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ハード・コア誕生!!【O村の漫画野郎#21】

奥村勝彦
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最終更新

 秋田書店の漫画編集者を経て、元『コミックビーム』編集総長もつとめた“O村”こと奥村勝彦さんが漫画界の歴史&激動の編集者人生を独自の視点で振り返る!

ハード・コア誕生!!

 あー。前回、GRANDチャンピオン時代、特に印象に残った作品を2作品紹介するハズが1作品で終わってしまった。このままだとサギになるので、残りの1本も紹介するぜえ!!

その2『ハード・コア』狩撫麻礼&いましろたかし

 俺が狩撫さんと組んだ最初の作品。漫画家を選ぶ段階で、いましろ君の名前が出た時に、俺は正直驚いた。当時、『ハーツ&マインズ』とかで、ミもフタもない作風で知られていた、いましろ君に原作を頼むという状況が全然結びつかなかったのよ。

 でも、何か面白そうな予感がビンビンしてきて、もう他の漫画家に頼む気がしなくなっちゃった。でも、その頃、彼はアクションで連載が決まりかかってたので、話は流れかけたの。だけども、結局その話は立ち消えになり、『ハード・コア』は晴れてスタートした!!


 主人公は世間からのハミ出し者が2人(うち1人はロクに言葉も話せない)。彼らの日常的な仕事は埋蔵金発掘。雇い主である右翼のジイサンは、発掘が成功した暁には、それを元手に政府転覆計画を発動するつもり。

 んで、途中から主人公らの根城である廃工場の地下から出て来た謎のロボットが加わって……というブッ飛んだ内容。

 もう漫画家も原作者も編集者もノリノリであった。内容的にも狩撫さん、いましろ君の代表作の一つに挙げてもいいんじゃないかと思えるほど出来が良かった。

 ……んで、コミックスは4巻分の量があったんだけど1巻しか発売されなかった。

 なぜか? 全然、売れなかったからだ。そんな状況で、よく途中で打ち切りにならずに完結できたと思う。

 大西さんと樋口さんには感謝するしかねえな。だけども、結局、コミックスで出し切れなかったのは本当に悔しかったのよ。他社の編集から文句も言われたしな。


 だけんども俺は諦めんかった!! のちにアスキーでコミックスを完結!! しかも、ぶっとい金&銀ビッカビッカのド派手な2冊で!! やるな俺!! でも売れなかった!!


 そっから四半世紀、なぜか突然、山田孝之主演で実写映画化!! プロデューサーも山田孝之!! やるな山田孝之!! んで、コミックスも出てねえーと、まじーだろってことで3度目のコミックス発売!! でもやっぱり売れなかった!!

 3回もコミックス化されて、結局売れたことのねえ漫画なんて聞いたことねえぞ!!


 ……という何とも不思議な生命力を持つ不屈の名作だったと思う!! たぶんそうだ!!


 てなワケで、次回はGRANDチャンピオン休刊決定時の状況を語ろう!! 待て!! 次回!!

(次回は10月26日掲載予定です)

奥村さんが編集に携わったコミック2冊が発売中

 特別編でも紹介したように、奥村さんが編集に携わったマレーシア発の2冊の漫画(電子書籍)が発売中です。

 恋愛漫画の短編集『常夏の国で、君と。』(ファクヌール・アヌール著)と、コミカルなヒーローモノとなる『ライデン 1巻』(ZINT著)。


 どちらもエネルギッシュで、日本の漫画とはまた違う読後感を味わえるので、気になった方はぜひ!

O村の漫画野郎 バックナンバー

イラスト/桜玉吉

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