2009年11月20日(金)
――お2人が『シュタインズ・ゲート』の中で、一番好きなキャラクターって誰ですか?
松原:僕は椎名まゆりです。もちろん、ヒロインの紅莉栖も好きなんですが、この物語って難しい単語が出てきたり、急にイタイタしい言動が出てきたりするんですね。その中でまゆりは一服の清涼剤というか、みんなを和ませる癒しの部分を担当しているので、そんなホッとできるところが気に入ってます。
――そういえば、あの「トゥットゥルー♪」ってなんなんですか?
林:「トゥットゥルー♪」はですね、志倉が企画段階から絶対に入れろと主張してきた謎の言葉なんです。
松原:たぶん元ネタはあるんですが、くわしく聞いたことはないんです。
――「トゥットゥルー♪」はものすごく頭に残っていて、会社でもことあるごとに使ってしまいます(笑)。
林:収録の時も、エンジニアさんたちが「トゥットゥルー♪」と言ってましたね。あいさつは「トゥットゥルー♪」にしようか、という話もあったりして。あの花澤香菜さんのボイスは、トロけます。花澤さんにもシナリオを気に入っていただけて、ノリノリで演じていただきました、ありがたい限りです。
――林さんの好きなキャラクターは誰ですか?
林:僕は主人公なり、まゆりなり、紅莉栖なり、みんな好きなんですが、実は天王寺綯(てんのうじなえ)が一番好きなんです。小さい女の子なんですが、とあるルートで豹変(ひょうへん)する場面があって、急にサイコなひどいことをする女の子に変わってしまうんですが、そこは僕の趣味全開で書かせていただきました。その豹変した綯が大好きです。普段の綯は別にどうでもいいんですけど(笑)。
――それでは、『シュタインズ・ゲート』の今後の展開についてお聞きします。まず、本作を他の機種に移植する予定はありますか?
松原:おかげ様でXbox 360版がかなり好調に販売実績を伸ばしていますので、恐らくはXbox 360ユーザーの皆さんの趣味と概ねマッチしたんだと思っています。ただその反面「本作を多くの人に遊んでもらいたい」というクリエイター欲もありますので、他機種への移植については状況しだいですかね。今はそれしか言えません。
――『カオスヘッド』はアニメ化されましたが、本作をアニメ化する予定はありますか?
松原:今のところ具体的な予定はないですが、アニメ化はぜひ実現させたいですね。ただ最低でも2クールは必要かな、と。
林:ただ、もしかしたらあまりアニメに向いていない作品なのかも? という思いもあるんです。本作はワンシチュエーションに近い環境で進行するシーンが多いので、意外と動きが少ないんですよ。もちろん僕もアニメ化されるなら楽しみですが。
――『カオスヘッド』では『ブラッドチューン』がスピンオフされましたが、本作に出てきた『雷ネット翔』をアニメ化、ゲーム化する予定はありますか?
林:本作では『雷ネット翔』というゲーム内アニメをスピンオフしたカードゲーム『雷ネット アクセスバトラーズ』という作品が主に描かれています。そのプロトタイプと言える作品を、志倉が方眼紙を切り取って、盤と駒を全部作っていて、プレイできる状況にあるんです。僕もプレイしましたが、これが結構おもしろいんですよ。
松原:フェイリスエンディングのバックに盤面みたいなものが出てくるのですが、あれがまさに志倉がデザインした盤を3Dに起こしたものなんです。あれから、なんとなく「こんなゲームかな?」と予想ができると思います。
――本作のファンディスクが発売されるとして、その中に『雷ネット アクセスバトラーズ』が収録されたらおもしろそうですね。
松原:そうですね。今のところ、志倉が作った『雷ネット アクセスバトラーズ』をプレイした人数は世界で10人もいないと思うんですよ。なので、多くの人にプレイしてもらえたらうれしいですね。あ、でも、一時期志倉がずっと盤と駒を持ち歩いていたので、プレイ人数はもっと多いかもしれないです(笑)。
林:“口で相手と駆け引きをする”そんな心理戦が重要なゲームですね。志倉が口が達者なので、口でガンガン攻めてくるんですよ(笑)。そこをかわしつつ、相手の裏をついていくのが魅力です。
松原:このゲームのおもしろいところは、将棋とは違って駒が裏返しにされて進めていくところなんですね。相手からはどんな駒かわからないので、攻撃していい駒か悪い駒かどうかを推理する楽しみがあります。
――ゲーム中にもあった、大会の時の攻防ですね。
林:駒を動かすと、志倉がいちいち「本当にそこでいいの?」とか「コレとコレが残っているってことは、その駒はアレだよね?」と言ってくるんです。でも、僕はまんまとその裏をかいて志倉に勝ちました。おそらく、社内では僕が一番強いですよ(笑)。
――考案者なのに負けてしまうんですね……。続いて、ズバリ、科学アドベンチャーシリーズ第3弾はあるのでしょうか?
松原:具体的な話はまだないですが、志倉の方で、何かしらの構想はあると思います。今ごろは志倉の中で妄想がどんどん膨らんでいると思いますよ。
林:それがいつ爆発するのか(笑)。
――それでは、最後に『シュタインズ・ゲート』のファンへメッセージをお願いします。
松原:本作は絵柄も特殊ですし、ジャンルもSFなのでパッと見では“とっつきにくい”と感じてしまう方がいると思うのですが、そんな方にこそ、ぜひプレイしていただきたいですね。一見とっつきにくいですが、そこを噛み砕いていく楽しみが非常に詰まっている作品なので、ぜひ遊んでみてほしいです。
林:SF作品と見られていますが、SFとして見るのは僕はオススメしないです。難しい理論も出てきますが、あくまで“想定科学アドベンチャー”として肩ひじを張らずに、気楽に聞き流してもいいので遊んでいただければうれしいです。主人公の中二病という設定にも、あまり真面目に受け止めずに遠くから眺めて笑うぐらいの感覚で遊んでいただけると入りやすいかと思います。そして、この作品をプレイしていただいた方には、胸を張って眠っていた中二病を復活させて“中二病バンザイ!”となっていただけると大変うれしいです。
――本日はありがとうございました!
▲Xbox 360『シュタインズ・ゲート』プロデューサー・松原達也さん(写真左)、林直孝さん(写真右)。 |
※ネタバレ満載! クリア済みの方だけ進んでください!!(7ページ目)
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