アニエスやティズにまた会える! でも、初めて遊ぶ人も大事に。スクエニ新作RPGのつくり方【BDBLインタビュー】
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スクウェア・エニックスのiOS/Android用RPG『ブレイブリーデフォルト ブリリアントライツ』。その開発者インタビューをお届けします。
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本作のプロデューサーである小松陽平氏と、家庭用ゲーム機向けの『ブレイブリー』シリーズ作品すべての開発に携わってきた髙橋真志氏に、シリーズのスマホ向け新作『ブリリアントライツ』のお話を聞く本インタビュー。今回は、主にストーリーやキャラクターの制作秘話を中心にお届けしていきます。
原作では見られなかった時間軸のお話がここに!
――これまでのシリーズの歴史をへて新たに登場する『ブリリアントライツ』ですが、作品の方向性についてお聞かせください。
小松陽平氏(以下、敬称略):『ブリリアントライツ』はシリーズ10周年記念企画として、遊び・見た目・お話どれも過去作に見劣りしないクオリティで作り上げています。とくにモバイル市場は、シリーズを知らない方もお客さんとして強く意識する必要があるので、シリーズ未プレイの方も楽しんでいただけるよう心掛けています。
物語はいわゆるifストーリーで、エクシラント大陸、ルクセンダルクの他、新たな舞台としてヴェルメリオ大陸を加えて、そこでルーツの異なる4人が主人公となって物語が展開していきます。
――シリーズのキャラクターは、“来訪者”としてこの世界に登場するようですね。
小松:はい。もといた世界からワープしてやってくるような設定です。ユーザーのなかには、シリーズのキャラクターはどの時点から飛ばされてきたのか気になっている方もいるかと思います。例えばティズは『フライングフェアリー』の序盤の彼とエンディングの彼ではまったく違いますからね。
キャラクターがどの時点からやって来たのかは、作品単位ではなくキャラクター単位で細かく決められていて、ゲーム内でも明かす準備をしています。ここは整合性を取るのが難しいデリケートな部分で、本音を言うと触れたくないポイントだったのですが、シリーズの年表をバッチリ押さえている網代(シナリオライターの網代恵一氏)さんのおかげで実現できました。
CBTの時点でもさまざまなキャラクターをお見せしましたが、サービス開始後はもっと増えていきます。ファンの方がアッと驚くようなキャラクター追加もありますので、お楽しみに。
――アプリにおける前作『フェアリーズエフェクト』はネットゲームのようなシステムでしたが、『ブリリアントライツ』はCBTを遊ぶ限り1人用RPGに振り切っている印象がありました。
小松:そうですね。『フェアリーズエフェクト』はまさにMMOで、マルチプレイありきで遊びが成り立つくらいのシステムに振り切っていました。ですが、『ブリリアントライツ』は“シリーズ集大成”というのがコンセプトだったので、過去作の追体験を重視して基本的なシステムは1人用で作っています。
ただ、『フェアリーズエフェクト』のときに感じた“ユーザーさんたちの横での繋がり”は大切にしたかったので、マルチ要素のあるバトルコンテンツやギルドを作成してメンバー間でチャットをするといった機能は盛り込んでいます。
髙橋真志氏(以下、敬称略):浅野チームの恒例行事として、年末年始にユーザーさんが送ってくれた往復はがきを年賀状にして返すというイベントをやっているのですが、ここ数年は『フェアリーズエフェクト』に関するメッセージも多かったです。「あの作品で『ブレイブリー』シリーズを知った」「ゲーム内で仲のいい友達ができた」といった嬉しい声を見るたびに、『フェアリーズエフェクト』が残した功績は大きかったなと感じています。
『ブリリアントライツ』は、『フェアリーズエフェクト』を遊んでくれた人たちが帰ってくるような場所にもなってほしいですね。
――1人で楽しめるRPGということで、コンシューマライクに作る必要があったと思いますが、これまでコンシューマ版を担当してきた髙橋さんからアドバイスをもらうことはありましたか?
髙橋:僕が率先してアドバイスするようなことはありませんでした。システムに関してもほぼノータッチです。
小松:髙橋さんには主にストーリーのほうで多く相談しました。『ブリリアントライツ』では、物語の導入をどう描くかがプロジェクトの課題でもありますので、これには相当頭を悩ませましたので……。
これまでのシリーズがクロスオーバーするオールスターゲームではあるものの、本作でシリーズに初めて触れる方のために物語は新しい舞台を軸に一から展開したいというのがありました。
そこにこれまでのシリーズの世界も含めてどのように説明して、どういう風に情報量のバランスをとるのか……髙橋さんはプレイヤー側の視点から物語の作り方を考えて、話を整理するのがとてもうまいので、大変良いアドバイスをいただきました。
髙橋:ゲームを始めてすぐの導入で、その世界やキャラクターを好きになってもらうにはどうしたらいいか。このあたりはたしかにアドバイスしましたね。語るべきことは山ほどありますけど、見境なく詰め込んでも遊ぶ側がしんどいだけなので。「最低限ここまでは語ったほうがいいよね」「ここから先は知りたい人だけ知ればいいんじゃない」という風に、プレイヤー目線での感想をやんわり伝えました。
――CBTでは序章がヴェルメリオ大陸、1章がエクシラント大陸、2章がルクセンダルクのお話……と展開していきましたが、その後も同じように3大陸を転々としながら進むのでしょうか?
小松:はい。過去作の舞台であるルクセンダルクとエクシラント大陸のお話では、ワープする時間軸も注目ポイントです。原作本編とは異なる時間軸を主人公たちが訪れて、例えば、これまでテキストでしか語られなかったような場面もイベントシーンになって描かれることを検討しています。
髙橋:異なる時間軸のひと間が見られるのは僕も感動したところで、あんなキャラクターやこんなキャラクターの幼い頃が見られたのは嬉しかったです。ちゃんとキャラクターのモデルも作り込んであるので、シリーズファンにはたまらないんじゃないかと!
小松:ファンが見て喜ぶポイントも盛り込んではいますが、あくまで本筋の物語や主人公4人はオリジナルなので、シリーズを知らない人も安心してプレイしてください。逆に『ブリリアントライツ』を通じて過去作に興味がわく人もいると思うので、フックとなるような仕掛けはあれこれ入れています。
シナリオは「網代さんがそう言うのなら…」のノリで制作!?
――主人公の4人を生み出すうえで、とくに心掛けた点はありますか?
小松:メインキャラクターの4人は、過去作を彷彿とさせるような役割といいますか、性格づけを行っています。例えばクレアは初代主人公のティズを思わせる、どこか掴みどころがないような、プレイヤーの分身として感情移入しやすくなるようなニュートラルな雰囲気にしています。
そんなクレアを支える主人公メンバーは、知性と冷静さを持ち合わせるルーファス、騎士道を重んじる姉御肌のサンドラ、クールで一見ワルだが根はいいヤツのスティールです。
それぞれの個性の強さ、4人パーティで見たときのバランスのよさなどは、『ブレイブリー』らしさともいえるようなものを取り入れようとしています。シリーズ未経験の方も、シリーズファンの方も主人公4人それぞれのキャラクター性や、彼たちの新しい物語を楽しんでもらいたいです。
――あとは4人を導く妖精としてルミナがいますが、シリーズをプレイしていると妖精というだけで少し身構えてしまいます……(笑)。
小松:気持ちはわかります(笑)。でも、過去には『フェアリーズエフェクト』のリンネのようないい子もいましたから。ルミナがどんな妖精なのかは、ぜひ実際にプレイして確かめてください。
――『ブレイブリー』シリーズは敵側にも魅力的なキャラクターが多いので、本作でも楽しみです。
小松:そこもまさに注目してもらいたいポイントで、敵側の4将などはプレイアブルキャラクター並にデザインや設定を凝っています。CBTに登場したスコーピオン・ビリーも、序盤のライバルキャラクターとして重要な役どころなので目が離せませんよ。
――シナリオについてはやはり網代さんの尽力が大きいと思いますが、最初にオールスターゲームのシナリオにすると網代さんに話したときの反応はいかがでしたか?
小松:まあ、怪訝な顔をされましたね(苦笑)。あれだけたくさんのキャラクターがいるのに整合性はどうするのと。『フェアリーズエフェクト』のときも網代さんはシリーズの年表をまとめていて、細かい出来事までしっかり把握されていたので、『ブリリアントライツ』でもその力を借りることになりました。たぶん、網代さんは僕も把握していない小ネタをシナリオのなかにたくさん仕込んでいると思うので、シリーズファンは楽しみにしていてください。
――過去作のキャラクターのシナリオを扱ううえで、髙橋さんや浅野さん(『ブレイブリー』シリーズ総合プロデューサーである浅野智也氏)の監修などはあったのでしょうか?
髙橋:いえ、基本的には網代さんに一任しています。セスやグローリアなど『ブレイブリーデフォルトII』のキャラクターは、並行して開発していた関係で僕らのほうが詳しかったので、チェックする機会は多くなりましたけど。『フライングフェアリー』『ブレイブリーセカンド』『フェアリーズエフェクト』といったルクセンダルクの作品は、僕らより網代さんのほうがはるかに詳しいので、キャラクター感や会話のノリなどはお任せです。
たまに「あれ、このキャラクターって、こんなこと言ったっけ?」と思うような部分を網代さんに確認することはありましたが、きちんと過去のシーンを例に挙げて証明してくれるので言うことがありません。アニエスの「ティズがそう言うのなら…」じゃないですけど、「網代さんがそう言うのなら…」みたいな感じで納得しています(笑)。
キャラクターの扱いはお任せでしたが、会話内の情報の出し方については少しチェックしました。ゲームの導入のところでもお話しましたが、“この時点で知るべき情報”と“今はまだ知らなくても大丈夫な情報” の区分けをプレイヤー目線で提案しています。
小松:髙橋さんたちには、キャラクターの中身よりもモデルの監修を多く頼みましたね。3DS時代のキャラクターを新しいグラフィックで作り直すのは想像以上にたいへんで、理想的なデフォルメ具合にたどり着くまで難航しました。
※CBTからの主な改善点は、公式サイトにまとめられています。
髙橋:僕らが監修する段階ですでに5回ぐらい作り直していると聞いたので、難しいのだなと感じると同時にキャラクターを大事にしていることに感謝しました。小松さんたちが苦労したかいあって、シリーズキャラクターのモデルはファンが見ても違和感ないクオリティに仕上がっているかと。
――『オクトパストラベラー 大陸の覇者』ではリリース時からエンディングまで遊べるというのが衝撃的でしたが、『ブリリアントライツ』でもエンディングのようなものはすでに構想されているのですか?
小松:ストーリーの着地点については考えてあります。ただ、リリース時からエンディングまで遊べるというようなボリュームではなく、そこはアップデートで少しずつ開放していく形になります。
『BDBL』の主人公たち
本作におけるオリジナル主人公や妖精のルミナについて紹介します。なお、公式サイトでは全身イラストや詳細情報、サンプルボイス、紹介映像、ゲーム内の戦闘シーンなどを確認できます。
クレア(声優:楠木ともり)
プロフィール
「錬金の街ブラス」の出身の錬金術師。光の球によって被災したピラミッドの調査に向かい、スティール、サンディ、ルーファス、ルミナと出会う。
錬金学の研究と食べること以外、あまり頓着せず、茫洋として見えるが、いざとなったら相当に頑固。仲間をよく観察していて、変調などを誰よりも早く察知する反面、危険に対する察知能力はあまり高くはない。
紹介映像
スティール・フランクリン(声優:斉藤壮馬)
プロフィール
錬金の街ブラスに住んでいる用心棒、兼遺跡ガイド、交渉人。
かつては盗賊団の一味だったが、足を洗ってまっとうな生業(本人談)についている。クレアのピラミッド調査に護衛として同行し、地下神殿でサンディ、ルーファス、そしてルミナと運命的な出会いを果たす。
胸元に蜘蛛の形をした火傷の痕があり、小柄な体形に似つかわしくない長剣を腰に佩いている。
紹介映像
サンドラ・カサンドラ(声優:伊藤静)
プロフィール
近しい者からはサンディの愛称で親しまれている。ルクセンダルクの冒険家を名乗り、常に大剣を片手にパーティの前面に立って仲間を守り通す頼り甲斐のある女性。
光の球でヴェルメリオ大陸にやってきて、ピラミッドの調査に訪れたクレアたちに加勢して運命の出会いを果たす。
普段は気風のいい姐御肌だが、尊敬できる人や目上の者にはきちんとした敬語を使い、礼儀正しく振舞う。
紹介映像
ルーファス(声優:近藤隆)
プロフィール
エクシラント大陸、魔法の国ウィズワルドからやってきた魔法学者で、一時はかの地の魔道研究所にも在籍していた。雷撃の呪文を得意としているが、大の静電気嫌いで、体中に避雷の装飾をつけ、常に保湿を心掛けている。
サンドラと同様、光の球でヴェルメリオ大陸にやってきて、ピラミッドの調査に訪れたクレアやスティール、ルミナとの運命的な出会いを果たす。
紹介映像
ルミナ(声優:沢城みゆき)
プロフィール
羽がある自称「錬金の妖精」。ランタンのような器に常に閉じ込められている。
地下神殿の最奥にある「賢者の間」で数千年もの間、深い眠りについていたところ、ピラミッドの調査に訪れていたクレアたちによって発見された。
古の大錬金術師の啓示を受けたクレアたちが、崩落に巻き込まれるのを救う。世界の災厄を取り払うために、8つの世界に向かって「クリスタルの息吹」を手に入れるよう、いざなう。
紹介映像
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