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2009年11月20日(金)

“神ゲー”と話題沸騰! Xbox 360『シュタインズ・ゲート』超ロングインタビュー掲載

文:ごえモン

■『シュタインズ・ゲート』は中二病の魂を呼び覚ますAVG

――今までのお話を聞いていて思ったのですが、中二病については結構研究されたんですか?

林:調べましたね。まあ僕自身が中二病なのですが(笑)。

――えっ? 邪気眼(じゃきがん)(※6)ですか?

林:邪気眼まではいかないです(笑)。でも、やっぱり中二病って男の子なら誰もが通った道だと思うんですよ。僕も30歳を超えたんですけど、いざこの年になってみて「あれ? 意外とまだ中二病だな」って。幼いころに見た大人たちって、すごく大人に見えていて、世の中にはそんな大人な人ばかりいると思っていたんです。でも、自分がいざ大人と呼ばれる年齢になってみたら、そうでもないんですよね。

※6……第3の目。怪我をしていないのに腕に包帯を巻いて、「くそ!……また暴れだしやがった……」などと言う中二病の1つ。

――僕も中二病なんですが、男の心の中にはいつまでも中二病が眠っているんじゃないかと思っています。

林:その眠った心をくすぐろう、呼び覚まそうとして倫太郎を中二病にした、という意図も実はあるんです。『シュタインズ・ゲート』には、僕の中でいくつものテーマがあるんですが、そのうちの1つに“中二病ってイイじゃん”というテーマがあるんですね。『カオスヘッド』の場合は、最終的に“中二病を否定して現実を見ようよ”というテーマを主人公に与えたんですけど、それに対するアンチテーゼになっています。「中二病があれば世界も救えるんだぜ!」という、まさに男の心に眠った魂をくすぐるストーリーにしたいと思っていました。

『シュタインズ・ゲート』 『シュタインズ・ゲート』

――倫太郎は、最初に見た時はこんな主人公はアリなの? と思ったのですが、物語を進めていくうちに、だんだんとカッコよく見えてきたんですよ。

林:そういう意見はよく聞きます。最終的にはものすごくカッコよくなりますよね。

――プロローグ部分で、人工衛星が落ちてきた時に中二病の演技がはがれてビビっていましたが。

林:そういった“素の部分”を出すことで人間らしさを演出していて、あくまで“本当に変な人ではなく、意識的に中二病を演じている”という描き方をしています。

――本当に変な人だったらプレイヤーも困りそうですよね。

松原:そうなんです。そこは倫太郎役の声優・宮野真守さんがしっかりと演じてくれました。

林:今回のキャストは皆さん素晴らしかったんですが、特に宮野さんに関しては“カッコよすぎて、逆にカッコわるい”という素晴らしい演技をしていただきました。実はあの演技って、僕たちは特に演技指導などはしていないんですよ。

松原:宮野さんご自身が、『シュタインズ・ゲート』という作品を噛み砕いていただいて、あの演技が生まれたんです。

林:本当に、宮野さんあっての倫太郎であり、ひいては宮野さんあっての『シュタインズ・ゲート』だと思っています。セリフの1つ1つに魂が込められていて、素晴らしかったですね。

――なるほど。倫太郎の話題が続いているので、ここで“鳳凰院凶真(ほうおういんきょうま)”(※7)という倫太郎の真名(マナ)の由来についてお聞きしたいのですが。

林:“鳳凰院凶真”ですか?(笑)。鳳凰は、漫画などでよく使われていると思うのですが、ある意味中二病の人にとってはあこがれの言葉だと思うんですね。鳳凰という、あの漢字の難しさですかね? それが、あこがれになる感じです。

※7……倫太郎の脳内設定である“狂気のマッドサイエンティスト”としての名前。

――漢字の難しさがいいんですか?

林:そうですね。たぶん「鳳凰を書いて」と言われたら、ほとんどの人が書けないと思うんですよ。その難しさもありますし、なおかつ“不死鳥(フェニックス)”という、これまた中二病の人たちが大好きそうな意味も込められていますからね。で、院は……なんか……ね。なんか。

――な、なんか?(一同爆笑)

林:中二病の人の名前を考えた時に“院”と付くことが多い気がしたんですね。で、これは付けなきゃダメだろ、と思いまして。だから実は、院には特に意味は込められていないんです。倫太郎自身が言っているように、“院は院”なんですよ(笑)。

松原:ゲーム中でも、院だけは説明してないですからね。

――確かに(笑)。

林:で、“凶”というのはネガティブなイメージの漢字なんですけど、これまた中二病の人はネガティブなイメージの漢字を使いたがるんですよ。“魔”とか“影”とかですね。ようするに、“鳳凰院凶真”は中二病の名前のテンプレだと思っていただければいいと思います。

――倫太郎、いや鳳凰院凶真がるかに授けた“妖刀・五月雨”の真の力が明かされなかったのですが、一体どんな力なんでしょうか?

林:“妖刀・五月雨”ですか!? えーと、鳳凰院凶真の中ではしっかりと真の力の設定があります。るかは、柳林神社という秋葉原にある神社の巫女ですが、秋葉原は古来から“魔都”として魑魅魍魎(ちみもうりょう)が渦巻いている、という設定なんです。で、代々、魑魅魍魎から土地を守るのが柳林神社の使命で、その末裔(まつえい)がるかになるわけです。でも、代々その魑魅魍魎を封じてきたがために、漆原の血には魑魅魍魎が混ざり始めてしまったんですね。

――おぉ!? そんな細かい設定が。

林:で、そのままだと悪い血が暴走して、とんでもないことになってしまうんです。それを治めるために「妖刀・五月雨を使いこなす必要があるのだ!」と鳳凰院凶真は、るかにプレゼントして素振りを強要するんです。

――980円なのにものすごい力を秘めてますね。

林:980円なんですけど、漆原家の末裔が持つことによって真の力が解放されるんです。その力を使えて初めて、「おまえは真の巫女となれるのだ!」というイタイタしい設定を、鳳凰院凶真は勝手に考えているんです。るかは全然理解できていないんですけどね。

――あの「今日は1回しか素振りができませんでした」という報告メールがすごいカワイイですよね。

林:基本的にるかは真面目な娘なので、報告しろと言われたらちゃんと報告するし、「こうだ!」と言われたら「そうなんですね!」となんでも信じてしまうキャラクターです。

→科学アドベンチャーシリーズ第3弾の構想は?(6ページ目)

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