2013年5月7日(火)
――まずは4月24日に発売された最新作『Rom Cassette Disc In KEMCO』についてお聞かせください。ケムコを選ばれた理由は何でしょうか?
▲『Rom Cassette Disc In KEMCO』(ケムコ) |
この作品については、2012年の夏前くらいから動いていたプロジェクトになります。曲のリストをご覧になられた方は、あの有名なタイトルが入っていないじゃないかと思われる方もいるかもしれません。
――『シャドウゲイト』や『スパイ vs スパイ』などですよね。
▲クラリスディスク プロデューサー 吉川延宏さん |
そうですね、その2タイトルに加えて『ディジャヴ』、『悪魔の招待状』、『エレクトリシャン』などです。これらのタイトルは当初、非常に入れたいと思っていたタイトルでした。というか、これらが入っていないと商売として成り立たないとまで言えるものです。
しかし、これらのタイトルはアメリカで開発されたタイトルということもあって、非常に権利が複雑だったんですね。ケムコさんとも粘り強く交渉していたのですが、これらのタイトルにこだわるようだったら出せないから諦めたほうがいい、というところまで行ってしまいました。
――では、改めてケムコとして出そうと思ったきっかけはどこにあるのでしょうか?
このアルバムのディレクターをやってもらっている風のイオナという者がいるのですが、彼が『ホワイトライオン伝説』を入れようという提案をしてきたんですね。
『ホワイトライオン伝説』というのは、映画を原作としてファミコンで発売されたタイトルなのですが、これの権利をクリアして収録できたなら、複雑な権利が絡んでいるものも諦めずにがんばっている、というところが見せられると。
あとはズームさんの『ファランクス』や『ジェノサイド2』、『ラグーン』といった他社製品のケムコによる移植ものについても権利をクリアして収録できれば、バラエティ豊かにできるかなと。
そういったメジャータイトルを除いても『真田十勇士』や、『ゲームセンターCX』でも取り上げられていた『スペースハンター』、それに『セレクション』や『ネコジャラ物語』といった音楽の評価が高いタイトルを収録しています。
それに2013年はなんといってもファミコン30周年の年ですから、やっぱりケムコは外せないだろうということで、この時期での発売となりました。ということもあって、今年はがんばってファミコンのものを発売したいと思っています。
――確かにクラリスディスクのラインナップを見ていると、ケムコが来るというのは妥当な感じもしますね。
クラリスディスクを知っている人なら、次はケムコなのか、ビック東海なのか……と予想している人は多かったんじゃないかなと思います。そういう意味では順当だったかもしれません。
――個人的に『セレクション』と『ネコジャラ物語』は思い入れの強いタイトルなので、さすがに入れてきたなという感じです。
その2タイトルは人気が高いですからね。ただ、ケムコさんのタイトルはRPGが非常に多くて、曲の収録にはとても苦労しました。
――RPGだとどのあたりに苦労するのでしょうか?
サントラに収録するには曲名を付けなければならなくて、曲の収録と調査というのは別の作業になります。STGだとステージ1だったり、ボスだったりといった曲名で済ませられるのですが、今回はRPGですので実際にプレイをしながら、その状況にあった曲名を付けないといけないんです。
――なるほど、ということは曲名はオリジナルなものが多いんですね。
『ファランクス』などは既存の曲名がありますので、そのまま使わせてもらっていますが、曲名がなくて自由に付けていいと言われているものについては、こういった付け方をしています。以前発売したナツメさんのアルバムについても、こちらで曲名を付けているんですよ。
――それも気が遠くなるような大変な作業ですよね。
曲名については担当の裁量によりますね。もちろんチェックしますが、オープニングなのかタイトルデモなのか、担当によって異なります。また、ゲーム中に同じ曲が使われることが結構多いのですが、そういった曲の曲名はゲーム中で一番注目度の高い場面の曲名を付けたりします。こういったことはゲームに熟知していないとなかなか難しい作業ですね。
――となると、RPGだととりあえずひと通りやってみて、そこから調査という感じになるんですね。
録音の仕方については企業秘密になりますけどね。
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