「天皇陛下からリカちゃんまで」の工画堂スタジオが“非アダルト・非投機”を貫く理由【工画堂スタジオ110周年】

文:電撃オンライン

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 大正5年(1916年)に図案屋として創業し、2026年に110周年を迎えた工画堂スタジオ。四代目の代表取締役・谷逸平氏が、会社の歴史と受け継がれてきた考え方を語るインタビューコラムをお届けします。


 最終回となる今回は、工画堂スタジオが掲げる“非アダルト・非投機”という方針を取り上げます。「天皇陛下からリカちゃんまで」と呼ばれるほど幅広い仕事を手がけながらも、なぜ受けない仕事を明確に定めてきたのか。110年の歩みを支える、企業理念と判断基準についてお聞きしました。

「天皇陛下からアダルトまで」とはいかない


――PCゲーム業界ではアダルト分野へ進む会社も多かった時代に、工画堂スタジオが“非アダルト”を掲げたのはなぜでしょうか。

谷
昔、工画堂が使っていたキャッチフレーズが「天皇陛下からリカちゃんまで」だったんです。

 でも、「天皇陛下からアダルトまで」とはいかないですよね(笑)。


 たとえ表に出さずに取り組んだとしても、アダルト作品を手がけているという実績は、工画堂にとってプラスにはならず、むしろマイナスになり得ると考えました。それなら、非アダルトを看板に掲げてやっていったほうがいい。特に僕が社長になってからは、その方針をより強く打ち出していきました。

 もちろん、昔の作品に色気のある表現や遊びがまったくなかったわけではありません。ただ、成人向けであること自体を目的にした作品とは明確に違います。そこは線を引き、非アダルトを工画堂の方針のひとつにしました。

出資の話を、その場で「理念にかなわない」と判断した社員


――“非投機”という方針は、実際の仕事の判断にどのように表れているのでしょうか。

谷
忘れられない話があります。ある映像企画への出資を持ちかけられたとき、話を聞いた社員が、その場で「それは投資だよね」と判断したんです。

 普通であれば、「社長に持ち帰って相談します」となるかもしれません。でも、その社員は少し考えて、「投資の案件であれば、うちの会社の理念にはかなわないから、多分乗れない」と答えました。

 会社として何を大事にするのかが分かっていたから、その場で答えを導き出せたんですよね。

「創作物を通して全世界に感動を提供する」が判断の背骨


――社員がその場で判断できた背景には、どのような考え方があるのでしょうか。

谷
工画堂スタジオの企業理念は、「創作物を通して全世界に感動を提供する」です。

 この背骨があるから、理念に沿う仕事なのか、そうではないのかを考えられる。先ほどの出資の話も、「創作物を通した感動の提供」には当てはまらないという方程式から、答えが導かれたんです。

 非アダルトや非投機という言葉だけを見ると、単に禁止事項を並べているように思えるかもしれません。でも大切なのは、なぜやらないのかを、会社の理念から説明できることです。

 非アダルトはなぜやらないのか、投機的な仕事にはなぜ乗らないのか。それを企業理念から説明できること、そして、その考え方が社員の判断基準として血肉になっていることが、工画堂にとって重要なんですよね。

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