2015年7月23日(木)
バンダイナムコエンターテインメントより7月30日に発売されるPS Vita用ソフト『レイギガント』。発売が来週に迫った今回は、一足早く本作をプレイしたライターによるインプレッションをお届けします。
ダンジョンRPGと聞くと、どちらかというと探索や戦闘などのシステム面が重視されていて物語はオマケ程度、というのが個人的なイメージでしたが、本作はアドベンチャーパートがかなり多く、物語をじっくりと楽しめる点にビックリ!
大切なシーンは声つきで語られる、×ボタンでテキストの早送りができるなど、ダンジョンRPGでありながらちょっとしたアドベンチャーゲームをプレイしているかのような感覚に。
▲物語は複数の“話”で構成されており、“一弥篇”は1話からスタート。そして“カイル篇”は“一弥篇”終了後の“話”から、という流れで進みます。 |
物語の内容も、同じようなノリが続くわけではなく、天風一弥が主人公の“一弥篇”、カイル・グリフィンが主人公の“カイル篇”、ニル・フィアスが主人公の“ニル篇”のそれぞれで、異なる雰囲気を味わえる点がポイント。主人公ごとに性格が違うのはもちろん、立場や戦う理由なども異なり、繋がった時系列の物語でありながら別々の作品を読んでいるような……。そんな各“篇”独自の強い色を楽しめます。
例えば“一弥篇”。東京壊滅時に覚醒し、外生高と呼ばれる場所へ連れてこられた一弥。そこでギガントと呼ばれる謎の巨大侵略者との戦いに巻き込まれるものの、どうにも本人にはやる気がなく。そんななかで、かつての幼馴染みである伊佐野真名や人々を守るために戦う三輪和臣、そして外生高を拠点とする多くの人々と出会い……。衝突や交流を経て成長し、仲間とつむいだ絆を胸にギガントとの戦いに挑んでいく。“一弥篇”では、そんな王道的な物語が描かれていきます。
▲“一弥篇”にはこんな一幕が。少年漫画さながらに熱いシーンやコミカルなシーン、そしてほかにも……。 |
▲一弥に寄生するヨリガミのハバキリは、冷静に一弥をおさえるタイプ。彼らとのやりとりも見もの。 |
▲サブキャラやヨリガミたちも個性的で、結構いい味を出しています。とくに和臣の妹のチハちゃんはマジカワです。天使です。 |
続く“カイル篇”では、屈折した性格で自身の力に絶対的な自信を持つカイルを中心に、ひょうひょうとした性格のコナー・マクブライトや、小林ゆうさんが声を担当している帰国子女・古烏リオナたちの物語が描かれます。言語機能を備えた戦略AI“アニー・サード”によって管理されている、ホーリーロック基地を拠点にするカイル。彼は、一弥たちに関するある報告を“アニー・サード”から受け……?
さらに、その後には美しい海に浮かぶシーキング号を拠点とした“ニル篇”があり……。なんて。“カイル篇”以降の物語は、ぜひぜひご自分の目で確かめてみてください。これまでの情報で出ていることであえて言うと、“カイル篇”には“一弥篇”の主人公である一弥も登場し、同じ場所で戦っているようなスクリーンショットが公開されています。ということは“ニル篇”では……? それぞれの主人公たちがどういった出会いを果たし、お互いにどのような影響を与え合うのか。この部分も、注目のポイントですよ!
ちなみに、“一弥篇”“カイル篇”“ニル篇”が開始となる各話の最初では、アニメさながらに各主人公専用のオープニングムービーが流れます。主題歌を担当しているのも“一弥篇”はT.M.Revolutionさん、“カイル篇”は飛蘭さん、“ニル篇”は南條愛乃さんとかなり豪華。各オープニングムービーは下記のYouTubeから見られますので、まだ見ていない人は今すぐチェックを! 歌声に加え、物語の雰囲気などがよく現わされている映像にも注目してみてくださいね。
ゲーム内で過ごす時間の大半を占めると思われるダンジョン探索については、“快適”のひとこと! 本作はランダムエンカウントはなく、敵シンボルと接触すると戦闘に突入するという形式になっています。この敵シンボルはその場から動かないので、自分のぺースで探索を進められます。戦闘に入ったとしても、終了時に生存していれば自動でHPが全回復するので、とにかく倒されなければいいと割り切って多少強引に進められるのも魅力。
加えて、ヨリガミの力で最初からダンジョンの大まかな全体像が把握でき、大体の広さや敵の位置などを知ったうえで動けるのもうれしいポイントです。
▲ダンジョンに入った直後の状態のダンジョンマップ。 |
▲自分が歩いた部分は、右の写真のように自動でマッピングされていく。 |
目的地なども基本的に最初からわかった状態で進められるので、迷う心配はほとんどありません。もちろん、そう簡単には目的の場所にたどり着けないような構造が待っていますけどね。
▲ダンジョンを探索していると封鎖されていて通れない道が……。 |
▲グルっと回って一度封鎖を解除できれば、ショートカットとして使えます。 |
しかし、マッピングだけで快適と言うにはちょっと厳しい。もちろん「快適!」とおすすめできる理由はあります。なんと、マップ上で目的地を指定することで、その場まで高速かつ自動で進んでくれる機能があるのです! エクスペリエンス制作のダンジョンRPGをよく遊んでいる方にはおなじみのシステムのようですが、初めてさわる自分としてはかなり衝撃的で。最低限の戦闘やトラップへの接触で済むようにルートを決めてくれる点も、すごくありがたかったですね。
ただし、自動移動を行うには、目的地と移動ルートが踏破済みである必要があります。そこで役にたつのが、ダンジョンに用意されている“ジャムストーン”というシンボル。これに触れるとマップの構造やトラップの場所がすべて判明するうえ、セーブや戦闘不能者の回復、敵の復活も行えます。
▲迷宮内で便利に使えるスポット“ジャムストーン”。 |
▲ダンジョン内の敵をすべて倒してしまった後でも、拠点に戻らずに敵を復活させられる。 |
ダンジョン探索の基本的な流れをまとめると、ヨリガミの力でマップの全体像を確認したらジャムストーンを目指して進み、マップの全情報を開示後に自動移動を使ってスイスイ探索する、というのがよさげだと感じました。
また、ダンジョンから拠点への帰還はいつでも行えますし、帰還すると戦闘時のコマンド選択などで減ったAPも全回復します。APが苦しくなったら一度帰還して体勢を整えて、自動移動を使いつつ再度探索を進める、というのがダンジョン探索の基本の流れとなるでしょう。
▲自動移動のための場所指定や拠点への帰還がタッチでラクに行えるのも快適。 |
ダンジョンRPG初心者や苦手な人に優しいシステムに加え、経験に関わらず便利な自動移動機能を搭載。ダンジョンRPGにあまり馴染みのない人でも、特に詰まることなく快適に探索を行えると思います。
“AP(Active Point)”“強制寄生”“SBM(スラッシュビートモード)”……本作ならではのシステムを用いて行われる戦闘は、かなり歯ごたえのある内容に仕上がっています。
基本として、ダンジョン探索中やイベントで発生する戦闘では、行動するたびにAPが増減します。APの最大値は100で、“攻撃”なら消費AP5、“フレイム”であれば消費AP9など行動に応じて消費APが決まっており、APが足りる範囲であればキャラごとに1ターンで最大5回までの行動を設定できるのが特徴です。
▲いくつも行動を設定できるからと、攻撃をセットしすぎるとAPが枯渇してピンチになったり……。同じ行動を繰り返すリピートは便利ですが、使いどころには注意! |
プレイしていて感じたのは、敵や状況に合わせてキャラと行動を決めるのがポイントということ。理由は、敵には種別と属性があり、相手に耐性があるとほとんどダメージが与えられなかったりするのです。種別の特徴と属性関係はゲーム内のプレイマニュアルがわかりやすいので、下の写真をご覧くださいませ。
▲ギガントにはそれぞれ種別が存在します。主人公たちが持つ武器によって、これらのギガントに大きなダメージを与えられるかが決まります。 |
▲何にでも強くて弱点のない“雷属性”は反則ですよね! |
種別と属性を比べると、どちらかというと種別がなかなかやっかいです。有効な武器やコマンド以外で攻撃した場合は、与えられるダメージが1だったりミスしまくったりと、本当に太刀打ちできないのです。有効な攻撃ができるキャラを優先的に行動させて、残りのキャラは“待機”コマンドでAPを回復するなど、敵とAP残量を意識した戦い方が重要になる、と感じましたね。
ちなみにAPは、戦闘中なら“待機”コマンドと敵の行動で少しずつ回復します。また、戦闘終了時にも倒したターン数に応じて回復します。APが少なくなったら全員“待機”にしてAPを回復したり、とにかく素早く倒してターン数を少なくしたりするなど、APをやりくりする方法はいろいろとあります。APの消費量が少なくて済む青色のシンボルの敵を狙って戦い、強力な攻撃で素早く倒す、なんて手も。
ただ、ここに“刺激”として加わってくるのが“強制寄生”状態。“強制寄生”は、ターン経過によって10%ずつたまる“DRIVE”が100%になると発生するのですが、この状態がかなり危険なんです。APの代わりにHPを消費して行動できるようになるので、APが少ないときにはありがたいものの、消費HPが結構多くて、メリットよりも倒される危険性が高まるというデメリットのほうが強かった印象です。
▲人体へのヨリガミの寄生が進んだ“強制寄生”の状態に入ったメンバー。 |
▲強制寄生状態ではAPが減らなくなる代わりに、行動するたびにHPが減っていく。 |
“DRIVE”は次の戦闘にも持ち越されるので、少ないターン数で敵を倒し続けてなるべく発生させないようにするとか、敵を少なくして安全性を高めてからあえて発生させるなどの戦略が必要です。“強制寄生”は戦い方に工夫をもたらすシステム、そう理解しました。最適解がそのときに応じて本当にいろいろと変わるので、さまざまなことを考えつつ戦う楽しみを感じられると思います。
最後に“SBM”ですが、こちらは単純に超強力! 戦闘でたまる“SP”を50消費すると“ショート”、100消費すると“フル”となり、それぞれでリズムゲームパートの長さと攻撃回数が変化します。
リズムゲームパートはやや判定がシビアなものの、譜面自体は曲に応じて固定。音楽を聞きながら数回チャレンジすれば、いい成績がおさめられるようになるはず。
▲曲は、発動時の名前どおり“ショート”はショートバージョン、“フル”はフルバージョンです。 |
一弥篇で確認してみたところ、曲は基本となる1曲と、特別な敵と戦う際にかかる1曲の計2曲を見ることができました。肝心の威力ですが、それなりの成績をおさめられればかなりのものに! 一例ですが、下の写真でそのすさまじさを見てみてください!!
▲SBM終了後に2撃目が大型ギガントに入ったところ。画面下の敵の体力バーを見ると、まだまだ半分近くの体力が残っています。 |
▲121ヒット後の状況。与えたダメージはトータルで2420、そして敵の体力はほぼなくなろうとしています! |
“RUSH”のゲージを見てわかると思いますが、ちょいちょい失敗しているのにもかかわらずこの威力! 多段攻撃で敵のHPがガリガリ減っていくのを見るのはホントに気持ちいいですよ。大型ギガントとの戦闘ではSPがたまりやすいですし、“SBM”を発動するか“SP”を30消費することで“DRIVE”を0%に戻す(ボス戦以外でも可能)こともできます。積極的に攻撃して“SP”をため、“SBM”で一気に大ダメージを与える爽快感を味わってみてください!
最後にキャラクターの成長ですが、本作には経験値の概念がなく、“リソース”と呼ばれるアイテムを使い、“エボルブツリー”をレベルアップしてキャラを強くしていくのが特徴です。“リソース”は戦闘終了時やダンジョンで手に入るのですが、これをどのキャラにどう振り分けるか考えるのが成長システムの注目ポイント!
そしてここでは“リソース”と“エボルブツリー”について少し補足を。“エボルブツリー”にはアイテムの取得を行う赤のボックスが並ぶ“アイテムツリー”、キャラ自身のレベルを上げて基礎能力を高める黄色のボックス“フィジカルツリー”、コマンドを習得する水色のボックス“スキルツリー”の3種類があります。
また、“リソース”にも“エボルブツリー”と同じ色があり、対応する“リソース”を使ってその色の“エボルブツリー”を成長させていく仕組みです。
▲アイテムツリーでは、ボックスの成長とアイテムの入手が行える。武器のボックスならその武器の攻撃力などを強化できる。 |
3色の中で少し特殊なのが赤色のツリー。レベルアップ用のリソースで成長させてから、アイテム取得用のリソースを使うと武器や防具、アイテムを入手できます。入手可能なものはレベルごとに決まっているので、こまめに取得するのもいいですし、現状の装備品やアイテムで余裕があるなら、レベルを数回上げてから取得する、という方法もありです。
▲武具を入手するか、すぐには手に入れずにいくつか成長をさせてから入手するか、進め方はあなた次第! |
▲レベルが高くなると、より強い装備品やアイテムが入手可能。最終的には、赤のレベルを最大まで上げて最強の武器を手にする、というのが目標になりそう。 |
そして個人的にかなり悩ましかったのが黄色のフィジカルツリー。キャラの基礎能力を高める項目には“PW(物理攻撃・防御が増加、最大HPにボーナス)”“MG(魔法攻撃・防御が増加)”“TC(命中率・回避率が増加、行動速度が上昇)”の3つがありますが、主人公たちは“篇”ごとに最大のレベルが決まってるんです。
例えば“一弥篇”だと、各キャラともにレベル15までの成長が可能。つまり、レベル1のキャラであれば“PW”を14回上げるもよし、“PW”“MG”を7回ずつ上げるもよしと、いろいろな成長方針が考えられるわけです。加えて、黄色のレベルアップ用のリソースはほかのものと比べて入手機会が少ないので、どのキャラにどう使うか本当に悩みます。
ただこういった悩みは経験値で強くなっていくタイプのゲームでは味わえないですし、人によっていろいろな成長方針がとれるっていうのは楽しいですよね。ちなみに自分は近接タイプを優先的に成長させ、“PW”を重点的に上げました。脳筋スタイルです。
▲自分ならではの成長方針で進めてみてくださいね! |
やや蛇足ですが、個人的に本作の成長システムの魅力の1つだと思っているのが、入手したリソースは全員で共用な点。ダンジョンで誰かが戦闘不能になったとしても、ごり押しで“ジャムストーン”を目指すという攻略法が取れて。まぁ経験値を得るタイプだと、戦闘不能のキャラだけ少し成長が遅れる、なんて考えてしまう人だからですが……。
本作の特徴的な部分を解説しつつここまでお届けしましたが、自分の率直な感想をひとことでいうと“物語と快適かつ独自性の強いダンジョンRPGを楽しめた”というところになります。
物語は内容に富んでいて読み進めていて楽しかったですし、ダンジョン探索も詰まることなくサクサクと進められました。油断しすぎてセーブをしていないまま全滅して、30分が無駄になることもありましたが……。皆さん、本作をプレイするときは一応セーブはこまめに、ですよ!
また、演出が斬新で、特に巨大ギガントとの戦闘時にのみ用いられる3wayバトルの視点は超ド迫力! やること自体は通常の戦闘と変わりがあるわけではないのですが、敵の巨大さをすごく感じられるし、各ポジションにつくキャラの臨場感も味わえるなど、BGMも相まってテンションの上がり具合が半端じゃなかったです。
発売まであと1週間。自分の手でプレイできる日を、楽しみに待っていてくださいね!
電撃オンラインでは『レイギガント』を特集中! 7月10日には本作の開発陣と出演声優の小林ゆうさん(古烏リオナ役)による実況プレイ動画が公開されている。 動画では、カイル篇の冒頭部分を紹介している他、ダンジョンRPGが音ゲーになる戦闘システム“SBM”を開発プロデューサーの千頭さんと小林ゆうさんが実演! そして動画の最後では小林ゆうさん直筆によるイラストのプレゼントも行っているので、気になる方はチェックを!
▲収録中に描かれた衝撃のイラストを1名様にプレゼント! |
なお、イラストプレゼントは、下記の応募フォームより必要な情報をご記入の上、ご応募ください。応募受付期間は7月10日~7月24日23時59分となります。
・動画企画2:『レイギガント』を出演声優の小林ゆうさんが実況(絶叫)プレイ。注目の戦闘システム“SBM”を実演!
・動画企画1:『レイギガント』開発陣による実況プレイ動画! ダンジョン探索&戦闘システムの基本がわかる
・第8報:『レイギガント』の各主人公篇の舞台設定と新たな登場キャラクターが公開
・第7報:『レイギガント』戦闘システム“スラッシュビートモード”が公開。戦闘シーンがまるで音ゲーに!?
・第6報:『レイギガント』ダンジョンの進み方を解説。カイル篇パーティの習得コマンドの一部も公開
・第5報:『レイギガント』は敵を倒しても経験値が得られない!? キャラ成長のカギとなる“エボルブツリー”を紹介
・第4報:『レイギガント』の3人目の主人公・ニルの物語や舞台を紹介。パーティメンバーはニルの姉妹!
・第3報:『レイギガント』新情報が公開! パッケージビジュアルに見える謎のキャラクターは何者なのか?
・第2報:『レイギガント』から“カイル編”の概要が公開。“3コマンドバトル”による戦闘システムについても解説
・第1報:バンダイナムコゲームス×エクスペリエンス!? PS Vita『レイギガント』が見せる新たな3DダンジョンRPGの形とは
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