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2010年6月30日(水)

【経営者は語る第7回】アニメ配信とゲームサービスの融合を目指すBIGLOBE

文:電撃オンライン

■オンラインゲーム特有のハードルを下げ“アニメワン”のコンテンツとコラボ

──ちょっと大づかみな話になりますが、オンラインゲームサービスの将来性について、現時点でどうお考えでしょうか? まだまだ成長余地が大きいとされている一方、それゆえに参入者が多くて激戦区のビジネスでもありますよね。

杉浦氏:この瞬間から劇的に伸びると考えているわけではありませんが、ブラウザゲームなどとも併せて、裾野が広がる余地はあると見ています。コアなファンの方も多い市場ですので、事業としてのチャンスは十分にあると思います。ブラウザゲーム、SNSゲームと、プレイ内容がシンプルになるにつれてターゲットは広がりますが、今度はマネタイズ(収益化)が難しくなる。その着地点を各所で模索しているのが、現在の市場だと思っています。

──そういった市場認識を踏まえたうえで、エンドユーザーさんがNECビッグローブのサービスで受けられる独自のメリットの部分を、どうお考えになっていますか?

『経営者は語る第7回BIGLOBE』

杉浦氏:ゲームをプレイすることがお客様の目的ですので、ポータル自体に特徴づけをするのは本質的に難しいとは思いますが、ポータルの役割として、より多くの方にゲームを遊んでもらえるようにすること、より楽しくゲームを遊んでもらえるようにすること、という2点が重要だと考えています。

 そのためにはまず、“簡単さ”を追求したいです。オンラインゲームは、プレイを始めるまでのハードルが決して低くありません。会員登録をして、サイズの大きいクライアントソフトを長時間かけてダウンロードして、インストールして、そのほか必要な設定をして、初めてプレイできるようになります。

 ゲームというキーワードでサイトに来るお客様にはいろいろな方がいらっしゃいます。もちろん先ほどのハードルを楽々越えるスキルの高いお客様もいますが、そうでない方に対しては、ポータルとして何もサービスを提供できないことになってしまいます。

 サイトに来ていただいたからには何らかの形で楽しんでいってもらいたい。そのために、Open IDなどの認証連携で最初に会員登録が要らない形も考えたいですし、ダウンロードが不要なブラウザゲームやカジュアルゲームも入れていきたい。そしてNECビッグローブがパブリッシャとして直接提供する作品については、例えばダウンロードが必要な場合でも、はじめから大きなクライアントソフトをダウンロードするのではなく、小さなクライアントで遊び始められるようにして、必要に応じてフルバージョンをダウンロードする、といった形を考えたいです。

──ああ、そこは確かに重要な着眼点かもしれません。コンソールゲームなどと比べたときの手間の多さ、設定の難しさは、いったんサービス側に回ってしまうと忘れてしまいがちですが、PCオンラインゲームの持つ大きな弱点の一つですよね。新規参入業者さんにふさわしい、意欲的な論点といいますか。

杉浦氏:次に“より楽しく”というポイントです。例えば、パブリッシャーさんがあるコンテンツを複数のポータルにチャネリングしている状況では、どのポータルでプレイしても同じになってしまいます。当然、ポータル側としては、ポータル独自の企画やイベントをやっていきたいのですが、NECビッグローブとしてはこのときに、アニメサイトを持っているという特徴を活かしていきたいと考えています。

 アニメサイトを運営しているNECビッグローブであれば、パブリッシャーさんに企画を提案していく中で、アニメキャラやアイテムを活用した企画は作りやすいですし、楽しみの幅が広がると思います。パブリッシャーさんとの関係も強化して、同じゲームでもLievoで遊ぶとより楽しいという価値を、エンドユーザーのみなさんに提供していきたいと考えています。

──アニメワンを事業モデルとして考えるだけでなく、コンテンツを豊かにするための武器にしていくということですね。確かに現状アニメワンでは、普通のアニメコンテンツの視聴サービスだけでなく、インターネットラジオ『のらいぬ兄弟のギョーカイ時事放談』の生放送とか、オリジナルアニメ作品の展開とか、積極的なサービス展開がなされていますよね。

杉浦氏:そうですね。例えばBIGLOBEのオリジナルアニメ作品である『ゆとりちゃん』は、アニメとゲームを融合した形式になっています。“メールでアニメが届く”という新しいコンセプトの作品なんですが、単にアニメを見るだけではなく、アニメキャラクターと会話したりキャラにプレゼントをしたりすることで、キャラの愛情度がアップするというような、簡易的な恋愛シミュレーションゲーム的仕組みを入れています。そして、有料でアニメを視聴していただいたお客様の約50%が、アニメ動画以外の有料サービスを購入してくださっているという成果が出ています。

 具体的なところはまだ検討中ですが、Lievoとアニメワンという2つのサイトを活用することにより、いままでにないサービスを提供できると考えています。アニメから派生したカジュアルゲームを提供したり、逆にゲームでポイントが貯まって、そのポイントでアニメを見られるようにしたりとか、アイデアとしてはいろいろ考えられます。リニューアルが完了する段階で、アニメワンとのコラボレーションコンテンツを何かしら用意するつもりでいます。

『経営者は語る第7回BIGLOBE』 『経営者は語る第7回BIGLOBE』

──インターネットサービスでアニメを視聴する層と、オンラインゲームをプレイする層は、よく言われるとおり親和性が高いのでしょうか?

杉浦氏:年齢の分布などを見る限り、非常に似通っています。その意味で、アニメワンというサイトを事業の武器にしていくことを考えています。

 あとはチャネリングで提供作品を増やしていく過程で、例えば日本で新規にサービスを開始するコンテンツについて、一定期間だけLievo独占で……といったお話を、パートナーさんとの間で進めていけたらと思っています。

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