『二ノ国:Cross Worlds(ニノクロ)』インタビュー。レベルファイブ全面協力の誕生秘話が明らかに

長雨
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 マーブル×レベルファイブが手掛ける『二ノ国:Cross Worlds』(ニノクロ)が、ついに配信開始されました。

 今回はNetmarble Neo 開発総括プロデューサーのパク・ボムジン氏に、開発時のエピソードや作品の見どころをうかがいました。

約3年をかけて『二ノ国』をスマホ向けファンタジーアートRPGに!

――本作はどのくらいの規模で、開発されているのでしょうか?

パク氏:『二ノ国:Cross World』の開発のために、約3年間で150名以上のリソースを投入してきました。『リネージュ2 レボリューション』の開発に参加した中心的なメンバーが参加するプロジェクトとしてネットマーブル、ネットマーブルNEOが持つ全ての力量を結集させました。

――原作に『二ノ国』を選んだ理由を教えてください。

パク氏:原作の『二ノ国』に込められている感性とグラフィック、現実世界と仮想世界が共存する差別化された世界観が興味深く感じられ、スマホ環境でも、このゲームの特徴を生かせると判断したため開発に至りました。

――『二ノ国』シリーズのもつ魅力とは、どこだと思われますか?

パク氏:1番はストーリーだと思います。(本作でも)『二ノ国』として、ユーザーがWin-Winの関係で物語を紐解いていく体験を届けたいと思いました。ユーザーは、“黒い輪の会”と“レヴァント”の野望を止めることができます。

 リリース後、伝統的な闘争をテーマにしたストーリーが完結したタイミングで、原作では“二ノ国(仮想世界)”、“一ノ国(現実世界)”と表現されている2つの世界の関係についてお話をする予定です。

――物語のほかに、特に注目してほしい要素は?

パク氏:“キングダム”や“ソーシャルオブジェクト”も注目してほしいコンテンツの1つです。 『二ノ国:Cross World』は、ユーザー同士のコミュニケーションや自然遊びができる環境づくりに注力しました。

 “キングダム”では、“遺物の戦場”、“キングダム侵攻戦”、“キングダム防衛戦”のほか、様々な遊び方で一緒に遊べるコンテンツを提供していく予定です。

 “ソーシャル オブジェクト”は、ユーザーが戦闘に関係なく遊べるおもちゃのようなものです。また、音を鳴らす石像やサッカーボールなど、数に限りがあるレアなオブジェも制作いたしました。また、それらを見つけて収集するのも楽しいと思います。

――開発で手ごたえを感じたところや、苦労されたところを教えてください。

パク氏:『二ノ国:Cross Worlds』の序盤部分を開発しながら多くの試行錯誤がありました。『二ノ国:Cross Worlds』のストーリーと世界観を完全に伝えながら、MMORPGの戦闘、コミュニティの面白さを感じることができるようにすることがとても難しかったです。

 『二ノ国』シリーズの一つではありますが、全く異なる新しゲームをもう一度作るレベルの企画変更と、内部の様々な要素をターゲットにしたテストの末、現在のバージョンのゲームが誕生しました。

 これからはユーザーの皆様の評価をお待ちしております。我々が試行錯誤した部分がそのままにじみ出ているので、ユーザーの皆様には満足度が高いプレイを楽しんで頂けたらと思います。

非公開原画や設定の提供など、レベルファイブも全面協力

――レベルファイブの日野社長からの要望など、何か印象的なエピソードはありますか?

パク氏:要望と言うよりは、原作者のレベルファイブとの関係についてお話ししようと思います。これも一種のエピソードと言えますよね?

 2018年初めに『二ノ国』をもとに、MMORPGを制作しようという提案がレベルファイブから入りました。「本当? 何でレベルファイブが? こちらとしては嬉しいけど……」と思いました。聞いてみると、レベルファイブの日野社長が開発者として、前作の『リネージュ2 レボリューション』のことをかなり良い印象を持ってくださってるとのことでした。

 会議をするためレベルファイブにうかがった際、『二ノ国』の開発当初のデータから始まり、各種非公開の原画リソース、設定集等々を日野社長自らご丁寧に一つ一つ説明して下さり、「フニャもいいけどイマージェンがもっと魅力的だ。フニャを集めてイマージェンを合成するのはどうか?」など日野社長が直接熱心にご意見を提示してくださったりしました。

 その後、協業は一瀉千里に進行されました。原作のリソースのほとんどを共有して頂いたり、開発内容に関しても、レベルファイブが初期に提示した一部のガイドラインを除きほぼ制約がありませんでした。

 著作権がある作品を引用して、コンテンツを制作したことのある方ならば、著作権所有者のこのような姿勢はかなり例外な対応というのはお分かりになると思います。レベルファイブのこのような姿はむしろ私たちにとって原作の価値保存のために良い意味でたくさん悩むようになりました。

――原作アニメを担当した“スタジオジブリ”の世界を旅しているような美しい映像も大変印象的です。映像演出へのこだわりを教えてください。

パク氏:スタジオジブリは初代『二ノ国』のアニメーション作画を担当しており、本作品はその感性を受け継いだものです。

 ユーザーの皆様へ新しいビジュアルや音楽、新しい面白さをお見せすることを目標に一生懸命やってきました。3年という長い期間、ゲーム開発にのみ集中し、アニメーションのような雰囲気を伝えるために魂を込め作り上げました。リリース後ユーザーの皆様がどのようにゲームを楽しんでいただけるのか期待しております。

――音楽家である久石譲さんが手掛けた音楽の魅力、聴きどころはどこでしょう?

パク氏:ゲームは視覚と聴覚、全てを通して楽しむ複合コンテンツと言われていますが、『二ノ国:Cross Worlds』もビジュアルのみならず音楽にも注力しました。

 スタジオジブリの『ハウルの動く城』や『千と千尋の神隠し」などの作品でも有名な音楽家・久石譲氏の楽曲は、『二ノ国:Cross Worlds』で繰り広げられる冒険の旅を、さらに美しく、幻想的にしてくれていると思います。全ての音楽に注目していただきたいです。

“キングダム”で待つ国を造る面白さを楽しんで欲しい

――ジョブを現在の5つに決められた意図は?

パク氏:ゲーム開発者は、3Dキャラクターの実装の方向性を決定する際に、2つの主要なオプション機能について、どうするかまず直面します。

 “1.キャラクターの個性を生かす方向性”、“ 2.カスタマイズの自由度と多様性を最大化する方向性”。この2つは、例えるとシーソーの両端に配置されていると考えることができます。 片側に体重をかけると、必然的に反対側が弱くなります。

 『二ノ国:Cross Worlds』に関しては、オリジナルキャラクターの個性を生かす1つ目の方法を選び、それに適した5つの職種になりました。

――キングダムをギルドのような形式にしようというアイデアは、どの段階で決まったのでしょうか? キングダムで挑戦できる各大規模コンテンツの魅力も、お聞かせください。

パク氏:新しい経験をお届けするために長期にわたり試行錯誤をしました。2つの世界が共存するファンタジーの世界観をユーザーが十分に楽しむことに焦点をあて、単にコンテンツやダンジョンがオープンされる機能的な部分もストーリーとして被せました。

 多くのゲームにマルチ要素として戦闘や複数人でプレイする集団戦がありますが、我々はマルチの本質について悩みました。

 悩みながら単純に戦って何かを獲得することが全てではなく、ユーザーがお互いに協力してコミュニケーションを行い、新しいコミュニティを作ることができるようになることを目標にキングダムコンテンツを開発しました。

 “キングダム”はユーザーが直接国を造って管理する形のコンテンツで、戦闘要素だけでなく直接キングダムの建設物を装飾するカスタマイズ機能、そして“キングダム”の構成メンバーとの協力がなにより重要な“キングダム”専用コンテンツである“キングダム防衛戦”などをプレイすることになります。

 ぜひ直接経験していただき、仲間と新しい国を造る面白さを感じていただけたら嬉しいです。

――“キングダム”のバトルなど、マルチプレイ、コミュニケーション面を重視されたい理由を教えてください。

パク氏:モバイルプラットフォームへの移行により、同じジャンルのゲームに触れるユーザーの範囲が広がりました。これは、さまざまなプレイスタイルのユーザーを満足させる必要があることも意味します。

 1人でも多くのプレイヤーに満足していただけるようにさまざまなな要素をご用意しておりますが、“キングダム”中心のコンテンツやさまざまな“ソーシャルオブジェクト”をぜひとも体験していただきたいと思います。他のプレイヤーと遊ぶときの楽しみが2倍になるように、たくさんのギアを用意しています。

 もちろん、『二ノ国:Cross Worlds』には参加するのが負担にならないマルチプレイコンテンツが多数あります。PvEコンテンツの中でも5人で攻略しなければならない“次元の境界”を除けば、ほとんどがオープンエリアで行われ、特に入場制限もありませんので、気軽に立ち寄ることができます。

 さらに、現在1人でゲームを楽しむユーザー向けのコンテンツも準備中です。パーティプレイ系のボスをソロプレイで狙ってランキングを競うコンテンツ(“次元の境界”1人プレイモード)や、各属性のエリアをきめ細かく占拠するコンテンツの追加も検討しています。

――システム面でPKという項目がありましたが、これはGvGコンテンツ以外にプレイヤー同士がフィールド内で戦えるということでしょうか?

パク氏:MMORPGではさまざまな人との関わり合いの中で衝突が起こる可能性があり、それを解決するためにPKはゲーム内でのみ許される方法だと思います。

 しかし、無分別なPKもゲーム内で問題を引き起こします。『二ノ国:Cross Worlds』ではPK性向値(善↔悪)が導入され、魔物を討伐すると性向値が増加し善の方へ向かい、性向が善のプレイヤーをPKすると性向値が下がり悪の方へ向かいます。性向値が低いと戦闘能力が大幅に低下するなどのペナルティが課せられるようになっています。

――序盤のアドバイスがあれば、教えてください。

パク氏:最初からランクが高い武器とイマージェンを備えるより★3程度の武器やイマージェンを活用しプレイすることをお勧めします。これらは汎用性に優れたスキルを持っており、成長の難易度も低く、効率的なプレイが可能です。

――イマージェン以外に本作にはたくさんの動物がいますが、生産系やスローライフ系のコンテンツはあるのでしょうか?

パク氏:『二ノ国:Cross Worlds』は、原作の『二ノ国』の要素をまだ活用できる部分が沢山あり、サービスを継続するにあたり、オリジナルの要素を可能な限り活用していきたいと考えています。

 また、ライフスタイルコンテンツの導入に関しては、開発初期から懸念事項が多くありました。生活コンテンツの自由度の低さが課題になってしまったり、逆に自由度の高さ自体がハードルになったりするケースも経験しています。

 その結果、私たちはライフスタイルという主題をあきらめて、別の視点からアプローチし、その結果を“ソーシャルオブジェクト”という形で表現しています。

――最後に、ユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。

パク氏:ユーザーの皆様へ新しいビジュアルや素敵な音楽、新しい面白さをお見せすることを目標に一生懸命やってきました。3年という長い期間、ゲーム開発だけに集中してきました。正式リリース後、ユーザーの皆様がどのようにゲームを楽しんでいただけているのか期待でいっぱいです。

 我々が苦労して準備した作品についてお話しすることができて感慨深いです。

 ユーザーの皆様に『二ノ国:Cross Worlds』を最大限早くお届けするために、全ての担当メンバーが最善を尽くしてきました。ネットマーブルのすべての力量が詰まっている、ハイクオリティのゲーム性とサービスを保証します。ぜひプレイしてください。ありがとうございました。

――ありがとうございました。

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