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2011年11月9日(水)

【通好みゲームメーカー 会社案内 Vol.3】チーム ムラマサは土日祝祭日をきちんと休んでゲームを作る!

文:megane

ユーザーを第一に楽しませて、自分たちも楽しめるゲーム作りを

 ダンジョンRPGというコア向けのジャンルではあるが、チーム ムラマサの堅実なゲーム制作に裏付けられたゲームの内容は、ゲーム全体のバランスやゲーム進行時のレスポンスのよさに定評がある。チーム ムラマサが掲げるゲーム作りの理念とはどのようなものだろうか。

千頭 「こういうゲームを作ろう」といったスローガンみたいなものがあるわけではないのですが、“自分たちが楽しく、そして第一にユーザーが楽しめるもの”という作り方を心がけています。とはいえ、特に意識しているわけではありませんね。

安宅 “楽しく作る”というのは基本ですね。そうでないとユーザーさんに楽しんでもらえるものを作れるわけがないという考え方で作っています。とはいえ、作品によってコンセプトが違えばテーマも違うと思うので、それに合わせた取り組み方、作り方があるとは思います。

千頭 テーマやコンセプトは作品ごとにありますが、“自分が好きだから”という作り手の1人よがりにならないようにしていますね。とはいえ、その中でもユーザーライクな部分が一番上にはあります。

安宅 「今回はこういうお客さんに向けて売るから、こういう作り」ということはよく言いますね。

千頭 当たり前のことではあるんですけどね。ゲームはユーザーのものですから。

安宅 どこの業界でも同じようなことはあると思いますが、職人さんなどはどこまでも自分の理想に向けて走っていくという気質がどうしてもあると思うんです。気がついたらお客さんを飛び越えて、自分1人で走ってしまうので、そこはこちらでうまく誘導していかないといけないと思います。


Xbox 360版『円卓の生徒』で学ぶことは多かった

 Xbox 360というこれまでとは異なるゲームプラットフォームで発売された『円卓の生徒』。チーム ムラマサとしては久しぶりのコンシューマ、そしてエクスペリエンスとしては初のコンシューマでのパブリッシャーということで手探り状態だったようだ。

千頭 Xbox 360はうちがコンシューマでゲームを作っていた時代にはまだ発売されていなかったので、我々のゲームに合うユーザーさんがはたしているのか、ということがまずありました。さらにパブリッシャーとしても初めてだったので、広告などを含めた展開をうまく進めていくことができず、メーカーとソフトの両方の認知度などで難しかったですね。

安宅 それでも各メディアさんにはずいぶんと助けていただいた部分がありました。

千頭 結果としては発売後に非常によい反響をもらえたと思います。『円卓』は元々ダンジョンRPGの普及のためのタイトルでしたので、新規のユーザーさんにも魅力を伝えられるか、という目的がありました。結構高い比率で新規ユーザーさんに買われていたので、会社として目指していたものは達成できたと思います。もちろん、販売的にも好調でした。

安宅 戻ってきたアンケートハガキも皆さん真面目に書いてきてくれているんですよね。よい意見ばかりでなく不満の声もあったんですが、「ここをこうしたほうがいい」と皆さん真面目に意見をくれるので、Xbox 360は非常にいいユーザーさんがいるプラットフォームだな、と思いました。

千頭 こういうこともあって、次回作もXbox 360でやっていけるでしょう、という判断を会社として出せたところでした。元々考えていたタイトルは震災の影響で延期になってしまいましたが……。そのほか『円卓』をコンシューマで出せたことで、いろいろな会社さんとのお付き合いが増えましたね。代表格としてはパブリッシュ業務をお願いしている角川ゲームスさんですが、『円卓』はいろいろなものにチャレンジできるスタート台に立てた作品でもあります。

安宅 沿岸漁業から近海漁業に出られたようなイメージですかね。

千頭 いろいろと学べたことが多い作品でした。ただやはりうちが抱えていた問題ではありましたが、知名度のなさという点は大きかったですね。『迷宮クロスブラッド リローデッド』ではユーザーさんからの意見なども含めて、メーカーとしていろいろな部分で改善できましたし、『円卓』よりもよいプロジェクトになっているのではないかと思います。


ユーザーには一番いい料理を提供したい

▲PC版では元々予定されていた追加コンテンツに加えて、ユーザーからの意見を反映させた修正などもパッチで対応していた。

 チーム ムラマサが制作した『ジェネレーション エクス』3部作、『円卓の生徒』、『迷宮クロスブラッド』の各作品は、それぞれ発売後に数回のパッチが当てられている。内容はダンジョンやイベントなど、元々予定されていたさまざまな追加要素に加えて、単純なバグフィックス、バランスの調整まで多岐にわたるものとなっている。

 また、Xbox 360版の『円卓の生徒』にいたっては、発売後にブラウン管でプレイしているユーザーから寄せられた「フォントが小さい」という意見を反映し、フォントサイズを大きくしたパッチを発売1ヵ月後に配信している。ユーザーの意見を汲み、迅速に反映させる姿勢について、ユーザーからの評判は良好だ。

千頭 ユーザーさんにゲームをプレイしてもらうということは、その1作をプレイしてもらって、ハイさよならというわけではないと思うんです。ですので、その作品での悪いところは直さなければいけないですし、ユーザーさんが思っていることをたえず集めなくてはいけないと思っています。もちろん、ユーザーさんが思っているままに作るわけではありません。ただ、ユーザーさんに一番いい料理を提供したいと思うので、常にユーザーさんに接していたいという気持ちがあります。

安宅 ユーザーさんとお話をしていると、我々では見えなかった意外な視点が見えてきたりするんですよ。そういう交流自体も楽しいですし、作品にも反映できるのでいいですね。

千頭 今はユーザーさんと直接交流できるいい時代ですからね。大手の会社さんだとそのあたりのフットワークがやや鈍くなりがちですが、うちくらいの会社規模だとすぐに動けますね。ユーストリームでのEXPチャンネルの放送もそういったユーザーさんとの交流が一番の目的です。今回の連載記事でもそうですが、開発者の顔が見える時代になっているので、どんな人たちが作っているのか安心してもらえるようにはなったのかなと思います。

▲右がフォントサイズ修正後の『円卓の生徒』の画面。左の画像と比べて、画面下部のフォントが大きくて見やすくなっているのがわかる。

次ページからはチーム ムラマサのメンバーを安宅氏からの視点で紹介!→(3ページ目へ)

(C)2011 Experience Inc. Published by KADOKAWA GAMES

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