2011年12月16日(金)
――開発が進み、「これはうまくいくな」と感じたのはいつごろですか?
鈴木:私は、コンセプトを決めて、概要を決めた時から“いける”と思っていました。ただ、開発チームは中盤くらいまで苦労していましたね。
――中臺さんが苦笑いしているのが気になるのですが……。
中臺:最初の方は「うわ! どうしよう!?」の連発でした(笑)。手ごたえを感じ始めたのは、アクションが見えてきた時ですね。スイッチコンボも、最初から今に近い形で組み上がっていて、いい感触でした。次に手ごたえを感じたのは、妖蛇をステージに配置した時です。最初のステージから出るというインパクトもあり、引きつけられるだろうと確信しました。
鈴木:社内でも意見を聞くために、途中の段階でサンプルを何回か提出するのですが、アクションは早期から評判がよかったです。そこはいけるという感じがしてました。……ただ妖蛇に関しては、かなりグラフィックがしょぼかったので、「大丈夫か?」と危機感を覚えました。同じ社内の“Team NINJA”が迫力あるボスが出る作品を作っていたので、「ダメだろ、これじゃあ」と思い、ケツを叩きました。
中臺:大きかったのでインパクトはあり、キャラクターの対比という点ではいいと思いました。最初は生生しくて、エフェクトもなかったのですが、できあがるにともない、評価も変わりましたね。
――現行のハードになって5年以上経ちますが、チームのメンバーも開発に慣れてきたのしょうか?
鈴木:はい、もう使いこなしていますね。プログラマーだけでなく、プランナーもハードのスペックや特性を把握してきています。
――『TREASURE BOX』にもDLCが付くようになりましたが、時代の変化でしょうか?
鈴木:個人的には限定版にあまりすごい価値があるものを入れることに、抵抗がありました。ただ、『TREASURE BOX』という高価なものを買っていただくので、それに見合う価値のものを入れるという意味では、あった方がいいのかとも思いました。
――初回特典としてサンタコスチュームのダウンロードコードがつきますが、こちらの人選は人気投票のトップの2人ですか?
鈴木:王元姫と石田三成は、人気投票1位だからです。妲己は『無双OROCHI』シリーズのオリジナルキャラの中で代表するキャラを、と考えて入れました。
――王元姫の人気の高さは予想していましたか?
鈴木:いえ、ここまで爆発的な人気になるとは予想していませんでした。
――サンタコスチュームは、他のキャラも後日出るのでしょうか?
鈴木:いえ、出ません。年を明けてサンタコスチュームを配信するというのも、季節外れな印象を受けるので(笑)。
――DLCにどんなものがあるのか、教えてください。
鈴木:シナリオ、衣装、壁紙、BGMです。長く遊んでもらえるように展開する予定です。
――『ブレイドストーム 百年戦争』や『ジルオール』シリーズの他のキャラがDLCとして配信されることはないのでしょうか?
鈴木:DLCでキャラクターが増えることはないです。それは断言します。
――左慈は『真・三國無双』シリーズで最近は見かけませんが、『無双OROCHI』シリーズのキャラという位置付けになったのでしょうか?
鈴木:そういうわけではないんですが、左慈は歴史という観点からすると、物語にかかわりが深いとはいえないんです。そのため、『真・三國無双』シリーズでは無理に出さないようにしています。
――『電撃PlayStation』とのコラボで、妲己のスペシャル衣装があるということですが、どういったものになっているのでしょうか?
鈴木:妲己の色を電撃さんのカラーである黄色にしています。あとは、お尻のところに手を広げたポリタンが描かれています。武器の前後にもデザインされているので、よく見えると思いますよ。
――髪の毛まで色が変わっていて、妲己からやわらかい印象を受けました。制作で苦労した点などあれば、教えてください。
鈴木:ポリタンをしっかり見えるようにしたいというのがあり、そこには注意しました。武器の場合は、二面に張ったら見えるようになったんですが、妲己は衣装に布部分が少ないんです。どこに張ればポリタンだとしっかりわかるのか悩みました。腰から出ているフワフワした布に張ったのですが、布が半透明なので、そこにまともに張ってしまうと見えにくくなってしまう。半透明に見えなくてもいいので、濃いめに出してしっかり見えるようにしています。
▲これまでとは違う雰囲気の妲己。『電撃PlayStation Vol.509』に封入されるダウンロードコードで、使用可能になる。 |
――開発中のマル秘エピソードがあればお願いします。
鈴木:仕様が削られたものが、1つあります。
中臺:……ありましたね。
鈴木:『真・三國無双3』の時に、一騎討ちという要素がありました。戦っている最中に、敷居で囲まれたエリアがなぜか戦場に登場して、そこで戦うという。あれに近いものが搭載されていて、開発の終盤にさしかかるまで作りこんでいたのですが、格闘ゲームに近いような仕上がりになってしまったんです。これでは難しすぎてユーザーにあわないということで、ゴッソリ削りました。かなり作ってから丸ごと切ったという、あまりないパターンでしたね。ディレクターは最後まで食い下がっていました。
中臺:そうですね(笑)。……ちょっと親和性がよくなかったというのが、正直あります。本作ではストーリーを大事にしているのですが、これが入ると話の流れが止まり、テンポが悪くなってしまうので、最終的には削りました。
――個人的には、『真・三國無双3』の一騎討ちは“投げ”と“弾き返し”、“名乗り”で、アツかったという印象があります。
鈴木:開発チームの中にもそういう人間がいて、新作を作ると「対戦モードを入れよう」という意見が必ず出ます。ただ、ちゃんと作ろうとするとバランス調整に時間がかかってしまうために、優先順位が下がり、見送られることが多いですね。
――本作をプレイする上で、オススメのテクニックを教えてください。
中臺:新アクションをぜひ使いこなしていただきたいです。まずはダッシュ攻撃で斬りこみ、そのままダッシュチェインにつなげます。攻撃を加えた後、スイッチコンボで武将を切り替えつつ、タイプアクションや無双乱舞を発動。そして、最後に真・合体技で締める。この流れができると、かなり爽快だと思いますね。
――中臺ディレクターはアクションに対して、かなり熱意を持っているように感じるのですが……。
中臺:はい、その通りです(笑)。傍(はた)から見ている時もありましたが、中に入ってシナリオを作ったこともあり、長く『無双』チームにはかかわってきました。そういうかかわりの中で「ここをこうしたら、もっと気持ちよくなる!」という思いが積み重なっていたので、その情熱を込めて作っているのが本作です。
――なるほど。では最後に、発売を楽しみにしている読者へ、メッセージをお願いします。
中臺:前作から時間は経っているのですが、開発スタッフ一同が一生懸命作り、仕上がりも非常にいいです。アクションも爽快なものになっていますし、それ以外にも120人以上いる武将のドラマが展開します。それらを楽しんでいただければと思います。
鈴木:本作における一番のこだわりは、ストーリーです。プレイを始めたら、先を見たくなる展開になっています。また、ストーリーをクリアした後でも、武将を成長させたり、絆を上げたり、やりこみもあります。DLCも企画中で、太く長く遊べる作りになっていると思います。あと、3D立体視に対応しているので、3D-TVをお持ちの方は迫力の画面で物語やアクションをお楽しみください!
▲ソフトについてさまざま語ってくれた2人。“太く長く”楽しめるそうなので、年末年始に『無双OROCHI2』をたっぷりと楽しんでみては? |
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