ブロイラーおやじFXじゃい!!【O村の漫画野郎#20】

奥村勝彦
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 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

ブロイラーおやじFXじゃい!!

 あー。『GRANDチャンピオン』での仕事は、俺にとって非常に、というか滅茶苦茶有意義なものであった。ぶっちゃけ言っちゃうと、そっから今の仕事まで、ずーっと流れが続いているんだわ。


 例えば漫画家。桜玉吉、いましろたかし、狩撫麻礼、カネコアツシ、担当じゃなかったけど須藤真澄……(敬称略)。のちにビームで中核となる作家たちと仕事を始めれたからなあ。

 結局、ビームやってる時に、俺は『GRANDチャンピオン』の仇討ちをやってるんだなあ……と思ったことが何度もあったもん。


 そんで前回に描いたような状況も確かにあったんだけど、基本的にあの時は、自由にやらしてもらった。本当に楽しく仕事が出来たなあ。そんな中で特に印象に残った2作品を紹介しよう!!

その1『ブロイラーおやじFX』 桜玉吉

 俺がアミーゴ(桜玉吉)と最初に組んだ記念すべき作品。もちろん全編下ネタ!! 最後は主人公が射精しながら、その反動で空へ飛んで行っちゃった!! 

 毎回毎回、精力を持て余したオッサンが女性にちょっかいを出して上手くいかない。そのうち主人公の局部が人格を持ち(名前はシルビアちゃん)、仲間割れしてケンカしたりする、まさに怪作であった!!

 しかし一番評判になったのは、コミックスの巻末にあった俺とアミーゴのアホみたいなやり取り短編だったりした。……なんだかなあ。何で下ネタばっかしなの? ってアミーゴに聞いたら「担当者に合わせた」ってことらしい。なるほど。


 結局、アミーゴの全編フィクションで通したギャグ漫画ってえのは、この1冊だけなんだよな。ファミ通でやってたヤツなんか、描き方なんざ毎回コロコロ変わってたしな。

 これ以降、本人を含めて実在の人物(あ、俺もだ)たちが、ギスギスしながらもアホみたいな出来事を起こしまくる作風に突っ走ってっちゃたワケだね。なんか、TVの『水曜どうでしょう』の先駆けだったのかもなあ。


 あれま! もう1本を紹介するスペースが無くなっちまった!! しょうがねえ、待て!! 次回!!

(次回は10月19日掲載予定です)

奥村さんが編集に携わったコミック2冊が発売中

 特別編でも紹介したように、奥村さんが編集に携わったマレーシア発の2冊の漫画(電子書籍)が発売中です。

 恋愛漫画の短編集『常夏の国で、君と。』(ファクヌール・アヌール著)と、コミカルなヒーローモノとなる『ライデン 1巻』(ZINT著)。


 どちらもエネルギッシュで、日本の漫画とはまた違う読後感を味わえるので、気になった方はぜひ!

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イラスト/桜玉吉

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