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2013年6月20日(木)

『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』発売直前インタビュー。究極進化した3DS版の開発秘話から攻略情報まで公開

文:そみん

■伝説の神ゲー・PS版『デジモンワールド』復活の裏の苦労談とは?

『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』

――まずは本作を開発することになったきっかけとコンセプトを教えてください。

羽生デジモン15周年プロジェクトにあわせ、かつてPSで人気を集めた『デジモンワールド』を今風に作り直そうとしたことが出発点です。こうして発売されたのが、PSP版の『デジモンワールド リ:デジタイズ』です。

 このPSP版がヒットして3DSへと移植することになり、『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』の開発が決まりました。当初はオーソドックスな移植にするつもりでしたが、どうせなら時間が許す限り新要素を詰め込もうと頑張った結果、もはや移植とは呼べない仕上がりになりました。

友野:最初は「ちょっとでも追加要素を入れたい」という話だったんですが、羽生さんが各所で調整をしてくれて、最終的には「続編と呼べるものにしていこう」と方向性が変わっていきました(笑)。

『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』 『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』

羽生:3DSはお子さんのユーザーさんも多いですし、新しい『デジモン』の世界を広げていくにあたって、ちゃんと力を入れたいと思ったんです。それから正直な話、PSP版ではやりきれなかった部分や反省があったので、よりよいものを再度作ろうという意気込みもありました。

友野:そもそもはムゲンマウンテンという新ダンジョンと新デジモンを追加するくらいの話だったんですよ。でも、“続編”というキーワードが出てからは、新シナリオに新システムと、とにかく莫大なボリュームの要素を盛り込むことになりました。

 これらをすべてPSP版の発売後に作ったと言っても信じてもらえないかもしれませんが、作った我々も信じられないくらいで(笑)。これを実現できた一番の理由は“慣れ”と“愛着”でしょうね。システム開発のノウハウの蓄積もありますが、PSP版の開発の際は『デジモン』という世界観を勉強しながら作っていたのに対して、3DS版の開発の際は“『デジモン』らしさ”を把握していて愛着も深まっていたので、いろいろな要素がスムーズに決まっていきました。

――開発中に手ごたえを感じたのはいつでしたか。

羽生:手ごたえというより苦労話になりますが、初期は本当に大変でした。PS版『デジモンワールド』から約13年を経ての復活ということで、苦労した部分は多かったです。そもそも非常に特殊なゲームですし、どうやって今風に作り直せばいいのか、手探りの部分ばかりでした。

――開発コンセプトとしては“完全再現”だったのでしょうか。

羽生:まんまを完全再現する完全移植ではなく、遊びやすくリファインすることは大前提でした。

友野:約13年前の作品ですから、そのまま移植しても単なるファンアイテムになってしまいます。PS版の難易度は今、あらためてやると非常に高いですからね。

羽生:システムや遊び方の部分はPS版を踏襲しつつ、ゲームバランスは今風に調整する形ですね。PS版を発売当時に遊んでくださった方は視野に入れつつ、『デジモン』は15年の歴史を持つ作品なので、初めて遊ぶ方がきちんと楽しめるようなバランスにすることを意識しました。

 その中で一番大事にしたのは、液晶ゲーム時代から続く『デジモン』らしさの部分。つまり、寿命というサイクルがありながら、さまざまなデジモンへと進化させていくという楽しみ方です。

 もう1つは、デジモンたちが暮らす“デジタルワールド”の世界を自由に遊べるという、本作ならではのゲーム性です。PS版『デジモンワールド』が発売されたのは1999年1月なんですけど、今で言うところの“オープンワールドRPG”の走りのようなゲーム性で、とにかく自由度が高いんですよ。

『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』 『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』

――たしかにPS版『デジモンワールド』は序盤から好きな場所に行けますし、ストーリーを楽しむというより、育てたデジモンを連れて島を冒険するのが楽しいゲームでした。

羽生:そうなんですよ! そういう感覚の部分を再現するのが大変でした。寿命のサイクルの部分などは、システム的な要素をベースに考えていけばいいので比較的スムーズに進んだんですが、“自由度が高い”とか“デジモンが暮らす世界観の再現”とか、そういう部分の再現に苦心したんです。

 一例として、イベントの発生条件も議論になりました。今回はストーリー性が強くなっていますが、その一方で本作の一番の魅力はストーリーを追うことではなく、島を自由に冒険してさまざまなサブイベントに出会うことだと思っています。このバランスを一歩間違うと、単に言われた通りにストーリーを追う一本道のRPGになってしまうわけで、そうなると本作ならではのよさがなくなっちゃうんですよ。

友野:そもそもが“好きな場所から遊んでください”というゲーム性なので。もっと現場的な立場から言わせていただきますと、物量だけの話ならまだマシなんですよ。極論ですけど、頑張って管理さえすればいいんですから。

 もっと大変だったのは、プレイヤーの立場に立って、サブイベントやメインストーリーへと誘導する導線を考えながらゲームデザインをしていく部分でした。そのうえで、できるだけPS版の時のイベント発生条件を現代的に再現できるように考えていきました。

羽生:大前提としてデジモンが暮らす世界をパートナーのデジモンと一緒に冒険する楽しみがあって、各地でたくさんのデジモンと出会ってサブイベントをクリアしていけば、街がどんどん繁栄してにぎやかになっていき、メインストーリーも進んでいくというバランスを目指しました。この流れを作るまでが本当に難航しまして……。

 実は友野さんにはこのあたりの時期で増援として開発に入っていただき、それによって開発が軌道に乗っていきました。そのあたりで、ようやく手ごたえを感じましたね。

――友野さんは、どんなタイミングで手ごたえを感じましたか。

友野:いくつかありますが、そのうちの1つがムゲンマウンテンというダンジョンです。これは100階レベルの深さがあるやり込み系のダンジョンなんですけど、開発当初はおまけ要素に近い位置づけで、ほとんどの人がクリアできないバランスになっていました。

『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』 『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』

 ただ、開発が順調に進んでスケジュールに少し余裕ができたところで、やっぱりちゃんと多くのユーザーさんが楽しめるものにしたいと思い返して、思い切ってガッツリとバランス調整をし直しました。当初はランダム生成だった部分も、全部マップやギミックを設定して、あらゆる部分でバランスを取っていった結果、頑張れば誰でもいつかはクリアできるようなバランスになったと思います。

 問題が山積みの中での対応だったんですけど、個々の現場の開発スタッフがフレキシブルに対応を進めていったおかげで、本当にスムーズに開発が進みました。その流れを見た時に、「ああ、これで今回の開発は安心できるな。3DS版は絶対にいいものになるな」と実感できました。

→開発スタッフが好きなキャラ&デジモンは?(3ページ目へ)

(C)本郷あきよし・東映アニメーション・テレビ朝日・電通
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データ

▼『デジモンワールド リ:デジタイズ デコード』ダウンロード版
■メーカー:バンダイナムコゲームス
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■発売日:2013年6月27日
■希望小売価格:5,480円(税込)

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