レビュー:スクエニ『パラノマサイト』は1,980円以上の価値ある神ゲー。ホラー×異能バトル×バトロワ×ミステリ×顔芸で…テキストの圧が強い!

電撃オンライン
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 スクウェア・エニックスが配信中(3月9日配信)のNintendo Switch/iOS/Android/PC(Steam)用完全新作ホラーミステリーADV『パラノマサイト FILE23 本所七不思議』のレビュー(感想・評価)をお届けします。定価はSwitch/Steam版が1,980円(税込)、iOS/Androidが1,900円(税込)ですが、3月23日23時59分までは20%オフでセール中です。

 アドベンチャーゲーム好きの方に対しては、『探偵・癸生川凌介事件譚』シリーズや『スクスト2(スクールガールストライカーズ2)』のシナリオを担当してきた石山貴也さんが手掛けているという時点で“買い”の神ゲーです。ちなみにキャラクターデザインは『スクスト2』などで知られる小林元さんが担当しています。

 ぶっちゃけ、PVを見ることすらもったいない。予備知識ゼロで遊ぶことを推奨します。

 おさだまりではありますが、ゲーム、特にアドベンチャーゲームはネタバレなしで遊ぶのが最善です。ハードルを上げすぎているかもしれませんが、たぶん大丈夫。石山貴也さんを信じる方は、予備知識なしで遊ぶことが一番なので、この記事は読まずに即購入しましょう。大事なことは何度でも言います。3月23日までキャンペーンで20%オフで購入できるので、即購入しましょう!

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ネタバレ注意! といいつつ、ゲーム冒頭からゲーム内でネタバレがあるという衝撃展開

 さて、しつこいようですが、ストーリーが面白いゲームはネタバレなしで遊ぶのが一番です。一番なんですが……このゲーム、序章的な部分からいきなり「とある人物の死」がうっかりと告知されます。なんなの(苦笑)。

 ここではあえて踏み込みません。でもですね。こういう何気ないことが単なる茶目っ気ではなく、実は伏線やヒントとなっており、ゲーム終盤やクリア後に「ああ、あれってこれだったのか!」とカタルシスを与えてくれる。それが、石山貴也さんというクリエイターなんです。

 『スクスト2』とのコラボイベントを記念した対談動画も公開されているので、こちらを見て『パラノマサイト』への期待を高めるのもありでしょう。

 ハードルを上げすぎているかもしれませんが、たぶん大丈夫。石山貴也さんを信じる方は、予備知識なしで遊ぶことが一番なので、この記事は読まずに即購入しましょう。大事なことは何度でも言います。3月23日までキャンペーンで20%オフで購入できるので、即購入しましょう!

ネタバレとは関係ないけど、顔芸がすごい! そして、テキストの圧が強い!

 さて、しつこいようですが、ストーリーが面白いゲームはネタバレなしで遊ぶのが一番です。なので、できるだけ読者の皆さんにはネタバレ情報を与えたくない。

 ということで、ストーリーと直接関係がない部分からアピールしておきます。

 それは、顔芸とテキストの圧が強いこと。

 おそらく、このゲームを1~2時間ほど遊ぶと、その意味を実感してもらえるかと思います。特にマダムこと志岐間春恵(しぎま はるえ)さんがヤバイ、ヤバ過ぎる!

  • ▲志岐間春恵(しぎま はるえ)。
  • ▲大人の色気も漂わせるマダムですが……もう、すごいんです。

 多くの人は『パラノマサイト』をホラーゲームだと思って遊び始めると思いますが、それは半分正解で、半分間違い。ホラー・オカルト要素は強いのですが、本質的には“謎解きミステリー”であり、呪いの力を使って殺しあう“異能バトル”でもあり、そして何より、笑って泣けるエンターテイメント大作です。いい意味で大衆的であり、ラノベ的であり、アニメ的……というよりは実写ドラマ寄りですかね。

 あえて他作品の名前を出すと、ドラマの『トリック』や『SPEC(スペック)』にハマった方は『パラノマサイト』も気に入るはずです。

 ハードルを上げすぎているかもしれませんが、たぶん大丈夫。石山貴也さんを信じる方は、予備知識なしで遊ぶことが一番なので、この記事は読まずに即購入しましょう。大事なことは何度でも言います。3月23日までキャンペーンで20%オフで購入できるので、即購入しましょう!

七不思議なのに9つという不思議!? 異能バトル&バトロワ要素が熱すぎる!

 おや、こんなにネタバレはやめたほうがよいと書き続けているのに、まだ記事を読み続けるのですか?

 知りませんよ? 真エンディング的な真相編のプレイ条件をうかつに知ってしまって、物語で驚く楽しみを奪われてしまっても。

 知りませんよ? 七不思議にまつわる呪いの力の発動条件を読みあう異能バトル部分が面白いのに、その能力を知ってしまって面白さが半減しても。

 さて、しつこいようですが、ストーリーが面白いゲームはネタバレなしで遊ぶのが一番です。そのうえでちょっとだけ踏み込んで、異能バトル&バトロワ要素について語り始めましょう。

 みなさんは『ジョジョの奇妙な冒険』はご存じですか? 好きですか?

 もし好きな場合、3~4部あたりを思い出してください。スタンドバトルにおいて、敵の能力がわからないからこそ、それを探りながら戦う部分に面白さがあるわけです。それが、戦う前から「DIOのスタンド能力は●●を●●すること」と聞かされてしまったら、どう思いますか?

 それでももちろん、物語の面白さは健在ですし、スタンド能力を知ったうえでも何度も楽しめる作品であることは間違いありません。それは『パラノマサイト』でも同じです。敵の能力を知ったからといって、『パラノマサイト』は面白いですし、むしろ敵の能力を知ったうえで攻略方法を考えるのが熱い部分でもあります。

 『ジョジョ』第3部でいえば、「こいつは強いぜ! 久々に登場した策や術を使わない正統派スタンドだ!」みたいな絶望感を味わうこともあれば、「オーーマイガー! つ、ついにみんな! 暑さのせいでおつむがやられちまったか」みたいにネタを知ってしまえば楽勝な場合もあったりするわけで。

 それでもあなたは、『パラノマサイト』のネタバレを知りたいと思いますか? 思っちゃいますか?

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 では、ちょっとだけ。“本所七不思議”をモチーフにした『パラノマサイト』には、とある事情で呪殺の力を手に入れた9人の男女が登場し、とある目的のために殺しあうことになります。

 便宜上、この戦いをゲームになぞらえると、人を呪い殺すことで点数が増えていき、一定ポイントを稼ぐとクリアという感じ。一般人を殺しても点数が低いのですが、呪いの力を持つ相手を倒すと高得点!(意訳です)

 なので、自分が呪いを使えることをいかに隠して敵に近づくか……みたいなだましあいや情報戦も大事になるわけですね。

【『パラノマサイト』に登場する“本所七不思議”(9不思議)】
・送り拍子木
・馬鹿囃子
・消えずの行灯
・足洗い屋敷
・置いてけ掘
・落ち葉なき椎
・送り提灯
・津軽の太鼓
・片葉の葦

 はい。七不思議なのに実際は九不思議=9つの能力というのも、地味にツッコミポイントですね。こういうところが気になる方は、『パラノマサイト』を特に楽しめると思います。

 それぞれの不思議の詳細はゲーム内できちんと語られるので、別に勉強をしなくても大丈夫ですが、元ネタを知っていると呪いの力や発動条件を類推できる部分があるかもしれません。

 例えばですが、“置いてけ掘”なんかは有名ですよね。魚を釣って返ろうとしたら堀の中から「置いていけ」という声がするという。ってことは、何かを持ち帰ろうとしたらダメなのかなとか、声に反応して振り返るべきなのかどうかとか、そういうことを考えながら敵と戦うことになるわけですね。

 ちなみにゲーム中では複数の主人公を切り替えて物語を進めていくことになります。つまり、操作キャラによって呪いの力が異なるわけですね。

  • ▲主人公を切り替えながら1つの物語を別視点で追っていく、ザッピング的な楽しさもあります。

 仮に、主人公Aで遊んでいるときに主人公Bと戦うことになったら……? みたいな部分を妄想しながら遊ぶのもおすすめです。ゲームの勝者はどの主人公になるのか、それとも……!

 ハードルを上げすぎているかもしれませんが、たぶん大丈夫。石山貴也さんを信じる方は、予備知識なしで遊ぶことが一番なので、この記事は読まずに即購入しましょう。大事なことは何度でも言います。3月23日までキャンペーンで20%オフで購入できるので、即購入しましょう!

いよいよレビュー開始! 怖いけどどんどん読み進めたくなる!

 これだけ言っても記事を読む方は、ネタバレを受けても問題がない覚悟があると考えてよろしいか?

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 よろしいでしょう。では、ここからは実際のゲームを遊んだレビュー記事をお届けしていきます。なんだかんだ、ネタバレは抑え目にすることを意識しつつ。

 本作は、昭和後期の日本の墨田区を舞台に、呪いの力を得た9人の男女が七不思議に隠された“呪いの秘術”の行使を巡ってそれぞれの想いをぶつけ合う群像ホラーミステリーADV。ゲームのタイトルにもなっているように実在する怪談の“本所七不思議”がテーマになっています。

 怪談に詳しくなかったので、“本所七不思議”のことは知らなかったのですが、“本所七不思議”は七不思議と言いながらも、それ以上の数があるものみたいです。その中でも、“置いてけ堀”の怪談は知っていたので、どんな風に登場するのか気になりますね。

 ということで、プレイしてみると案内人という名前の謎の老紳士がいわゆるチュートリアルのような感じで、本作の説明をしてくれます。


  • ▲案内人が映っているテレビがレトロな雰囲気で、本作の舞台になっている昭和後期をイメージできますね。

 世界観などの紹介も兼ねているので、“本所七不思議”のことをまったく知らなくても問題ない始まり方なのはありがたいです。登場する9人の男女のうち、最初は興家彰吾という青年の視点から始まるのですが、彼が“本所七不思議”に詳しくないというのもあって、同じ立場から物事を考えられます。

  • ▲興家彰吾(おきいえ しょうご)。福永葉子に巻き込まれて秘術探しに協力する会社員。

 本作の進め方としては、テキストを読み進めながら、随所に出てくる選択肢を選択していくものADVとしてオーソドックスなもの。というわけで、アクション的な操作をほとんど必要としないので、誰でも気軽にプレイできます。


  • ▲キャラクターが喋っているときには、立ち絵の表情が変わったり、口が動いたりするようになっています。

 ストーリーとしては、興家彰吾が目を覚ますところからスタート。福永葉子という女性との会話が展開されます。

  • ▲福永葉子(ふくなが ヨーコ)。不思議大好き女子。
  • ▲女性キャラのかわいらしさは、さすがは『スクスト2』の小林元さんといったところ!

 その会話によると、公園で何かを探しているようなそぶりを見せている葉子に彰吾が声をかけたことで知り合ったとのこと。その公園は“置いてけ堀”と関連している場所のようで、何かを探しているようなそぶりは、これまた何かに必要な事のようでした。序盤なので、さまざまな謎が矢継ぎ早に登場してきますね。




 そんな会話が繰り広げられていると、ADVパートから探索パートに変わりました。ここでは、まわりの気になる場所を調べることができ、それによってストーリーが進行するようになっています。このふたつを交互に行ってストーリーを進めていくわけですね。


  • ▲多くの場面で360度自由に回転して、周りを見渡せるようになっています。多少の上下視点変更もでき、パノラマカメラ的ですね。あ、でも本作のタイトルは『パラノマサイト』で、“パノラマ”ではないのでご注意を。偏執なイメージですかね。

 調べることができる場所は何か所も用意されており、調べる順番は自由。さらに一度調べた場所にはマークがつくので、どこを調べてどこを調べていないのかがわかりやすくもなっています。

  • ▲同じように選択肢を選んだときにもマークがつくようになっています。

 また、画面の左下には“思い出す”という項目があり、ここから調べる場所のヒントなどを得られるので、調べる場所が分からなくて進められないということにならないようにもなっています。全体的にプレイ中に困ったことが起きても大丈夫なような親切な設計がされているように感じました。

 話を戻して、ストーリーを読み進めていると“置いてけ堀”を含む“本所七不思議”は、“蘇りの秘術”と関係があるようで、そのため2人は“本所七不思議”を調べているようでした。







 そんな、“本所七不思議”と“蘇りの秘術”の関係もわかったところで、急に葉子の態度が一変します。先ほどまで、明るく話していたのに急に何かにおびえているようで、このタイミングでパートが切り替わります。。

 葉子は、彰吾の後ろの方、つまりプレイヤーの後ろの方を指さしており、おびえている原因が振り返った先にいるのだろうことは想像できてしまいます。本作では、360度を見渡せるようになっているので、振り返ることは難しくありません。

 先ほどまでストーリーでは“本所七不思議”のことを話していたので、後ろを確認するのは怖くてためらってしまいます。

 でも、振り返らないとストーリーは進まないわけで……。

 序盤から“本所七不思議”という怪談をベースにしていることで、怖い部分もありますが、どんどん先が気になる展開が待っている本作。このあとに呪いの力を手に入れた興家彰吾のジェノサイド無双が展開するのですが……おっと、あまりネタバレはしないお約束でしたね。失礼しました。

 抽象的な表現となりますが、元気系女子高生、地味めな霊感少女、おちゃめなイケオジ刑事、顔芸マダム(って書くと誤解されそうですが、すごく重い過去がある女性です)、クセ強な有能プロタン(プロ探偵)などなど、クリアすると続編での活躍を期待したくなるキャラクターだらけです! ……一部のキャラは死んでしまうので、続編には登場できないかもしれませんけど。おっと、重ね重ね失礼しました!

  • ▲逆崎約子(さかざき やっこ)。不審な自殺を遂げた親友の秘密を追う高校生。ちゃきちゃきな感じで好感が持てます!
  • ▲津詰徹生(つつみ てつお)。ある事件の捜査中に七不思議の呪いに巻き込まれた警部。さらっとネタバレ、ごめんなさい。見た目通りの渋さもありつつ、かなりお茶目なおっさんで、ギャップにやられる人は多いはずです(笑)。

 ちなみに完全クリアまでは10時間程度ということですが……筆者は最後の真相へたどりつくための謎解きで詰まってしまい、プラス数時間ほどかかっちゃいました。バッドエンド集めとか、なめどり探しも楽しいですしね。

 とはいえ、アニメやドラマを1クール見るくらいの感覚で、濃密なゲームプレイを楽しむことができました。これが2,000円以下(キャンペーン中は約1,500円)……間違いなく、それ以上の体験を楽しめるのでおすすめです!

 ハードルを上げすぎているかもしれませんが、たぶん大丈夫。石山貴也さんを信じる方は、予備知識なしで遊ぶことが一番なので、この記事は読まずに即購入しましょう。大事なことは何度でも言います。3月23日までキャンペーンで20%オフで購入できるので、即購入しましょう!

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