2015年3月17日(火)
『ブレイブリーセカンド』インタビュー。体験版の意見を踏まえ、製品版はさらに遊びやすく調整
スクウェア・エニックスが4月23日に発売する3DS用RPG『ブレイブリーセカンド エンドレイヤー』のインタビューをお届けします
お話をお聞きしたのは、プロデューサーの浅野智也さんとアシスタントプロデューサーの高橋真志さん。ねこ使いやパティシエといったユニークな新ジョブが生まれた経緯は? 体験版の反響を踏まえて製品版で調整した部分は? さまざまな新情報を聞いてきたので、ぜひチェックしてみてください!
■体験版の意見を踏まえて、製品版はさらに遊びやすく調整!
▲左はプロデューサーの浅野智也さん。右はアシスタントプロデューサーの高橋真志さん。 |
――12月に体験版が配信され、2月にはアップデートも行われました。ユーザーからの反響はいかがでしたか?
浅野:たくさんのご意見をいただきまして、本当にありがとうございます。前作の時のことを思い出しました。
皆さんの反響をスクエニメンバーズでのアンケート、そしてネットでの反響を通して1つ1つチェックして、気になるところをできるだけ修正し、そしてよいと言われている部分はそのよさを再確認することができました。そういう意味でも体験版を出せてよかったなと、あらためて思います。
――具体的にはどういった部分を調整しているのでしょうか。
浅野:移動速度やロード時間など、本当にちょっとの差なのですが、より遊びやすくなるよう調整を加えました。
大きな修正を1つというより、細かい修正をいくつも行っている感じです。また、わかりやすいところですと、曲の見直しも行っています。
高橋:『フォーザ・シークウェル』からはシステム的にはそう変わっていないので、僕らからすると新キャラと新タウンをメインにご紹介できればというスタンスでした。
でも、実際に反響を見てみると、『フライングフェアリー』を遊んだ後、『フォーザ・シークウェル』を遊ばずに『ブレイブリーセカンド』の体験版を遊んだという方も多く、バトルの4倍速や、エンカウント率の設定などに驚いている方もいて、とても遊びやすくなったという意見が多かったです。
――新キャラに関する反響はいかがでしたか?
高橋:前作のキャラが大きな支持をいただいているので、新キャラにとっては偉大な前作キャラがライバルという感じで、大きなハードルになっている気がしました。
浅野:イデアやティズの登場を発表した時の盛り上がりはすごかったですからね。でもそれは想定していたことなので、新キャラも負けないレベルでよいキャラクターに仕上げられていると思います。その一端は、体験版で示せているかなと思いますが。
▲前作の主人公のティズも続投が決定! 肌の色など、いろいろと気になるところだらけです。 |
高橋:それもあって、今回の体験版では新キャラたちの魅力を伝えるためにちゃんとボイス演出を入れたんです。
▲主人公のユウをリーダーとする正教騎士団三銃士。 |
新しいキャラとして好かれるためには、どういうキャラなのかをちゃんと知ってもらわないといけないと思いましたので。結論としては、ボイスを入れたことは大成功でした。
例えばニコライなどは、体験版を配信する前はあまり反応がなかったのですが、体験版でボイスを聞いたユーザーさんから好評で、今ではとても人気のキャラになりました。
――発表当時と比べて、ニコライは大きく印象が変わりましたね。
浅野:前作は若者系のキャラばかりでしたが、ニコライはおっさんキャラでしたからね。その魅力を伝えることはなかなか難しかったので、やはりゲームで体験してもらうのが一番でした。
――体験版で遊べる新ジョブはユニークなものが多かったと思いますが、ユーザーからの反響はいかがでしたか。
高橋:我々の感覚として、『フォーザ・シークウェル』からシステム的に大きな変化は少ないので、新しいジョブをちゃんと見せたいと思いました。だから、体験版では“修飾句”を使えるウィザードや“アンドゥ”を使えるエクソシストなど、ちょっと特殊で斬新なアビリティを使えるジョブを優先的に選びました。
浅野:前作から引き続き登場するジョブについても、あえてちょっと特殊なアビリティを選びました。前作と変わりばえがしないアビリティばかりをみせても、おもしろくありませんからね。
――中でもエクソシストが使える“アンドゥ”は特殊ですよね。“なかったことにする”能力でターンを巻き戻して、HPやMPを数ターン前の状態にするなんて……。
浅野:エクソシストの反応はとてもいいですね。そのアスタリスク所持者のガイストも人気のようで、“アンドゥ”をもじって安藤(あんどう)さんなんて呼ばれているのを見て、笑ってしまいました。ジョブもキャラも好かれているみたいで、本当にうれしいです。
▲エクソシストのアスタリスク所持者、ガイスト。 |
――前作を含めて、アスタリスク所持者は親近感がわくような憎めないキャラが多かったと思いますが、ガイストはガラッと印象が違っていて驚きました。
浅野:前作ではアスタリスク所持者が多かったものですから、1人1人を掘り下げきることができなかったと思っていました。その点、『ブレイブリーセカンド』では、1人1人のアスタリスク所持者をできるだけ掘り下げて描くようにしています。ガイストのエピソードについても見ごたえがあると思いますよ。
■バーターサブシナリオではイデアと一緒に悩んでほしい!
――細かなストーリーについてはあまり公開していませんが、やはりネタバレをしたくないということですか?
浅野:そうですね。それもあって、体験版ではオリジナルのストーリーを用意しました。ストーリーのおもしろさには自信がありますので、ぜひ製品版をお待ちください。
――では、このインタビューでもストーリーにはあまり触れずにいこうと思いますが、ボリューム的にはいかがでしょうか。
浅野:ボリュームはいろいろな尺度があるので一概には言えませんが、単純に文字数という観点から言えば2割増しになっています。それもあって、ボイス収録にはとにかく時間がかかりましたね。
――それは楽しみです! 楽しみと言えば、いよいよ発表された正式なサブタイトル“END LAYER(エンドレイヤー)”にどんな意味が隠されているのかも楽しみです。
浅野:今回もサブタイトルに秘密がありますので、いろいろと考えて、楽しんでもらえるとうれしいですね。すでにネット上ではいろいろな推測で盛り上がっているようで、うれしい限りです。
――サブタイトルが発表されると、4月23日の発売日が一気に近づいた気がしました。ちなみに早期購入キャンペーンの衣装はユニークなものが多いと感じましたが、どのような流れで考えていったのでしょうか。
▲前作でも活躍したイデアは『ブレイブリーセカンド』にも登場! バーターサブシナリオでは彼女がメインで活躍するようです。 |
▲早期購入キャンペーンの特典衣装。 |
▲早期購入キャンペーンでは、特典衣装だけでなく武器“白翼の杖”ももらえます。 |
●“白翼の杖”について
・タイプ:杖
・効果:戦闘中に使うとアスピル(MP吸収)の効果が発動
浅野:今までもそうなのですが、“本編ストーリーの中でまだ描かれていないけれど、その世界を広げるきっかけとなるもの”というテーマで作っています。
高橋:例えば『フライングフェアリー』の時のアニエスの衣装で“正教騎士の服”というものがありました。『ブレイブリーセカンド』に登場する正教騎士団は、ここから広げていったものなんですよ。
浅野:実際に今後広げるかどうかまではまだ詰められていないものもありますが、何かの機会に使えるようなものを意識して作っています。
――なるほど。個人的にはイデアの衣装がカプカプ(カエルのようなモンスター)をモチーフにしているところが気になっています。かなりカプカプをプッシュしているように感じますが?
浅野:倒すとたくさん経験値がもらえるマスコットキャラ的な敵として、少し目立たせています。『ブレイブリーセカンド』のゲーム内でも、いろいろなところで出てきますよ(笑)。
――続いて、体験版を遊んで気になったのですが、アスタリスク所持者の背景の色が2種類ありますよね。前作のジョブは青、今作からの新ジョブはオレンジと区別されているようですが、意識して分けたものなのでしょうか?
浅野:意図的に分けています。前作はアスタリスクアリーナと呼ばれる青い空間で、今回の帝国軍側のアスタリスク所持者が出てくる空間はオレンジと作り分けています。
ちなみに体験版ではプレイ回数も限られているので曲を統一していますが、製品版では前作の所持者戦と今作の所持者戦で曲を分けています。前作の所持者戦では、おなじみの『彼の者の名は』の曲で戦うことになります。
――これは個人的な感想ですが、公開されている資料を見た限りでは、前作のアスタリスク所持者はかなり人間的にいい人になった気がするのですが、気のせいでしょうか?
浅野:善悪というより、キャラの個性を際立たせた結果だと思います。開発スタッフ的に前作キャラについては愛着もあるので、どんどんノリがよくなってきて、おもしろいシナリオになっているとも言えます(笑)。
高橋:バーターサブシナリオは前作のサブシナリオと同じようなスタンスで、本編ストーリーとは切り離された形で存在します。プレイしても、プレイしなくてもいいという立ち位置なので、そういった意味でも遊びが強くなっていますね。
――バーターサブシナリオは、2人のアスタリスク所持者のどちらを支持するかで入手できるジョブが変わるそうなので、とても悩みそうです……。
浅野:まさに、そうやって悩んでいただくことが狙いです。どちらのジョブを選ぶかでプレイスタイルが変わる部分はありますが、そこでのバランス的な有利不利はないように考えているので、どちらかのジョブがハズレということはありません。
プレイスタイルとシナリオ的な主張と、どちらも合わせて考えてもらって、イデアと一緒に“悩んでもらう”ということをうまくゲームに落とし込めたかと思っています。
特にイデアは前作から、白黒はっきりつけなきゃ気が済まない子でしたからね。彼女の成長をいかにゲームシステム上で表現するか、という部分で気を使ったところです。
――ちなみにシリーズものとなりますが、前作を遊んでいない人へのサポートなどはあるのでしょうか。
高橋:どうしても前作の物語が気になる方のために、ゲーム中には前作のストーリーを簡単に振り返ることができるダイジェスト機能のようなものも用意しています。
そういう意味でも、前作を遊んでいない人でも楽しめるようになっているので、気軽に『ブレイブリーセカンド』を遊んでもらえるとうれしいですね。
また、前作『ブレイブリーデフォルト』のストーリーを5分でまとめた動画も公開しました。完全ネタバレとなっているので、その点にはご注意ください。
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動画“5分でわかるブレイブリーデフォルト”には『ブレイブリーデフォルト』の多大なネタバレが含まれていますので、まだ真終章をクリアしていない方はご注意ください。
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●動画:5分でわかるブレイブリーデフォルト
――それは親切ですね! ちょうど編集部には、前作は遊んでいないけれど『ブレイブリーセカンド』の体験版が気に入って、あえて前作を遊ばずに今作から遊び始めるという人もいます。
浅野:そういう方の意見もぜひ聞いてみたいですね。『ブレイブリーデフォルト』をプレイしてから『ブレイブリーセカンド』をプレイすると、より楽しめる部分はありますが、『ブレイブリーセカンド』からでも楽しめるように作っていますので。
――体験版を遊んだ感想を聞いたところ、主人公が前作から変わったことで、シリーズを初めてプレイする人でもストーリーに入りやすかったと話していました。逆にアニエスが前作でどんな活躍をしたのか気になったみたいです。
▲前作から引き続き登場するアニエス。本作では法王となっています。 |
浅野:だいぶ悩んだんですけどね。前作のキャラがメインで登場してしまうと、前作ファンにとってはうれしいものの、新規の方にはおいてけぼり感を抱かせてしまいますから。
高橋:前作が気になった方は、たっぷり無料で遊べる版が配信されていますので、ぜひそちらも遊んでみていただければと思います。
■supercellのryoさんが目指したもの、そしてエンディング曲より後に作る大事な曲とは?
――supercellのryoさんが手掛ける音楽も『ブレイブリーセカンド』の魅力ですが、体験版のアップデートの際に音楽も調整されていてビックリしました。どういった経緯で調整を行ったのでしょうか。
高橋:12月に配信した体験版の反響を見て、ryoさんのほうから調整をしたいとお話がありました。
――アップデートまでそんなに時間があったわけではないと思うのですが、かなり急ピッチで対応をした感じでしょうか。
浅野:そうですね。スケジュール的には少しタイトな部分はありましたが、ryoさんから『ブレイブリー』ファンの方に向けてチューニングを行いたいという話がありまして、その後に作られたのが“覚醒篇”のPVで使われた皇帝オブリビオンのテーマ曲でした。
●動画:『ブレイブリーセカンド』~覚醒編~
この曲は非常に反応がよく、テンポや楽器の使い方を含めて、その後の曲の方向性が定まった感じですね。それより前に作った曲についても、アレンジを加えて方向性を調整したいという話があり、もろもろ調整が行われました。
まだまだかっこいい曲がたくさんありますので、発表していない曲についてもぜひ期待してほしいと思います。
▲バトル曲を中心に調整がされ、さらに音楽がかっこよくなりました! |
――通常バトルの音楽などはアレンジが少しされるだけでも印象がかなり変わって驚きました。ちなみにryoさんの楽曲制作作業はすべて終わったのでしょうか。
高橋:つい先日、ラスボス曲とエンディング曲が届きまして、残すところあと1曲という状態ですね。といっても、もう完成間近なので、このインタビューが掲載されるころにはすべて終わっていると思います。
――ラスボスやエンディングよりも後になる曲って珍しいと思うのですが、やはり重要な曲なのでしょうか。
高橋:詳しくは言えませんが、そうですね。
浅野:もう完成間近とはいえ、ryoさんは自分の満足がいくまでクオリティアップをされる方なので、もう少しかかるかもしれませんが、本当にすごい方だと思います。
――そんな中で、浅野さんと高橋さんのお気に入りの曲はどんなシーンの曲ですか。
高橋:バトル曲の種類が多いので、きっと浅野はそこから選ぶと予想して、自分は違う観点で選ぼうと思います。
これはもう、ファンの皆さんも期待されていると思うのですが、あるキャラクターの歌が出てきます。収録の時も本当に楽しかったので、いったい誰の曲なのかとワクワクしながらお待ちいただければと思います。ちなみに、1キャラだけじゃありませんよ。
――え! てっきりあのキャラかと思っていたのですが、1キャラじゃないとは。
浅野:いかにもというキャラもいれば、まさかというキャラもいます。お楽しみに!
――どのキャラが歌うのか妄想しながら楽しもうと思います! ちなみに前作は街ごとに音楽が違いましたが、今作でもそうなのでしょうか。
高橋:はい、魔法学園都市イスタンタールなど、新しく出てくる街はすべてryoさんに作っていただきました。前作に引き続き登場する場所は、前作の音楽が流れる形ですね。
――先ほどのアスタリスク所持者戦とのバトル曲同様、前作の音楽も登場するとのことで懐かしい感じがします。続いて、浅野さんのお気に入り曲はなんでしょう?
浅野:2つあります。まずはラスボス曲ですね。これはもう、本当にすごいのひと言です。
高橋:超かっこいいですよ。前作のラスボス曲も人気が出ましたが、今回のラスボス曲もきっと評判になると思います。
浅野:ものすごく熱いラスボス戦が楽しめると思いますので、ご期待ください。
もう1つは先日配信した“ブレイブリーセカンド開発室”で公開した曲ですが、キャラクターが必殺技を使う時の曲です。前作同様、キャラクターごとで音楽が異なるのですが、どれも非常にいい曲になっています。
●動画:“ブレイブリーセカンド開発室”第1回
→“ブレイブリーセカンド開発室”で発表された新情報まとめはこちら
――自分は前作では必殺技を使って戦うことが多かったので、楽しみです! ちなみに前作は90秒という時間の縛りにあわせて、曲の長さも統一されていましたが、今回はいかがですか?
浅野:今回も90秒で統一しています。この必殺技の音楽も含めて、今回はストーリー上いろいろな敵と戦うことになるので、ryoさんには本当にたくさんのバトル曲を作っていただきました。
――“覚醒篇”のPVで使われた皇帝オブリビオンのテーマ曲もバトル曲ですか?
浅野:はい。皇帝オブリビオンと戦う時に流れます。あれくらい熱い曲がまだまだありますので、お楽しみに。
▲アニエスをさらったグランツ帝国の皇帝オブリビオンと、彼につきそう謎の妖精アンネ。 |
■ねこ使いやガーディアンなど、新ジョブを導入した狙いとは?
――体験版でほぼすべてのシステムが盛り込まれていたような印象がありましが、まだ隠しているシステムはあるのでしょうか。
浅野:体験版では、必殺技やアビリンクなど、前作でおなじみのシステムをいくつかカットしていました。ただ、そういったものとは別で、実はまだ新システムを用意しています。
――それは気になります! できればヒントだけでも!!
浅野:ちょっと抽象的な表現になりますが、前作の村復興を派生させたような新要素があります。これは普通にゲームを遊んでいる時とスリープをさせている時、その真ん中みたいな状態を利用した特殊なゲームになります。お楽しみに!
――なるほど、村復興のようにじっくりと遊べる要素になりそうですね。ちなみにUの手帳で確認できる“特殊アビリティ”というメニューが気になるのですが、これは新システムですか?
高橋:いえ、それは前作の“アビリティ”の項目=アビリティ図鑑のようなものです。前作でいうところのゲノムアビリティや調合など、特殊なアビリティのリストを閲覧できる形ですね。
――勘違いだったようでお恥ずかしい……。次に新ジョブの誕生秘話についてお聞きしたいと思います。まずは、ねこ使いから。
浅野:新ジョブを考える時は、まずゲーム全体のバランスを意識するところから入ります。アタッカーはいくつジョブがほしいか、魔法攻撃役はこれくらいの数、回復役はこれくらいにしよう、というように全体を通してバランスを考えていくわけです。
で、肝心のねこ使いですが、これは“お遊び枠”として用意しました。
高橋:実は過去に浅野が手掛けたDS『光の4戦士』の海外版を発売する際に海外で行ったジョブ募集企画の1位が、ねこ関連のジョブだったんですよ。ネコマスターみたいな名称だったのですが、もしかしたら今回のねこ使いのルーツはそれなのかもしれません。
――ねこ使いは、エサを使い分けることでさまざまなねこの力を借りられるジョブとのことですが、性能的にはどうですか?
浅野:お遊び枠ではありますが、実は結構強いですよ。攻撃もできますし、サポートにも回れます。
高橋:ねこ使いは男性用のグラフィックもユニークなんですよ。ぜひ注目してもらえればと思います。
▲ねこ使いにジョブチェンジした時のグラフィック。 |
▲ねこ使いにジョブチェンジしたユウとティズ。 |
――次に占星術師についてお願いします。
浅野:占星術師は補助枠ですね。ねこ使いみたいなお遊び枠ばかりだとおかしいので、正統派の名称が与えられています。
▲占星術師にジョブチェンジした時のグラフィック。 |
――前作ではスーパースターが補助枠でしたが、そことの差別化は?
高橋:スーパースターが物理攻撃+サポートというスタンスなのに対して、占星術師は魔法攻撃+サポートという役割分担ですね。また、新しい魔法体系を増やしたいという意見もあって、それも加味して作られています。
浅野:前作で白魔道士、黒魔道士という回復、攻撃のスタンダードな魔法型ジョブが出ているので、それを意識してスタンダードな魔法型補助ジョブとして調整しました。
――次にパティシエですが、これもかなり特殊ですよね(笑)。
浅野:パティシエは、お遊び枠と見せかけて補助枠です。補助といっても、味方を強化するよりも敵を弱体化させるほうが得意なポジションですね。
▲トマホークのアスタリスク所持者のエイミーと、パティシエのアスタリスク所持者のパネットーネ。 |
高橋:バトル中のモーションがとてもかわいいので、ぜひご注目ください。ねこ使いも凝っていますが、パティシエはさらに細かい動きが多くて、開発チームがとても楽しそうに作っている感じが伝わってくるはずです。
浅野:ジョブ名を調理師とする案もありましたが、『ブレイブリー』シリーズではジョブがアスタリスク所持者のキャラクター性と直結するので、より具体的なジョブ名のほうがキャラクターとして立ってきます。
そういう意味でパティシエのほうが広がりを見せると思い、命名しました。実際、パネットーネというキャラがおもしろくなったことはもちろん、バトル中でもお菓子を作って攻撃をするという演出につながっています。
――続いてエクソシストですが、ターンを巻き戻して“なかったことにする”能力=“アンドゥ”はゲームバランスを崩すレベルの能力ですよね。バランス調整が大変だったのでは?
浅野:そうですね。ジョブのイメージは早い段階で決まりましたが、バランス調整にはかなり気を使いましたね。『ブレイブリーセカンド』の中でも、特に調整に力を入れたジョブといって過言ではありません。
高橋:ちなみにエクソシストは回復枠として考えました。回復役にはすでに白魔道士がいるので、そことの差別化をするために特殊な使い方でデザインをしていきました。
▲エクソシストにジョブチェンジした時のグラフィック。 |
――なるほど。最終的にバランスは調整できましたか?
浅野:ええ、調整前はあまりに便利すぎて最強アビリティになっていたこともありますが、うまく調整がなされました。とはいえ、使い方しだいではかなりおもしろい使い方ができるので、お楽しみに。
――最後に謎が多い新ジョブのガーディアンについてお願いします。
高橋:ガーディアンというくらいなので、タンク役ですね。オトリになって敵の攻撃を引きつけたり、仲間をかばったりするようなポジションです。
▲ガーディアンにジョブチェンジした時のグラフィック。 |
浅野:実は前作でもタンク役は少なくて、ナイトくらいだったんですよね。ガーディアンはアタッカーをこなせるタンク役といった感じになります。
高橋:かなり物理攻撃が得意なので、人によってはアタッカーとして機能するはずです。
浅野:詳細は伏せますが、他人のアビリティを使えるという特殊なジョブです。うまく使うとかなり輝きますので、いろいろと試してみるとおもしろいはずです。
■仕様書よりも楽しい形になった連続チャンスの誕生秘話
――『ブレイブリーセカンド』から導入された連続チャンス(連チャン)は、連勝すればするほど獲得経験値などが多くなり、とてもレベル上げがはかどるシステムになっていました。どういった経緯でこのシステムを考えたのでしょうか。
浅野:『ブレイブリーセカンド』では敵とのエンカウント率を操作できるので、レベル上げが作業になってしまう不安がありました。それを避けることにも貢献したシステムです。
高橋:ややもすると、ほとんどの場面ではエンカウントをオフにして進行させ、ボス戦の直前でレベルを上げてボス戦へ、といった作業になりかねませんでした。
バトルにメリハリがつくようになり、かなり楽しく仕上がったと思います。
浅野:正直なところ、仕様書を見た時には単にレベル上げに役立つシステムくらいの感覚だったのですが、実際に形にしてプレイしてみたら、イメージ以上に楽しかったです。
体験版を遊んでいただいたユーザーの皆さんからの反響もよいですし、導入してよかったと思っています。
高橋:本当にクセになるシステムですよね。BPの考え方も、連チャンシステムによって幅広いものになりましたし。
連チャンがなかったら、単純に強い技を登録してオートで回すだけのレベル上げ作業になってしまったかもしれません。連チャンが入ることで、BPをどう節約して1ターンで倒すかといったことを考える重要性がましたので、本当にこのゲームに適したシステムだと思います。
――連チャンと言えば、前作に登場した“黄泉送り(※)”を使うと無限に連勝できてしまうような気が……。
※黄泉送り:自分より弱い敵を戦闘開始時に全滅させる。
浅野:それはもちろん、できないようにしています。そういったアビリティを使った場合は連チャンが発生しないようにしています(笑)。
高橋:自動で誰でも連チャンできてしまうものはバランスを崩すので、そういった運用はできないように調整しています。
ただ、ちょっと頭を使ってジョブやアビリティを組み合わせて戦えば、かなりの連勝ができるようにはしています。プレイヤーに連勝をさせたくないわけではなく、あくまでも自動や流れ作業での連勝ができないように考えるスタンスですね。
――ザコ敵と戦う楽しさという意味では、モンスター図鑑を埋める要素も楽しかったです。体験版では、ついつい図鑑の全項目を埋めたくて、なかなか先に進めませんでした(笑)。
高橋:エンカウント率のオンオフができてしまう中で、いかにザコ敵との戦闘を楽しんでもらうかということは、『ブレイブリーセカンド』の大きなテーマでした。連チャンシステムとモンスター図鑑のおかげで、ザコ戦にもよいモチベーションが作られていると思います。
浅野:製品版では全モンスターに挿絵がついていますし、解説文章のボリュームもものすごいものを用意しています。
ぜひ、“連チャンが楽しい→埋まっていく図鑑が楽しい!”というモチベーションの連鎖で、モンスター図鑑の制覇も目指して遊んでいただけたらうれしいですね。
――モンスター図鑑ですが、製品版でも体験版と同じくらいの戦闘回数で図鑑が埋まる感じでしょうか?
浅野:エンカウント率を普通の状態にして遊んでいけば埋まるくらいのバランスを想定しているので、体験版よりも少ない戦闘回数となるはずです。
高橋:キャラクターのたわいもない会話というのは、このゲームの持ち味とも言えます。モンスター図鑑では、キャラクター同士の掛け合いがたっぷりと楽しめるので、図鑑を埋めていくのは楽しいと思いますよ。
浅野:基本的に、何かをしないと先に進めないという作りにはしないことを心がけました。図鑑を埋めたい人は埋める、レベルを上げたい人は上げる、シナリオ進行を重視したい人は手早く進められるようにといったように、どんな遊び方のスタンスでも楽しんでいただけるように気をつかっています。
高橋:それにしても、連チャンとモンスター図鑑が『ブレイブリーセカンド』にはなくてはならないシステムになったということは、体験版の反響を見て実感しました。
浅野:あと、工夫した点としては、ダンジョンに適正レベルを表示したということです。どれくらいのレベルで行けば、こちらが想定した強さで敵と戦えるのかを、目に見える形で表示してみました。
高橋:テストプレイをしてもらった時に、エンカウント率をオフにして低レベルのままで先に進んで、敵が強すぎてバランスがよくないという声もありまして。確かにそういう事態はありうるなと、目安になるレベルを表示した形です。
■前作からの細かな変更点をチェック。“ブレイブリーセカンド”にクリティカル確定効果が追加
――体験版から製品版に仕上げるにあたって、ジョブの性能やシステムについて調整した部分はありますか?
浅野:基本的に体験版は、数時間で楽しむ体験版の中で楽しんでいただくことを重視した味付けになっているので、完全に体験版用にカスタマイズした形です。
製品版では全体のバランスを見ながら、どのタイミングで手に入るジョブなのかといった部分や、その時にどういうジョブが集まっているのか、どんな敵と戦うのかなどなど、多角的に見て調整を行っているので、体験版のバランスとは考え方が異なります。
ただ、体験版で修飾句の“ミスト(※)”が非常に好評だったので、当初予定していた流れよりも少し早めに使えるように調整しました。
※ミスト:魔法の効果範囲を全体化して、3ターンの間、毎ターン最後に発動させる。
――体験版のようなARムービーは製品版でも入りますか?
浅野:前作と同じようなスタンスです。重要なシーンで使われますので、どこで使われるかはお楽しみにという感じですね。
――次に必殺技の質問です。先ほど音楽は90秒の尺とのことでしたが、仕様も『フォーザ・シークウェル』と同じになるのでしょうか。
浅野:基本的には同じですが、細かい仕様は変わっています。特に大きな変更は、必殺技を使えるようになる条件をカスタマイズできるようになったことですね。
前作では、必殺技を出す条件が武器ごとに決まっていましたが、本作では、アイテムを何回使うとか、ブレイブを何回行うとかいった、必殺技の発動条件を自分で決められるようになっています。例えば、自分はデフォルトをよく使うから、デフォルトの使用回数を必殺技の条件に設定にする、といったことが可能です。
高橋:前作では条件が厳しいために使われなかった武器があったので、その改善策ですね。
――確かにボス戦などでは、“敵を何体倒す”といった条件が満たせないので、そういう武器は使わないことがありました。ちなみに必殺技の種類が3種類から4種類に増えましたが?
浅野:単純に数を増やしただけです。武器の種類も増えたので、前作よりもかなり数が増えています。
――必殺技のパーツなども増えた感じでしょうか?
高橋:ありますよ。マニアックなものでは“毒の付与率アップ”なんてパーツも増やしました。前作よりも、さらに自分なりの戦い方ができるようになったと思います。
――体験版ではアビリンク(※)が使えませんでしたが、これも前作と同じ仕様ですか?
※アビリンク:フレンドが育てたジョブの能力を得られるシステム。
浅野:ええ。体験版ではプレゼンテーションしたい点を絞る意味でも機能を制限したところがあります。
高橋:基本的な仕様は同じですが、前作ではそのジョブがどんなアビリティを覚えるか確認するためにアビリンクを使うことがあったと思います。その意味において『ブレイブリーセカンド』は、ジョブを入手した時点でどんなアビリティを覚えられるか確認できる仕様になっているので、アビリンクを使わなくても遊びやすくなりました。
浅野:どんなアビリティを覚えるのかワクワクしながらプレイしてもらいたいというのが前作の意図だったのですが、『ブレイブリー』シリーズの場合は戦術にアビリティが深くかかわってきます。このアビリティを覚えたいからこのジョブを育てる、といったケースが多いので、最初からアビリティリストを見られる状態にしました。
――細かな仕様変更が多いようですね。その他にはどんな部分を調整したのでしょうか。
浅野:“ブレイブリーセカンド”の仕様も少し変わっています。攻撃は、確実にクリティカルが出るようになりました。“ブレイブリーセカンド”には9,999以上のダメージが出る限界突破の側面がありますが、前作までですと強い技を配信するにあたり、クリティカルが出るかどうかが運に左右されていたので、その改善でもあります。
――確かに前作では“ブレイブリーセカンド”はピンチの時の回復に使うことが多くて、温存した結果、使いそびれることもありました。今回は攻撃としても使える仕様になったわけですね。
高橋:前作は温存する方が多かったので、ここぞという時のスペシャルなものとして使ってもらいやすいように、クリティカルが確定する効果も追加した形です。
浅野:普通に戦ってボス敵に勝てるような熟練したプレイヤーさんでも、必殺技でバフを重ねまくってトドメの一撃を繰り出す時にぜひ“ブレイブリーセカンド”を使ってみてもらえればと思います。
“ブレイブリーセカンド”には9,999ダメージ以上を叩き出せる限界突破の効果もあるので、ぜひ活用してみてください。
高橋:『フォーザ・シークウェル』の時もありましたが、今回も“ブレイブリーセカンド”を行うとキャラクターが専用のセリフをしゃべります。その数はかなりの種類を用意しているので、お楽しみいただければと思います。
――『フォーザ・シークウェル』では定期的に強敵や魔王の配信が行われましたが、『ブレイブリーセカンド』でも同じような規模で行っていくのでしょうか。
浅野:具体的な数は秘密ですが、『フォーザ・シークウェル』の時よりも短いスパンでたくさんの種類を配信していこうと思っています。前作では1週間に1回くらいのペースで長い期間をかけて配信しましたが、あまり長いスパンだと、配信する前にゲームをクリアして遊ぶのをやめてしまう人もいらっしゃるでしょうからね。
高橋:発売直後から敵の配信はどんどん行っていきますので、発売日にソフトを手に入れてもらうと、一番いいペースで遊べるんじゃないかと思います。
▲新たに公開された魔王“白山”。デザインはロ・ドゥルジアク氏が担当しています。 |
――最後にまとめとして、ファンの方に向けてのメッセージをお願いします。
高橋:ボイス収録も終わり、今まさに完成間近といった段階です。ようやく皆様のところにお届けできる形になってきました。
すれちがい通信でのフレンド召喚など、周りの方と一緒に楽しめる要素もありますので、最近あまりゲームをやっていないという方もお友だちをお誘いいただき、『ブレイブリーセカンド』三昧のゴールデンウィークを楽しんでいただけたらと思います。
前作は発売後に売り切れとなってしまいましたので、連休中に確実に遊びたい方は、ぜひご予約をお願いいたします。
浅野:ラスボスの曲が実装され、エンディングの曲が実装され、今まさに万感の思いです。『ブレイブリーデフォルト』が高い評価をいただいて、それゆえに期待値が高いところも身に染みている次第です。
それを理解したうえで、前作を超えられるようにあらゆる要素について考え抜いて制作を行い、最高のものに仕上がったという実感があります。
体験版を遊んで楽しいと感じた方は絶対に製品版も楽しめると、自信を持ってオススメします。また、まだ体験版を遊んでいない方もいらっしゃると思いますが、RPGが好きな方はぜひ気軽に遊んでみてほしいです。
前作もそうでしたが、『ブレイブリーセカンド』のストーリーには自信があります。クリア前にネタバレを見てしまうのは、本当にもったいないことだと思いますので、ぜひ発売日に入手してもらって、ネタバレのない状態で友だちとフレンド登録をして遊んでもらえればと思います。確実に発売日に手に入れるためにも、ぜひぜひご予約をしてもらえるとうれしいですね。
[CHECK]たっぷり遊べる体験版が配信中!
本作の魅力を体験できる『ブレイブリーセカンド 無料で遊べる三銃士編』が配信中です。製品版への引き継ぎ要素もあるので、まだ遊んでいない人はぜひ! ストーリーは製品版とは別のオリジナル展開なので、ネタバレを気にせずにジョブ&アビリティのカスタマイズを楽しめます。
●QRコードを使用した『体験版』ダウンロード方法
[01]3DSのHOME画面でLとRボタンを同時押しして、カメラを起動します。
[02]下画面の左下のボタンを押して、QRコードリーダーを起動します。
[03]下のQRコードを読み込ませましょう。
また、5月31日23:59までの期間内にスクエニメンバーズにセーブデータをアップすることで、特殊な衣装をもらえる早期購入キャンペーンが実施されます。4つの衣装をすべてもらえるので、ぜひ早めにソフトを購入して、特典衣装での着せ替えを楽しんじゃいましょう!
▲早期購入キャンペーンの特典衣装。 |
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