マダガスカル発のPS5/Switch/Steam用アクションADV『Kalanoro(カラノロ)』の開発者インタビューをお届けします。

『カラノロ』は、マダガスカルの民話と活気あふれるアートにインスパイアされた世界・レムリアを舞台にしたアクションアドベンチャーゲームです。主人公の“カラケリー”を操作し、自身の髪やさまざまな武器を活用してバトルを繰り広げることになります。
本作の開発スタッフにインタビューを敢行。本作を開発することになった経緯や、舞台となったマダガスカルの文化について伺いました。
“マダガスカル”という少々なじみのない地域の文化について知ることができますので、ぜひチェックしてください!
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『カラノロ』開発者インタビュー
――まずは回答者のお名前と役職を教えてください。
こんにちは! 私たちは、2021年に設立されたマダガスカルのインディーゲームスタジオ“Red Raketa Studio”です。
私たちは、プログラミングやゲームデザイン、アート、コンテンツ制作など、さまざまなバックグラウンドを持つメンバーが、共通の“ゲームへの愛”によって集まった小さなチームです。
当初はわずか3人でスタートしましたが、『カラノロ』の開発期間中に徐々に拡大し、最終的には8名のコアメンバーからなるチームへと成長しました。そして、メンバーの多くにとって『カラノロ』は人生で初めて手がけるビデオゲームでもあり、本当に大きな冒険の連続でした。

ここで、Red Raketa Studioを支えるメンバーをご紹介します。
・Steevie Harifidy RASOANAIVO(スティーヴィー・ハリフィディ・ラソアナイヴォ)
共同創設者 / ゲームデザイナー / 戦闘ゲームプレイプログラマー
・Dina Valisoa RATSISETRAINA(ディナ・ヴァリソア・ラツィセトライナ)
共同創設者 / ナラティブデザイナー / リードレベルデザイナー
・Luana Karen ANDRIAMAMONJY(ルアナ・カレン・アンドリアマモンジー)
共同創設者 / プロデューサー
・Richard NAVALONA(リシャール・ナヴァロナ)
マネジメントゲームプレイプログラマー / 移植担当
・Irchad THONG SANG(イルシャド・トン・サン)
ゲームシステム・インフラストラクチャプログラマー / 移植担当
・Roddy Razafindrakoto NIRINA(ロディ・ラザフィンドラコト・ニリナ)
リード3D生成 / 環境デザイナー
・Volahary RAKOTONDRAMANANA RABEHARISOA(ヴォラハリ・ラコトンドラマナナ・ラベハリソア)
プログラマー
・Levi-stéphane Andrianavalona RAKOTOARIMANANA(レヴィ=ステファン・アンドリアナヴァロナ・ラコトアリマナナ)
レベルデザイナー
もちろん、『カラノロ』の開発は上記コアメンバーだけで成し遂げられたものではありません。開発期間を通じて、アニメーション、3D制作、コンセプトアート、UI、サウンドデザイン、音楽などの分野で才能あふれる約10名のマダガスカル人の友人やフリーランスクリエイターの皆さんにもご協力いただきました。
私たちは全員、「マダガスカルから世界へ向けて、記憶に残るゲームを生み出したい」という共通の目標を原動力にしています。そして、マダガスカルで生まれたゲームを世界中のプレイヤーに届けることを目指して活動しています。
――本作を作るきっかけとなったマダガスカルについて、その魅力を教えてください。
それは難しい質問ですね。なにしろ、マダガスカルには魅力的なものが本当にたくさんありますから!
私たちが最も魅力を感じているのは、おそらくその驚くほど豊かな環境の多様性です。ターコイズブルーの海が広がるノシ・イランジャのような美しいビーチから、まるでファンタジー世界から飛び出してきたかのような壮大な石灰岩地帯ツィンギーまで、さまざまな景色を楽しむことができます。そして、私たち自身にとっても、いまだに新たな発見が尽きることはありません!

もちろん、生物多様性も大きな魅力です。マダガスカルには数多くの興味深い生き物たちが暮らしています。さまざまな種類のキツネザルはもちろん、バオバブや“旅人の木”として知られるラヴィナラといった象徴的な植物もあります。そして、“ラケタ・メナ(raketa mena)”と呼ばれるウチワサボテンも忘れてはいけません。

ちなみにちょっとした豆知識ですが、私たちのスタジオ名である“Red Raketa”は、この“ラケタ・メナ”に由来しています。マダガスカル語で“赤いサボテン”を意味する言葉です。
しかし、マダガスカルの魅力は自然だけではありません。文化や民間伝承、伝統、音楽、そして食もまた大きな魅力です。ラヴィトゥトのような郷土料理から、コバのような伝統的なお菓子まで、ぜひ多くの人に知ってほしいものがたくさんあります。実際にその一部は『カラノロ』にも取り入れています!

そしてもちろん、マダガスカルの人々の存在も欠かせません。温かさや親切さ、おもてなしの心は、訪れた人々がよく印象に残るものだと思います。そして、それこそが私たちにとってマダガスカルを特別な場所にしている大切な要素のひとつです。
こうした数々の魅力が、私たちにさまざまな形でインスピレーションを与えてくれています。『カラノロ』では、現実のマダガスカルをそのまま再現するのではなく、その精神や魅力の一端を表現したいと考えました。そのため、ユーモアと想像力にあふれた、私たちなりのカラフルなファンタジーアドベンチャーの世界を作り上げたのです。
そして、『カラノロ』をきっかけに、誰かがマダガスカルについてもっと知りたいと思ったり、いつか実際に訪れてみたいと感じてくれたりしたなら、それ以上にうれしいことはありません!
――インスパイアされたというマダガスカルの民話は、どのようなお話なのでしょうか。
マダガスカルの民間伝承には、不思議な生き物や精霊、そして自然界にまつわる魅力的な物語が数多く存在します。その中でも、私たちが特に興味を惹かれたのが、もちろん“Kalanoro(カラノロ)”でした。

“Kalanoro(カラノロ)”は一般的に、深い森や川辺に住む、小柄で毛深い神秘的な存在として語られています。伝承によっては幸運をもたらしたり、人々を助けたりする一方で、いたずら好きで謎めいた存在として描かれることもあります。中には、足が後ろ向きについているため、その足跡を追うのが非常に難しいとされる物語もあります!
実は、私たちが“Kalanoro(カラノロ)”に惹かれた背景には少しおもしろいエピソードがあります。共同創設者でありナラティブデザイナーでもあるディナは、昔から「隣人が“Kalanoro(カラノロ)”を飼っている」と本気で信じていたのです!
私たちは、こうした不思議な存在をカラケリーとその冒険の出発点としてとても魅力的だと感じました。ただし、『カラノロ』は特定の伝承をそのまま再現した作品ではありません。私たちは民間伝承から着想を得つつも、独自のファンタジー世界やキャラクター、そして物語を自由に創り上げました。
私たちが目指したのは、この文化的なインスピレーションに敬意を表しながら、マダガスカルの民間伝承について事前に知らない人でも楽しめる、わくわくするような冒険を作ることでした。
――本作の魅力を表現するために、特にこだわったポイントを教えてください。
私たちが特に重視したことのひとつは、『カラノロ』をまず何よりも“遊んで楽しいゲーム”にすること、そして同時に作品独自の個性を持たせることでした。
私たちは『クラッシュ・バンディクー』や『Rayman(レイマン)』のようなクラシックなプラットフォームアクションが大好きなので、カラケリーの操作感をレスポンスよく、気持ちよく動かせるものにすることをとても大切にしました。また、バトルについてもスピーディーで表現力豊か、そして少しハチャメチャなものにしたいと考えていました。髪を使った特殊能力に加え、フライパンやスリッパといった一風変わった武器も登場します!
一方で、ゲームプレイだけでなく、世界観やキャラクターづくりにもたくさんの愛情を注ぎました。特に、キツネザルのミュージシャンたちを作り上げる過程はとても楽しい経験でした。彼らには、マダガスカルに生息するあまり知られていない種や絶滅の危機に瀕している種の個性を反映させています。


また、音楽は本作のアイデンティティを形作る重要な要素となりました。キャラクターや物語、そして私たちの愛する“タクシー・ブルース(乗り合いバス)”での旅全体をつなぐ役割を果たしています。

そのため私たちは、『カラノロ』をカラフルでユーモアにあふれた冒険として作り上げたいと考えました。そして、マダガスカルの文化や伝承から得たインスピレーションを、単なる装飾としてではなく、ゲーム体験そのものに自然に溶け込ませることを目指したのです。
――アクションや強化方法がシャンプーなど“髪”にまつわるものになっていますが、これはどういった着想から生まれたのでしょうか。
“Kalanoro(カラノロ)”は一般的に、小柄で毛深く、どこか謎めいた存在として語られています。そこで私たちがカラケリーを考えたとき、彼女の豊かな髪を単なる見た目の特徴に留めず、もっとおもしろい要素にできるのではないかと考えました。
『カラノロ』はアクションアドベンチャーゲームであるため、カラケリーの戦闘スタイルはスピーディーで表現力豊か、そして少し型破りなものにしたいと考えました。その結果、髪が彼女の主な武器となり、敵をつかんだり、自ら敵へ飛びかかったり、さらには敵同士を一時的に戦わせたりすることができるようになりました。
そしてもちろん、髪が最大の武器なら、しっかりお手入れしなければなりませんよね? そこで登場するのがシャンプーです!
冒険を進める中で、カラケリーは特別なシャンプーを入手し、新たな髪の能力を解放していきます。私たちは、シャンプーのような身近なものを魔法の戦闘強化アイテムに変えるというアイデアをとても気に入っていました。

これは、私たちなりの遊び心あふれる“Kalanoro(カラノロ)”の解釈です。小柄で、とてつもなく毛深い主人公がどんな活躍をできるのか想像するのは、本当に楽しい作業でした。
――テンポのいいアクションゲームでありながら、プレイしているとゆったりとした気持ちに浸れる不思議な感覚があります。これは意図して狙われた演出なのでしょうか。
はい、もちろんです! 『カラノロ』は何よりもまずアクションアドベンチャーゲームですが、最初から最後まで休みなくアクションが続くような作品にはしたくありませんでした。
私たちは、本作の体験全体が音楽とともに旅をするロードトリップのようなものになってほしいと考えていました。刺激的な瞬間がある一方で、旅そのものや、小さな仲間たちとの時間をゆったりと楽しめる穏やかなひとときも用意したかったのです。
そこで重要な役割を果たすのが“タクシー・ブルース(乗り合いバス)”です。探索やプラットフォームアクション、戦闘の合間には、キツネザルのバンド仲間たちと一緒に過ごし、小さなアクティビティを通じて彼らの世話をしたり、心地よい音楽を聴いたりしながら、次の冒険に向けて準備を整えることができます。

また、アクションだけでなく探索にも十分な価値を持たせたいと考えていました。プレイヤーが景観を楽しみ、私たちがレムリアの世界に散りばめた細かな要素を発見できる機会を作りたかったのです。
私たちにとって、このような緩急のある構成は、冒険を単なるステージの連続ではなく、仲間たちとともに歩む旅のように感じられるものにしてくれます。そして、世界を救う使命を背負った小さく毛むくじゃらの主人公にも、ときにはひと息つく時間が必要なのです!
――本作のユーザーへメッセージはありますか。
私たちは、自分たちの初めての作品が世界中のプレイヤーの皆さんに届いていることを、心からうれしく思っています。特に、この冒険が始まった場所や環境を思うと、その喜びはひとしおです。
まず何よりも、皆さんがレムリアの世界を探検し、個性豊かなキャラクターたちと出会い、そこで巻き起こる楽しくてにぎやかな出来事の数々を存分に楽しんでくださることを願っています。
そして、『カラノロ』を通じて、マダガスカルやその文化、伝承、音楽に少しでも興味を持っていただけたなら、私たちは本当に特別なことを成し遂げられたと感じます。
私たちの大切な『カラノロ』を皆さんのもとへ迎え入れてくださり、本当にありがとうございます!
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