2013年5月7日(火)
――ところでそもそもなのですが、こういったレトロゲームのサントラを出そうと思ったきっかけは何でしょうか?
きっかけそのものはいくつかありますが、1つ目はゲームサントラ自体が一般のCDと比べると数が少ないというところにあります。私はもともとTSUTAYAで音楽CDのバイヤーをやっていて、新店舗ができたり、在庫の拡充が行われるようなタイミングで、現在の在庫に合わせて予算内で扱うCDを増やせる立場にあったんですね。
それでそういう時にゲームサントラを増やそうと思っても、レンタルで許諾されているものはほとんどなくて、あったとしてもすでに廃盤になっているんです。ファミコンなどのゲームサントラをお店に揃えたくても揃えられなくて、ずっと自分で作れればなあと思っていたんです。
ゲームサントラといえば、扱い的にはアニメのサブカテゴリとして存在していて、そこには基本的に有名どころしかない、というのがその時の状況でした。
――そこから現在の業務が始まっていったと。
TSUTAYAでバイヤーをやっていた時に、兼業でシティコネクションという会社もやっていたんです。それで、TSUTAYAでの業務とは関係のないところで、ジャレコの当時の社長をやられていた加藤貴康さんと知り合うことができまして、それが縁で第1弾としてジャレコをテーマにしたサントラを出すことを許諾してもらったというわけです。
そこで実際にサントラを発売するにあたって、レーベル名をどうしようという話になりました。会社名がシティコネクションですし、第1弾はジャレコということで、『シティコネクション』の主人公・クラリスの名前をとって、クラリスディスクが誕生したというわけです。
▲記念すべき第1弾はジャレコのタイトルを集めたサントラ。 |
――クラリスディスクは付くべくして付いた名前ということですね。
第2弾はサンソフトを発売しましたが、これはクラリスディスクという名前が付く前から、次はサンソフトを出そうというように進めていました。
ただ、たくさんのサントラのメーカーがある中で、新規レーベルでいきなり参入しても受け入れられないのではないかという不安もありました。そこで我々はとにかくニッチで、「よくぞ出してくれた」と言われるようなところを常に攻めていこうという方針で、下地を固めていました。
――最初にジャレコ、サンソフトとサントラをリリースしているのを見て、当時これは濃いなとは思いました。
途中で立ち行かなくなるかなとも思っていました。自分もバイヤーをやっていたこともあって、こういうサントラが何枚くらい売れるものなのか、数字はだいたいわかりますから。
ただ、ジャレコとサンソフトが予想以上に大ヒットとなりまして、新規レーベルでもちゃんとした音源を揃えれば行けるんだということがわかりました。あとはホット・ビィも予想より多く売れたタイトルですね。
▲予想よりもかなり売れたというサンソフトのサントラ。 |
――「ホット・ビィのサントラ」という時点で聞いたことがないフレーズですからね。
ネームバリューとしては『星をみるひと』が大きかったのではないかと思います。あとはその他も聞いてみたら意外といい曲ばかりだった、とか。
▲ホット・ビィといえばなんといっても『星をみるひと』。 |
――今の時点で発売が決まっていないけれども出したいサントラがあれば教えてもらえますか?
そうですね、クラリスディスクとして、そして吉川として一番出したいサントラはカルチャーブレーンです。これはもう断言できますし、ラブコールに近いですね。
2番手はビック東海です。こちらは『バトルマニア』と『バトルマニア大吟醸』(ともにメガドライブ)を音源化するまではこの仕事をやめられないとまで思っています。
(C)2010-2013 CLARICE DISC
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