『スパロボ30』最上Pが語ってくれた発売後の反応とユーザーへの感謝【スパロボ30周年記念連載:2】

まさん
公開日時
最終更新

 最新作『スーパーロボット大戦30』の発売とともに、今年で生誕30周年を迎えたバンダイナムコエンターテインメントの『スーパーロボット大戦(スパロボ)』シリーズ。

 シリーズの生誕30周年を記念して、3名のキーマンにインタビューを行う特別企画の第2弾として、今回は『スーパーロボット大戦30』のプロデューサー・最上頌平さんにお話をうかがってきました。『スーパーロボット大戦30』の見どころとともに、ご覧ください!

  • ▲『スーパーロボット大戦30』プロデューサー・最上頌平さん。

関連記事

開発期間、規模ともに大規模だった『スパロボ30』発売を迎えて

──最上さんは『スパロボ』シリーズに携わって今年で5年になりますが、まずはどのような形で『スパロボ』シリーズに関わるようになったのか。そこから教えてください。

最上さん:会社員なので、大枠は辞令だと思って貰えれば、ほぼ合っていますね。ある時異動になり、選択肢の中から前任の佐竹さん(※1)が私を選んだという感じです。

(※1:佐竹伸也氏……『スーパーロボット大戦V』に関わられていた、最上さんの前任にあたるプロデューサー。最上さんは、佐竹さんから指名された形で『スーパーロボット大戦X』以降のプロデューサーとしてシリーズに関わっている)

──歴史の長い『スパロボ』シリーズに関わることになり、最上さんとしてもプレッシャーを感じる場面や気を付けていることがあると思いますが、シリーズをプロデュースするうえで心がけていることを教えてください。

最上さん:歴史の長いゲームなので、私が担当するはるか昔から、お客さんの中に「これが『スパロボ』」というイメージが固まっていると思っています。それを尊重することは心がけています。私の思う何かを一方的に押し付けるということは、やっていないつもりです。もっと遊べる仕様などを付加するという方向での考え方ですね。

 わかりやすいところで言うと、『スパロボT』での“難易度追加・強化上限解放”や“エキスパンション・パック”については、私から開発にお願いして皆さんの手に届いている部分になります。

──これまでにどのような流れでゲーム業界に入り、『スパロボ』に関わるまではどのようなお仕事をされていたのでしょうか。

最上さん:新卒でグループに入りまして、会社の統合で旧バンダイナムコゲームス所属になりました。会社を含めてゲーム業界という意味で言うのであれば、入社からですね。入社後としては、いろいろやりました。東京ゲームショウ(TGS)でチラシやうちわを配っていたこともありますよ。

──最上さんがこれまでお仕事で関わってきたなかで、一番印象深い『スパロボ』を聞いてもよろしいでしょうか? また、『スパロボ30』が無事に発売された今の心境と、ユーザーからの反応を見たうえでの感想も教えてください。

最上さん:やはり直近であったことと、開発期間、規模ともに大きかったので、『スパロボ30』は印象深いです。『スパロボ30』は、比較的印象が近い『スーパーロボット大戦V』、『スーパーロボット大戦X』、『スーパーロボット大戦T』の据え置き型スパロボから、また違うシステムやシナリオの形態を取り入れた新たな『スパロボ』となりました。

 『スパロボ30』はここ数年取り組んできたプロジェクトですので、初出前は受け入れてもらえるか不安な部分もありました。ですが、7月11日に行ったイベント“スーパーロボット大戦 鋼の超感謝祭2021”のタイミングで一定の支持はいただけそうだな、とわかったことで安堵したところはあります。一方で、発売後はバグ周りでユーザーの皆さんが思ったように遊べていない状況がでており、その点はたいへん申し訳なく思っています。

──先ほども遊べる仕様を付加する方向性というお話が出ましたが、そういった意味で『スパロボ30』での新しい“AUTOバトル”や、シナリオの“タクティカル・エリア・セレクト”などが、これまでにない方向性での新要素ですね。今回は、こうした新要素が多く取り入れられていますが、ユーザーからの反応はいがかでしたか?

最上さん:賛否はありつつも、好評寄りであるというふうに捉えています。まず、“AUTOバトル”についてはヘビーに遊ばれる方は要らないし、使わないものだとも思っています。一方で「すごく使っています」という声もあるので、入れてよかったなと。“タクティカル・エリア・セレクト”については、開発から提案があったときに「良さそうだけど、本当にできるの?」と思いました。そのあたりは、さすが名倉さん(※2)というところですね。

(※2:名倉正博氏……近年の据え置き型『スパロボ』でシナリオライターを務めているディレクター&シナリオライター。『スーパーロボット大戦Z』シリーズではディレクターも務めており、筆の速さに定評のある実力者。)

──現在のスパロボはスマートフォンの『スーパーロボット大戦DD』と、据え置き型スパロボの2本柱といった状態で運営されていますが、オオチさんや寺田さんを交えた相談や話し合いなども頻繁に行われているのでしょうか。

最上さん:寺田さんは、どちらにも入っていますのでもちろんあります。大枠での情報交換という意味では週次でありますが、私が『DD』に対してなにか言ったり、逆にオオチPが『スパロボ30』に対してなにか言ったり、ということはないですね。

担当ライターが語る『スパロボ30』の見どころ:タクティカル・エリア・セレクト

 今回の『スパロボ』で本当に驚いたのが、“タクティカル・エリア・セレクト”。『スーパーロボット大戦コンパクト』シリーズのようなシナリオ選択制と、『スーパーロボット大戦Operation Extend』のフリーステージを合わせたような物かな……と思っていたら、全然違いました!

 物語が進む“キーミッション”以外に、仲間が加入するサブシナリオをある程度自由に選択できるのですが、加入する順番で会話に参加するキャラクターが変わるので、シナリオの印象が全然違うんですよ。何より驚いたのが、DLCの使い方。

 これまでにも『スーパーロボット大戦 リンクバトラー』で加入した追加機体には加入時のみイベントがあったり、初回特典でついてきた機体が序盤で会話に参加するといったことがありましたが、今回はちゃんとシナリオに参加します。序盤からちょくちょく絡む!

 しかも、戦闘での台詞にも対ボス用の特殊台詞が用意されていました。

  • ▲個人的にどう扱うのか気になっていた『サクラ大戦』も、自然な感じでストーリーに関わってくるのでビックリ! まず、大神さんをしっかり描写してくれたのもうれしい!!

 加入の仕方も一気に加わるのではなく、段階を踏みながらシナリオの一員として入ってくるのでとても自然です。1周目はDLCなしで遊んでもまったく違和感がないのですが、2周目をDLC入りで遊ぶとプレイフィールが全然違ってくると思いますよ。今回のDLCキャラは、いるだけ参戦ではないのです。このシステム、なかなか侮れませんね。

海外のユーザーも、ロボットアニメや過去の『スパロボ』が好き

──近年では生放送を見ても海外ユーザーからの反応がとても大きなものとなっていますが、日本のユーザー層と海外で大きく違うと感じた面や、逆に日本のファンと共通していると感じられたところはありますか?

最上さん:全然違うということはなくて、ロボットアニメや過去の『スパロボ』が好きという面では共通しています。違いを上げると、「このアニメは●●年代の作品だから、このくらいの年齢層に人気がある」という感覚が、海外の場合はずっと再放送をしているといった理由で日本と異なることがあり、最初は戸惑いました。

 あとは、驚くほど『スパロボ』のことに詳しい方もいます。日本と同じようにゲシュペンストがサプライズ参戦した時、海外でも喜んでくれていたことが興味深かったですね。

──ちなみに、最上さんご自身が最近注目されているゲームやアニメなど、『スパロボ』以外で気になっている物を教えていただいてもよろしいですか?

最上さん:直近は発売前後の対応であまり触れていませんが、2021年くらいの範囲でいうと、『サイバーパンク2077』と『Winning Post 9 2021』は楽しくプレイしました。まだプレイできていませんが『パワプロクンポケットR』も落ち着いたらプレイしたいと思っています。

 あとはちょっと先ですが『ELDEN RING(エルデンリング)』でしょうか。映像としては『フリー・ガイ』が、ゲームを題材としているところもありおもしろかったですね。

──今回、30周年となる『スパロボ30』が発売されましたが、これからの『スパロボ』はどうなっていくべきか。最上さんとして、今後どのような『スパロボ』を作っていきたいか。今、考えておられることをお答えください。

最上さん:あまり、先のことをお話するのは難しいのですが……。多くの方の応援があれば、次にも繋がるものと思っています。

──最後に、これから『スパロボ30』を買うユーザー。すでに遊んでいるユーザー。そして、30周年を迎えたスパロボファンに向けてメッセージをお願いします。

最上さん:アンケートやSNSでの書き込みでも、最近までしばらく遊んでいなかった方々が久々に触っていただけているのを感じられており、非常に嬉しく思っています。とくに、「久々にプレイしたけど遊びやすくなっている」といった声は励みになりますね。『V』『X』『T』とブラッシュアップされた部分も反映されていますので、そこはずっと応援してくれていたユーザーと一緒に作ってきた部分でもあると思っています。建設的なフィードバックをしてくれるコアなファンの皆さんには、改めてお礼を伝えたいです。

 『スパロボ30』は30周年の記念作として10月28日に発売され、現在(※インタビューを行った2021年11月30日時点)はDLC①まで配信しております。難しいのではないかと思う方のために、これまでよりも気軽にプレイできるように工夫をしています。体験版もありますので是非お試しください。このインタビューが出る頃には“スーパーエキスパートモード”として、より高難度のモードも出ておりますので、歯ごたえが欲しいという方はそちらでプレイいただければと思います。

担当ライターが語る『スパロボ30』の見どころ2:超絶進化の戦闘アニメーション

 『スパロボ』と言えば戦闘アニメ。毎回、毎回グリグリ動くアニメーションが魅力的ですが、今回も恐ろしいほどにしっかり動きます。とくに、新規参戦作品のアニメーションは感動のひと言。必殺技でリアルサイズのカットインが自然に入って、なんかもう戦闘アニメというよりもアニメです。

  • ▲「いっけー、グリッドマン!」とアニメを見ていた人も納得させる、演出やモーションのこだわりっぷりが素晴らしい。

 そのなかでも、私のイチオシは『SSSS.GRIDMAN』。原作でもアニメだけど特撮っぽいアングルや躍動感のある動き。人間がなかに入っていそうな“わかってる”動きが特徴なのですが、ちゃんと『スパロボ』でもその心意気を再現しています。いい。

 本作ならではのアカネの出番も最高でしたね。確かにそういう行動を取るし、あんな場面でも出てきそうだし、引っ掻き回すようなことを言うだろう、と納得できる使い方。もちろん、ほかの作品もクロスオーバーが上手いです。シナリオはもちろん、戦闘アニメの部分でもロボットアニメ好きならワクワクしてしまう『スパロボ30』。単体の作品として本作から遊んでも問題なく入れるので、初めての人にもオススメですよ!

関連記事

©天酒之瓢・主婦の友社/ナイツ&マジック製作委員会
©CLAMP・ST/講談社・TMS
©サンライズ
©SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design ©2006-2017 CLAMP・ST
©SUNRISE/PROJECT L-GEASS Character Design ©2006-2018 CLAMP・ST
©SEGA
©創通・サンライズ
©創通・サンライズ・MBS
©創通・フィールズ/MJP製作委員会
©円谷プロ ©Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi ©ULTRAMAN製作委員会
©円谷プロ ©2018 TRIGGER・雨宮哲/「GRIDMAN」製作委員会
©東映
©永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会
©永井豪・石川賢/ダイナミック企画
©1998 永井豪・石川賢/ダイナミック企画・「真ゲッターロボ」製作委員会
© 2005 AIC・チームダンチェスター/ガンソードパートナーズ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら