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

公式SNS