2015年3月25日(水)

『ランブルローズ』10周年。屈辱システムが画期的なセクシー系プロレスの歴史的名作【周年連載】

文:デルチ

 あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として展開中の“周年連載”。連載第20回は、2005年2月17日にKONAMIから発売され、今年で10周年を迎えたPS2ソフト『ランブルローズ』の思い出コラムをお届けします。

『ランブルローズ』

 本作は“ランブルローズ”と呼ばれる女子プロレスの大会を描くプロレス格闘アクション。対戦ゲームとしても楽しめるプロレスゲームでありながら、キャラクターごとの物語も楽しめるストーリー性が高いゲームとなっています。

『ランブルローズ』
▲左が今回紹介するPS2の『ランブルローズ』。右は、2006年にXbox 360で発売された『ランブルローズXX』。描画能力などがアップし、オンライン対戦なども追加されたアッパーバージョンです。

 女性キャラクターを3Dグラフィックで表現したゲームは数あれど、個人的に『ランブルローズ』の女性たちの存在感はずば抜けて高く感じました。女の子を恥ずかしがらせる“屈辱システム”など、セクシー系のゲームとして注目されがちですが、実はきちんとしたプロレス系の対戦ゲームとしてクオリティが高いこともポイントです。

 10周年を迎えた今、そんな歴史的名作の思い出について熱く語らせていただきます!

■プロレスを知らなくても楽しい!? その理由はストーリー性の高さ!

 本作は女子プロレスを題材にしたアクションゲーム。プロレス部分にはかなりのこだわりが感じられる作品ですが、実は開発には『闘魂烈伝』シリーズや『エキサイティングプロレス』シリーズといった名作プロレスゲームを生み出してきたユークスが携わっています。そのため、大前提となるゲームシステムの出来は非常によいです。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』

 登場する女子レスラーはボスキャラを含めて11人ですが、それぞれに善玉である“ベビー”と悪玉である“ヒール”が用意されています。同じキャラでもベビーとヒールでキャラの外見も性格もがらりと変わるので、実質的なキャラクター数は倍となります。そんな彼女たちがセクシーなコスチュームでくんずほぐれつのバトルを繰り広げる! それが『ランブルローズ』の魅力の1つです。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲同じキャラとはいえ、ベビーとヒールではかなり雰囲気が変わるのもおもしろいところ。技までガラッと変わるので、完全に別キャラレベルですね。

 僕がこのタイトルに出会ったのは、お仕事がキッカケでした。それまではプロレスにほとんど興味がなかったのですが、本作をプレイして実際にプロレスを見に行くほど好きになりました。こんなにおもしろい世界があったのか! と気付かせてくれた意味でも、思い出深いタイトルなんです。

『ランブルローズ』
▲とにかくアクションが派手でセクシー! 技をかけている最中にカメラを自由に動かせるので、人それぞれのベストなポジションで堪能できます。

 プロレスに興味がなかった自分がひかれたのは、やっぱり女の子のセクシーさによる部分が大きかったのですが、それだけではありません。いわゆるキャットファイト的なエンタメ感がしっかりと再現されているので、『ランブルローズ』の試合はショウ感覚で楽しく観戦できます。

『ランブルローズ』
泥んこまみれで戦う泥レスなんかも再現されていて、各種シチュエーションでキャッキャウフフな展開を楽しめます。それでいて、試合自体はガチなんですけどね。

 詳しくはあとで紹介しますが、例えば不登校になった生徒とそれを追いかける女教師など、キャラクターごとのバックストーリーがしっかりと噛み合って、因縁や物語が生まれてきます。仮にプロレスに興味がなくても、そういったストーリー性の高さでぐいぐい引き込まれてしまう人は多いと思いますよ(自分がまさにそうでしたからね)。

■相手に屈辱を与えて恥ずかしがらせる、本作独自のシステムに注目!

 プロレスゲームというと、ちょっとシステムが複雑そうで……と敬遠する人がいるかもしれませんが、本作はかなりシンプル! 攻撃は、打撃とつかみ技(グラップル)の2種類が基本です。

 打撃技は相手のスタミナを奪って技をかけやすくするもので、本作のメインとなるのはつかみ技。その操作は簡単で、相手をつかんでから方向キーで体のどの部位を攻撃していくかを選ぶというわかりやすいものになっています。この操作は全キャラ共通なので、すぐに操作を覚えられるところもポイントですね。

『ランブルローズ』
▲相手をつかんだのち、例えば↓+△ボタンで脚への関節技、→+△ボタンで腕への関節技というように攻撃を分岐させることができます。

 頭、体、腕、脚に技をかけると、各部位にダメージが入ります。関節技をかけられるとゲージが表示され、ゲージがなくなるまでにボタンを連打してリカバリーすることになります。

 その際、このゲージは部位のダメージと連動しているので、ダメージを受けるほど短い時間で連打を終えなければいけない=ギブアップの可能性が上がるというシステムになっています。

『ランブルローズ』
▲効率的にギブアップを狙う際は、同じ部位をしつこく攻撃することが有効です。こういうリアリティの味付けがうまいんですよね。
『ランブルローズ』
▲もちろんプロレスらしく、フォールからの3カウントという勝ち方もアリ! プロレス好きの方ももちろんじっくり楽しめるわけです。

 続いて注目してほしいのが、攻撃を与えると増加していく必殺技ゲージ。これが、本作のキモなんです。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲必殺技は、どれも見応えバツグンのアクションとセクシーっぷり! 通常時に放てる“キラームーブ”と、コーナーポストなどで特殊な条件を満たすと使える“リーサルムーブ”の2種類があります。

 必殺技は試合に勝つためにも重要ですが、『ランブルローズ』においては別の意味でも非常に重要です。それはなぜかと申しますと、めっちゃセクシーな技だらけだからです! もう、いい意味で現実的にはありえない、まるでマンガやアニメのようにハチャメチャな演出が多いので、ぐいぐい引き込まれちゃうんですよね。

 あえて断言します。『ランブルローズ』の魅力の1つは、セクシーな必殺技演出を堪能することだと! 少なくとも自分は、とにかくいろいろなキャラのセクシーポーズが見たくて、延々と遊び続けてしまいました。

 そんなセクシーな必殺技の中には、技をかけることで相手の“Hゲージ(屈辱ポイント)”を上昇させられるものがあります。HゲージのHはhumiliation(屈辱)のことで、その名が示す通り、技をかけられたことで恥ずかしい格好にさせられた時にたまっていくわけですね。このゲージは“屈辱システム”という『ランブルローズ』独自の要素と密接にからんできます。

◆屈辱システムとは?

 試合中にあまりに恥ずかしい思いをさせられ続けると、屈辱ポイントが高まっていき、キャラクターは耐え切れずに顔を赤らめてしまいます。この状態のまま試合を続けると、キャラクターはあまりの恥ずかしさに大きな隙を見せてしまい、超必殺技のような“Hムーブ”を食らってしまうことになります。

 ちなみにこのHゲージ、技によっては、技をかけたほうが恥ずかしいポーズを見せてしまい、ゲージがたまってしまうことがあります。このへん、妙にリアルでよいですね。

 そして、相手の“Hゲージ”を最大にまで高める=めちゃくちゃ恥ずかしがらせた状態でのみ使える“Hムーブ”がマジでヤバイ! これでもかっってくらい相手を恥ずかしがらせる技をかけることができるんです! Hoo!!

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲全力で! 全力で恥ずかしがらせるのでデス!!

 屈辱ポイントを高めることで、相手の顔が赤くなっていき、さらには超絶恥ずかしい大技を堪能……。“相手を恥ずかしがらせる”という演出的な要素をきちんと対戦ゲームのシステムに落とし込んだ“屈辱システム”は、天才の発想だと思います!

■美女ぞろいで大興奮! ランブルローズ優勝を目指すレスラーたち!!

 本作に登場する女性レスラーは、さまざまな理由を持って女子プロレス大会“ランブルローズ”に参加します。先述したように、ベビー(善玉)とヒール(悪玉)で能力やストーリー、さらには名前まで変わってしまうところがポイントです。

 とにかくみんなかわいいのですが、主人公的なポジションの日ノ本零子は特に魅力的! 伝説のレスラーを母に持ち、行方不明の姉を探して大会に参加するという王道的なストーリーも含めて、『ランブルローズ』を代表するキャラクターとなっています!!


●日ノ本 零子(ベビー)/麗琥(ヒール) 声優:日高のり子

 伝説のレスラー“カミカゼローズ”を母親に持ち、幼いころよりレスリングの修練を重ねてきたピュアな女の子です。女子体育大学でレスリング部に所属するかたわら、生計を立てるためにレースクイーンのバイトも行っています。

 零子が“ランブルローズに参戦した理由は、消息不明の姉の手がかりを探すため。果たして彼女は、姉と再会できるのでしょうか?

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲ザ・ヒロインといった雰囲気をかもし出す零子ちゃん。レスリング部とレースクイーンで形成された健康美はよいいものです!
『ランブルローズ』
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▲姉の行方がわからぬまま、イライラが募ってラフプレイを繰り返し、ヒールに転向した零子。グレちゃった彼女はなんと麗琥(れいこ)と名乗り、湘南狐武羅会総長に昇り詰める! 突っ込みどころ満載ですね(笑)。

●デキシー・クレメッツ(ベビー)/クレメッツ警部(ヒール) 声優:甲斐田裕子

 テキサスで牧場を営む名士の一人娘。その牧場を手伝いつつ、保安官事務所で働いています。テキサスでは“お嫁さんにしたい女性”の1位にランキングされるほどの人気者です。

 そんな彼女は、尊敬する伝説のレスラー“カミカゼローズ”の娘がランブルローズに参加すると聞き、大会に参加することを決意します。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲ナイスバディにカウ柄のコスチュームという悩殺レスラー。ゲーム中では、出会うキャラ出会うキャラに胸をネタにされる爆乳レスラー!
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲ちょっとした反則でブーイングを送ってくる世間に嫌気が差したデキシーは、クレメッツ警部として再出発。“警官なら何をやったって正義!”ってことで、気に食わないヤツは全員ブタ箱に放り込む!?

●紅影(ヒール)/夜叉(ベビー) 声優:佐々木亜紀

 ランブルローズに隠された真の目的を探るために、日本政府からの密命を受けた忍者部隊“乙組”のくノ一です。任務遂行のためには手段を選ばない非道のレスラーなのですが、ちょっと世間ズレしている部分もあってかわいいんですよね。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲密命を受けて参加したはずなのに、逆に目立ってしまうという……。巨大なガマガエル“飛天丸”のインパクトもすごいです。
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲組織の首領だった日本政府に裏切られ、抜け忍となった紅影は正義の使者・夜叉を名乗ることに。追われる身でありながら、なおも巨悪に立ち向かう忍の鑑(かがみ)でござるな。ニンニン。

●ミス・スペンサー(ベビー)/ミストレス(ヒール) 声優:雪野五月

 ハイスクールで教鞭をとる歴史教師。マジメな教師なのですが、そのマジメっぷりが災いして担当するクラスは学級崩壊気味……。

 そんな中、問題児のレベッカが不登校に! その理由がランブルローズ出場だと聞き、彼女を連れ戻すためにミス・スペンサーも大会に参加します。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲こんな先生がいたら、学生時代がもっと楽しかっただろうなと感じるセクシー教師。メガネが似合いすぎています!
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲情熱を持った教育が生徒に伝わらず、虚しさを覚えていた先生。そんな時、カッとなって反則をした時に見た相手の怯えた眼に感じちゃったんです、カ・イ・カ・ンを♪

●アイーシャ(ベビー)/シスターA(ヒール) 声優:木内レイコ

 1,000万枚のCDを売り上げるディーバ(歌姫)であるアイーシャ。セレブとして地位も名誉も手に入れた彼女でしたが、お金では手に入らない密かな目標がありました。

 それは、ハイスクール時代の同級生であるデキシーに赤っ恥をかかせること! そのためだけにアイーシャはランブルローズに参戦することに。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲個人的に、もっともどうでもいい理由でランブルローズに参加するレスラーです(笑)。でも、実はストーリーのラストの展開はかなり熱いので必見です!
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲反則がきっかけでCDの売り上げはガタ落ち……。今じゃ場末のショーダンサー・シスターAと呼ばれるまで落ちぶれてしまった世界のディーバ。それでもステージで浴びる熱い視線を忘れられず、彼女は今日も踊り続けるんです!

●キャンディ・ケイン(ヒール)/ベッキー(ベビー) 声優:生天目仁美

 本名はレベッカ・ウェルシュ。ガールズパンクバンド“キラー・バンビーズ”のリードボーカルである彼女は、自分が育った施設の経営難を知り、ハイスクールを中退する覚悟でランブルローズに参加します。その優勝賞金を手にするために!

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲つっぱっているけど、意外と根は優しいレベッカ。先生であるスペンサーや同級生である世界の歌姫・アイーシャとは深い因縁があります。
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲先生によって学校に連れ戻されたレベッカは真面目な生徒に更生! どうせなら青春を全力で謳歌しようってことで、チアリーディング部に入部。今日も爽やかな汗を流しちゃうんです!

●藍原誠(ベビー)/ザ・ブラック・ベルト・デーモン(ヒール) 声優:堀江由衣

 女子柔道48kg級の金メダリスト。天才として知られる柔道のエリートですが、唯一自分が投げ飛ばされたことがあるアイグルがランブルローズに出場すると知り、プロレスに転向したのでした。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲柔道着をモチーフにしたコスチュームだけど、胸元がガバッと開くという衝撃のスタイル! そこからのぞく“見せブラ”は、“見せブラ”だとわかっていてもつい興奮しちゃいます。
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲金メダリストだから勝って当たり前。でも反則したら超怒られる……。そんな重圧に耐え切れず、強さだけを追い求めた誠。だって反則ぐらいするよね? どこにでもいる女の子だもん。

●アイグル(ベビー)/グレート・カーン(ヒール) 声優:猪口有佳

 モンゴルの大草原で遊牧生活を送る少数民族の少女。父と兄はモンゴル相撲の横綱で、彼女もまたその怪力を自慢にしています。そんなアイグルは、父と兄に戦士として認めてもらうためにランブルローズに参加します。

『ランブルローズ』
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▲いろいろな国籍の選手が参加しているのに、なぜか彼女だけカタコトの日本語を話すところがツボにハマったキャラクター。誠との友情ストーリーが見どころです!
『ランブルローズ』
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▲ぶ厚い世界のカベに挫折しそうになるアイグル。このままじゃ立派な戦士になれそうもない……。そうだ、だったら皇帝になろう! っておい!(笑)

●イーブル・ローズ(ヒール)/ノーブル・ローズ(ベビー) 声優:斎賀みつき

 ランブルローズ最凶最悪と噂される現タイトルホルダー。パワー、スピードともに他の選手を圧倒する最強のレスラーで、凶暴すぎるため試合時間以外は地下に監禁されています(なんて設定だ。笑)。

 ちなみに、なぜか零子がピンチになると現れます。こういうお約束的なノリって大事ですよね。

『ランブルローズ』
▲その正体はお察しください。ちなみに地下に監禁されているって書きましたが、結構自由に歩き回っています。
『ランブルローズ』
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▲イーブル・ローズに敗れたレスラーたちの魂が1つとなって咲いた地獄のバラという設定です。まるで変身ヒロインのごとき凛々しき姿!

●アナスタシア(ベビー)/ドクター・アナスタシア(ヒール) 声優:折笠愛

 謎のレスラーであるレディーXの秘書兼看護師を自称する正体不明のレスラーです。怪しげな雰囲気を持ち、試合に負けた選手に言葉巧みに近づき、裏の世界に引き込もうとします。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲本作の黒幕的なキャラクターですが、見るからに怪しいので初登場時に「あっ……」って察するキャラクター。こんなナースに介抱されたい!
『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲零子によって計画をジャマされたアナスタシア。彼女に復讐を誓うアナスタシアは、ナースからドクターにジョブチェンジ!

■古さを感じない不朽の名作! ぜひ遊んでみてください!!

 本作は間違いなくプロレスゲームです。ですが、ストーリーモードの熱さなどを含めて、プロレスファン以外でも楽しめるゲームとなっています。

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』

 レスラーに用意された因縁とか、そこから生まれる友情とか、イベントを見ていると不思議とニヤニヤできちゃう展開が多数用意されているんです。うまく言えないけど、王道的な熱さを感じるんですよね。

『ランブルローズ』

 ダウンロード販売はされていないので、少し入手が難しい部分がありますが、今遊んでも十分に楽しめるゲームです。男性ユーザーの欲望を満たすセクシー要素もたっぷりと入っているのですが、単なるハレンチなゲームではなく、物語を楽しんだ後に心に何かが残るゲームになっています。

 10年前の作品ですが、古さを感じない不朽の名作だと思いますので、機会があればぜひ遊んでみてください!

『ランブルローズ』
『ランブルローズ』
▲久々にPS2版を遊び直しましたが、CGモデルのクオリティは今見ても高いです。さすがに最新のHDゲームと比べるわけにはいきませんが、十分萌えることができるレベルでした!

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