【オクトパストラベラー朗読劇:黎明編 鑑賞レポート】千秋楽は感動の嵐! キャスト陣も「またみんなで集まりたい」と口を揃えた夢の舞台

ことめぐ
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 スクウェア・エニックスのRPG『オクトパストラベラー』シリーズの5周年を記念して、9月9日(土)~10日(日)の2日間にわたって開催されたシリーズ初の朗読劇“OCTOPATH TRAVELER ~5th Anniversary Reading Live Stage~”。

 この記事では『オクトラ』シリーズが大好きな筆者・ことめぐが、2日目となる“黎明編”のレポートをお届けします。

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朗読劇“黎明編”感想:8人でのバトルシーンの掛け合いが圧倒的。ゲーム本編へのつながりを感じさせる演出が胸熱

 前回の記事で、会場内のBGMや雰囲気がオルステラへと誘うような細やかな作り込みだったと記述しましたが、2日目もその雰囲気は変わらず。“黎明編”はついにメインキャスト8人が揃うということで、ステージの椅子の配置に少し変化がありました。

 会場が静まり返ると“キャットリン音楽隊”によるミニコンサートがスタート。

  • ▲ヴァイオリンはAyasaさん、チェロは髙月怜さん、サックス&シンセリードは中村有里さん、ピアノは紅維流星さん。

 穏やかな演奏で会場があたたかな空気に包まれていき……と思いきや、途中から激しさを増していく展開に。そしてスクリーンに映し出されたのは、かの巨大な扉! 

 その扉からは怪しげな赤い光が漏れ出ており……会場の雰囲気が一気にざわっとなりました。扉の前にはサイラスが登場。彼は手記を取り出し、この扉へ辿り着くまでの旅の回想、そして仲間たちへの想いを語り始めます。

 しばらくすると不穏な扉は姿を消し、キラキラと光る“8つの星”が輝き始めました。

 ここで、サイラスの“7人の仲間たち現れる”というナレーションとともに、客席後方からランタンを持ったメインキャストのみなさんがご入場です。

  • ▲ランタンの光がとても神々しい演出!
  • ▲オフィーリア役の茅野愛衣さんが満を持して登場。キャラクターと同じく、真っ白とした衣装を纏い優しく微笑みかける姿はオフィーリアそのものでした。
  • ▲サイラス役の梅原裕一郎さんも2日目から。サイラスと同様、スラッとしたシルエットが印象的でした。

 ここからは、公式サイトの情報をベースに“黎明編”の物語について解説していきましょう。

 なお、この朗読劇は後日、映像作品としてリリースされることも決定しています。記事では核心にこそ触れないものの、ストーリーについての感想も語らせていただきますので、ネタバレが気になる方はご注意ください。

  • ▲ついに8人の主人公のキャストが集結です。

■あらすじ
 遂に最後の決戦に臨もうとする8人の旅人たち。その最中、学者サイラスは8人の出会いについて回想する。

 それはウッドランド地方のヴィクターホロウでのことであった。

 森で魔物たちに襲われたナビアという女性を保護するサイラスたち。ナビアは狩人ハンイットの幼なじみで、傷ついた彼女を薬師アーフェンは親身になって介抱する。

 しかしその夜、彼女は忽然と姿を消してしまい……。

■メインキャスト
オフィーリア:茅野愛衣
サイラス:梅原裕一郎
トレサ:青木瑠璃子
オルベリク:小西克幸
プリムロゼ:桑島法子
アーフェン:関智一
テリオン:松岡禎丞
ハンイット:甲斐田裕子

■朗読劇オリジナルキャスト
ナビア:西園飛鳥
ナビアの父:大泊貴揮
族長:星野佑典

 とある森の道に、サイラス、ハンイット、オフィーリアがいるシーンから物語は始まりました。

 サイラスは旅路のなかでオフィーリアとハンイットに出会い、ともに旅をすることになったようです。

 しかし、個性がバラバラすぎる3人の足並みは揃わず、次の行き先について譲り合い合戦に発展(笑)。オープニングから微笑ましいやりとりに思わず笑みがこぼれてしまいました。

 3人が森を進んでいくと、女性が魔物に襲われているところに遭遇します。

 迫力のある演技、音や光の演出による臨場感、生演奏のサウンドも相まって没入感は最高。女性を魔物から守るべくそれぞれの得意技で戦う姿は圧巻でした。

 魔物の猛攻でピンチに陥っているところに、颯爽とテリオンが現れ(※登場時はダリオと名乗っていました)、サイラスたちは無事にナビアの救出に成功します。

 その後、トレサとアーフェンとの出会いを果たした一行。担ぎ込んだ村の宿屋でナビアが目を覚まし、彼女は罪に問われている父親の無実を証明するために森へ行ったことを知るのでした。

 しばらくシリアスなシーンが続きましたが、この後はプリムロゼがサイラス先生を誘惑したり、サイラスとオルベリクがなぜか試合をしたりと、朗らかな展開に。

 トレサがオルベリクを「何あの筋肉の塊みたいな人」と言った時は、演技に聴き入っていた会場のファンにも思わず笑いが起きていました(笑)。

 その後、物語は再びシリアスなムードへ。ナビアが怪しい行動をとっていることにアーフェンが気づきます。

 そして彼を追って7人が森へ向かうと、そこには信じられない光景が……。

 真実を知った一行は、魔獣カニスディルスとのバトルに突入。照明やSEが忙しく変わり、バトルの激しさを演出してくれました。

 そして物語は進み、シーンは冒頭の“大きな扉”の前へ。扉の前で再びサイラスが手記を手に語りだします。

 そして、8人は今までの旅への想いを語り合い、覚悟を決めた表情で扉の中へ……。

 ここで“メインテーマ”が演奏され、朗読劇はいよいよフィナーレに。今までの旅を思い起こす数々の名シーンを詰めた映像がスクリーンに流れ、それを見つめる8人の姿が、ともに旅をしてきた主人公たちの姿に重なって涙がこぼれそうになりました。

 イチファンとして、忘れられない思い出がまた1つ増えた瞬間です。

アフタートーク感想:1番人気のパーティーチャットをフルボイスでお披露目! 男性陣はお酒トークで大盛り上がり

 朗読パートが終了すると「ハイハイハイ! オルベリクだよ!」と小西さんが元気いっぱいに登場し、“アフタートーク”コーナーがスタート。

 メインキャストが順番に登場したのですが、オフィーリア役の茅野さんがステージ中央に立つなり「私がオフィーリアたんです♪」と口にした時は、あまりの可愛さに悶絶しそうになりました(笑)。

 “黎明編”はハンイットとその幼なじみ・ナビアが中心のお話だったため、小西さんがまずはハンイット役の甲斐田さんに千秋楽を迎えた感想をうかがう形に。

 甲斐田さんはとても明るい表情で「お芝居にエネルギーを込めるストーリーでしたし、ナビアと一緒にお芝居を作り上げていく感じが楽しかったなと。無事に終わってよかったです」とコメントしてくれました。

 小西さんは「リハーサルで客席から見ていた時に、(甲斐田さんの)焚き火のシーンの表情が良かったので、Blu-rayなどで確認してほしい」と甲斐田さんの演技について熱弁されていたのが印象的です(笑)。

 そして“お気に入りパーティーチャット発表会”コーナーへ。

 こちらは『オクトラ』のゲーム内でも度々出てくる旅人たちの何気ない会話を、フルボイスで楽しめるというもの。

 なお、今回披露されるチャットは事前に“X(旧Twitter)”にて募集し、その中からいくつかをキャストのみなさんが生でアフレコしてくださいました。

 この回は“千秋楽”ということで、1番人気だったチャットがお披露目。ファンにはおなじみの、男性陣がお酒をひたすら飲み合う“飲み比べ”(出演:サイラス、オルベリク、アーフェン、テリオン)です。

 エールをゴクゴクと豪快に飲む4人。お酒の強さを争っているようで、しばらくするとサイラスが早々に脱落します(と言いつつまだ飲み続けるのですが)。

 その後も勝負は続き、村一番のお酒の強さだったというアーフェンと、昔はよく飲まされたというオルベリクの一騎打ちに。

 どんどん飲み続ける2人。すると……オルベリクはいつもの厳かな表情から一変し、不敵に「ふふふふ……」と笑いはじめます。小西さんのにこやかな不敵な笑みとセリフに会場のみなさんは大爆笑していました(笑)。

  • ▲Nintendo Switch版『オクトパストラベラー』より。

 チャット終了後には、男性キャスト達によるプライベートな“お酒”トークで大盛り上がり。「あまり声優さんとは飲みに行かない」という関さんですが、松岡さんとは以前一緒に飲みに行ったことがあるとのこと。

 そして、松岡さんはその時に「関さんはどんな気持ちでお芝居をされているんですか?」と質問し、真面目なお話に花が咲いたとか。

 梅原さんはサイラスと正反対で、めちゃくちゃお酒に弱いそうです。その後は「男性陣4人で年内にお酒を飲みに行こう!」と盛り上がり、連絡先を交換する流れに。

 ぜひ4人で飲みに行っていただきたい……と思ったのは私だけではないハズ!

 そのほか、ハンイットの以外な一面が可愛らしい“料理の腕前”、桑島さんが“摩訶不思議の踊り”を「あらよーっと」と披露して笑いに包まれた“踊りましょ?”、2人の信頼関係が垣間見える第4章サイラス&テリオンのチャットなど、名シーンが贅沢なフルボイスで披露されました。

 パーティチャットコーナーのあとはグッズ紹介コーナーへ。

 BGM“海風を聴く街”が流れるなか、青木さんが演じるトレサが会場で物販されていたアイテムを紹介してくれました。

  • ▲物販紹介コーナーは、頑張る青木さんをみなさんが一緒になって盛り上げていたのがとても微笑ましかったです。

大団円:またこの8人の旅路に出会いたい……そう思わせてくれる感動のフィナーレ

 そうして、2日間に渡って開催された朗読劇も本当に最後のお時間がやって参りました。

 “キャットリン音楽隊”のみなさんがまず挨拶をし、続いてオリジナルキャストのみなさんがひとことずつコメントをくれました。

 ナビア役を演じた西園さんは「私は朗読劇に出ること自体が初めて。レジェンドの方たちとご一緒できるという貴重な機会をいただけたことが、本当にありがたいなと思いました」とコメント。

 族長役の星野さんは「僕はすごくゲームが好きなんです。公演に出させていただくことをきっかけに原作をプレイしまして。2日間の思いを胸に、今日は帰ったらすぐに起動してプレイします」と語ってくれました。

 ナビアの父役の大泊さんは「超一流のみなさんが関わった超大きな作品に携わることができて、本当に光栄に思っております」とのこと。

 このお3方がいなければ成り立たない朗読劇でしたので、その熱演に感謝しかありません。

 そして最後に、メインキャストのみなさんが1人ずつご挨拶を。

 サイラスを演じた梅原さんは「僕は今日から2公演のみの参加でしたが、とても楽しい朗読劇でした。さらに新しい物語も見てみたいと思いました。引き続き応援していただけると、また8人の姿が見られるかもしれないので、今後ともよろしくお願いします」と、さらなる旅への期待を語ってくださいました。

 トレサを演じた青木さんは「7年くらい前の収録時、キャストの一覧表を見て“こんな方たちとご一緒させていただけるんだ”とすごく緊張したのを覚えています。今日、改めてそんなみなさんとリアルタイムで、しかも生演奏と一緒に朗読劇ができて、すごくうれしかったです」とコメント。

 最後に商人らしく、見逃し配信についての宣伝まで入れてくれるという完璧な挨拶に、会場からは拍手が起きました。

 オフィーリア役の茅野さんは「私も昨日は梅さん(※梅原さん)と同じく出演することは叶わなかったのですが、事前に音声を録らせていただいたいていました。でも今日はヒューリックホールでキャットリンのみなさん(※会場のファンのこと)にリアルで会えて、本当にうれしかったです。『オクトパストラベラー』の世界はまだまだ続くと信じて、また8人で会えるといいなと思っています」と、梅原さんに続き8人の旅への期待を語ってくれました。

 プリムロゼを演じた桑島さんは「2日間どっぷり『オクトラ』の世界に浸かって、キャラクターにあった衣装も用意していただいて。……今日でこれを着るのも最後ですが、今後も『オクトラ』は続いていくと思いますので、みなさんよろしくお願いします」と、名残惜しそうな表情でコメント。

 アーフェンを演じた関さんは「さきほど青木さんがおっしゃっていたように、もう収録が7年も前で。7年前ですと、僕も40代前半。昨日(お誕生日を)お祝いしていただいたように、先日50歳になりました。そして毎日薬を飲んでいます(※漢方薬とのこと)。収録当時はまだよく分かっていませんでしたが、この歳になって薬と日々向き合うことになったことで、薬師という仕事の大事さが理解できました。アーフェンを演じられてよかったです」と、1日目に引き続き、ご自身のお薬ネタを入れつつアーフェンへの想いを語ってくださいました。

 テリオン役の松岡さんは「2日間という短い時間でしたが、『オクトパストラベラー』という作品の朗読劇をやれたことが本当にうれしくて。発売からは5年も経っていて、収録からはもう7年も経ってるとさっき聞いてびっくりしました。また何かしらの機会があれば、テリオンを演じられたらいいなと思っています。またこのメンバーでやりたいですね。そして……この作品は曲がいいっ! 今日流れた戦闘曲なんて、スマホに入れているくらい好きなんですよ。これからもぜひ『オクトラ』の応援をお願いします」と、サウンドについての想いを言葉にしてくれました。

 ハンイット役の甲斐田さんは「2日間の4公演、本当にありがとうございました。ゲームが生の朗読劇になるおもしろさを知る機会って、今まであまりなかったと思うんですよ。ゲームで感じる感覚が、生の会話で表現される新たな楽しみ方をみんなが知ってしまったので、今後はこういう機会が増えるんじゃないかなと思います。またこういう形でみなさんに会えるとうれしいです」と、お芝居への熱い思いを込めてコメント。

 最後にオルベリクを演じた小西さんが「この座組での2日間、とても楽しかったのでまた朗読劇をやりたいなと思います。そのときは、またみなさん来てくれますか?」と客席に問いかけると、「もちろん!」と言わんばかりの大拍手が起こりました。

 最後に再びキャスト一同が一礼し、2日間に渡る8人の旅は、ひとまず終わりを迎えることに。

 2日目の“黎明編”は“逢魔編”の不思議な感じの雰囲気とは異なり、ちょっぴりダークな要素が盛り込まれていて、じつに『オクトラ』らしさを感じる内容でした。

 最大のポイントは、8人の出会い、そして最後の戦いの直前の様子がとてもすごく丁寧に描かれていたということですね。ストーリー内で出会っていた順番で再プレイしたい……。

 帰り道は「楽しみにしていたイベントが終わってしまった……」という寂しさに包まれたり、旅を終えたときの8人もこんな気持ちだったのかなと考えたりしながら、しばらく『オクトラ』の世界から抜け出せませんでした。それほど引力の強い朗読劇だったと、このテキストを書いている今でも感じます。

 最後にひとつだけ、イチ『オクトラ』ファンとして触れたいことがあります。それは今回のイベントグッズにある“台本”のこと。

 『オクトラ』という作品への愛をとても強く感じたこの台本。まず、ページをめくった瞬間の、ものすごい情報量にはびっくりしました。

 とても細やかに演技や表情などの指示が記述されていて感動。朗読劇中には気づかなかったような演出までたくさん記載されており、まさかあの時輝いていた照明にあのような意味があったとは……と驚きを隠せませんでした。

 台本を読んでいるだけで、旅の情景が目に浮かぶくらいの内容でした。

 朗読劇の公式サイトには台本の受注販売が決定したという情報も記載されていますので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

 この作品を追いかけ始めて5年。ファンのみなさんと一緒に、夢のような瞬間に立ち会えてとても光栄でした。公演から少し時間が経った今でも、大きな旅を終え、仲間たちと別れたような寂しさが胸のなかにずっと残っています。寂しい……。

 ですが! 来春には初の単独オーケストラコンサートの開催も決定していますし、プリムロゼのフィギュア発売などもあり、これからも『オクトラ』はますます盛り上がっていきそう予感。寂しいとかそんなこと言っていられませんよね!

 みなさんとまたどこかの旅路でお会いできますように。それでは、今後もよき『オクトラ』ライフを!


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