News

2009年9月18日(金)

『ポケットモンスター』最新作についてディレクターの森本茂樹さんを直撃!

文:電撃オンライン

 9月12日に発売されたDS用ソフト『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー(以下、ハートゴールド・ソウルシルバー)』。そのディレクターであるゲームフリークの森本茂樹さんにインタビューを行った。

『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』 『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』

 『ハートゴールド・ソウルシルバー』は、1999年に発売されたゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 金・銀(以下、金・銀)』のリメイク作。従来のシリーズに搭載されたさまざまな機能なども踏襲し、ポケモンの連れ歩きや、ポケモンと一緒に遊べる“ポケスロン”、サファリゾーンのカスタマイズなど、新要素もたくさん追加されている。

『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』 『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』
▲『金・銀』発売から10年。ジョウト地方での冒険が再び幕を開ける!

 本作の発売にあたり、ディレクターを務める森本さんにインタビューを行った。開発の経緯などはもちろん、同梱される周辺機器“ポケウォーカー”や、公式全国大会“ワールドチャンピオンシップス”などについてもお話を伺ったので、ぜひご覧いただきたい。なお本文の各タイトルの表記は、以下のもので統一する。

注:記事中の表記
 ・『ポケットモンスター 青』……『青』
 ・『ポケットモンスター ピカチュウ』……『ピカチュウ』バージョン
 ・『ポケットモンスター 金・銀・クリスタルバージョン』……『金・銀・クリスタル』
 ・『ポケットモンスター ファイアレッド・リーフグリーン』……『ファイアレッド・リーフグリーン』
 ・『ポケットモンスター ルビー・サファイア』……『ルビー・サファイア』
 ・『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール・プラチナ』……『ダイヤモンド・パール・プラチナ』
 ・『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』……『ハートゴールド・ソウルシルバー』


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

■『ハートゴールド・ソウルシルバー』は、これまでの『ポケモン』のいいとこ取り

――『金・銀』のリメイクについては、『ダイヤモンド・パール』にミカン(※1)が登場していることから、ファンの間に話題になっていました。『ダイヤモンド・パール』を作る段階で、『金・銀』のリメイクの構想はあったのでしょうか。

『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』
▲『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』ディレクター・森本さん

森本さん:そうですね。『ダイヤモンド・パール』をリリースする段階でありました。ただ、このミカンを登場させた経緯は、実はよく把握していないんです(笑)。

※1……『金・銀』の舞台・ジョウト地方にあるアサギシティのジムリーダー

――そうなんですか(笑)。スタッフさんの遊び心だったのでしょうか。

森本さん:弊社では1人1人がおもしろいと思うアイデアを出して、どんどん入れていくということがよくあるんです。ミカンの場合も、担当の者が「『金・銀』に出てるから」ということで入れたのだと思いますが……(笑)。

――今回『金・銀』をリメイクするにあたり、どのようなことを意識されましたか?

森本さん:やはり昔『金・銀』を遊んだ人たちが今回戻ってきてくれることもあるでしょうから、そういった人たちがどういうリメイクを望んでいるのか、どういうところに驚くのか、というところを考えました。ただ、この作品をリメイクとしてではなく、新しい作品として遊ばれる方もいらっしゃいますから、初めて遊んでもちゃんと満足できるものを作らなくてはと思いまして。この2つを両立させるにはどうすればいいか、そのさじ加減をどうするかというところを意識しましたね。

――苦労した点などはありますか?

森本さん:今回大きく変更した点として、下画面のタッチに重点を置いて制作したというところがあります。タッチでも十字ボタン&A・Bボタンでも、快適に操作できるレイアウトや操作感を模索したのですが、思ったよりも苦労しました。あとはマップが3Dになったので、ジョウトとカントーを一から作らなければならない、そういう物量的な大変さもありましたね。ポケモンを連れて歩くにしても、493匹分のグラフィックを作らなければいけませんでしたし……。正確に言うと、アンノーンや色違いなどもあるので、493匹どころではなかったんですけどね。ゲーム中の連れ歩きのグラフィックでは少し難しかったのですが、“ポケウォーカー”ではパッチール(※2)の模様の違いもちゃんと再現されるんですよ。

※2……1匹ずつ違うブチ模様をしているのが特徴のポケモン。同じ模様のパッチールはいないと言われるほど、その模様はさまざま。

――え、パッチールの模様がですか!? それはすごいですね。

森本さん:そうですね(笑)。これはまぁ、リメイクに限らないことなんですけど、『ポケモン』は制作するにあたって物量が多いゲームですので……。大変でしたね。

――当時の『金・銀』では251匹でしたが、今回は493匹ですからね。わざも増えていますし……。

森本さん:わざの種類も倍くらいになっていますね。当時はとくせいもありませんでしたし。

――本作は『金・銀』のリメイクではありますが、『クリスタル』で追加されたミナキとスイクンのイベントなどもフォローされていますよね。リメイクが決まった段階で『クリスタル』の要素も取り入れようと決まっていたのでしょうか。

『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』 『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』
▲ミナキとスイクンをめぐるイベントなど、『クリスタル』でしか見られなかった要素も盛り込まれている。『金・銀』しか遊んだことがないという人には、新たな発見があるかも!?

森本さん:リメイクが決まった段階では、特に決まっていなかったと思います。ただ、今回のリメイクは他のバージョンのいいトコ取りといいますか。これまで出た『ポケモン』のいい部分をどんどん盛り込もうと考えていましたので、『クリスタル』のミナキのストーリーなども入れようということになりました。『クリスタル』は『金・銀』がベースになっていますしね。『金・銀』しかプレイしていない人にも、ぜひ遊んでもらおうということで。

――『金・銀』には、赤外線を使った“ふしぎなおくりもの”やポケットプリンタを使ったアンノーンの文字プリントなど、さまざまな要素があったと思います。こういった要素についても、制作時にどうするか話し合われたりしたのでしょうか。

『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』
▲『ハートゴールド・ソウルシルバー』には、“ポケットピカチュウ”を彷彿とさせる“ポケウォーカー”が同梱されている。これについては後の方でじっくりお話を伺っているので、そちらを参照してほしい。

森本さん:そうですね。『金・銀』に盛り込まれていたものはなんだっけ? と話し合いをして、その時にそういった要素についてももちろん話が出ました。そんな中で出たのが、たとえば“ポケットピカチュウ”(※3)に代わる“ポケウォーカー”だったんです。“ポケウォーカー”は、赤外線を使ってソフト側でどうぐを手に入れることができるんですが、あのアイデアも“ふしぎなおくりもの”からきていますね。

※3……“ポケットピカチュウカラー 金・銀といっしょ!”のこと。『金・銀』と連動要素を持った歩数計で、歩いてためたワット(W)を使い、『金・銀』にどうぐを送ることができた。このシステムは、“ポケウォーカー”に踏襲されている。

――懐かしいですね。昔『金・銀』を遊んでいた人も、『ハートゴールド・ソウルシルバー』で初めて『金・銀』をプレイする人もいると思いますが、それぞれどういった点に注目して遊んでほしいですか?

森本さん:ハードがゲームボーイからニンテンドーDSになり、容量やグラフィックの表現の仕方などが格段にパワーアップしています。昔『金・銀』を遊んだ人は、そういった意味でまず“目”で楽しめるのではないかなと思いますね。シナリオについても、同じ部分と違う部分をいい感じで入れておりますので(笑)、昔を思い出しつつ変化を楽しんでもらえればうれしいです。久しぶりに『ポケモン』自体を遊ぶ人についても、昔の『ポケモン』に比べると仕様などが大幅に変わっていますので、今の『ポケモン』を楽しめると思います。
 今回初めて『金・銀』をプレイする人については、完全新作と言っていいと思いますので、新鮮な気持ちで遊んでもらえると思います。『ダイヤモンド・パール・プラチナ』から操作性も調整していますし、新しい遊びを入れていますので。その新しい部分に注目してほしいですね。

――『ポケモン』はこれまでさまざまなバージョンが発売され、それぞれに違った魅力があると思いますが、『金・銀』の魅力はどういったところにあるのでしょうか。

森本さん:今回の『ハートゴールド・ソウルシルバー』で言いますと、ボリュームのある世界観を作れたかなと思っています。ポケモンを連れて歩けることでポケモンとのかかわり合いがより掘り下げられていますし、ストーリーも厚く作っています。そういった意味で、本作では『ポケモン』の持つ世界観をより楽しんでいただけると思いますね。

→次のページでは、ポケモンの連れ歩きやストーリーの変更部分の話が!

(C)2009 Pokemon. (C)1995-2009 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc.ポケットモンスター・ポケモン・Pokemon は任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です。

1 2 3 4 5

データ

▼『ポケットモンスター ハートゴールド・ソウルシルバー』
■メーカー:ポケモン
■対応機種:DS
■ジャンル:RPG
■発売日:2009年9月12日
■価格:各4,800円(税込)
 
■『ポケットモンスター ハートゴールド』の購入はこちら
Amazon
 
■『ポケットモンスター ソウルシルバー』の購入はこちら
Amazon

関連サイト