『ファイナルファンタジータクティクス』25周年記事。ラムザとディリータの生き様を描いた名作【周年連載】

信濃川あずきタダツグ滑川けいと
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 あの名作の発売日から5年、10年、20年……。そんな名作への感謝の気持ちを込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。

 今回お祝いするのは、スクウェア・エニックスから1997年6月20日に発売されたシミュレーションRPG『ファイナルファンタジータクティクス(以下、FFT)』。大国イヴァリースで起きた“獅子戦争”を終結に導いたとされる英雄ディリータと、歴史上で名が語られることのなかった若者ラムザという2人をとおして、歴史の“真実”が明かされていきます。

 重厚なストーリーに加えて、シミュレーションのおもしろさを味わえるタイトルです。

 20種類以上のジョブ(職業)に、400種類以上のアビリティ(魔法を含む特殊能力)を自由に組み合わせてキャラクターを成長させることができます。またバトルシーンでは3Dの世界に時間の概念を取り入れた“4Dバトル”を堪能できます。

 以下では、タイトルを愛する編集、ライターが魅力や当時の思い出について振り返ります。

 なお、掲載は編集者、ライター名の五十音順です。

 現在『FFT』はゲームアーカイブスで配信されている他、新ムービーや新ジョブなどの追加要素を盛り込んだ『ファイナルファンタジータクティクス 獅子戦争』が、PSP及び、iOS/Androidで配信中です。

神曲でじっくりたしなむ大人向けの名作 文:信濃川あずき

 『FFT』の25周年、本当におめでとうございます。『FFT』という作品が生まれたことにより、以降の25年間の人生における楽しみが増えたことは確かです。感謝を込めて、『FFT』の素晴らしいポイントをご紹介します。

 25周年と聞いて、「あれ、そんなに経ったっけ?」と一瞬フリーズしました。サウンドトラックを現役のiPhoneに入れて今も聴いているのですがサウンドの質、心にヒッタヒタに染みまくる楽曲のすばらしさが色あせることなく、まったく古さを感じません。神曲に次ぐ神曲なんです。なおゲーム中は、この壮大なサウンドに「キャー」という敵を倒した時の悲鳴SEが乗るのが大好きです。

 まだサウンドトラックCDは手に入りますしサブスクでも聴けますので、ぜひ本作の楽曲を堪能してください。ただし出勤中に聴くと、ななめ移動ができず動きがカクカクして周囲に不審がられる可能性があります。もちろん、外で聴く時は安全のためにイヤホンを外部音取り込み設定にしてくださいね。

 美しいBGMに乗せて、移動範囲や出せる攻撃を考えながらじっくりとボードゲームのように遊ぶ時間は至福。そもそもタクティクスという言葉はチェス用語で“戦術”を意味するとのこと。遊ぶというより“たしなむ”と言うほうがふさわしい、『FF』ファンもアナログゲームファンも取り込む傑作です。

 筆者は学生時代にハマりましたが、落ち着いて遊びたい大人にもおすすめできる作品です。はやりすたりのないゲームシステムは、いつ始めても夢中になれるはず。まだ遊んだことのない方は、どうか一度触れてみてください。

25年の月日を経てなお心の中で輝く、今さら疑うまでもない名作 文:タダツグ

 『ファイナルファンタジータクティクス』リリース25周年おめでとうございます。

 タクティクスRPGのバトルシステムでバリバリのファンタジーストーリーを楽しめた本作は、思い出補正も手伝って今でも大好きな逸品。発売日に学校をサボって買いに行き、さまざまなキャラが織りなす群像劇に心躍らせ、ご飯も食べずに夢中でプレイしたことを覚えています(確か翌日も学校をサボった)。せっかくの25周年ということで、今でも印象に残っているアレコレを端的に列挙してみますね。

心を射抜かれた「今さら疑うものか! 私はお前を信じる!!」

 コレは外せません。主人公・ラムザが不本意ながらも隠し続けてきたある秘密が暴露された時の騎士アグリアスのセリフ。それが「今さら疑うものか! 私はお前を信じる!!」です。

 権力争いに巻き込まれ、さまざまな人々に裏切られて利用されているオヴェリア王女。そんな彼女の側近として、人間の醜い部分をずっと目の当たりにしてきたアグリアスが、ラムザが秘めてきた大いなる隠し事を突き付けられ、それでも彼を信じることを宣言するこのセリフ。

 文字どおり、稲妻に打たれるほどのインパクトがありましたよ。彼女が使いこなす“聖剣技”でいえば、無双稲妻突きに心ごと貫かれたというか……。まあつまるところ、僕はこの一言でアグリアスに惚れてしまったわけです。単純にね(笑)。

 何しろラムザ(=プレイヤー)自身、信じていたものに裏切られまくった末の重大局面だったので、彼女の言葉は驚くべき速度で深く心に染み込んできました。僕が凛とした女性騎士に心惹かれる性癖になったのは、間違いなくアグリアスさんのおかげといえます。25年経った今でもそこは変わらないわけで、彼女には感謝しかない。

時間の概念も計算に入れる必要がある奥深いバトル

 本作はバトルシステムも特徴的でした。とりわけ印象深いのは、アビリティを使用する時に“チャージ”の概念が存在することです。魔法を使うのに詠唱時間が、物理攻撃の大技を繰り出すにはタメ時間が伴うといえば、理解しやすいでしょうか。『FF』シリーズのアクティブアイムバトルを彷彿とさせるシステムとして、当時はかなり斬新でした。

 こやつがなかなかクセモノで、強力なアビリティほどチャージタイムが長かったりするため、ある程度戦況を見渡す戦術眼が重要になってきます。わりと力任せに局面を乗り切るタイプの僕にとって、本作のバトルはかなり手ごたえがありましたね。ぶっちゃけ、召喚獣はチャージタイムが長すぎて使いこなせませんでしたし(苦笑)。

 まあ、算術士や忍者といった強力なジョブを使えるようになったら、一気にラクになるわけですけど!

ゲーマーの心をくすぐるチャプタータイトル

 細かい部分ではありますが、全4章で構成される本作のチャプタータイトルも印象に残っていますね。

チャプター1:“持たざるもの”
チャプター2:“利用する者される者”
チャプター3:“偽らざる者”
チャプター4:“愛にすべてを”

 「~もの」縛りとちゃうんかいッ! というツッコミはさておき、これら4つ……なかでも“愛にすべてを”という最終章のタイトルは本当にお気に入りです。「SOMEBODY TO LOVE」。Queenが歌う名曲と同様、僕のなかのナニカをくすぐる不思議な魅力が込められたタイトルと言えるでしょう。麗しきかな兄妹愛!

 ……上に書いたこと以外にも、思い出に残っているものはたくさんあります。崎元仁さんと岩田匡治さんが手掛けた、めちゃくちゃかっこいいサウンドとか(サントラはまだ実家に保存してあります)。すべての物理アタッカーを過去にする雷神シド×エクスカリバー無双の衝撃とか(それでも僕はアグリアスを使い続けたけど)。ランダムエンカウントで丘の上から見下ろしてくるチョコボの群れへの恐怖とか(ボスより怖かった)。アルマのカワイさとかとかエフェクトのカッコよさとかエンディングの絶妙なビター加減とか……もう挙げていったらキリがない。

 そういえば『ファイナルファンタジーVII』とのコラボで、あちらの主人公であるクラウドがゲストキャラ的に登場するのもうれしかったです。あくまでゲストポジということで能力的に強すぎもせず、かとって使えなくもないという絶妙な塩梅の能力だったのもシブくてよかった。

 あれからもう25年か……。そりゃあ僕も歳をとるわけで(笑)。死ぬ前にもう一度、異世界イヴァリースを舞台にした『ファイナルファンタジータクティクス』の続編を(できればコンシューマ機で)遊びたいものだと、オチも何もない駄文を書きながら強く思いました。

 気長にお待ちしておりますので、スクウェア・エニックスさん、どうぞよろしくお願いします!

育成の楽しさとセリフの言い回しに心をつかまれた『FFT』 文:滑川けいと

 『FFT』の発売は、筆者が中学生のころ。それからもう25年も経ったんですね。25周年、おめでとうございます。

 『ファイナルファンタジーVI』で初めて『FF』シリーズに触れた筆者は『ファイナルファンタジーVII』にハマり、クリア後は遡って『ファイナルファンタジーV』をプレイしていました。そこで知った“ジョブチェンジ”というシステムのおもしろさ。

 そんな時に発売されたのが本作です。ユニットのジョブチェンジができると知り、すぐに購入を決めました。見習い戦士や弓使い、召喚士など多彩なジョブがあり、ひとつのジョブにつきさまざまな“アビリティ”を習得できます。

 ただ、アビリティの習得には“JP”が必要となり、そこまで簡単にはたまりません。コツコツためたJPで何を覚えるか悩んだのも、いい思い出です。……結局はすべて覚えるんですけどね。

 とはいえ、序盤に相手の攻撃を封じてカウンターを行うモンクのアビリティ“ハメドる”を覚えた時は、その効果と習得に必要なJPの高さも相まって、「これで最強だぜ!」と喜んだ記憶があります。

 覚えた各ジョブのアビリティをある程度好みでセットできるのもポイント。白魔道士に“黒魔法”をセットして攻撃魔法もできるようにしたり、“Move+2”をつけて移動できるマスを多くしたりと、カスタマイズできます。ユニットを育てれば育てるほどカスタマイズの幅が広がるので、育成が楽しくてランダムバトルばかりしていました。

 また、本作をプレイしていて一番好きだったのは、アビリティ発動時のセリフです。アビリティの中には、使用時にセリフを言うものもあるのですが、それが当時中学生だった筆者に刺さりまくりました。

 特にシビれたのはモンクの拳術“地烈斬”。「大地の怒りがこの腕を伝う! 防御あたわず! 疾風、地烈斬!」……今書いてみて思ったのですが、やはりカッコいいですね。当時は学校で友人とめっちゃ言い合っていました。いかにも“必殺技!”って感じで、文字として見ただけでもすごく胸が躍るんですよ。

 ストーリー中のキャラクターの言い回しも素敵なのですが、個人的にはこのアビリティ発動のセリフも注目して欲しい部分です。

 今回筆者の好きな部分に絞ってお伝えしましたが、本作はシステムだけでなく、世界観やBGMなどどこをみても素晴らしいタイトルで、今でも色あせない名作だと思っています。現在アプリで『FFT 獅子戦争』がリリースされており、スマホで気軽にプレイできるので興味のある方はぜひ触ってみてほしいですね。

スクリーンショット




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