『FF7』25周年特別企画。後世に語り継がれる名作を電撃メンバーが振り返る【周年連載】

電撃オンライン
公開日時
最終更新

 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 本稿で祝うタイトルは、1997年1月31日にPlayStation用ソフトとしてスクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売された『ファイナルファンタジーVII』(以下、FF7)です。

 『FF7』は、人気シリーズ『ファイナルファンタジー』のナンバリング7作目。3Dポリゴンを使ったグラフィック、自由にカスタマイズできるシステム、やり込み可能なさまざまな要素などから大きな話題となりました。

 全世界で1370万本を超える大ヒットを記録。さまざまな賞を受賞するだけでなく、ユーザーやクリエイター、ゲーム業界に多大な影響を与え、いまでも人気のタイトルです。

 以下では、電撃の編集、ライターがタイトルの魅力や当時について振り返ります。また後半にはスクリーンショットや設定イラストを掲載します。

 なお、掲載は編集者、ライターの五十音順。

あの日、南君に会わなければエアリス派になっていたかもしれない 文:ophion

 『FF7』と言えば思い出すのが、発売から間もないころ「吉田、ふざけんな……」と悪態をつきながら学校で机を蹴っていた南君の姿。

 話を聞くと、エアリスに関する文字通り“致命的”なネタバレを食らったそう。まだ多くの人が“忘らるる都”にたどり着いていないころで、エンディングに関するガセネタが山ほど飛び交っていました。

 そんな中、真実を聞かされたエアリス派の南君の悲しみと怒りはどれほどのものだったのか……当時の南君以外に知る由もありません。

 自分が『FF7』をプレイしたのは、そんな一連のやり取りがあって少したってから。ですから、始める前からエアリスと物語のラストを知っていたんですよ。

 ひとつの重要なネタバレを抱えたままのプレイ。エアリスと出会ってもチラつくのその後の展開ばかりでした。レベルを上げても……いい装備を渡しても……仲よくなっても……。

 当時エアリス派とティファ派が激しい争い(?)を繰り広げていましたが、結末を知っていたせいでどうしても魅かれるのはティファばかり。“忘らるる都”で“あのシーン”を見ても、すでに知っていたこともあって、思っていたほどには感情が揺さぶられず。

 ただ、時々思うんですよ。もしも、あの時、南君が吉田君の机を蹴っているところに出会わなかったらって。エアリスへの先入観がないまま遊んでいたら、もしかするとティファよりもエアリスに魅かれていたかも!?

 初プレイのもったいない体験を、ズルズルズルズルと今も引きずっています(笑)。

部活の時間もゲームが気になっていた 文:kbj

 『ファイナルファンタジー』シリーズは好きでしたが、『FF7』発売当時は別のタイトルをやっていたこともあり、すぐに購入しようとは思っていませんでした。

 ただ、ゲームショップに入った時に友だちが「3枚組で7000円ってことは、1枚あたり2300円で遊べてお得だし、買おうぜ!」と言ってきたわけです。「データ量の問題でわけているわけだし、プレイ時間が等分されているわけでもないから、その計算はおかしいだろ……」と冷静に突っ込みつつ、すでに遊んでいる彼をそこまで熱くさせているわけだし、世間の波に乗ってみるかと思い、購入しました。

 結果、続きが気になる物語、迫力あるグラフィック、豊富なミニゲームややり込めるシステムで、すっかりのめり込みましたね。

 当然のように学校でも話題で、休み時間だけでなく、部活の最中にも話題は『FF7』一色。「あそこまで進んだ」や「あのマテリアが強い」や「隠し召喚獣がいる」など、先輩後輩関係なく、ずっと話していました。正直な話、部活をさぼってゲームを進めたいと何度も考えたものです。


 個人的に印象的だったのは、豊富なやり込みです。マテリアの育成から始まり、チョコボ育成、さらにはGバイクやスノーゲーム、潜水艦ゲームにコンドルフォートなどなど、別ジャンルの楽しさを味わえるミニゲームがとにかく多くて、驚きました。

 3Dのミニゲームとの相性がよかったのか、どれもクリアできたので、「ケーキ出すから俺の家でクリアしてくれよ」とか「メモリーカード渡すので、あのアイテムを入手してほしい」などと頼まれたのもいい思い出です。

 エアリスがレア武器“アンブレラ”を装備して、究極リミット技の“大いなる福音”を使えるようになっている自分のセーブデータが、友だちの中で回っていたこともありましたね。

 広大な世界を旅するタイトルはさまざまなありますが、フィールドを走り回った時にあれほどに感動したのは本作だけだと思います。あの時に、リアルタイムでプレイするきっかけを与えてくれた友だちに、改めて感謝したいですね。

グラフィックの進化だけでなく、RPGとしてのおもしろさも大きく進化させた名作!! 文:Go

 『FF7』は、最初のPS版をリアルタイムで経験しました。本当に衝撃的で、これまで経験したことのないまったく新しいゲーム体験だと感じていました。あの頃のことは、25年経ってもハッキリ思い出せますね。

 当時は美麗なフィールドとか3Dポリゴンによるバトルとか、ビジュアル的な進化が話題になり、実際その点はすごかったのですが、それだけでなく、純粋にRPGとしてのおもしろさがたっぷり詰まっていて、とにかくやり込み度が高かったことも魅力だったと思います。

 特にマテリアシステムは、キャラクターの育成&カスタマイズのシステムとして画期的な内容で、現代でも十分通用するものだと思います。実際『ファイナルファンタジーVII リメイク』でも採用されていましたし。

 さらに、チョコボの育成をはじめとする多彩なミニゲームなど、本筋以外の楽しみも山盛り用意されていて、遊び方の幅がとにかく広かったのもポイントですね。これだけ贅沢なゲームって、現代でもなかなかないと思います。

 そしてもう1つ、個人的に大きかったのが、ユフィの存在! 性格も見た目も性能も全部ツボで、あれだけゲームキャラクターに入れ込んだのは初めてでした。今でも好きなゲームの女性キャラクター1、2位を争う存在です。当時、ユフィとデートができると聞いて、オープニングからゴールドソーサーまでを何度も何度も繰り返しプレイしたのも、いい思い出です。

 そんなPS版『FF7』は25年前の作品ですが、その後の『ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレン』を始め、関係作品はすべて追いかけてきているので、今もまだまだ現役バリバリの作品だと思っています。

 今後も関連作品は続いていくと思うので、しっかり追いかけていきたいと思います!

プレイするたびに戦慄に近い感動を与えてくれる作品 文:スズタク

 『FF7』25周年、おめでとうございます! オリジナル版は相当な時間遊びましたが、その後しばらくしてゲームアーカイブス版をPS3でプレイし、数年後に今度はPS4版も購入して没頭しました。やはり真の名作というのは、歳月をへて何度遊んでもおもしろいものですね。

 オリジナル版を初めて遊んだ子どものころは、細かい部分には目もくれず、とにかくド派手な要素に心を奪われていた記憶があります。思わず動きをマネしたくなるクラウドのリミット技“超究武神覇斬”や、スケールの大きさを見せつけた召喚獣“バハムート零式”などが特にお気に入りで、子ども心に「このゲーム、ヤベー!!」と興奮していました。

 大人になってから本作をプレイしてみると、カスタマイズの自由度が高いマテリアシステム、練り込まれたストーリー、各種ミニゲームやサブイベントの作り込みなど、あらゆる方面のクオリティの高さに気づいて脱帽。子どもの時は全然意識していませんでしたが、あらためて見直すと危険な描写満載の“蜜蜂の館”も衝撃的で「このゲーム、作り込みの深さがヤバい……」と再認識したものです。

 なお蜜蜂の館に関しては、のちに『FFVIIリメイク』で別ベクトルの“ヤバさ”を発揮しましたが、それはまた別のお話。

 年月を重ねてたくさんのゲームをプレイすればするほど、『FF7』というRPGが秘めた原始的なおもしろさや、プレイヤーを惹きつける魅力の多さに気づかされます。また5年後ぐらいに、ストーリーを思い出しがてらオリジナル版を遊び直したいですね。

自分の中で止まったままの『FF7』 文:西岡美道(電撃ゲームメディア総編集長)

 『FF7』はお祭りだった。ゲーム業界全体でターニングポイントとなったが、自分にとっても人生のターニングポイントになった。

 当時の自分はフリーランスのゲームライターで、ページ単価5,555円で仕事をしていた。“ペーペーからいっぱしになりかけ”ぐらいなレベル。『FF7』の攻略記事が始まるタイミングで『電撃PlayStation』の担当編集から声がかかった時は本当にうれしかった。

 電撃に出入りするライターにとって、ビッグタイトルの記事制作チームに入れてもらうことは憧れだった。「何をさせてもらえるんだろう!」とドキドキしながら会議に出たら、自分の仕事はモンスターのデータ取りだった。

 フィールドでモンスターと戦って撮影し、“みやぶる”で詳細を書き取って、データとして記事に書くお仕事。それを何十体とやる。先のエリアに行かないと新しいモンスターは出てこないから、ストーリーも進める。ストーリー攻略は担当ではなかったけれど、発売前にサンプルロムで『FF7』をプレイできる喜びを感じていた。

 『FF7』のストーリーはダーク寄りで全体に暗い影を落としたお話だった。3Dになり、ムービーによる演出もふんだんに挿入され、見たことがない新しさと挑戦的なストーリーが強烈に記憶に残り、今でも熱狂的に愛されているのだと思う。

 実は自分のプレイはラストダンジョンの最終決戦の前で止まっている。エンディングまでやっていない。仕事としてなめ尽くすようにプレイしたからなのか、終わらせるのが嫌だったのか……理由はいまでもよくわからない。

 ただ、自分の中では『FF7』は終わっていない。『リメイク』を楽しみにしているのは、改めて『FF7』をプレイして、やっと結末を見届けられるという気持ちがあるのかもしれないなぁと思ったりなんかしたり。

時代の最先端を走る『FF7』を全力で追いかけた日々 文:編集S

 今から26年前、1996年2月、ゲーム業界に激震が走りました。スクウェア(現スクウェア・エニックス)のPlayStation参入とそれにともなう“FF7始動。”の一報です。  

 『ファイナルファンタジー』は『I』から『III』まではファミコンで、『IV』から『VI』まではスーパーファミコンで発売され、スクウェアは任天堂ハードにおける看板メーカーでした。そのスクウェアがPSに参入するというのは、かなりの衝撃。当時、『電撃PlayStation』編集部の一員になったばかりの私はそれを目の当たりにしました。

 その翌年、満を持して発売された『FF7』は、新時代の到来を告げるものでした。

 オープニングの地上を歩くエアリスの姿から、カメラが流れるように魔晄都市ミッドガルを俯瞰でとらえ、そこに重なるタイトルロゴ、列車が時おりカットイン……の一連のシーンがめちゃめちゃかっこよくて、一瞬で引き込まれました。

 そして、そこから流れるように始まるバトルと探索のテンポのよさ、初めて見る立体的でリアルな3Dグラフィックに驚かされました。

 また、闇を抱えた主人公クラウド、悲劇的な運命を持つエアリス、謎の多い強キャラのセフィロスなど、それまでの常識を覆すキャラクターもとても魅力的。彼らは今もさまざまな派生作品で活躍していますね。

 結果、『FF7』は爆発的に売れて、PS本体の売れ行きが飛躍的に伸び、当時のPlayStation、セガサターン、NINTENDO64による、いわゆる次世代ゲーム機戦争の行方を決定づけることになります。『電撃PlayStation』も売り上げを伸ばしました。『FF7』の特集、とくに攻略特集を組んだ号は劇的に売れましたね。

 攻略特集は、毎号時間との戦いでした。当時は何もかもアナログで、手間がかかったものです。マップの作成は、実際にフィールドを少しずつ移動しながら撮影した画像を、プリントアウトして手作業で貼り合わせて、地図の形にしていました。

 モンスターデータの調査も地道な作業。最近のゲームのように、登場モンスターの詳細を一覧で見られる機能はないので、“みやぶる”と“ぬすむ”のマテリアを付けて、モンスターのHP、MP、弱点、盗めるアイテム、落とすアイテムを調べまくりました。

 約300体というモンスターの撮影は、当時若手ライターだった西岡さん(『電撃PlayStation』3代目編集長)に、お願いしたのもいい思い出です。当然スクリーンショット機能はないので、1体1体モンスターの出現場所でエンカウントして、ビデオプリンターで撮影していました。かなり大変だったと思います。おつかれさまです。

 攻略のスクープネタで思い出すのがデートイベント。普通にプレイしていると、相手はエアリスかティファになったと思いますが、実はユフィと、さらにバレットともデートできるというウワサを聞きつけました。今ならインターネットで簡単に検索できますが、当時はまだまだ一般に普及していませんでした。

 聞き込みを重ね、編集部と付き合いのあるイラストレーターの方がバレットとデートしたと聞き、深夜にお邪魔して取材したこともありました。

 いろいろと目の回る忙しさでしたが、楽しい日々でした。頑張れば頑張っただけ、雑誌の売り上げにつながる、いい時代でした。ゲーム業界も出版業界も熱い時代でしたね。

 残念ながら『電撃PlayStation』は定期刊行を終了しているため、攻略特集を組むことはかないませんが、『FF7 REMAKE』の続編の発売を待っています。これからもずっと『FF7』が何らかの形で続いて、後世に語り継がれますように。

メテオ級の衝撃に編集部が震撼! 文:ライターM

 こんな煽り気味の見出しを書いても過言ではないほどに『FF7』の登場は衝撃的でした。

 インターネットどころか携帯電話すら一般的ではなかった当時、とある深夜の特番であのティザー映像が流れました。その時に、編集部に居合わせた人間はもれなくブラウン管に釘付けとなって、不気味な魔晄炉からカメラがズームアウトしてタイトルロゴが流れるまでの数分間、仕事の手を止めていたという、異様な光景を思い出します。

 ゲームとしての細かな評価は長くなるので割愛するとして、思い返せばとにかく時間泥棒なタイトルでした。先の読めない展開が矢継ぎ早に続いたかと思えば、映画さながらの盛り上がりがあり、最終的に惑星の運命を云々というストーリーの壮大さには愕然。

 RPGとしてもレベリング一辺倒かと思いきや、ミニゲームはあるわ、マテリア集めはあるわ、はては隠し召喚獣に海チョコボなどなど、細かな要素をかすっていったらいくら時間があっても足りません。

 当時はヒロイン人気も話の種で、ティファ派とエアリス派、さらにはユフィ派にレッドXIII派まで入り乱れての推し語り。エアリスとの離別は何かと物議を醸しましたが、そこを含めてなんともカオスな熱狂ぶりでした。

 余談ですが、ティファ派の筆者としてはエアリスとの別離よりも、ライフストリームに落ちてクラウドが廃人になって以降の怒濤の展開&ティファとの深まる絆を思うと目頭が熱くなります。

イラスト、スクリーンショット集






























(C) 1997, 2019 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN: TETSUYA NOMURA
LOGO ILLUSTRATION: (C) 1997 YOSHITAKA AMANO

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

関連する記事一覧はこちら