『機動戦士ガンダム 水星の魔女』19話感想&考察。スレッタと食にまつわるシーンにほっこり。その一方でプロスペラやミオリネは…

てけおん
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 5月28日に放送&配信されたアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』第19話(Season2 第7話)“一番じゃないやり方”の感想や考察をお届けします。

【追記】プロスペラの“復讐”の対象についての考察など2カ所を追記しました。

【注意】キービジュアルより先のテキストでは、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』19話の物語に関する記述が多々あります。そのため本編をご覧になってから読むことを強くオススメします。

プロスペラとエアリアル、スレッタの別れは結果としてよかった方向に?

 今回の話で、スペーシアンとアーシアンの間にある溝は決定的になってしまったように思います。

 その端緒となったのがプロスペラとエアリアルによるもの……。見終わったところで思うこととしては、プロスペラとエアリアルが18話でスレッタを突き放したのは、結果だけ見るとベターだったのかなと思えてしまいました。

 だってもしもあのままスレッタが地球に降りていたら、ミオリネとって絶望的な事態をエアリアルが引き起こした時に、そのコックピットにいたのはスレッタだった……ということだって考えられますからね。

 それはそうとしてスレッタ。存外にタフな精神しているなと思いました。冷蔵庫をあさっているシーンをチュチュに見つかって引っ張ってこられる様子は思わず笑ってしまったくらいです。お腹にハムを抱えてましたし。何かを食べるのは生きることの基本で、冒頭で食欲がなかったスレッタが立ち直ったことを示しているように思えました。この学園(というか地球寮)にスレッタを残したプロスペラの見立ては結果として正しかったと言えそうです。地球寮を訪ねたプロスペラが寮のメンバーとどんな会話をしたのか、めちゃくちゃ気になります。

 それはさておき、明るいところで、友人とともにいつもより豪勢な朝食を囲むスレッタ。スープを味見して涙するシーンで思わずこちらもグッと来てしまいました。瞳の上半分が写っていなかったのも印象的でしたね。

 この作品において“食べること”というのはひとつのキーワードなのかもしれません。1話のトマトに始まって、2話での強化人士4号の差し入れ、15話で無理やり食べ物を口に詰め込まれるグエル、18話の冒頭で普段よりもたくさん食べるスレッタも。19話冒頭では逆に“食欲がない”という見せ方でスレッタが傷ついたことを表現。どれも記憶に残るシーンばかりです。

 朝食で笑顔を取り戻したスレッタは、マルタンの言葉がきっかけとなって、エアリアル=エリクトが自分を突き放した意図を理解しました。“何もわかっていなかったこと”がわかったスレッタですが、次回以降どう動くのかが気になるところです。

 本作では物語の進行にあわせてOPが変わっていくのは皆さんお気づきかのことかと思いますが、次回あたりエアリアルを不安げに見上げるスレッタの描写が変わっていたり……? なんて妄想してしまいました。 

つながっていく点と線

 まさかここからか! ……という感じでした。15話でグエルと面識があることが描かれた少年・セドの何気ない一言からシャディクがプラント・クエタやオープンキャンパスでの出来事に関わっていたことが明らかになりました。

 筆者は前話のセセリアとマルタンのやり取りから……と、ニカのことを経由してシャディクの企みにつながっていくのかと想像していましたが、外れてしまいました。

 グエルとケナンジはシャディクを追い詰めることができるのでしょうか? そう簡単にはいかなさそうに思えますが……。その理由は後述。

 あ。そういえば筆者はここでケナンジとオルコットが出くわしたりするのかな~と思っていましたが、そうはなりませんでしたね。

プロスペラの怒りの向く先は?

【追記その1】

 10話の感想で書いたように、“フォルドの夜明け”の背後にはオックス・アースがいました。ウルとソーンがガンダム・ルブリス量産試作モデルをベースにした機体であることから、これは容易に想像できる範囲ではあったなと。

 またオックス・アースは宇宙議会連合の工作組織になっていることが判明したり、連合の中にもベネリットグループを衝突込みで強引に抑え込もうとする派閥と、そうした衝突を防ぎたいと考えている派閥がいると明らかになったりました。

 そんな中、19話でプロスペラがガンダム・ルブリス量産試作モデルを破壊する時にこう言いました。

 「GUNDの理念を踏みにじった大罪人」
 「今度はエリィの未来を邪魔するなんて……許せないわよね」

 と。このセリフがめちゃめちゃ気になりました。筆者はここまで、デリングこそがプロスペラにとって夫やヴァナディース機関の仲間を失った復讐の矛先であると考えていました。ですがこれはひょっとして違うのでは……? むしろGUNDを軍需産業に取り込んだオックス・アース、もっと言うなら軍需産業に携わる意思決定を下した人間こそが彼女にとって最大の復讐の対象なのかもな、と。

 だからと言って、無論デリングを恨む気持ちがゼロだ……とは断言できません。単に優先順位などの話で、ある目標――クワイエット・ゼロの実現などのためにデリングを利用しているだけとも考えられますし。

 現時点では憶測の範囲を出ないものではありますが……。今後物語が進んで、宇宙議会連合やオックス・アースについての話が出てくればもっと明らかになるのかもしれません。

 こちらは余談ですが、6話冒頭でプロスペラとベルメリアが会話した際、プロスペラは「ベルはヴァナディースの遺志を継いだのね」と語りました。今にして思うと、何か含みがあったような言い方にも思えますね。

その他気になったこと

●今回もセセリアとマルタンのやり取りが描かれました。こうしてみると、意外とセセリアの言葉は、マルタンが行動するきっかけになってはいるように思えました。さらにはマルタンの言葉でスレッタも気付きを得たようで……。こう考えると起点となったセセリアって超重要な立ち回りをしているんじゃ? と思えてきますね。

●今回ミオリネは、GUND医療という自分の持つ最高の手札を切って交渉をしました。プロスペラのせいでおじゃんになってしまいましたが、存外うまくいっていたのに驚いたというか、それほどGUNDによる義肢の技術は魅力的なのでしょう。アーシアンの現状が見て取れるように思いました。

 作中で交渉団も戦争シェアリング――アーシアンを苦しめている最たる利権構造に触れていましたが、社会的な構造を変えるには、結局のところ戦争シェアリングをどうにかするしかないのでしょうね。だからこそシャディクもそうした部分に踏み込んだのでしょう。もっともミオリネは今回、そうした社会構造を変えようとして交渉に臨んだわけではないでしょうが、結果としてそれが一番の近道なのかもしれません。

【追記その2:GUND医療やカルド・ノヴァ博士が遺したメッセージについて】

 ただ、GUND医療に関して物語的な面で言うと、カルド・ノヴァ博士が遺したビデオメッセージの言葉も気にかかるんですよね。それは「GUNDには生命圏の拡大だけでなく、地球と宇宙、双方の分断と格差を融和する可能性をも秘めています」というもの。ここを突き詰めていくと、戦争シェアリングからの脱却というものも見えてきたり? カルド・ノヴァ博士が言っているものがクワイエット・ゼロのことなのか、はたまた別のものなのかわかりませんが……。GUNDに関する謎はまだまだ多いですね。

●武力衝突のニュースを見た時のニューゲンの表情が硬いことが気になりました。これは何かあるのでしょうか? エランは「ガンダムでアーシアンをつぶせばミオリネの支持、増えたりしてね」なんて言っていましたが、もちろんこれは冗談の類。成果を上げられなかったミオリネの評価は落ちてしまうことでしょう。

 総裁選という観点から見ると、そのこと自体はペイル社にとって悪い話ではないのでしょうが、グループに対するダメージを憂慮したのでしょうか? それ以外にも何かが? ……なんとも引っかかる表情でした。

●冒頭のゴドイとプロスペラのやり取りが気になりました。ゴドイの言う“位置情報”というのは、ガンダム・ルブリス量産試作モデルが多数保有されていた施設のことでしょう。「議会連合にかぎつけられた可能性が……」というゴドイに対してプロスペラは「いよいよね。準備を進めてちょうだい」と返します。今回のクイン・ハーバーで起きた出来事は、まだ始まりに過ぎないということなのでしょう。

●スペーシアンであるミオリネは交渉の場に立ったアーシアンと手を重ねることができましたが、結果として交渉は失敗に終わってしまいました。それとは別の形でスペーシアンとアーシアンが手を重ねている様子がフォーカスされたのも印象的でした。そう、強化人士5号とノレアです。

 データストームによってやがてもたらされる死の恐怖を抱えた者同士。ソフィが死んでしまった今、ノレアのもっとも近くにいてその恐怖を一番理解できるのがアーシアンであるニカではなく、別の共通項――ガンダムのパイロットであること――があるスペーシアンの5号(彼の出自が明かされてはいないので、スペーシアンではない可能性もありますが)だったという……。

 出自よりも現在の立ち位置のほうが時として相手のことを理解すること(これは“仲よくなる”ということを意味しません)の役に立つ、ということを描いたシーンでした。

 こうして考えると、ミオリネが挑もうとしている交渉が本当に困難であることを示しているように思えました。ミオリネとアーシアンの前にはそうした共通項がありません。プロスペラの行動のせいで、今回の交渉は決裂し、デモによる暴動を抑えるどころか激化する形になってしまいました。これで終わり……ということもないでしょうが、どうなるでしょうか?

●ペイル社に続いてジェターク社もガンダムを作っていました。となるとグラスレー社も(というかシャディクも)ガンダムを保有していても不思議じゃないような気がします。

 前話でシャディクと宇宙議会連合がつながっていたことが明らかになりました。その連合は工作組織としてガンダムを製造できるオックス・アースを抱き込んでいるわけで、連合からシャディクにガンダムが供与されていてもおかしくないなと……。

 プロスペラが18話で「ガンダムが欲しいなら損壊していても……」「それとも回収されると何か不都合があるのかしら?」と畳みかけた際、シャディクは笑みを浮かべるだけでした。もちろんガンダムから自分につながることを想定したうえで“工作は完璧ですよ”という笑みだとも考えられますが、“もうガンダムはあるからいらないんですよ”と見ることもできるような……。これはあくまで想像にすぎませんが。

●「グエル、汚したな。ミオリネを」というシャディクのセリフ……。未だにミオリネに対して好意を持ってはいるんだろうなと思いました。グエルに怒りを向けていましたが、これはそもそもジェターク社が後ろ盾にならなければ、ミオリネは総裁選に関わらず、結果として地球に行くこともなかったのに……ということでしょうか?

次回は第20話“望みの果て”。一体誰の望みの果てが?

 今回はミオリネが絶望に染まったところで終わりを迎えましたが……。ここにきてなお次回が楽しみで仕方がないです。次回20話は“望みの果て”。一体誰の望みの、どんな果てが描かれるのでしょう?

 ミオリネかもしれませんし、シャディクかもしれませんし、ノレアかもしれません。はたまたその他の誰かかも? ここまでの『水星の魔女』の展開を鑑みると、複数の人物の“望みの果て”が描かれる気がします。そんなわけで、色々と想像をふくらませながら次の日曜17時を楽しみにしたいと思います!

『機動戦士ガンダム 水星の魔女』Season2

【スタッフ】※敬称略
企画・制作:サンライズ
監督:小林寛
シリーズ構成・脚本:大河内一楼
原作:矢立肇/富野由悠季
キャラクターデザイン原案:モグモ
メインキャラクターデザイン:田頭真理恵
キャラクターデザイン:戸井田珠里/高谷浩利
メカニカルデザイン:JNTHED/海老川兼武/稲田航/形部一平/寺岡賢司/柳瀬敬之
チーフメカアニメーター:久壽米木信弥/鈴木勘太/前田清明
副監督:安藤良/綿田慎也
テクニカルディレクター:宮原洋平
設定考証:白土晴一
SF考証:高島雄哉
メカニカルコーディネーター:関西リョウジ
設定協力:HISADAKE
プロップデザイン:絵を描くPETER/えすてぃお
美術デザイン:岡田有章/森岡賢一/金平和茂/玉盛順一朗/上津康義
コンセプトアート:林絢雯
美術監督:佐藤歩
色彩設計:菊地和子
音響監督:明田川仁
撮影監督:小寺翔太
3DCGディレクター:宮風慎一
モニターグラフィックス:関香織
編集:重村建吾
音楽:大間々昂
製作:バンダイナムコフィルムワークス/創通/MBS

【出演声優】※敬称略
スレッタ・マーキュリー:市ノ瀬加那
ミオリネ・レンブラン:Lynn
グエル・ジェターク:阿座上洋平
エラン・ケレス:花江夏樹
シャディク・ゼネリ:古川 慎
ニカ・ナナウラ:宮本侑芽
チュアチュリー・パンランチ:富田美憂
デリング・レンブラン:内田直哉

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