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『オクトパストラベラーII』をクリアまで遊んでレビュー! 約60時間の旅を終えての感想は“最高”の2文字

タダツグ
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 来たる2月24日にPS5/PS4/Nintendo Switch/Steamで発売される、スクウェア・エニックス期待のRPG『オクトパストラベラーII(以下、オクトラII)』。その先行プレイレポート第2弾をお届けします。

 8人の主人公が登場し、それぞれが己の目的を果たすために旅に出発。その過程で彼らの道は交錯し、いつしか仲間として行動をともにすることになる……そんな群像劇が描かれていく本作。今回はいよいよ発売直前ということで、ひと足お先にゲームをクリアしてエンドロールを見たうえでの感想を語っていきたいと思います。

 核心に迫るネタバレはありませんが、シナリオに関して触れている部分もありますので、物語の情報は事前に一切知りたくないという方はご注意ください。また、今回のプレイはPlayStation 4版を使用して進めています。

ストーリー:旅路を終えて心が震えるほどの達成感と一抹の寂しさが去来する“最高の旅体験”

 「ああ……終わってしまった……。」

 ゲームをクリアしてエンドロール、そしてその後のまるでご褒美とも思える最高のラストシーンを眺めたあと、最初に抱いた感想はこれでした。ゲーム内のカウンターは約60時間。とても濃密で忘れられない60時間。実際には何度かゲームオーバーになっていますし、何より“盗む”で3%チャレンジに挑んだ際のトライ&エラーを考えると、テレビの前に座っていた時間はもっと長かったと思いますが、自分にとってはあっという間の時間でした。

 あくまで参考程度にお考えいただきたいのですが、サブストーリーもそれなりにこってり遊んだうえでこの時間です。今見たら、だいたい60%くらいのサブストーリーをクリアしている模様。あらためて見て、自分としては「えっ、まだ半分ちょいしかクリアできてないの?」ってビックリしてますよ。手ごたえ的には85%くらい終えているものと思っていましたのでね(汗)。

  • ▲メニュー画面からメインストーリー、エクストラストーリー、サブストーリーの進捗を確認可能。ほかの2つはすべてラストまで進んでいますが、サブストーリーだけはまだまだって感じでした。これは全部遊ぶと70時間くらいいくかもな……。

 メインストーリーに関しては個人の好みもあると思いますし、発売前のこの記事で詳細な内容を語る気は一切ありません。ただ、“この作品は絶対に自分自身の手で体験してほしい”ということは伝えておきたいと思います。僕自身は、すでに強い思い入れが生まれている前作『オクトパストラベラー』すら凌駕するほどの感動を味わえたことも付記しつつ。


  • ▲開発スタッフには失礼ながら、正直、2作目にしてここまでのクオリティに仕上げてくるとはと驚愕しました。

 本作でも“旅”へのこだわりは格別でしたね。プレイヤーがやれること、そして進む道を選ぶ局面が本当に多い。8人の主人公のうち最初は誰の物語から始めるのか? ここに端を発し、物語の進め方は千差万別。ゲームとしての懐の深さ、自由度の高さにはビックリしてしまいました。

 メインストーリーをどんどん追いかけるのか、合間にサブストーリーもプレイするのか。1人の主人公の物語を終えてから別の主人公の物語に触れるのか、それとも満遍なく進めて行くのか(レベルアップの効率を考えるとこっちのほうがきっとラク)。1つのジョブを極めさせるのか、それともたくさんのジョブをいいとこどりしていくのか。物理属性中心で戦うのか、それとも魔法主体で立ち回るのか……。すべてはプレイヤーの思うがままなんですよね。

  • ▲遊んだ人間の数だけドラマが生まれる……こんな言葉も決して言い過ぎではないかな、と。それくらい自由度が高いので。

 物語のつくりも凝っていて、没入感は極めて高かったです。この絶妙な感覚、いったいどこから生まれてくるんだろう? 思うに、どんなRPGにもセオリーがあるというか、新しい町に到着→イベントが始まって事件が発生→それを解決するため町を走り回ったりダンジョンに潜ったり→ボスと戦闘してイベント終了→次の町へ……みたいな、お決まりの流れがあると思うんですよ。

 このセオリーを否定するつもりはまったくありませんし、なんならこれを楽しみたいからRPGを遊んでいる側面だってあるわけですが。『オクトラII』に関しては、この“おつかい感”とでもいうべきセオリーを感じる瞬間が、ほとんどなかったからこその没入感なのかなって気がします。あくまで個人の感想ですし、ゼロとはもちろん言いませんが。

 ストーリーの構成力の高さにも本当に感心させられました。物語のなかでそのキャラの人間性を丁寧に描き、かつ置かれている状況もしっかり描写。そのうえで次に取るべき行動を示してくれるため“無理やりやらされている感”が少ないんですよ。

 物語の流れ的に必ずダンジョンに潜るわけでもなければ、ボスと対峙するわけでもなかったり(実際、ボスが出てこないまま終わる章もあったりします)。場合によってはアドベンチャーゲームのように、謎解きに特化したシチュエーションも存在したりと、いい意味でセオリーに縛られていないのがとても僕好みでした。

 目先のちょっとした変化で、プレイの触感がこうも変わるのかってビックリしましたね。ある意味、ゲームをプレイしていながら映画を見ている感覚すら味わえてしまうというか……この構成力があってこその没入感だと思います。


  • ▲メインシナリオを手掛けた普津澤画乃新さんの構成力が本当に光っています。そしてこの脚本をしっかりと演出し、ゲームとしての体験に仕上げてくれた開発スタッフの手腕も素晴らしいです。いつかインタビューしてみたい。

 各主人公それぞれの物語はおおむね5章前後でまとめられており、主人公ごとに章の総数は微妙に異なります。たとえば、生まれ故郷であるトト・ハハ島に迫る災厄に備えるため、島の守り神たる3体の魔物を探しにいく狩人のオーシュット。彼女の物語では、どの守り神から探しに行くかが完全にプレイヤーの判断に委ねられています。

  • ▲3体の守り神探しそれぞれが“2章”って括りで同列になっており、逆を返せばオーシュットは2章が3つ存在します。

 この守り神探し、むろんレベルの関係で明確に“この順番で進めるとラクですよ~”という道筋は示されています。実際に自分はそれに沿って進めました。効率を考えれば一番妥当な道筋ですよね。ただ、人によっては「せっかく高レベルのクエストに挑めるんだし」ということで、あえて道を逸れて進む方もおられるでしょう。ここら辺のインタラクティブ性の高さ、きっとゲームでしか表現できない部分だって気がします。

 なお、オーシュットのように“○章が複数存在する”主人公は彼女だけではありません。先にも書いたとおり、1人の主人公のストーリーだけ進めてもいいですし、複数の主人公の物語を満遍なく進めて行くのも自由。本当に、自分だけのルートで旅を進めることができてしまいます。旅の進め方に正解も不正解もなく、他人に判断を委ねる必要もなし。これこそが『オクトパストラベラー』シリーズ最大の魅力ではないでしょうか。

  • ▲キャラの人となりや関係性をもっと深く理解したい人は、パーティチャット探しもオススメ。

 いずれの主人公の物語も、終盤の盛り上がり方はすさまじく、キャラによっては涙を誘う展開もしばしば。悲しみの涙もあれば熱く燃える涙もありと、心揺さぶる展開もまた多様で、僕は本当にこの作品に心酔しています。

 ちなみにすべての主人公たちのメインストーリーはそれぞれで独立しており、最後には超えるべき存在が立ちはだかってきます。そして進めて行けばわかるのですが、それぞれの物語の背後にはある共通項が存在し、すべての主人公の物語を終えたとき、それは一気に収束していくことに……。

 これは前作でも体験できた要素ですが、本作ではより関係性が濃密だと感じて震えました。もちろん、ここでみなまで書くのはあまりに無粋なので自重します。ファンの期待にはちゃんと応えてくれていますよってことだけはご報告として。

 ついでにそのラストバトルは撃破するまでに結構な時間がかかりましたよーとか、物語のラストバトルに相応しい強さでしたよーとかもご報告として。雑な書き方になりましたが、記事にどこまで掲載されるか自分でも手探りなのでご勘弁ください(笑)。

  • ▲本作ならではの要素である主人公同士の“クロスストーリー”も、各主人公の物語を密接にする要素としてひと役買っていました。

 ともあれ、ひとつの結末に向けて取捨選択を繰り返しながら自分だけの旅を進めて行くこの感覚は、ある意味人生にすら似ているかも。いつか来る別れが定められているからこその輝き……たぶん、動画配信などで見てもこの『オクトラII』ならではの“旅感”は半分も伝わらないのではないでしょうか。動画主さんの選択が自分の思う流れになることなんて、きっとあまりないと思うのでね……。

 そういう意味でも、本作は絶対に自分の手で遊んでみてほしい作品。ここでしか味わえない感動がきっと見つかるはずなので、できればネタバレなどを踏む前に遊んでみてほしいと思います。

  • ▲「やったね、ヒカリ!」や「さすがだな、パルテティオ」みたいに、敵をブレイクしたら別の主人公がそれを褒めてくれたりするのもすごく臨場感&旅の仲間感があって最高でした! こういう演出に弱いんだよなあ……。ちなみにスクショはオクトリンを初ブレイクした瞬間のもの。喜びのあまり撮影が下手くそですけど許してください(笑)。

 なお、レポート第1弾でも書きましたが本作の物語は完全に独立しており、前作『オクトパストラベラー』やスマホ版の『大陸の覇者』などを遊んでいる必要はありません。ここから『オクトラ』デビューしてもまったく問題なしです。

 ……と書いておきながら、前作を知っているとニヤリとできる部分や「おやっ?」ってなる部分も少なくなかったのも事実。逆を返せば『オクトラII』を遊んで前作をプレイすると、やっぱりニヤリとできたり「あれっ?」ってなったりすると思います。どっちから遊んでも大丈夫だってことは書いておきたいところ。本作を遊んで面白いと思った人は、ぜひ前作や『大陸の覇者』も遊んでみてほしいなあ……と。どちらも名作ですし僕も大好きなシリーズなので、強くオススメしておきます!

バトル:ジョブやアビリティの組み合わせが楽しいバトルシーン──ボスとの戦いは手に汗握る緊張感!

 ここからは戦闘についての感想を述べていきましょう。システム的な部分については、基本知識を第1弾のプレイレポートで書き記しました。“底力”など、本作から実装されたシステムなども紹介していますので、何もわからないという方はまずそちらをご覧いただければと思いつつ。今回は難易度やバトルバランスに触れてみたいと思います。

 まず、RPGファンが気になるであろう難易度について。本作も前作同様になかなか歯ごたえがあり、戦闘の難易度はやや高めです。ザコ戦や中ボス戦くらいなら、苦戦こそすれ全滅はある程度避けられると思いますが、各主人公の物語のラストに立ちはだかるボスについては、自分はゲームオーバーの憂き目にもあっています。

 主人公ごとにボスの能力も異なるため、どの人物の物語を最初に選んだかでも受ける印象は変わってきそう。というのも、主人公たちは各キャラの物語を進めて行く過程でどんどんレベルが上がるため、必然、1人目の主人公がボスと戦うときと8人目の主人公がボスと戦うときでは、パーティの強さに差が生まれているわけで……。

 つまるところ、一番最初にラストまで進めた主人公のボス戦が最も白熱したバトルになる可能性は高いと思います。自分にとってはそれがヒカリでした。負けては試行錯誤し、パーティ編成や装備を見直してから挑みなおすなどして、挑戦すること3度。総合的な時間にして約2時間でボスを撃破したときは、思わず安堵のため息が……(笑)。

  • ▲難易度“イージー”などは存在しませんが、そこはRPGということで、一度膝を屈したボスとの戦いもレベルを上げてパーティを強くすればしっかり勝利することができる調整にはなっています。ご安心を!

 ゲーム中はシナリオ開始時やマップ移動時に“危険度”が表示されるので、目安にするのが吉。あまりにもレベルが足りないとザコにもやられかねませんので要注意。

  • ▲まあ、強敵に遭遇してもなんとか逃げまくって先の町に辿り着き、そこに強力な武器や防具を持ったNPCがいたら盗みまくるのがまた楽しいわけですが……(笑)。

 「一度も全滅せずにクリアしたい」という慎重派の方は、レベリングや装備の準備を怠らずに挑むことが肝要です。多少レベルが足りなくてもバフ&デバフを徹底したり、効率よく弱点を突けるパーティを編成したりすることで劣勢を覆せるところも、さすがのバランス調整といえるでしょう。ボスとのバトルに頭をひねっている時間こそが楽しかったりしますので、ファーストプレイは過度なレベリングはせず、適正レベルくらいで進めるのがいいのかなって思います。

  • ▲サブストーリーを進めるなど、人によってはどうしても寄り道したくなると思うので、気づけば適正レベルを超えていることもめずらしくありませんが……それはそれということで!(笑)

 なお、主人公たちはたとえばヒカリなら剣士、オーシュットなら狩人という具合に、なんらかのジョブ(=職業)についています。これらを基本のベースジョブとし、戦闘時にはもう1つ別の“バトルジョブ”をセットして戦うことが可能。どのキャラになんのバトルジョブをセットするかで、使い勝手が大きく変化するのが本作の醍醐味となっています。

  • ▲バトルジョブの組み合わせでキャラの弱点を補うのか、それとも長所を伸ばすのか。プレイヤーの好みがモロに出る要素ですね。なんならキャラの見た目で決める人もいるかもしれませんが、それもひとつの正義だと思います。

 バトルジョブは各ギルドで“ライセンス”をもらうことでセット可能に。たとえば剣士ギルドであれば、剣士のライセンスを発行してもらうことが可能です。ライセンスは条件を満たすことで最大3枚まで発行してもらえますので、組み合わせによっては“4人パーティの全員が盗賊”みたいな、盗み特化のパーティを編成することも! ……まぁ、それが強いかどうかは別なのですが(笑)。ともあれバトルジョブのライセンス獲得のため、まずは各ギルドを探すところから始めましょう。

  • ▲ギルドがある場所に近づくと右下のミニマップに盾のようなアイコン(スクショ参照)が表示されますので、こちらを目安に。なかには夜にしかライセンスをもらえない特殊なギルドも存在したりして、とてもユニーク。
  • ▲ギルドとは別に、各ジョブの神を祀る祭壇も存在。選ばれた主人公を連れてここを訪れると、強力なEXアビリティを習得できます。こちらもミニマップの祭壇アイコンを目安に探しましょう。なかには見つけにくい場所に隠されている祭壇も!
  • ▲EXアビリティはいずれもひとクセありますが、使いこなせれば超強力ですよ!

 ベースジョブは剣士、狩人、商人、学者、盗賊、神官、薬師、踊子の8つのほか、条件を満たすことで就けるようになる“伝承ジョブ”も存在します。PVでもチラ見せされてたりするこの特別なジョブ、自分はエンディングまでクリアしておきながら2つ(発明家とウェポンマスター)しか見つけられませんでした。

  • ▲伝承ジョブ、まだ2つしか存在を確認できていません。探索をサボったりはしてないつもりだけど……いったいどこに(笑)。これらはアビリティの習得が特殊なのも面白い部分ですね。

 PVを見た感じ、これら特別なジョブはもうちょっと種類が存在しそう。皆さんもぜひ探してみてください。

 さて、本当はここから8人の主人公の能力や固有アクション、ベースジョブの性能や実際に触ってみての手ごたえを説明しようと思っていたのですが。さすがに記事ボリュームがえらいことになりそうなので、それは機会があれば別の記事で紹介させてもらおうかな(汗)。

 ただ、せっかくなので少しだけ攻略的なことを書いておきますと。自分はアタッカーとしてずっとヒカリを重用していました。最初に選んだ主人公ということで思い入れが格別という側面もありますが、彼は純粋にダメージソースとしてとても優秀です。

  • ▲最初に選んだ主人公はその人物のメインストーリーをすべてクリアするまでパーティから外せません。結果レベルが上がりやすいこともあり、育てやすいんですよね。僕は結局エンディングまで一度もヒカリをパーティから外しませんでした(笑)。

 ヒカリが強い理由……その真価は彼の使える固有アクション“覚えた技”にあります。昼のフィールドコマンド“試合”で勝利した相手の技を覚え、実際に戦闘で使いこなせるヒカリ専用のこのアクション、強いです。めちゃくちゃ強い。前作『オクトパストラベラー』はどちらかというと魔法攻撃が強かった記憶がありますが、今回はヒカリの使える各種“覚えた技”が強力なので、自分は物理攻撃のほうを多用していました。

  • ▲覚えさせられる技は合計5つまで。自分は全体攻撃系と多段ヒット系を中心に覚えさせていました。中盤以降に覚えられる“両刃天斬(敵全体に剣で2回ダメージ)”や“双竜(敵全体に槍で2回ダメージ)”、“三枚おろし(敵単体に短剣で3回ダメージ)”なんかはラスボス戦まで活躍してくれましたよ。

 また、単体攻撃で最強格となる“雷剣将ブランドの剛剣(敵単体に剣で極大ダメージ)”も強烈。数ターンの間物理攻撃をアップさせる剣士の“ためる”や踊子の“獅子の舞”をヒカリにかけ、敵には物理防御をダウンさせる盗賊の“フクロウ”などをかけたうえで“雷剣将ブランドの剛剣”をぶち込む……これが僕の黄金方程式でした。レッツ脳筋!

  • ▲前作を遊んでいる人にとっては懐かしい剣士の奥義。「雷剣将ブランドよ!」の掛け声も懐かしく、バフ&デバフが噛み合ったりすると70,000を超えるダメージを出せるときも。めちゃくちゃ頼もしいのです。

 シンプルながらラスボスにも通用する攻撃となるので、ヒカリを活躍させたい方はぜひ覚えておいてください。ちなみに使う際は剣士のサポートアビリティである“ダメージ限界突破”のセットもお忘れなく!

グラフィック&サウンド:美しいグラフィックとサウンドがプレイヤーの感情を刺激する

 グラフィック面の大幅な進化も『オクトラII』の魅力を語るうえで外せない要素。HD-2Dで表現されたグラフィックは、ドット絵の最高峰だと感じます。アンリアルエンジンとの組み合わせも成熟し尽くしており、エフェクトや光源処理などの表現も力が入りまくっていて、ドット絵好きとしてただただ感動しかありません。昼と夜の表現の違いも格別です。

 主人公たちの等身も前作に比較して少し高くなっており、それに応じて技の攻撃モーションなどもより多彩になったのも見逃せない部分。カメラアングルにもこだわりが感じられ、戦闘シーンのみならず、イベントシーンなどでもしばしば“背中で語る”シチュエーションや、重要なシーンであえてセリフを挿入せずにキャラの演技だけで状況を説明するといった心憎い演出もあり、プレイヤーの心をくすぐってきます。

 なんといいますか、前作『オクトパストラベラー』を皮切りに制作され始めたHD-2D作品が『トライアングルストラテジー』『ライブアライブ』などでの研鑽を経てこの『オクトラII』でひとつの頂点に辿り着いた……そんな気さえしております。

 イベントやバトルの魅せ方、こだわりも尋常ではなく。敵の攻撃モーションひとつとっても、ただ斬撃を繰り出すのではなく、空中に飛び上がってから剣を振り下ろしてきたり、ゆっくりと腰を落としてタメたあとに鋭い突きを一閃してきたり。かめ●め波のような構えを取ったあとで極太ビームのような魔法を繰り出してきたり、こちらにバッドステータスを与えたあと下品な笑い顔を見せたりと……もうね、敵の表情が多彩過ぎます。ザコ戦はさておき、ボス戦は戦闘スピードを等倍にして、各モーションをじっくり観察してみるのもオツですよ。

 絶対に許せない敵も複数登場しますが(とくにソローネ編のあいつとオズバルド編のあいつ!)、なかには攻撃に茶目っ気があるぶん、どうにも憎みきれない敵もいたりして……こういった演出も感情移入のために大事なんだなとあらためて痛感しました。

  • ▲一切の妥協を感じさせないビジュアル、要注目ですよ。

 プレイレポート第1弾でも書きました通り、西木康智さんが手掛けたサウンドは最後まで素敵でした。サウンドとして耳障りの悪い楽曲はひとつとしてなく、映像を盛り上げるための劇伴として最高のクオリティに仕上げられていました。

  • ▲自分は主人公のテーマソングでいえばパルテティオのテーマがお気に入り。フィールドのBGMはク国のテーマ(とくに夜バージョン)が好きで、思わず聴き入ってしまいます。

 相変わらずカッコいい戦闘BGMはまさに神がかり。各主人公たちごとのテーマソングも秀逸で、メインストーリー終盤のお約束ともいえるイベントのクライマックスで各主人公のテーマソングが流れ、そこからボスとのバトルに突入する流れには『オクトパストラベラー』の美学さえ感じました。音楽の好みは人それぞれかつ多種多様だと思いますが、本作は実装されている楽曲数も非常に多いため、きっとお気に入りのBGMが存在すると思います。

  • ▲とあるイベントをこなせば、酒場に“蓄音機”がセットされ、特定のBGMを鑑賞できるようになる嬉しい要素も。しかも、曲によってはギター、バイオリン、ピアノverが聴けるという豪華っぷり!

 サウンドとは少し異なりますが、各声優陣の熱のこもった演技も素晴らしいのひと言。8人の主人公たちはもちろん、敵キャラやサブキャラに至るまで、皆さんの演技がことごとくキャラにマッチしていてさすがでした。同じバトルアビリティひとつとっても、キャラごとに掛け声が異なっていたりするので、キャラをジョブチェンジさせる楽しみも増えるというものです。

  • ▲敵の物理防御を下げる盗賊の“フクロウ”。ソローネは「フクロウ!」と技名を口にしますが、オーシュットが使うときは「ホロッホー!」と鳴き声を真似したりするんですよね。マジで芸コマ。つーかオーシュットかわいすぎ!(笑)

好きだからこそ言わせてほしい……ちょっと気になるアレコレ

 ここまで読み返してみて、自分の好きな部分を大上段から書き記す形になったこのプレイレポート。実際に大好きな作品なのでそれでいいやと思いつつ、「客観的に見てこれは気になるなあ」という部分について触れておかないのもアンフェアな気がしますので、ここで少しだけ書かせてください。

 まずはUIについて。フィールドやダンジョンはさておき、町のなかだけでも詳細なミニマップが欲しかったなあと個人的には感じました。本作では町の数や広さもパワーアップしており、町までたどり着いたはいいものの、宿屋や酒場、ショップが見当たらずにウロウロする……なんて局面がかなりありましたので。

 なまじ町のレイアウトが凝っており、ひとつ奥のマップに移動したところに宿屋がある町もあったりして、覚えるまでひと苦労なんですよ。……というか、年齢を重ねて加速度的にポンコツになってきている僕の脳みそではすべての町の構造は覚えられないのが悲しいところ(涙)。せめて宿屋、酒場、ショップは町の入口近くにまとめておいてほしかったな……。

 まあ、これも含めて“旅”なのかなって好意的な解釈の余地もあるんですけどね。たとえばはじめて訪れた旅先で、すぐにホテルまで辿り着けるかと言われたら、普通に自信がないですし。

 なんなら年に数回訪れる取引先のビルの場所を忘れたり、会議を済ませた帰り道に「この前食べておいしかったラーメン屋、もう1回行ってみよう。たしかこっちだったような。アレ、どこだっけ? 向こうだったっけ!?」みたいなことだって頻繁に起こり得るわけですから。それと似たようなものと思えば……いや、微妙に違う気もするけど(笑)。

  • ▲隠されたアイテムが「!」で表示されたりと、いい感じなんですけどねミニマップ。現実の世の中にはグー●ルマップという便利なツールもあることですし、ソリスティア大陸にももう少し便利なミニマップがあったらいいなってことを言いたかっただけです。

 セーブスロットが9つしかないのも、少しだけ残念なところ。本作はシナリオ回想がめちゃくちゃ充実していることもあり、「このシーンはお気に入りだからセーブデータを残そうかな」といったことを気にする必要はあまりありません。ただ、上記のとおりバトルシーンの演出にも力が入っていることもあって「もう1度こいつと戦ってみたい」「今度は別編成で挑んでみたい」といったシチュエーションはわりとありえると思っています。そんなとき、セーブスロットが9つしかないのはちょっと少ないような……。

  • ▲旅の記録からシナリオ回想を見ることもできるのは超便利。単純に、記事を書くために複数のセーブデータを残しておきたいというゲームライターならではの視点も入ってるかも。

 あとは最大の魅力のひとつでもあるバトルシーンも、少しだけ気になる要素が。これはこと序盤において感じたのですが、一戦ごとの密度が濃いんですよ。同レベル帯のザコはちゃんと弱点を突いてブレイクしないと撃破しづらく、戦闘の比重が高くてしんどいと感じるプレイヤーさんが出てきそうかもって思いました。

  • ▲一戦ごとの密度の濃さ、自分はどちらかというとプラスに捉えています。ただストーリーだけを追いかけたい人にとっては、ザコでも全滅させるまで時間がかかるシステムはつらいかも。

 中盤以降でアタッカーが育ってきて、優秀な武器を盗んで装備させたり強力な技を覚えさせたりすれば、ザコ殲滅までの時間はぎゅぎゅっと短縮されます。そうなればだいぶ受け取り方も変わってくると思うんですけどね。戦闘中は“ゲームスピード変更”でバトルを倍速にできるので、こちらもうまく活用したいところ。僕はボス戦以外はほぼ倍速にしていました。

  • ▲クロスストーリーは見どころ満載なだけに、贅沢をいえばもうちょっと数&ボリュームがほしかったかな。

 このように気にかかる部分はいくつかあれど、自分のなかでは数あるRPGのなかでも最高峰とさえいえるほどのクオリティに仕上げられていた『オクトラII』。プレイ出来て本当に幸せでしたし、終わらせるのがもったいないと躊躇してしまったのはウソ偽りなく本心です。ずっとヒカリたちと旅を続けていたかった!
 
 ……まあサブストーリーはまだ半分しか終わっていませんし、伝承ジョブも見つけられていないし、歴戦装備集めとかのコレクション要素も含めると、まだまだ旅は終わらないぞって気もしてますけどね。

 今回は記事執筆のために、編集部で先行プレイ用のデータを遊んだわけですが、製品版が発売されたらもちろん購入して(というかコレクターズエディションを予約済み)、自宅でイチからプレイしなおしたいと思います。……たぶん、また最初の主人公はヒカリを選んでしまうんだろうなあ。彼への思い入れが強いので。

 とにもかくにも、仕事とは思えないレベルでどっぷりハマった魅力あふれる作品であることは間違いないこの『オクトラII』、発売までいよいよあと少しとなりました。すでに体験版も配信されており、話題を呼んでいます。こちらは冒頭3時間をプレイ可能+セーブデータを製品版に引き継ぎ可能という嬉しい仕様になっていますので、記事を読んで気になったという方は、ぜひダウンロードしてお試しプレイしてみてもらえればと思います。

 それでは、長くなりましたが今回はこのへんで。次はソリスティアでお会いしましょう!

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